NEWS NEWS

2015/9/17

イベントレポート

‬+クリエイティブゼミ vol.17 ものづくり編「ものづくりのデザインを見つめなおす。」第3回

2015年9月17日(水)

+クリエイティブゼミ vol.17 ものづくり編「ものづくりのデザインを見つめなおす。」第3回目は、groundworksの高橋剛さんをお迎えして、講師のセメントプロデュースデザイン金谷勉さんと、トークセッションを開催しました。

高橋さんは、商品の企画、開発、流通から、店舗コンサルティングまでものづくりに関わる事業を幅広く手掛けています。今回は、高橋さんが考えられる、流通から考える商品づくりと、その販売の手法についてお話を伺いました。

はじめに、高橋さんの活動の一つである、合同展示会「EXTRA PREVIEW」についてご紹介をいただきました。この展示会の大きな特徴の一つとして、ブースの区切りが無いことが挙げられます。作り手とバイヤーの距離を縮め、信頼できるパートナーとしての関係性を築くための、コミュニケーションを促しています。
合同展示会の中では、競合が立ち並ぶことは少なくないと言います。そんな中で、なぜ自分の商品が優れているのか、他とどう違うのか、その違いをはっきりしておくことがとても重要だとお話をいただきました。また、マーケットに寄り過ぎた商品の開発をしてしまうと、企業としての個性が失われてしまい、特徴の無い商品が並んでしまうケースも多いのだそうです。マーケットを把握し、流行を読みながらも、いかに個性を保つかが重要だとのことでした。

monorepo3_1 monorepo3_2

金谷さんとトークセッションを進める中で、展示会に買い付けに来るバイヤーの性質が、近年変わりつつあるのではないかというお話がありました。マーケットに合わせた商品のセレクトをする人が多く、店の個性というものがどんどん薄れていっているのだそうです。以前は、売り手がアプローチをしなくても、数ある商品の中からバイヤーが光る商品を見出し、商品が店に並んでいたと言いますが、今は売り手側が、よりわかりやすく、簡潔に自社商品をアピールしていく技術が求められているのだそうです。
また、商品が人の印象に残る時、それはモノだけでは決まらないとお話をいただきました。展覧会のブースやそこに立つスタッフなど、商品の背景といえるそれら全てが、商品の魅力の一部になっており、その演出力が、今後さらに大切になっていくとのことでした。

金谷さんから高橋さんに、今の市場において、新しい切り口で商品の提案をするために求められるものは何か?と投げかけがありました。まずは、市場のリサーチが最優先だといいます。特にものづくりの世界では、素材の性質上、既存の同素材からなる商品から大きな変化ができないものが多くあるといいます。そんな中で、何が足りないのか、どんな部分に入り込む隙間がありそうかを見極め、商品として既視感の無い、新しいものを提案しなくてはならないのではないかとのことでした。

トークセッションのあとは、会場を移し、徳島県上勝町にあるカフェ「cafe porlster(カフェポールスター)」にプロデュースをしていただいた空間で、食ともの・場づくりや、地方の新しい取り組みをテーマにした交流パーティーを開催しました。

monorepo3_3 monorepo3_4

はじめに、cafe poersterマネージャーの松本さんより、人口減少・高齢化が進んでいる上勝で行われている、地域活性化のためのさまざまな取り組みについてお話をしていただきました。
いま上勝では、新たな事業や活動がたくさん生まれています。昨年映画化もされた、高齢者が中心となって進めているいろどりの葉っぱビジネスや、町の未来のためゴミを無くす運動「上勝町ごみゼロ(ゼロ・ウェイスト)」など、地域の人々が町の活性化に積極的に関わり、小さくとも元気で、豊かな町を作っているのだそうです。
いわゆる田舎と呼ばれる地方では、多くの地方出身者が町に可能性を見いだせず都会へ出ていき、過疎化が進んでいます。しかし、地方にはまだまだ多くの資源が眠っていること、それを町の住民がしっかり発信していくことが大切なのだと、お話をしてくださいました。

monorepo3_8 monorepo3_7

お話の後の交流会で振る舞われた料理には、徳島県上勝町を中心に、その周辺地域で取れた季節の食材がふんだんに使われ、地産地消の動きがたしかに残る上勝の土地に、参加者のみなさまも感心されていた様子でした。

最後に金谷さんから全3回のプログラムを振り返ったご挨拶をいただき、ゼミは終了となりました。全3回のゼミを通して、ものづくりのデザインをさまざまな側面から見つめ、企画から販売までの一連のものづくりの流れと、それを取り巻くこれからの企業やデザイナーのあり方について、今一度考える機会となったのではないでしょうか。ゼミに参加されたみなさんが、何かものづくりにおけるヒントを得れていればと思います。

‬+クリエイティブゼミ vol.17 ものづくり編「ものづくりのデザインを見つめなおす。」開催概要はこちら