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2020/1/20

REPORT

コーヒーのいろはを学ぶカキクケコーヒー学レポートvol.2

「コーヒーは好き?」と聞かれると、「好きです!」と答える人が多いと思います。でも、必ずそのあとに「でも、詳しくは知らないんですよね」と、続けてしまう。そんな言葉をとにかくなくしたい、という思いで珈琲学の講座をKIITOで4年も開催し続けてくれたLANDMADEの上野先生。2018年7月~2019年1月まで続く全10回の講座は、上野先生の持っているコーヒーの知識、愛、全てを詰め込んだ集大成となりました。そんなあらゆる思いが詰まった、「コーヒーのいろはを学ぶカキクケコーヒー学」の総合レポートです。全10回の講座を通して、ゆっくりじっくりコーヒーのいろはを学びながら、自分がなぜコーヒーのことを好きなのか語れるようになるといいなぁと思います。

流通は大きく味が異なる重要な要素。
普段何気なく飲んでいるコーヒー。コーヒー豆は簡単にはできません。多くの人の手と思いで、ようやく私たちが飲むカップまで届いていることを知った第1回(レポートはこちら)。奥の深い流通を紐解いてゆく講座が、はじまりました。

コーヒーの流通を詳しく紐解いてみよう。
コーヒーは、西暦500年〜600ごろからエチオピアで飲まれていました。そして、イエメンにいき、その後インド→インドネシア→アルステルダム→フランス→マルティニーク島→南米へと伝わっていまったと言われています。こういった流れで、赤道をはさんで南北25度のコーヒーベルトと呼ばれる亜熱帯地区に広がっています。


では、コーヒーの味を決めるものは何か?味を決める要因はたくさんあるんですが、今回は、生産国によって味が決まる場合についてご説明したいと思います。大きく分けると4つ。
①品種、②精選、③選別、④各生産国による流通です。僕がこれを知ったとき、流通でこんなに変わるのか!と驚きましたのでより深く説明できればと思います。

味を決める要素①品種

よく聞く名前は、アラビカ種だと思います。だいたい僕らが飲んでいて、いいコーヒーだなぁと思うものは、アラビカ種が多いです。対して、カネフォラ種の中でも、ロブスタ種というものが結構有名でして、缶コーヒーの原料なんかに使われることが多いです。アラビカ種よりも、ロブスタ種のほうが病気に強く育てやすいので、比較的安く手に入ります。ブレンドに混ぜたりして、原価をさげることも可能です。ですが、風味はアラビカ種に劣ります。カネフォラ種が見つかったのはほんの100年前なので、コーヒーの世界では新参者です。コーヒー豆は、品種改良しているものも多いのですが、まだまだ自生の木が多く、勝手に交配して新種ができているのが、実情です。

味を決める要素②精選

収穫されたコーヒーチェリーが生豆になるまでの工程を「精選」といいます。英語ではプロセッシング。コーヒーはもともとコーヒーチェリーと呼ばれる果実です。その中のパーチメントと呼ばれる硬い殻に守られたコーヒーの種子。これがコーヒーの原料になる生豆になります。まず果肉をむいて、中からパーチメントを取り出します。その中にある種を取り出します。この種の取り出し方で、大きくコーヒーの味が変わります。


種の取り出し方にもいくつか種類があるんです。代表的なものが3つ。この取り出し方が多種多様でそれによって味が変わるということを覚えるといいと思います。よくある取り出し方は、非水洗式と水洗式です。インドネシアだけでは、このスマトラ式というものを採用しています。このスマトラ式の精選方法がインドネシアの豆ならではの風味を作る原因となっています。精選だけで味が決まるわけではなく、さらに豆の等級を決める「選別」に移ります。

味を決める要素③選別
ブラジルのこの農園でとれたというだけでは、いいコーヒーにはならないんですね。農園の中の大量の豆を、選別して選別して、ようやく選ばれた一部がスペシャルティコーヒーになります。選別することで、スペシャルティコーヒーになる豆や、逆に品質の良くないものだけを集めて低いグレードで安く販売したりする豆もあります。

味を決める要素④各生産国による流通
国によって流通の仕方が異なるので、今回は代表的な2つの流通、ブラジルとインドネシアを比較して見ていただきます。まずはブラジル。ブラジルの特徴は、農園で果肉から生豆を取り出し、輸出業者で生豆の選別をします。


これが全部農園です。


ブラジルは、コーヒーの先進国といわれています。品種の研究も進んでいますし、狭い敷地のなかでも効率的に豆を育てるなど技術が進化しています。しかも、コーヒーの生産地では唯一、機械で収穫します。


熟度にかかわらず、一気に実をとりきってしまうんです。


成熟したものを手作業でとる他の産地と大きな違い。根こそぎとっていく感じです。


だからこそ、精選の技術が特に発達しています。熟度によって重さが異なるので、比重選別という手法を使います。とはいいつも、人が出作業で精選していくよりは差がでてきてしまいます。中に黄緑の豆が混じってしまったり。


この収穫方法が、ブラジルの豆の風味の特徴につながっていると言われています。ブラジルの豆の風味は「あまり特徴がないのが特徴」というもの。熟度の均一が揃わないからこそ、均一した味を出しにくい。ブラジルらしいフレーバーというのがないのは、実はここが理由だったんです。


