お知らせ・レポート

+クリエイティブゼミ

2017年3月23日(木)‐25日(土)

+クリエイティブゼミvol.23「公園と地域をつなぐ仕組みを考える」を開催しました。今回のゼミは3日間の集中ゼミで実施しました。これまでも公園をテーマにゼミを開催し、さまざまなアクションを行ってきました。生まれたアイデアを継続的に展開していくための仕組みづくりの必要性を感じ、公園と地域をつなぐ仕組み、つなぎのデザインを考えていきました。


はじめに参加したゼミ生の自己紹介を行いました。参加動機、公園の思い出、公園についてのリサーチ報告を行いました。「子どもの頃はよく公園で遊んでいたが、今はほとんど行っていない」、「子どもができて公園に行くようになった」、「昔は毎日のように公園で友達とサッカーをしていた」、「公園にある健康器具が最近気になっている」、など様々な思い出や気づきが語られました。
参加者の思い出やリサーチのキーワードから、「公園のあり方を考えるチーム」「公園の周辺から仕組みを考えるチーム」「公園の利用について考えるチーム」「公園の運営、つなぎ手を考えるチーム」に分かれました。


講師の永田から、地域を考えていく際にアドバイスとして地域豊穣化における「風・水・土」、チームでの進め方について話をしました。
「風の人」は外から種を運び、地域に刺激を与える存在。「水の人」は、その種に水をやり続ける、中間支援的な存在。「土の人」は、その土地に根を張り、活動し続ける存在。その中で我々は良い種を作れるように考えていきます。その種は不完全でなければいけません。余地を残すことで、地域の人などの関わりを作れるようにします。またチーム内で進めていく中では、シナジー効果を生むことも大切です。互いの違いを認め、尊重すること、さらに信頼と協力があることでより高い効果が得られます。


グループワーク開始から各チーム議論が盛り上がっていました。持ち寄ったリサーチの情報を共有し、付箋をたくさん使いながら、それぞれの問題意識や気づきを書き出し、チーム内での方向性を考えていきました。各チームリサーチ共有では、近所の公園を見に行って感じたことや、最近人気の公園情報、周りの人の公園の活用術など様々でした。3日目の発表前の時間直前まで、アイデアを考え、白熱したディスカッションが行われていました。発表は、各チーム5分で行いました。


Aチーム
公園のあり方をテーマに進めていきました。今使われている公園は、公園に行く明確な目的を持った人が来るので、利用したい人に限定されているのではないか。そこで私たちは、どうすれば公園に行く意思のない人にも公園に足を運んでもらうことができるかを考えました。
コンセプトは、エリアを楽しむ基地としての公園で、「PARK DAY(公園の日)」を設けることを提案します。
単体として存在している公園を複数つないでいく仕組みを考えました。公園と公園の間にあるエリアの観光スポットや地元の人しか知らない場所、発掘されていない場所に寄り道を楽しみながら別の公園に行きます。周回できるようなイメージです。変わった自転車(複数人で乗るものなど)で公園間を移動できたり、「PARK DSY」限定のスタンプラリーなども考えました。
このモデルは公園だけでなく、周りのエリアの活性化も一緒に行っていきます。

フィードバック
・1つの公園ではなく、複数の公園をエリアで見て考えることはとても重要だと思いました。
・街区公園も大規模な公園もネットワーキングが大切だと思います。
・個々の活動を意外と知らないことが多く、公園で行われる活動の情報共有ができれば、連携などいろいろ可能性があるのではないか。


Bチーム
メンバーはみんな20代という若者チームです。若者が公園で思い思いに過ごすにはどうしたらいいのかを考えていきました。普段私たちは、公園でジュースを飲んだり、友達と話しをしたり、メールの返信などをしています。公園をあまり利用しない若者が公園を使うには何が必要か。人と会う、話す、座る、楽しいことができる仕組みが必要であると考えました。
家ではできないことができて、SNSに夢中な年代が話題にしたいことがあって、あまり人目を気にすることもなく、ある程度ざわざわした雑音がある空間であってほしいと意見ができました。
アイデア①:黒ひげ椅子
公園内にある複数の椅子のうち、適当な場所に3人が座ると、中央にある灯りがつくという、他人と偶然を共有する仕組みです。
アイデア②:夢を語る掲示板
いろいろなメッセージや夢を自由に書くことができる掲示板です。ある一定期間で消されるます。
アイデア③:ゴミ回収で公園が良くなる
空き缶などのごみ回収をすることで、それを資金に公園の設備が良くなっていく仕組みです。

フードバック
・私も黒ひげ椅子に座ってみたいと思いました。
・SNS時代に掲示板というアイデアが出るのが面白いです。
・公園の椅子はどこも一緒なので、高級感のある椅子や壁と一体の椅子などいろいろ意見があります。
・掲示板だけでなく落書きのできる壁なども面白いと思います。
・どこかで公園を好きにプロデュースしていいプロジェクトがあってもいいと思います。


Cチーム
公園の課題から話し合い、遊具の使い方や怪我や事故のトラブルなどの意見がありました。また、生きた公園、死んだ公園があるとチーム内で意見が出ました。そこには公園の周辺の人たちや自治会のモチベーションなどが影響しているのではないかと考えました。
公園の役割には、コミュニティ、防災、健康、遊び、学習などがあります。公園の使い方を知っているようで、」あまり知らいのではないか。特に子どもは学校なので、校庭以外の遊具などの使い方を知る機会はないので、公園ドクターと呼ばれる専門家が、各学校や地域を回り、遊具の使い方や怪我や事故が起こらないようにする指導できると良いと思いました。

フィードバック
・現状、何か公園でする際は、自治会長の承認を得ているので、自治会長の意識改革ができると面白いと思います。
・研修会を開いてどれだけの参加者がいるか不明だが、移行期でもあると思うので、このような仕組みが機能するといいと思います。
・マンションでは自治会の役割がまわってくるが、自治会長があまり頑張りすぎないことを住民は願っている雰囲気があります。自治会長が頑張るというよりも、サポートする中間的な仕組みがあるといいと思います。


Dチーム
公園の運営を切り口に「公園を取り戻せ!」をキーワードに考えました。公園の利用は、「働いていて、なかなか公園を利用しない人」、「良く公園を使っている子どもやお母さん、高齢者」、「公園を使いたいけど使い方がわからない人」、の3つに分かれました。現状、良く公園を利用している人たちが使い続けていくこと、公園の使い方が分からない人たちが使っていく仕組みの2つを考えていきました。
「おじさん2.0」
公園が公園であり続けるためには、公園を管理するおじさん、掃除をしている人の可能性に着目し、多様性を生みたいと考えました。公園の管理するおじさんをもっと素敵に、憧れの存在にするためのスキルアップ講座やディズニーランドのキャストの技術を学ぶ、おしゃれな作業着や掃除道具などのアイテムを工夫などアイデアがでました。
「Park meet ○○」
公園を使いたいけど使えない、どうしていいのか分からない人に対して、アクティビティのマッチングを行い、たくさんのアクティビティメニュー(0円コンテンツなども)を紹介する仕組みです。地域外の人に役割をつくるようなマッチングサイトをつくり、新しく公園の可能性に気付いてもらうことが目的です。

