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2019/12/27

REPORT

食からはじまるライフデザインー自然によりそう暮らしーvolume.6 レポート

11/16(土)

「食からはじまるライフデザインー自然によりそう暮らしーvolume.6」を開催しました。食を切り口にこれからの暮らしや環境について考える「食からはじまるライフデザイン」シリーズ。第6回となる今回は「カカオを通じてアマゾンの暮らしを知る」と題し、ゲストにLA CASA DI Tetsuo Otaの太田哲雄シェフを招き、知られざるカカオの生体や、加工方法、流通など、今まで知る事もなかった食べ物の裏側を探ります。
会場には、カカオの皮や種、カカオバターなど、普段見ることもないようなカカオにまつわる食材が並びます。

まずは、今回のゲスト太田哲夫さんの自己紹介からはじまります。

太田哲雄
料理人。イタリア、スペインなどで料理の修行を積み、その際に南米ペル―の食材に興味を持つ。原産国のチョコレートやコーヒーを食した時にその味の違いに衝撃を覚える。労働環境の劣悪さなど原産国の現状を知り、アマゾンで活動をはじめることを決める。カカオの輸入を続けて6年目になる。

太田さんがアマゾンで撮ってきた、カカオの写真を見ながらイベントがスタートします。「カカオってもともとカラフルなフルーツで実が食べられていたんです。その種がアマゾンの森林の大火事で燻されたのがきっかけでチョコレートが生まれたと言われてます。」とチョコレートの成り立ちについて太田さんはこう話をはじめます。その後1品目として、カカオを使ったドリンクが参加者に提供されました。原産国で飲まれていたようなカカオの豆をすり潰してお湯をかけて少しだけ糖分と、カカオの実を混ぜたフルーティーなものです。

カカオ=チョコレート?
カカオというとチョコレートのイメージが強いですが、この2つがイコールではありません。カカオを「発酵」させて種をすりつぶし砂糖を加えることでチョコレートができあがります。一番初めはバナナの皮にくるんで発酵させていたといわれているそうです。発酵の期間や出来によって味が変わってくるので、チョコレートの中でも発酵はかなり大切な要素です。また、カカオの果肉の部分は煮詰めてジャムのようにして食すこともできます。このジャムも会場で参加者に披露されました。

発酵させた後は、カカオの種をローストしていきます。どのような味を作りたいかによってローストの加減は変わってくると太田さんはお話をされます。太田さんの場合は、カカオのフルーティな要素を残すために50°程度の低温でローストを行うそうです。

ローストした後はペースト状にしていきます。ペーストにかける時間にも様々で太田さんの場合は3日間ほど時間をかけてすりつぶしをおこなうそうです。その際に出る薄皮の部分はお茶を淹れることもできます。次の料理は、そのカカオの薄皮をつかった「カカオティー」です。太田さんはこの薄皮をお茶にするだけでなく、パンに練り込んだり、和三盆と混ぜるなど様々な料理に応用として使用しているとお話をされます。普段捨ててしまうこの薄皮を買い取り、活用することで産地の人の利益につながる。ともお話をつづけました。

カカオ豆に含まれる油脂は50%ほど、熱を加えて(ロースト)石臼のようなものですりつぶす(ペースト)と綺麗に溶けてチョコレートのような形状になります。これに乳脂肪分と砂糖を加えることでいつも食べているようなチョコレートができあがります。ホワイトチョコレートは、カカオの風味が出ないのに、なぜチョコレートと呼ばれるかというと、この油脂分だけを取り出しを生成しているからです。現在、太田さんは独自にこのカカオの風味を残した油脂分「カカオバター」の制作にも取り組んでいます。カカオバターはハンドクリームや化粧品にも応用されているようで、リラックス効果もあり現地では食べること以外にも薬用品としても利用されています。

カカオのいろいろ
99%のカカオが栽培されているもの、残り1%の自生するカカオだそうです。「マカンボ」とよばれており、このマカンボの豆をペーストすることでホワイトチョコレートのような油脂分の高いものができあがります。栄養素が高く、ほとんど市場にでることない貴重なもの。こちらも太田さんにお持ちいただき食べてみます。

「カカオ=チョコレートのイメージが強いなかで、乳成分や砂糖を加えず、カカオ自体をペーストやバターとして加工することで和・洋・中、様々な料理への応用を試しています。」と太田さんは話をはじめ、最後2種類のデザートを提供します。どちらも乳脂肪分や油脂分をあまり使わず、カカオの風味を生かしたものです。

1つ目はカカオを使ったモナカ。モナカ生地にもカカオを練り込み、中にカカオのガナッシュと小豆のペーストをいれたものです。つなぎを乳脂肪分ではなく寒天をつかい、砂糖ではなく和三盆を使用しています。

2つ目は湧き水をつかったフォンダンショコラです。太田さんがお店を構える、長野県軽井沢で取れる硬水を使用しています。高度が高いところでつくる料理は自然と高圧調理となってじっくりと火がかかり、味がしまるともお話をされました。調理を行う場所や水の種類でも大きく味が変わってき、ひとつひとつこだわる事で変化をつけるという話が印象的でした。また、日本の食文化は水をベースに作っていて、西洋は乳脂肪分を使って作るお菓子が多いのが特徴です。乳脂肪分を使って作ることで長期間の保存ができる。など、調理方法にその土地の歴史や文化があることをお話されました。

また、「カカオにはポルフノールが多く含まれ、肉料理との相性がよく、ビーフシチューなどにいれるとより味に深みがでるそうでる。」とカカオがもつ栄養素と食べ合わせについてもお話いただきました。発酵の時に出る液体からビネガーをつくることもできるそうです。カカオ本体はチョコレート以外にも様々なものに転用ができるとお話を進め、スイーツでも、新しいカカオの使い方を試している最中で、お菓子に「うまみ成分」をプラスすることを目的に、昆布で生チョコをつくるなど、これまでになかったカカオの可能性を太田さんは探し出しています。

アマゾンと流通
アマゾンがカカオでここまで有名になったのも、アメリカでの支援が多いと話をされます。可能限り農薬を使わず、美味しいカカオを作るかを今実験的に進められていると話ます。日本でもカカオの栽培がすすめられていますが、カカオ自体が環境の変化にすごく影響を受けやすく、台風の多い日本ではいまだ厳しいとも言われています。
アマゾンは私たちの生活にあまり関わりがないように見えますが、珈琲、カカオ、石油などアマゾンから日本に来ているものはたくさんあります。しかし、アマゾンの生産者の暮らしは一向によくなってはいきません。生産者のことを知ること、食材のことを知ること、どのように加工されるかを知ること。そのすべてがこれからの食生活や生産者を救う一手になるのではないでしょうか。

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