この広大な土地に、収穫した実の状態で一気に乾かしていきます。


この広大な土地に、収穫した実の状態で一気に乾かしていきます。



頭の上に乗せている袋は約60kgです。

選別され、袋詰めされた袋はだいたい60kgですが、最近では30kgの袋での流通が増えてきています。というのも、男性が負荷がなく持てるのが約30kg。60kgのコーヒー豆を30袋も船にのせたり、下ろしたりというのはかなりの作業量です。

最後のこの荷積みや荷下ろしの部分で、豆が乱雑に扱われてダメになってしまうこともしばしばあります。だから、最後の作業まで負荷なく丁寧にできるようにと、最近では30kgの袋で流通されることが多くなりました。


農園でとったものを生豆にまで加工して、輸出業者に送るという、とてもシンプルなやり方がブラジルの地流通方法です。それに対して、インドネシアは複雑です。

インドネシアの流通について


インドネシアは農園でもなく、農家でもないことが多い。簡単にいうと、おばあちゃん家にコーヒーの木がなってるから、取ろうか、みたいな感じなんです。


コーヒーの木の横に洗濯ものが干してあったりとかも。



だから収穫は全部手摘みです。手摘みのメリットは、熟度を揃えることができることです。


精選も、各自で行います。果肉の部分を自転車の車輪をアレンジしたような機械でとっていきます。そして、パーチメントの状態に。この状態で売買をするんですね。


仲買人が2リットルの単位で買っていきます。そして、次は集荷業者へ。集荷業者がパーチメントから、脱穀して生豆まで精選します。ブラジルだと農園が生豆まで精選するんですが、インドネシアは集荷業者か精選業者に売り渡す前にパーチメントから生豆にしているんですね。これはインドネシアの風土と大きく関係しています。


インドネシアではスマトラ式という方法で精選しています。これは、生豆を早急に乾燥させる方法です。早急に乾かさなくてはいけないのは、実はインドネシアの気候にあります。インドネシアは唯一収穫期と雨季がかぶっている地域です。毎日雨が降る地域だからこそ、早急に乾燥させないといけないんですね。また、乾燥が充分でないとカビが生え、品質の劣化が極端に早くなります。そもそも水分値が規定以上だと日本に輸出できないなどのデメリットもあるのです。


なので、雨が降りそうになったら急いで、たたんで避難させます。ブラジルの景色とは大違いですね。スマトラ式独特のフレーバーで、半乾きの洗濯物の香りと言われることがありますが、これは本当にそうだと思います。雨季があるため、乾かして、ちょっと濡れて、乾かして、ちょっと濡れてという流れになってしまうので、あの独特な香りの豆が生まれるんです。


インドネシアのスマトラ式を4つのポイントでまとめると、①小農家であり、②作業が分化している(農家→集荷農家→精選業者→流通業者)、③収穫期と雨季がかぶっている、④なので、生豆の段階で早急に乾燥させる。


そして選別。選別はすべてハンドピックで行なってゆきます。2回チェックを行う、ダブルハンドピック手法を使っています。このチェックのおかげで、責任者も遡れるようになっているのです。


そして、輸出業者へ渡り、私たちのもとへ届くのです。

人と人がつなぐコーヒー

先ほどみなさんに飲み比べていただくと、「全然味がちがう!」や「人に例えると、結構好きなモテそうなタイプかも」など色々な声が聞こえてきました。嬉しいですね。そうやってそれぞれの感想を持っていただくことが大切かなあと思っています。


コーヒーは、人そのものと言っていいと思っています。農園各地には、キーパーソンになる日本の人がたくさんいます。その人たちがいるからこそ、毎年日本に良い豆が入ってきているといっても過言ではありません。毎年、同じ農園を訪問し「今年もよろしくお願いいたします。」と話をしにいきます。欠点豆になってしまった理由はどこにあるのか、毎年きちんと遡っていくことができるのも、キーパーソンたちが現地で丁寧なコミュニケーションをとってくれているからです。


そして、きちんと農家さんたちに消費者の声を伝える。どれだけいいコーヒーができたところで、農家と消費者の間をつなぐ人たちがいなければ、いいコミュニケーションをとっていかなければ、日本にも良い豆が入ってこないんです。

次回レポートは、「実際に淹れる」。実践編のレポートへ。

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本日のポイント
・①品種、②精選、③選別、④各生産国による流通によって、味が異なる。
・味の違いを飲み比べで体感してみよう。
・コーヒーの産地にいる日本人のおかげで、おいしいコーヒー豆が日本に届くのです。

本日のコーヒーさん

少し不思議ちゃん?インドネシアのワハナ農園の豆のコーヒー
講義中にいただいた、ワハナ農園のコーヒー。ほんのりとした甘さやクリーミーさ、コク、爽快さ…など、どことなくかわいらしい女性のようなイメージが想起されました。

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イベントについてはこちら
神戸珈琲学 コーヒーのいろはを学ぶ「カキクケコーヒー学」
第1弾レポートはこちら
http://kiito.jp/news/2019/05/22/35378/