フィードバック
・公園を管理する人へのトレーニングは面白いです。
・神戸市で公園を管理する人は、緑化ボランティア(地域のボランティア)、ボランティア(誰か知らない)、業者さん(神戸市から委託を受けた)がいます。
・一番きれいな公園と感じるのは、地域の方が管理しているところが多いです。
・人や物をシェアする仕組みは面白い、このようなことができると街区公園が変わる可能性があるのではないでしょうか。


総評|永田
強い種をつくること、それをシェア知る仕組みの重要性を感じました。また運営する人の意識を変えることで、新しい担い手につながる可能性があると思います。
今回のアイデアは、引き続き神戸市産とも相談しながら、もっと深めいていく機会なども設けたいと思います。やらなければいけないという使命感も感じています。

3日間集中ゼミという新しい試みでしたが、でどんどん議論が進んでいる様子でした。これからも様々な手法を取り入れ、これからの公園の未来を考えていければと思います。今後も公園ゼミにご注目ください。

170325_cz_kc_15


+クリエイティブゼミvol.23「公園と地域をつなぐ仕組みを考える。」開催概要はこちら

2016年12月16日(金)

未来のかけらラボvol.9 トークセッション「エリアリノベーションとは何かー「都市計画」でも「まちづくり」でもない新たなエリア形成の手法」を開催しました。

ゲストは、近著に『エリアリノベーション:変化の構造とローカライズ』がある馬場正尊(Open A代表/東北芸術工科大学教授/建築家)さんです。

SONY DSC

馬場さんとモデレーターの芹沢高志(KIITOセンター長)は旧知の仲。馬場さんが『エリアリノベーション』で的確に抽出されていた現在の動向や、著作の中で示される「計画的都市から工作的都市へ」という新しい概念が、都市計画の考え方の変化ということだけに限らない、広範な分野にヒントが与えられるようなことではないか、との芹沢の思いから、今回お招きしました。

前半では、馬場さんが、何に影響を受け、わくわくしてきたか、時代の終わりや変化の兆しをどこで感じて、どんな行動をして来たか。その実践を通して、それらが「工作的都市」という概念として整理し、言語化したものにいかにつながっていたかのお話しを、豊富な事例やスライドを参照しながらお聞きしました。


後半は、二人の対話です。「計画的」→「工作的」につながる考え方として、生物に習い、プラグマティズム(実用主義)を肯定的にとらえるのが良いのではないか、という話題になりました。
例えばバクテリアは繊毛で食べ物の濃度を測り、濃くなれば直進し、変わらないか薄くなれば角度を変える。これを繰り返すと必ず食べ物に行きつく。方向の確認を一定時間ごとに行う。やばいと思ったら方向を変える。この方法が良いんじゃないか、最近アートプロジェクトという言葉もよく使われるが、プロジェクトという概念は、ミッションを掲げて、その実現のために、コンマ一秒前になにを実現させるべきか、未来のその1点から、ピラミッド式にタスクの三角形ができてしまう。そうすると、より良いところに向かおうと思っているのに、結局、その計画した未来にがんじがらめになって、タスクの山に囲まれ、今現在がいきいきしてこない。しかも計画者側になると、実現しなきゃならないから、実現の過程で起こる、環境からの自然な反応を邪魔者扱いして、何も起こらない世界を作ろうとしてしまう。アートプロジェクトやデザインといった「問題解決」するはずの「計画」に悶々としてしまう。そこで、アーティストという問題発見、あるいは問題を起こす存在と出会う。アートとデザインの、同じところに行こうとしているけれど逆のベクトルを持つものが相殺されない方法を考えていたが、馬場さんの言葉や視点が、そこを言い当ててくれた、と芹沢は言います。
馬場さんは、おそらく自分は、本とかウェブサイトをそのセンサーにしている、本を書き読まれた反応を感じて、次走る方向を考えていく、を繰り返している感じかもしれない、情報は発生するところにしか集まらないから、自分が発生する主体になって、その反射に乗って、自分を動かしていく、バクテリアの法則と概念的には近い感覚。いちばん必然的なところに自分がいられる感じ、と応答します。


分野が違うところで見えてきている「工作的」な変化の話にもなりました。たとえば出版の世界。
本を出すなんて、昔は相当資本がないとできなかったことだが、取次のシステムや資金集めの方法が多様化して、近代のシステムに頼らなくても、個人レベルで作って、小さな渦を生むことができるようになった。考えてみると、出版する本であっても、建築等専門分野のもので作られる初版の部数くらいだったら、流通システムをすっ飛ばして、欲しい人に直接渡していくことも非現実的ではない感覚になってきている。そう考えると、本の形や印刷の方法が、いっきに自由になる。
本でも、まちでも、エネルギーでも、同時多発的に、大きなシステムを介在しなくても、個人で出来るかもしれない可能性が広がっていて、小さいサイズでネットワークを組むことで、できる時代が来つつあるんじゃないか。大きな枠組みから飛び出る何かが垣間見える思いがする。『エリアリノベーション』で取材したエリアには、資本主義的な欲望の先にある風景ではない、何か新しい表現がある感じがした、と馬場さんは話されていました。

全体を通して、本の内容にはあまり触れず、雑誌『A』の編集、事務所「Open A」やR不動産の立ち上げ、書籍の執筆など、さまざまな仕事を振り返りながら、馬場さんが本というかたちで言語化するまでの思考や過程を聞き、この概念をもっと広くとらえて、今とこの先のことも含めて、自分たちの社会をどう捉えて行動するか、をともに考えるような時間になりました。



未来のかけらラボvol.9 トークセッション「エリアリノベーションとは何かー「都市計画」でも「まちづくり」でもない新たなエリア形成の手法」
開催概要はこちら

2016年11月23日(水・祝)

全5回の短期集中型ゼミとしてスタートした今回の道路ゼミ。今回が最終発表会となりました。
講評には、講師の永田、西尾京介さんに加え、神戸市建設局道路部の方々にもお越しいただきました。
それぞれのチームから、個性的なアイデアが提案されました。

-
①みなとのもり公園案内チーム
対象道路を「みなとのもり公園の参道」として、道路と公園を一体化する提案。
一体化するための仕掛けとして、3つの取り組みを展開する。
-
1)イベント等の企画
みなとのもり公園ではすでにいくつかのイベントがおこなわれているので、道路へと広げながら、非日常的なイベントから普段の日常的な取り組みまで、段階的な仕掛けを企画。
年に2回のイベントとして、みなとのもり公園では年に2回、夏と冬にインラインスケートの大会がおこなわれているため、大会に合わせて対象道路を歩行者天国にし、周辺の飲食店とタイアップしながら道路上にコースの設置、ウォームアップの場所の提供、前夜祭の開催、体験ミニスクールなどを企画。
毎月おこなうイベントとして、みなとのもり公園でおこなわれているスポーツなどを知ってもらうためのイベントを企画。
毎週おこなうイベントとしても、スポーツに関連するショップなどに声をかけ、グッズ等に関する出張相談などをおこなう。
日常的な取り組みとして、周辺で働いている人や住民に対して、日替わりで昼食時間にキッチンカーを要請し、可動式のテーブルやイスなどを設置して対象道路を開放する。
-
2)道路の緑化計画
道路に設置された植栽を華やかにする活動を、みなとのもり公園で活動されている団体(森づくりなど)の方々と一緒におこなっていく。景観への取り組みとして、緑を感じてみなとのもり公園との一体感を生み出す。
-
3)案内サイン計画
既存の地下配線盤を活用した案内サインの制作。みなとのもり公園はもともと防災公園なので、こうした内容もサインに盛り込み、イメージの共有のために道路に愛称をつける。
-
みなとのもり公園と対象道路を一体的に利用することで、道路を利用する人が増え、これまで公園に関係していなかった人とも関わりが生まれ、道路ににぎわいをつくりつつ、周辺店舗にも利益ができるように仕掛けを行う。

