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2020/7/8

REPORT

イス・イズ・サイズ展 TALK EVENT 「イス・イズ・ランジェリー?」レポート

6/18(木)

イスを「サイズ」で選ぶ視点を提案する展覧会「イス・イズ・サイズ展 -もの選びに、新たな視点を。」の関連企画として、本展にてイスの製作を担当した、「うたたね」の山極博史さんと、「洋服を選ぶように自由に下着を選ぶ文化を作る」をコンセプトに下着のセレクトや販売、商品開発までを行う「Lily Trading Co.,Ltd. 」の九冨里絵さんとの対談をオンラインにて実施しました。

トークの進行は、本展のディレクションを担当したBYTHREE inc.の栗原里菜さんです。
まず、それぞれのゲスト自己紹介からトークがスタートします。

山極博史(うたたね/家具デザイナー)
木を主材とした小物や家具の製作を行う“うたたね”の主宰。以前は家具メーカー“カリモク家具株式会社”に勤務し、家具のデザインを行っていたが、活動を続ける中で「手で作ること」の重要さを認識し、長野の技術専門学校で家具製作を学び独立。オリジナル商品の企画~販売、ものづくりワークショップ、家具の修理・メンテナンスなど幅広く活動を行う。また、うたたねの理念として、以下の3つのことを大切にしている。

1.時代を超えて長く使えるモノをつくること
2.愛着を持って使用してもらえ鵜養な遊び心、色気のあるモノをつくること
3.自分の想いを伝えるために手で考えてつくること

 

九冨里絵(Lily Trading Co.,Ltd. / CEO /Director /Main Buyer)
2012年に神戸芸術工科大学を卒業後、イタリア製革商品の企画MD職後、日本の下着業界に違和感を持ち、2017年“Lily Trading Co.,Ltd.“とランジェリーセレクトショップ ”Tiger Lily Tokyo”を設立。その後、オンライン販売やノンワイヤーランジェリーブランド”Mon Bebe Liiy”の立ち上げなどを行う。多様性が推進される現代で「他人からどう見えるか」ではなく「自分がどう感じるか」でランジェリーを選ぶことができる社会づくりを目指している。

 

 

自己紹介終了後、栗原さんよりお2人に質問が入ります。
Q:普段の活動で大切にしていることは何ですか?

山極さん
展覧会のテーマにもなっていますが「サイズ」です。モノを買うときに一般消費者は意識している人は少ないように感じます。でも体の不調や使いにくさの原因がサイズということも多いので、そこを伝えられることを大切にしています。

九冨さん
ブラジャーは1つのデザインにだいたい20サイズくらい展開があります。それでも、極端にサイズが大きな人・小さな人はオーダーが必要になる場合もあります。

Q:サイズ以外で「こういうこだわりをもっている人がいる」「こういうこだわりを持ってほしい」ということはありますか?

九冨さん
肌に触れるモノなので「素材」は気にします。また、女性用の下着は男性用の下着に比べてデザインが豊富だということがあります。単純にサイズを大きくしたからといってデザインがあわないこともあります。

山極さん
家具も同じで肌に触れるものなので、素材や仕上げの仕方などは気にかけています。

九冨さん
デザインで言うと色で選ぶ人も多いです。イスと下着で大きく違うところにその日の気分やTPOにあわせて毎日下着を選べるというところだと思います。

山極さん
イスは逆に毎日変えられないので、長く使えるということを大切にしています。流行りものではなくて愛着がわくデザインを心がけています。また、下着の場合、お父さんとお姉さんが一緒な下着を使うことはないけれど、家具の場合は家族で同じものを使うことがあるのはよく考えると不思議なことだと思います。

Q海外と日本のもの選びを比べてどう思いますか?

山極さん
日本はもともと床座で、イスが一般家庭に入ってきたのはここ50年くらいの出来事です。海外の家具をそのまま輸入して使ったとしても、海外では靴を履いたまま家具を使用するので、当然サイズが合わないです。これから歴史を重ねるにつれてモノを買う人の考え方も変わってくるのではと思います。

九冨さん
下着もこれからどんどんと成長していく分野だと思います。UNIQLOがS・M・Lの3サイズで試着をせずに買えるブラジャーをリリースしました。海外ではよくある売り方が、日本の大きな企業が行ったのはすごい大きな功績だと思っています。

山極さん
国ごとの違いで言うと、床座の名残で椅子の上で胡坐をかく人もいます。日本では胡坐で座れる座面の広いイスが販売されていたり、その国に合ったデザインが生まれてくるのは面白いですよね。下着20サイズも展開しているのは古いからですか?

九冨さん
1990年代まではブラジャーの着用率は100%ではなかった。下着をつけるようになったは戦後からで最近の話です。ブラジャーのパーツはだいたい60パーツくらい。イスみたいに大きいパーツではないからサイズ展開ができているのはあると思います。

次に公開インタビューに先駆けて、それぞれのスピーカーに聞いてみたいことを質問としていただいていた内容についてお話をいただきます。

Q:山極さん
ぴったりのサイズの下着をつけた時の身体的・精神的な変化はありますか?

