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2020/8/23

REPORT

イス・イズ・サイズ展 -もの選びに、新たな視点を。レポート

「イス・イズ・サイズ展 -もの選びに、新たな視点を。」を開催しました。

本展は、日本ではあまり知られていない、イスをサイズで選ぶというもの選びの視点を体験できる展示になっています。展示会場には年齢、性別、体格、仕事などさまざまな特徴を持った方をモデルに作成した9組9脚のイスを展示。実際に触れてみて、座ってみて、その違いや作り手のこだわりが感じられる内容になっています。展示されているイスは大阪を拠点に活動されている、うたたねの山極博史さん・杉島郁子さんが作成しました。

展示会場
今回展示のディレクションに吉田貴紀さん、栗原里菜さん(BYTHREE)と田中裕一さん(かたちラボ)にご協力いただきました。展示会場中央に並ぶ4つのゲートはそれぞれ高さ、幅が異なり、ある特定の場所から見るとゲートの模様や文字がつながって見える仕組みになっています。グラフィックや什器でもぴったりのサイズに視点を合わせる見てみる面白さを体験することができます。

 

自分に合う“イスのサイズ”を知りましょう。
入場後、左手に25cm~60cmの高さが違うシンプルなイスが8脚並べられています。展示を見る前に靴を脱いで、自分のぴったりのイスのサイズを測ります。ここで測ったサイズを手前に置いてある、タグに記入をして裏面に記載している家具の作り手のところに持っていくと、自分のサイズにあったイスをオーダーできる仕組みになっています。

 

 

自分のサイズを測った後は、今回の展示で作成されたそれぞれのイスのゾーンです。ゲートの両端にイスが展示されており手前に「作り手の視点」として山極さんが提案した内容が。裏面には「使い手の視点」として家具を頼んだ人の要望が書かれています。ゲートを挟んで視点を変える事で見えるもの変わることが体験できるデザインです。

 

Case1:クリエイティブディレクターのイス「Black bear」
過去に腰を手術した経験があり、腰痛に悩まされるクリエイティブディレクターのためのイスです。大柄な使用者の身体を包み込むようなデザインとサイズ。短くて高い位置のアームに肘を置きながらデスクワークを行うことができ、前傾姿勢がクセの使用者が正しい姿勢で仕事ができ、腰への負担を軽減させます。

 

Case2:3姉弟のイス「Wallaby」
3歳、6歳、11歳のそれぞれ身長の違う3姉弟のためのイスです。それぞれの身長にあわせた8cm、6cm、5cmのクッションをベースのイスの上に置くことでそれぞれに適したサイズで使用することができるのが特徴です。クッションを使用しないときは座布団として座卓で使用することもできます。ミッドセンチュリーの家具が多い部屋の雰囲気にあわせたモダンなカラーと子どもが安心して使える柔らかいフォルムのデザインになっています。

 

Case3:狂言師のイス「KAZURA」
狂言師が舞台でイスや面など舞台装置として使う葛桶を現代風にアレンジした作品です。元来円柱だった形を12角形に。木材はやや明るめのタモ材を使用、寄木を使い光の当たり方や使い方によって、これまでと違った表情を見せてくれます。また、これまで3本だった脚を6本にし安定感を増すなど、本来の機能をアップデートしながら現代的なデザインになっています。

 

Case4:おばあちゃんのイス「Rana」
かご編みや手芸が趣味のおばあちゃんのためのイスです。かご編みの作業の邪魔をしない、低めのアームは立ち上がりの補助に、低めの背もたれは持ち運びの持ち手にもなります。畳部屋でも使える畳ずりの脚を採用し、使用するシーンを選びません。少しカーブのかかった脚とちょこんとしたサイズ感がかわいい作品です。

 

Case5:高身長のセネガル人のためのイス「Gazelle」
約190cmの高身長。脚も長くスラっとしたセネガル人のためのイスです。日本にはなかなか身体にあうサイズがなく、家にある家具はどれも窮屈。1時間も座って作業ができないほどです。そんな高身長にあわせた49cmのサイズの作品です。ただサイズを大きくするのではなく、使用者の体格に合わせたデザインでどこから見ても美しいプロポーションになっています。

 

Case6:ピアニストのためのイス「ミスバタフライ」
ピアニストが演奏で使うイスです。これまで、画一的だったピアノ用のイスを使用者の弾き方のクセや要望に合わせたオリジナルのイスをデザインしました。左右対称の座面は、使用者のクセである左足の踏ん張りを意識したものです。他にもダイヤルを座面の内側に収納しドレスがひっからないような工夫がなされています。

 

Case7:愛犬家のためのイス「Fiddler」
大きめのチワワ「マーロ」と暮らす愛犬家のためのイスです。片方だけについたアームや左右非対称の座面は座っているときにも姿勢が変えやすい仕様になっています。アームについたくぼみにおやつを入れる事ができたり、でっぱったツノはリードをひっかけることができるなど、犬と一緒に暮らす使用者の要望をぎゅっと詰め込んだデザインになっています。

 

Case8:20年以上前に作ったイス「nene」
20年以上前に作ったうたたねの代表作neneも会場に展示。ジュエリーショップオーナーの使用者の姿勢に気を配った大きな座面と鮮やかな赤色が特徴的。工房のスペースに合わせた省スペースのサイズ感と板脚の安定感が作業をサポートしてくれます。

 

Case9:あの谷に住む妖精のためのイス「Kaipuu」
もし架空の生物のためにイスをつくったらどうなるだろうという話題から、身長10cm、コビトカバのような風の妖精のためにつくられた作品です。短い脚を置くための足置きと、パパがいつも座っているロッキングチェアをベースにしたデザインになっています。

 

うたたねエリア
会場には、うたたねがこれまで作ってきた家具やおもちゃ、ライト。モビールなどもあわせて展示、うたたねの世界観を感じてもらえる内容になっています。

 

来場いただいた方からも「自分にあったモノ、生活に沿ったモノは、人生を豊かにしてくれると思った」「座り心地の良し悪しにはきちんと意味があるということがわかった」など、コメントをいただき、職人の技術や思いを知ってもらい、これからのもの選びを考える場となりました。

イス・イズ・サイズ展についてはこちら