講評|
永田
みなとのもり公園の参道にするというコンセプトが明快でよい。もっと深掘りして、公園でおこなうことが道路にはみ出したときのメリットや、自分たちの場所として使いこなすための仕組みがあることが重要なのでは。

西尾
みなとのもりと一体化するという大きなテーマを設けているため、いろんな人たちがいろんな関わりができるような仕組みだと思うので、これをもとにいろいろと考えが生まれればいい。

神戸市道路部
参道というアイデアはおもしろい。参道にするのであれば、誘導やアプローチをしっかりする必要があって、その点でもサイン計画などの提案がありよかった。継続的なイベントでなにをしてどのような人をどのように巻き込むかという仕組みが重要。これまで関係をもてていなかった人まで巻き込むことができる可能性について考えさせられた。


-
②周辺住民対象チーム
周辺住民に対しての道路の利活用の提案。対象道路にはマンションが立ち並んでいるにも関わらず、住民の気配が感じられない。
そこで「外の家」をテーマに、住民が道路を使いたいと思えるような仕掛けを提案。家の中だけではできないことを道路にはみ出して、まち全体をシェアするような感覚を生み出す。
仕掛けとして、道路上に長い「みんなのつくえ」を設置する。机を置くだけで、使い方を利用者に委ねて、さまざまな利用のしかたを誘発させる。
机があることで拠り所になって、それぞれがなにかを持ち寄って、それぞれの居場所を作り出す。外だからできること、ひとりでもできること、みんなでできることをそれぞれの意思で生み出せる。

講評|
永田
住民と道との関係を考えたチーム。自分の場所を机をきっかけに生み出す仕掛けはおもしろい。アクションプランとして実施するうえで、机があることでどのような活用がされるかなどを社会実験的におこなってみるとよいのでは。検証を重ねることで、机以外にも必要なものが見えてくるかもしれない。そうしたバリエーションがあらわれるとより現実的。

福田
なるほどそうきたか、という感じ。提案の芯にあるものが的を得ていると思う。公共空間をみんなのものとして取り扱ううえで、どのような装置によって公共空間の中に個人の居場所を生み出していくかを、さまざまなところで試行錯誤している。イスはいろいろなところで提案されているが、机の提案は少ない。机がないとできないことはたくさんあるので、そこには可能性があると思う。提案のテーマ性を保持しながら、現実化する段階で机の設えを検討して、その他の機能も提案に抱き合わせられればよりおもしろいのでは。

神戸市道路部
日本人の外と中を明確に分ける考え方に対して、公共空間を活用するためのきっかけとしての机という提案は、机でおこなわれる活用方法の検証ができれば、よりおもしろい展開になるのではと感じた。


-
③路上魅力創出チーム
アートを絡めた路上の魅力を生み出す提案。
-
1)実験的なイベントの計画
普段生活しているなかで、道路に充電ができれば、ミーティングできれば、他人の視線が気にならなければ、大型モニターでみんなと試合観戦ができれば、などのあったらいいなという日常的な活用法に対して、実験的なイベントを一度開催してみて、今後につなげていくための足掛かりにする。
-
2)街路樹へのアプローチ
街路樹とアートを掛け合わせて、街路樹そのものをあかりにする計画。道路上がアートで彩られると、鑑賞する人にとって邪魔に感じられるので、結果的に路上駐輪が減るのでは。昼間はトリックアートを設置して道路の魅力向上に。
-
3)神社とのタイアップ
道路沿いにある神社を活用。すでに神社発信で神輿などの催しがされているので、抱き合わせるかたちで境内に喫茶スペースを設けたり、おみくじをカラフルにすることで結びつけた風景を彩ったり、おしゃれなお守りをつくったりなど、神社を道路の名所として活用できないか。
-
4)その他アートを用いた仕掛け
交差点に絵を描く、電灯にハンモックをかける、上部に屋根をかける、など。
チャレンジできる雰囲気のある道路なので、さまざまなチャレンジを仕掛けて、道路の魅力を生み出すきっかけになれば。

講評|
永田
道路になにをプラスすればよいかという視点。楽しく関われるということが重要。アートをプラスするという視点は、デザイン都市・神戸での取り組みとしてインパクトを持って仕掛けを展開させるためにも必要。道路に追加する装置を統一感をもったうえでつくれると、いろいろな人が楽しく道路に関わることができるのでは。

西尾
楽しもうとする意識は必要なこと。それが人の目に入ったときの効果として大きい。神社や街路樹など、現状すでにある具体的なものを素材として扱おうという意識も、ここにしかないものを活かすためには必要。全体のテーマ設定が明確なことは、人に伝えること、その後の提案の継続性に関わるので設定したい。自分の感覚だけでなく、誰がどのように幸せになるか、対象の設定も重要。

神戸市道路部
地域にある資源を有効活用することは重要だと感じた。いかに実現させるかということを考えると、制作の過程で地域住民や道路の利用者を巻き込むことができればよりよい提案になるのでは。


-

総評
永田
道路に対してどのように人を関わらせるかというつなぎの機能を考えているという点では共通しているので、それぞれのアイデアから種が見えてきた。協議を進めながらトライアルができればいいなと思う。それぞれのアイデアには課題はあるが、最終的に楽しいプロセスの中でプランが実現に近づけられれば。

-

全5回の道路ゼミは今回で終了ですが、今回の提案がよい形で進展するよう、調整を続けていきたいと思います。ひきつづきご注目ください!