A:九冨さん
肌に直接触れるし、金属もはいっているので、合わないモノをつけることの違和感をすごく感じるアイテムだと思います。サイズが合ったものをつけると、その違和感を感じなくてすみます。またずっと着けるものなので、サイズの合ったものをつけると、体の変化への対応も早いです。

Q:山極さん
九冨さんが目指す、究極の下着はなんですか?

A:九冨さん
せっかくなので、イスとの相違点なども含めてお話をすると、下着は消耗品であるということが重要になってくると思います。いいものを一点買いして使い続けることや親から受け継いで使うことができないです。なので、買う側みんな知識があって買うことができる。作る側も適正な価格でデザインが優れているものが売れる。といった市場の成熟がとても重要になってくると思います。

モノの選び方を学校で教えてもらえないのも問題にあると思います。特に下着って、オンライン上の情報がこういうモノを売りたいという、メーカー側に偏っているとも思っています。なので、オンライン上でも正しい知識をえることができるとよりよくなるのではと感じています。

山極さん
家具に対しても一緒でもの選びに対して情報がないし、教えてもらう場がないです。名作椅子なんかでもいいイスだと言われてかったけど、ダイニング用にデザインされたイスをデスクワークで使っていたりしている現状もあります。
食べ物だとカロリーとか栄養素とか細かく書いているんですけど、家具とかプロダクトの商品タグってすごいざっくりと書かれているんです。どこで作られたかとか素材が何かとか、買う側もあんまり意識をしてないんだと思います。海外だとモノの見方が授業であったりするので、そういう機会が日本でもあったらといいなと思います。

Q:九冨さん
機能性とデザイン(意匠)のバランスで気にかけていることは何ですか?

A:山極さん
まず機能的な必要な部分を抑えます。次に使いやすさをモデルを作りながらなるべくきれいな形を探っていきます。機能とかたちとしての美しさに違和感がないことを大切にしています。

九冨さん
例えば、体の大きな人から華奢なデザインのイスが欲しいというオーダーが来た場合どうしますか?

山極さん
僕の場合、機能は必要な要素なので支えるために太い脚をつけます。でも、その人の好みに合うように答えを探します。どこかでオーダーに応えられるようなかっこよさをつくっています。もちろん、その人へのヒアリングやモデルづくりを重ねることが必要になってきますが。

何より、心地いいと感じるポイントが本能的にあると思っていて、アールの角度や素材感など「デザインがわからない」と言っている人でも実際に見ると感じるところあると感じています。

Q:九冨さん
同じようなユーザーにもデザインの内容は変わってきますか。

A:山極さん
不特定多数に向けたデザインと、オーダーで使ってもらう人が見えているデザインでは全然違ってきます。それができるところも日本では増えてきている気がします。もちろん、オーダーでお金をかける人がいること、たくさん量産されて安価で買えるモノどちらもあっていいと思っています。ただ、オーダーでつくる。手で作るからできることがあります。

栗原さん
下着の場合もオーダーでつくる場合とメーカーで大量生産する場合の違いってどういうことがありますか?

九冨さん
大量生産で同じ規格でつくる時は、体系のデータを持って作れるというのは大きいところだと思います。より多くのモノをつくることでより多くのデータが集まって、より良いものができていくっているのがあると思います。

山極さん
家具もデータをとっています。ただ、家具の場合はインテリアの要素もあります。テーブル、チェストなどほかの家具とのバランスを見るのであまりサイズのことまで重要視されていない気がします。

おたがいの質問が終わり、展示のテーマにもある、これからの「もの選び」について話がうつります。

山極さん
家具でいうと、モノに対する情報がもっと得られるといいと思っています。イス選びを間違うことで腰痛につながることもある。素材やサイズなど情報を得る機会が増えるとイスなんかも興味を持ってくれる人が増えると思います。

九冨さん
SNSも普及して、特にファッションは視覚情報が重要視されている気がします。情報を知らないから失敗したお買い物をしてしまう人も多いと思います。作る側も嘘なく情報の発信をするし、買う側もきちんと知って、調べてモノを買うということが大切なのかなと感じます。

栗原さん
買いやすくて大量につくられているブランドや企業についてはどう思いますか?

山極さん
これまで百貨店とかでしか見る事ができなかった家具が、より一般の人でも見られる場ができて、すごくいいことだと思います。すべてオーダーで買う必要はないですが、イスは○○で買う、小物はオーダーをしてみるみたいな、インテリアでも多様性がある暮らし方ができるといいなと思います。また、下着が見られないように家具もホームパーティーがある海外に比べるとみられる機会が少ないです。文化の違いはありますが、もっといろんな人がインテリアに興味を持ってくれたらうれしいと思います。

九冨さん
一定のコストで大量につくって色々な人に届くマジョリティの消費、特定のサイズやデザインを目的にこだわったものを買うマイノリティの消費どちらもあっていいと思います。作り手・買い手どちらも選択肢が増えること大事だと思います。

まとめ

山極さん
これまで下着のことについて考える事がなかったので、初めて知ることも多かったです。家具業界にも通ずるところや参考にできるところがたくさんあったかと思いました。

九冨さん
長く使うこと・手で考えること、という考え方がいいなぁと思いました。家具って身近なものなので、いろいろな人に展示を見てもらってこれからのもの選びやモノを買うときの参考にしてもらえればと思います。

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