+クリエイティブゼミvol.22「道路の未来を考える2実践編」
ゼミの開催概要はこちら

2016年11月19日(土)
2016年11月22日(火)


早くも終盤戦。+クリエイティブゼミvol.22「道路の未来を考える2実践編」第3回、第4回を行いました。

全5回の今回のゼミ。第3回と第4回のゼミでは、それぞれのチームに分かれてディスカッションを行いました。


第3回の冒頭、KIITO事務局から、道路の利活用に関連した事例を紹介しました。
その後、前回行ったフィールドワークでの情報を整理しながら、自分たちのチームが掲げたテーマに関して議論を広げました。
議論の最中にも、アクションプランの方向性などを確認するため、何度か対象道路へのリサーチにも出かけました。
以下、各チームの議論の内容です。


①みなとのもり公園案内チーム
・みなとのもり公園ではガーデニングやどんぐりの木の植樹などの活動が行われていて、そうした団体と協力しながら、対象道路をみなとのもり公園の入り口として緑化していく計画。
・現状なにも植えられていない花壇が歩道に多く設置されていて、これも活用できれば。
・対象道路を通ってどこに行けるかが現状わからないので、わかりやすいサインの計画ができればよいのでは。

②周辺住民対象チーム
・「外の家」をテーマに、普段家の中だけでは味わえないもうひとつの居場所を提案。
・道路を留まる場所と捉えて、通行する以外の役割を考える。

路上駐輪解決チーム → 路上魅力創出チーム
・再度フィールドワークに出てみると、新しく改装された道路には路上駐輪はほとんどされておらず、ある程度解決はされていると感じた。
・道路そのものの魅力を底上げするようなイベントなどの仕組みを考えて、結果的に路上駐輪もしにくいような道路を目指す。
・対象道路周辺の商店なども巻き込んだ仕組みを作れれば。


次回はいよいよ最終回となる第5回。最終発表です!

-

+クリエイティブゼミvol.22「道路の未来を考える2実践編」
ゼミの開催概要はこちら

2016年11月13日(日)

+クリエイティブゼミvol.22「道路の未来を考える2実践編」第2回を行いました。

前日の第1回では、講師の副センター長永田からのKIITOゼミ心得、神戸市さまからの道路利活用の現況報告、対象道路を含む地域のまちづくり協議会の方からのまちの歴史についての講演、そしてゲスト西尾さまからの道路活用事例や運営ノウハウについてのレクチャーと、盛りだくさんの1日となりました。
第1回のレポートはこちら

2日目となる今回は、実際に神戸の街に出て、フィールドワークを行いました。

まずは、ゲストの西尾京介さんから、フィールドワークを行うにあたってのポイントを教わりました。
ポイントは大きく3つ。

①環境の観察:場の環境を評価すること
②客観的に観察:どのような人がいるか、何をしているか観察すること
③主観的に観察:自ら利用者として場を感じること

これらのポイントに注意しながら、ふたつのチームに分かれて神戸の街を散策します。


まずは、今回のゼミの対象道路である「葺合(ふきあい)南54号線」を南下します。
ゼミ会場の小野八幡会議室は、葺合南54号線のちょうど真ん中ほどに位置しているので、フィールドワークの拠点には最適です。

葺合南54号線の南側は、最近できた高層マンションがいくつか立ち並び、現在も新しいマンションの建設が進んでいる一方で、貿易センタービルとサンボ―ホールのあいだにある公開空地では風が抜け、憩いの場となっている様子が伺えました。


南側の先端には、みなとのもり公園の入り口があります。
さまざまな人たちが思い思いの過ごし方をしている場所でありながら、定期的にイベントなども開催されている公園です。


つづいて対象道路を北上します。
途中、対象道路に電線がなく、地下電線を管理するための機器が納められたボックスが歩道のいたるところにあることに気づきました。立ちながらなにかをするには丁度良い高さのボックスなので、何かに活用できないかと話が盛り上がりました。

ほかにも、車道の路肩に駐車できるパーキングメーターがいくつもあったり、対象道路から山までの眺望があるなど、多くの発見がありました。



もう一点、対象道路を歩いていて気付いたことは、歩道にとめられたたくさんの自転車。
路上駐輪禁止の看板を出すなど対策はされていますが、景観上よくないのではとの意見もありました。


対象道路上でもっとも人通りの多いスターバックス前では、前日の拡幅した歩道の一部先行開放の効果もあり、ベンチに座る人々の姿を見ることができました。
実際にベンチに座ってみながら、どういう感覚か、どのような人が利用しているのか、さまざまなことを観察します。


次に、神戸市がこれまでに取り組んできた「KOBEパークレット」「三宮プラッツ」などの道路活用事例も見学に行きました。
当日、「三宮プラッツ」ではマーケットが開催されており、イベント開催時の様子も見学することができ、「KOBEパークレット」では利用されている方から直接声を伺うこともできました。


最後に、三宮センター街に設置されている「屋台プロジェクト」のベンチの見学や、対象道路の北端である三ノ宮駅前、東遊園地などを観察し、ゼミ会場へと戻りました。


会場に戻ってから、フィールドワークで感じたことを書き出して共有します。
どういうことを感じたか。なぜそう思ったか。どういう人がいたか。場所と感情を紐づけながら情報を共有しました。
ゼミ生からは、対象道路が北と南で性格が異なり、観光客や買い物客でにぎわう北側と、マンションが建ち住民の利用がありつつも静かな南側、それぞれの道路の活用法があるのではという意見や、みなとのもり公園への誘導の方法、放置自転車への道路の活用を介した解決ができないかなど、さまざまなアイデアが発表されました。


最終的に、ゲストの西尾さんにも情報を整理していただきながら、
①みなとのもり公園へのアクセスについて対象道路の魅力をプロモーションし、道路の活用につなげるチーム
②周辺住民に向けた対象道路を活用する上でのハード・ソフトを提案するチーム
③ゴミ・路上駐輪をハード・ソフトで解決を試みるチーム
の3つのチームに分かれ、提案を行うことになりました。

次回はそれぞれのチームにわかれてグループディスカッションを行い、アクションプランのアイデアを考えていきます。

-

+クリエイティブゼミvol.22「道路の未来を考える2実践編」
ゼミの開催概要はこちら

map

2016年11月12日(土)

+クリエイティブゼミvol.22「道路の未来を考える2実践編」を開講しました。

今年の2月に、1日限定のワークショップ「道路の未来を考える」を実施し、3つのテーマに分かれてアイデアを出し合いました。
今回は、その実践編として、現在歩道の拡幅工事が進んでいる実際の道路を対象として設定し、周辺環境や道路の特徴をリサーチして、既成概念にとらわれない新たなアクションプランを考えていきます。

初回のこの日は、課題発表と対象道路の現状についての報告を行い、周辺地域のまちづくり協議会の方からまちの歴史や現在の様子に関する講演、そしてゲストの西尾京介さんから道路活用についてのレクチャーをいただきました。

はじめに、本ゼミの講師である副センター長の永田より、KIITOのゼミの考え方、心構えについて、これまでにKIITOが実践してきたいくつかのプロジェクトの紹介を混じえながら説明を行いました。

ゼミを進める上で特に重要なこととして、
・地域豊醸化のための関わり方「風の人」「水の人」「土の人」の作法
・みんなが関わるための余白のつくり方「不完全プランニング」
・アイデアの種の質を上げる考え方「+クリエイティブ」
を挙げ、一つ一つ紹介していきました。

「風の人」としてのゼミ生が、いかに良い種を地域へと運ぶか、
・根元から考え直してみて
・既成概念にとらわれず
・広い視野で
・違う角度から
・情熱と愛情をもって
考える必要性について解説がありました。

IMG_5700

今回のゼミの特徴として、ゼミ生が少人数であることがあげられます。
だれがどのように道路に関わるのか。そんな課題に対して、少数精鋭で取り組みます。

次に、神戸市建設局道路部の担当の方から、神戸市がこれまでに道路に対して行ってきた取り組みや、対象道路の現状についてのご紹介をいただきました。
道の役割を「交通機能」と「空間機能」に整理しつつ、道路の新しい使い方として、
1, オープンカフェ(三宮中央通り歩道上)
2, ベンチの設置
3, ライトアップ
4, マルシェ(地下通路)
5, パークレット
などの取り組みを展開されてきました。
特に1,オープンカフェは、地元のまちづくり協議会との連携のなかで、協定を結びながら進めた取り組みです。
また、三宮周辺地区の「再整備基本構想」を受けて、自動車だけでなく、歩行者や自転車の視点から見た道路を考えるため、「活かす・つなぐ・守る」を三本柱として「みちづくりの指針」を策定し、道路のリデザインを推進されてきました。
道路のリデザインでは、交通機能の最適化と空間機能の向上によって、市民生活の豊かさを獲得するための取り組みを行い、そのなかのひとつとして、今回のゼミの対象道路である「葺合南54号線」の歩道拡幅工事が行われています。
道路に愛着を持ってもらうためには、ベンチに座ってもらうためには、ウォーターフロントまで足を運んでもらうためには、何が必要か。そうした課題に対して、今回のゼミはアクションプランを提案していきます。

IMG_5707

つづいて、対象道路を含む周辺地域のまちづくりを推進してきた三ノ宮南まちづくり協議会の山本俊貞さんより、周辺地域の歴史や現況についてご説明をいただきました。
戦後からの三宮の歴史として、駅舎の移動等により、現在の元町駅周辺から三宮駅周辺まで徐々に都心が東に移ってきており、三宮駅周辺のさらに東に位置する今回の三ノ宮南地区は、これからの都心として今後さらに発展が予想できる一方で、新しく流入する独り住まいの居住者が増加している地区でもあり、多様な都市機能をもった地域であることが伺えました。

IMG_5732

そして、今回のゼミのゲストである西尾京介さんより、道路の活用事例やその運営ノウハウなどをレクチャーいただきました。
冒頭、西尾さんと永田の恩師である鳴海邦碩先生の著書『都市の自由空間―街路から広がるまちづくり』をご紹介いただき、道が交通機能に占められるようになったのは100年ほど前からであり、それまではコミュニケーションの場であったことが示されました。
そのうえで、いま、国をはじめ全国の自治体で道路の利活用についての議論が進められており、自動車のためだけでない道路の活用のしかたについては世界中で議論されていると説明されました。
ニューヨークでは、もともと自動車のために整備された大きな道路を歩行者のための道路として再整備が進められるなど、時代によって変化するニーズに対応して、いまに合わせた方法をとる必要があると解説いただきました。

道路の活用には「イベント(非日常)的」な使われ方と「継続(日常)的」な使われ方にわかれ、どちらも重要ではありますが、今回は「継続(日常)的」な事例を、活用の分類ごとにいくつかご紹介いただきました。

○幅員の大きな歩道の活用
 札幌駅前通り「すわろうテラス」
 池袋「グリーン大通り」

○道路空間の再配分
 京都「四条通」
 神戸「KOBEパークレット」

○歩行者専用空間
 豊田「あそべるとよたプロジェクト」

○商店街のにぎわい創出
 小倉「魚町サンロード」

○生活道路のコミュニティ利用
 ベルギー「Leefstraten[リーフストラテン]」

などです。場所やスケールに応じた利活用の方法を取り入れる必要性が示されました。

さらに、西尾さんが実際に関わられたプロジェクトの事例として、松山の「大街道商店街」を取り上げ、展開された実証実験「PubL[パブル]」について解説をいただきました。「PubL」は、可動のイスやテーブル、ベンチ、プランターの植栽、スタンド型の照明器具など、移動しやすいツールを使用して自由に使える座り場を期間限定で設置し、定点観測と利用者への意向調査を実施したプロジェクトです。
市民のリビングをつくることを目指し、ものを売る前に人に集まってもらうことを考えてはじめられた「PubL」は、コストをかけずに簡単に再現ができるよう設計されています。
実証実験としてはじめられた「PubL」は、やってみることで思わぬ利用法が出てきたそうです。赤ちゃんを連れたお母さんが実は飲食店などにも入りにくく、ただ座れるところがあるだけでそこを利用して持ってきた食べ物を食べさせたり、小さな子どもや学生も自由に場所を使われていたそうです。
ふだん無機質なところも、簡単な操作で居心地がよくなって、そこに滞在することがきっかけで街を観察することが増え、魅力の発見につながります。

また、こうした道路の利活用の課題として、次の3つをあげられました。

①担い手
②コスト負担
③デザイン

①担い手は、エリアマネジメントによって調整するだけでなく、個々人のちょっとした負担の積み重ねによって仕組みをつくる必要性を説かれました。
②コストの負担は、広告や出展料だけでは無理が出てしまう可能性があるので、①と同様、負担を支え合う仕組みが必要であるとご説明されました。
③デザインは、人間にとって居心地のい空間を提供するために、その環境を評価する必要性を訴えられました。

IMG_5746

レクチャーの途中、サンフランシスコで行われているパークレットでは、停車帯を公共空間として管理している主体は歩道を挟んだ向かいの店舗であることが多く、個々の小さな貢献が集積することで、街全体の公共空間の創出に役立っていることが紹介されました。
日本ではあまり見られない、小さな貢献の集まりによる公共的な道路の利活用や仕組みを、今回のゼミで提案できればと、ゼミ生一同奮起しました。

最後に、永田より次回実施するフィールドワークに向けて、街を観察する際のポイントなどの簡単な解説のあと、ゼミ参加者の自己紹介を行って、初回のゼミは終了となりました。

次回は実際に街に飛び出して、対象道路や神戸市が行っている道路の活用事例などを対象にフィールドワークを行います。

IMG_5762

+クリエイティブゼミvol.22「道路の未来を考える2実践編」
ゼミの開催概要はこちら

2016年2月に開催した+クリエイティブワークショップ「道路の未来を考える」
ワークショップの開催概要はこちら
ワークショップの成果冊子はこちら(PDF)

-

ゼミ初回当日、対象道路である葺合南54号線では、拡幅した歩道の一部が完成し、先行して開放されたほか、三ノ宮南まちづくり協議会によるジャズイベントおよび三宮フラワーイーストプロジェクト会によるバルイベントが開催されました(詳細はこちら)。
ゼミの開講に先立って、イベントの視察を行いました。その際の様子の写真を以下に掲載いたします。




2016年8月7日(日)

昨年度開催した、+クリエイティブゼミ vol.18 まちづくり編 これからの公園のあり方について考える part.2「公園×健康」で生まれたアイデアを、対象公園のある地域で発表会を行いました。ゼミ開催中にも公園や地域の事を教えていただいた方から、「ぜひ地域のみんなのも、皆さんの考えたアイデアを聞いてもらいたい」とお話をいただき、実現しました。


会場には約50名の地域の方が来られ、関心の高さを感じました。まずはじめに、公園ゼミについてゼミマスターの永田から説明し、海外の公園事情についてもスライドを使い紹介しました。ゼミで協力いただいた、神戸市建設局の方から、神戸市の進める公園事業についてもお話しいただき、その後、3つの班のゼミ生からアイデア発表しました。いつもとは異なる環境に参加したゼミ生も少し緊張した様子でした。KIITOで発表した内容から少しブラッシュアップし、より分かりやすくスライド作り直しました。


ゼミ生の発表を聞いて、刺激を受けた地域の方からたくさんの質問がありました。アイデアに対する質問だけでなく、「こんなことができないか、あんなことも面白い」とさらにアイデアが膨らんでいる様子でした。参加したゼミ生も直接地域の方々から考えたアイデアに対し質問や感想を聞くことができ、とても貴重な体験でした。

「、+クリエイティブゼミ vol.18 まちづくり編 これからの公園のあり方について考える part.2「公園×健康」」開催概要はこちら

2016年7月19日(火)

最終発表まで残すところあと1回となった第9回目は、次回いよいよ最終発表を迎えるにあたり、プレゼンで押さえてもらいたいポイントについて、神戸市企画調整局からと、講師の永田から説明しました。

IMG_4899_s1 IMG_4921_s2


■プレゼンに向けて
・まちの資源の活用
まちの中にある資源の何に焦点をあてたのか、しっかりと説明をしてほしい。これまでまちに無かった新しいものを提案する場合にも、今ある資源を踏まえた上での提案であることを伝える。これまで重ねてきたリサーチの内容も共有してほしい。
・継続性
一度きりのイベントを企画するわけではないので、今回の提案がまちの中で継続し、つながっていくイメージを伝えてほしい。
・自分自身の関わり方
提案に対して、自分自身がどのような意識で関わっていくのかを明確にしてほしい。担い手として運営を考えているのか、アイデアを提案し、まちの中の人々を巻き込むイメージなのか、自分の立ち位置を考えた上での提案をしてほしい。
・伝え方
プレゼンは、聞き手の共感を呼ぶ方法で行うこと。提案にあった、ベストなプレゼン方法を選んでほしい。

IMG_4899_s1 IMG_4921_s2

最終発表でのポイントについての説明のあとは、グループディスカッションを行いました。各班、自分たちの提案のポイントを再度整理し、伝え方について意見交換が行われました。

次週8/2(火)に、いよいよ最終発表を迎えます。聴講も受け付けておりますので、ご希望の方は下記までご連絡ください。
school@kiito.jp

+クリエイティブゼミ vol.19 まちづくり編「神戸まちラボ CASE02 つなぐデザイン ~市街地西部地区(兵庫区南部・長田区南部)の豊醸化をめざして~」
ゼミの開催概要はこちら

2016年6月11日(土)‐26日(日)

昨年度開催した、「新しいパンのはなし」の続編として、「新しいパンをつくる」を開催しました。全7日間の短期プログラムで実施し、新しいパンのアイデアを考えました。「新しいパンのはなし」でも講師としてお越しいただきました、石川俊祐さん(IDEO Tokyo)、田中雅人さん(Any Tokyo)、高橋真人さん(Any Tokyo)をナビゲーターお招きし、リサーチやアプローチ手法、さまざまな事例を学び、4つのチームに分かれ取り組みました。まるで合宿のような熱い7日間でした。


「パンの日常における役割を再構築し、人の生活をより豊かに幸せにする」を目的にスタートしました。はじめに、事前に参加者に案内していた、宿題の内容を発表しながら自己紹介をしました。「あなたにとってのパンの思い出は?」「あなたにとってパンの存在は?」「あなたのとって美味しいとは?」「テーマである新しいパンについて今抱いているインスピレーションは?」の4つを話しました。「パンの思い出は?」の回答には、大学生時代に冷凍したパンで食いつないだ思い出や、幼いころにお母さんがホームベーカリーで焼いたパンの匂いなど様々ありました。各参加者は発表した内容から、ナビゲーターの3名がキーワードを抽出、そして発表後にそれらをグルーピング(組分け)し、参加者の興味や関心のあるテーマをいくつか決めました。その後、それぞれテーマについて興味のあるところへ分かれ、4つのチームがつくられました。

・「PAN-CTIONAL LIFE」ライフスタイルパートナー、道具としてのパン…
・「CONTEXT+STORY」パンを食べる環境、ストーリーとパン…
・「SHARE&amp:COMMUNICATE」パンをつなぐ、パンを伝える…
・「ENABLE LOVE」パンとの関係性、愛の育成…


班に分かれた後は、リサーチ方法について石川さんからレクチャーを受けました。

デザインシンキング
デザインシンキングを使って進めていきます。デザインシンキングは人間を中心に考え、考えたものが世の中に出たときにそれが売れるだけでなく、他にどんなことが起きるのかを想像することが大切です。課題に対し関係のあるところだけでなく、全く関係のないところからもヒント得て、こうしたら面白いのではないか、という主観を形成します。そこから結晶化していき、点と点をつなぎ、テーマにしていきます。テーマが決まると土台ができるので、そこからアイデアを出していきます。最終的には作ってみることも重要です。今あるものを良くする改善というよりは、今ないもの、"0"から"1"を生み出すというものです。解決すべき課題を発見し、それが正しい課題かどうかを見極めることが一番難しいです。

ゼミスタート!
各チームでは、デザインシンキングを参考に議論を進めました。まずは、外に出てパン屋さんや街中でにぎわっていると場所などへ観察に向かいました。ワインを販売している人に、売り方やお客さんへ商品内容の伝え方など、ヒアリングもしました。普段とは異なるリサーチ手法に戸惑いながらも、すぐアイデアにいかないよう取り組みました。リサーチ場所、気づき、仮のアイデアをまとめ、チーム内で共有しながら解決すべきテーマを決めていきました。だんだんとアイデアが生まれてくると、早速プロトタイプを作り、検証していました。



最終発表前日には、ナビゲーターの石川さん、田中さん、高橋さんから発表についてのレクチャーがありました。

コンセプトづくり
今からの話も、今のアイデアをさらにディベロップ(発展)させる際には、最後にどう伝えるのか、何を伝えれることが大切か、などへのヒントになればと思います。
今回の新しいパンへのアプローチとしては、何回も言っていますが、どうしてもテクニカルな部分に行きがちです。どんな形をしているのだろう、どうやってつくるのだろう…いくらで何個売ったらいいのだろう…、そういうところを行き来するケースがほとんどです。今回立ち返る場所は、これは誰の何のため、何になるのだろうか、おいしいだろうか、幸せなのだろうか、豊かになるのだろうか、問題を解決しているのだろうか…ここに立ち返り続けることが意味のあるものになると思います。
デザインシンキングではデザイナー=発想する人、皆さんの事です。人間を中心に考える、イノベーション(革新)が方法です。デザイナーの感性やメソッド(方法)はつくってみる、絵に描いてみる、誰かに見せてみるという事です。1から100ではなく、0から1、今までにないアイデアを考えてみましょうということです。いったい人は何をもとめているのだろうか、を探っていくことは前回もお話ししました。大前提ですが「パンの日常における役割を再構築し、人の生活より豊かに幸せにする」パンだけでなく、パンの周りなども。
明日までに進めたいことは、コンセプトをまず固めることです。何らかのプロトタイプ(原型)もつくってみてください。最終的にはストーリーをどう伝えていくのかをチームで考えてください。ストーリーをどうつくるか、プロトタイプをどうつくるかは密接につながっています、これを伝えたいからこれをつくる、パンをつくらなくてもいいこともある。何を伝えたいのか、そのためのステージや物、アクト(行為)を考えてください。
リサーチをして、テーマを固めて、問いをつくって、アイデアを出す。そして最後には”もの“にしていく。難しかったのは、問いに何度も戻るなど、良い問いをつくるところだったと思います。なんとなくすぐにアイデアを考えてしまいます。アイデアに固守すると、それ以上身動きが取れません。しかし、問に戻るとそこから新しく進むことができます。今日も問に立ち返ることがあっても良いと思います。今日1日はアイデアをディベロップしてコンセプトを固めていきます。コンセプトをつくるというところにまだ時間をかけてもいいです。プレゼンの準備は明日する方が健全的ではと思います(笑)。

事例紹介
面白い事例をいくつか紹介します。神戸PANPOは、神戸の街を散歩しながら、よりパンを美味しくするような、パン屋さんとの取り組みです。食べ歩きしやすい小さなパンを販売しており、パンの開発に少し関わっているところが面白いです。
サンフランシスコの珈琲屋さんで、珈琲をつくっているシーンをすべて見せているところがあります。わざわざ見せるために機器をつくり、豆をローストしているところなども見ることができます。面白い点は、作り手の頑張っている様子ではなく、人が見たいものになっているところです。
ケータリングの新たな仕組みとして、その日売り切れなかった食材を回収して、ケータリングするものがあります。無駄を出さないことをどう魅力的なものに変えていくかを実践している事例です。

プロトタイピング
プロトタイピングはなぜつくるのか。そのプロトタイプの本当の意味は、字義どおりではなく、それでどんな会話やフィードバックが得られるか、それで何をディスカッションするか、何を伝えたいのかだったりします。つくることで他人との会話が生まれ、フィードバックを得やすくなります。またバリエーションを出すことで、比較検討できます。思いもよらなかった気づきがあります。とても大事なポイントです。なにで作るかを明確にしながら、どうつくるかを決め、コンセプトや名前を付けましょう。どの問いに対しての答えを考えたのか、いったい何なのか、どんなものか、どう機能するのか、それは人にとってどんなメリットがあるのか、一言で言うと何なのか、何がユニークなポイントなのか、神戸にとって何が良いのか、いつどんな場所でどのように人の生活の中で消費されていくのか…。

ストーリーテリング
プレゼンテーションはレベル感よりも、面白いか、伝わるかが重要です。美しく見せたい気持ちもあると思いますが、アイデアがちゃんと伝わるかがもっと重要です。なぜ伝えるのか、どうしたら伝わるのか。プレゼンテーションは事実を伝えたいというものがあるが、数値的にどうかという事は、なかなか人の心に残らなかったり、伝わらなかったりします。
今回のプレゼンテーションは、できるだけストーリーテリング調にしてください。ストーリーをつくると共感力を上げることができ、共感してもらうことができます。理解を共有できることで、未来を描くことができます。起承転結、どんな背景があって、こんな課題があって、こんな価値が今必要です、クライマックスがあって、これを解決するためにこれが必要です、最後には、こんな世の中になります、といった感じです。
ディズニーのストーリーも同じです。数値だけだと脳があまり反応しません。つまり、覚えることができません。覚えることができなければ、同じような口調で、他の人に伝えることができません。言われたストーリーを覚えていて、他の人にアイデアを言いたくなるようなストーリーをつくってください。
共感をどう得るか、みんな共感できる。私たちをクライアントだと思って、感動させてください。いつも行っているプレゼンテーションとは異なると思いますが、伝え方の中で工夫をしてください。クオリティは張りぼてでも大丈夫です。プレゼンテーションの準備は明日からでも間に合います。


プレゼンテーションの前に、石川さんから、「みんなに感動してもらえるように、情熱を持って思いを伝えてください」と激励があり、スタートしました。

「CONTEXT+STORY」

どうすればパンがおいしくなるのか、その文脈は何か、ストーリーは何かを考えました。
PAN and、PAN to、PAN都の意味を込めた「PANTO」というインフラを提案します。喫パン所、パンを食べる為のスペース、パンを挟む具材を提案してもらうお店、パンMAPなどです。
旅人に対しては、パンMAPを活用し、朝街を歩いて、パン屋さんでパンを買う、PNATOにはQRコードがあり、どんな材料と合わせるのがオススメかなどの情報があります。南京町(中華街)ではPANTOにホイコーローを挟む、喫パン所でパンを食べながらポートタワーを見る、夜にはおつまみパンとお酒を飲む…誰かとパンで神戸を楽しめる仕掛けで、パンと何かをつなげることでより街もパンも楽しむアイデアです。

フィードバック

・パンと○○が面白い。パンがサブで色々なところに入っていけるところがいい。どんなイベントにもパンが入り込むと良いのではないか。
・パンと何かをコラボレーションさせることで、いろいろなコミュニティが形成されるところが素敵です。惣菜屋さんやサラダ屋さんなど、その人たちが一緒にやろうと思えるには、どこからスタートしたらいいのかを考えていけると良いですね。
・商店街のイベントと絡めても面白い。
・パンを持ち歩く人が増えたらいい。

「SHARE&COMMUNICATE」
アイデアのタイトルは「DJパン職人」です。職人の仕事を知ってもらうことでパンへの愛情を深めたいと思いまいました。パンをつくる工程ででる音を音楽にします。パンの捏ねる音、パン生地をたたく音、フランスパンの焼きあがるパチパチとした音、パンを入れる紙袋の音…、さまざまな音をミックスします。音楽にすることで、パン職人の裏側を少しでも知る事ができ、パンに対しての想像も深まり、受け取り手としては、おしゃれにかっこよくファッション的にパン屋さんを知る事ができます。
この音楽でクラブミュージックやカフェのBGMなどにも展開したいです。パンから出る自然の音を知る事ができ、パンを前にしたときに今までとは違う気持ちが生まれると思います。またパン職人へのあこがれも生まれ、職人も増えるかもしれません。

フィードバック
・パンの音を学校のチャイムなどに使っても面白いのではないか。
・パン検定でこの音はどこのパン屋さんのバゲットかなどもいいのでは。
・環境音として、普段当たり前の音を聞きやすくするのは良いと思う。
・あるファッションブランドでは、工場の音を使って、フィールドレコードやブランディングなどに使用しています。
・音や香りが神戸に来たというファクターになるといい。
・パン職人希望者が減少しているのが問題、ここ10年が正念場ではないか。

「ENABLE LOVE」
タイトルは「パンとトレイとあなたと」です。私たちは観察をひたすらしました。お店でお客さんの行動を見ながら、どんなものを使うのか、どんな動きをするのか、そこからアイデア展開しました。観察で分かったことは、「どんなパンを買うのかを決めている人」、「どんなパンを買っていいか分からない人」、「パンを買ってくるのを頼まれた人」などがパン屋さんの中に混在していることです。そこで「新しいパン=まだ出会っていないパン」、つまり、自分に合ったパンを知らないのではないか、自分にとって新しいパンにいかにして出会うか、目指したい未来は、パンを買う人が店の中で発見に出会えるようにしたいと思いました。
おしゃべりパン:パンにトングで触れた瞬間に、パンの情報が流れる。
電子トレイ:トレイにパンを置くと、液晶パネルになったトレイに、そのパンに合うものが何かを教えてくれる。
妄想シート:トレイの上に芝生の模様のシートがあると、外や芝のあるところで食べたいパンを選ぶきっかけをつくる。
+1カード:もう一つパンを選びたいときに、パンのコンシェルジュに選ぶのをサポートしてくれる。

フィードバック
・パン屋さんにとっては新しい考え方です。お客さんが食べたことのないパンに出会わせる方向性が面白い。
・もっとパンの情報がパン屋さんにあれば、もう一個手が伸びる気がします。アマゾンのサイトには、「これを買った人はこんなものも買っています」と情報が出ている。うっといしいとは思いつつ、参考にしてしまう。
・似たようなパンの思考が知りたい。
・良い問いを設定できている。観察から、サーベイ、現場で、行動を見つけたことが良い体験だったのではないか。

「PAN-CTIONAL LIFE」
メンバーそれぞれの課題を解決するシートパンの提案です。食パンなどの耳を除いた部分をめん棒で平たくつぶしたもので、スライスチーズのように透明フィルムに包まれている。
登場人物
独身サラリーマン:毎日忙しくて、家では料理もしない、健康が心配
時間はあるけどお金のない大学生:冷蔵庫には調味料しか入っていない
2人の子持ち働くママ:朝晩、お弁当やごはんをつくらなければいけないので、朝昼晩同じ残り物を食べる
子ども2人のお父さん:健康が気になる、お昼はいつもパンとコンビニのサラダ
お酒好きな独身OL:1人で居酒屋は抵抗があり、お惣菜を買って家でテレビを見ながら晩酌
シートパンによる変化
独身サラリーマン:コンビニで買ったサラダなどをシートパンで巻くことで、野菜を手軽に摂れる。
時間はあるけどお金のない大学生:冷蔵庫にあるマヨネーズ、缶詰、海苔をシートパンで巻いて食べる。いろいろな味を楽しめる。
子ども2人のお父さん:健康のために納豆、海苔、サクラエビなどを載せて食べる。トーストよりも美味しく食べることができる。
お酒好きな独身OL:いつもの缶詰などのおつまみも、シートパンに巻くことで、いろいろな味を組み合わせることもでき、アレンジも楽しい。女子会などでも活躍しそう。
シートパンは忙しい人にも便利で、誰でも手づかみで食事が取れ、栄養も取りやすくな。シートパン自体も醤油やワサビ、バジルなど味付きも可能。総菜を巻くだけでなく、チョコレートなどの甘いものも使える。パーティなど人がたくさん集まる場でも活躍が期待できる。

フィードバック
・パンのままだと香辛料のアクセントはつけにくく、美味しくありません。シートとして使う場合はとても良いと思います。
・みんなで様々な具材を持ち寄るパーティのもいいし、遠足などでも活躍しそう。
・既存のパンの活用アイデアがよかった。またその仕組みも面白い。



まとめ
石川さん:
我々が大切にしている価値を紹介します。
「Be optimistic」
楽観的であれという意味です。何か0から1を考えるときは、とても不安なのですぐに答えを出したくなります。○○を作ると、すぐに決めてしまいます。不安なのでのそのような思考になってしまいます。自分が何か新しいことをしなければいけないときは、きっと答えが出るだろうと思って、楽観的な心構えが大事だったりします。
「Collaboration」
今回も体験したと思いますが、1人ではできないことができたと思います。自分と異なるスキルや考え方が違う人たちが、なぜそのようなことを言っているのか、どうしたらパワーアップできるか、などを考えながらすると良いです。
「Emiface ambiguity」
曖昧を抱きしめようという意味。楽観的とは異なり、暗中模索状態、それが普通、当たり前です。
「Talk Less do more」
皆さんは今回良くできていたと思います。話すことよりもとにかく手を動かす。会議するより外に出てみるなど、視点を変えることで、アイデアも生まれると思います。普段でも煮詰まったら外に出るのも良いと思います。
「Make others Succeessful」
他人を成功させましょうというという1つの指針です。とても難しいことです。我々にとってもとても難しいところです。チームとして成功させるには、他の人が面白いスキルを持っていれば、そこに自分の力を追加する、重ね合わせるなど、そのような考えもつかみ取ってほしいです。
「Learn from failure」
失敗から学びましょうということです。今回皆さんはしっかり体験できたと思います。失敗からしか学べないこともあり、作ってみる、誰かに聞いてみることをどんどんしていくと良いと思います。

今回はリサーチをして、自分たちの視点を発見し観察してきました。良い問いを設定するのが難しかったと思います。どうしてもアイデアに行ってしまいます。アイデアが出てしまうと、そこから離れられなくなります。質問があると、戻りやすく、議論もしやすいです。誰のために、どんなことを、どう解決しようとしているのだろうかということを、問いを設定することで、より分かりやすかったのではないでしょうか。そこを学んでもらえたらうれしい。
まず何をするか、0から1を自分たちで課題設定しなければいけませんでした。この力は今とても必要なものです。日本のものづくりや仕事の仕方は、今すでにあって、1から100に変えることをしています。そんな時代だからこそ、このような体験をしてもらいたいと思いました。
今日の発表を聞いていても、このアイデアからさらに掘り進めて行くと、面白いのではと思うことが多かったです。ペアリング、パンと○○、パンと総菜…、など新たな可能性を感じました。継続的に考えていってほしいです。1点フィードバックするとすれば、ストーリーテリングの部分で、もっと伝わるのになぁというところがありました。すべてを伝えたいという気持ちも分かるが、誰かに本当に1つ大事なポイント、これさえぶれなければ、売れる、皆がほしいと思う、食べたいと思う、そのような所を考えてほしい。ストーリーテリングはなかなか教えてくれない分野の1つなので、それを鍛えることができると良いです。

高橋さん:
パンというテーマが面白かったと思います。食糧問題や高齢者問題をテーマにしていたら、こんなに面白いアイデアは出なかったのではと思います。
問題をこのように視点を変えてみると新しい切り口で解決策が生まれるかもしれない。楽しみながら学べたのではないか。このワークショップは入り口であり、参加してみた皆さんがこのような場が用意されていなくても、自分の子どもの友達が悲しんでいる時も、同じような考え方を使って、日常生活の中でもっと日常がクリエイティブになって価値が生まれるのではないでしょうか。

田中さん:
今まで様々な仕事で利益を生むための、プロダクト、空間、サービス、コミュニケーションをつくってきました。私がKIITOに興味を持ったのは、問題を解決することや人と何かすることで自分でも思っていなかったようなアイデアや出会いが生まれる、そのような自発的なところ、人間的な思考です。私たちもたくさんの学びがありました。ミッションに対して、誰かを幸せにするために日々考えています。誰かのために、何かのために、という気持ちを持つことで、様々な問題に取り組めると思います。可能性のあるたくさんのアイデアが生まれたので、今後も進めていければと思います。期待しています。

永田:
たくさんの学び、気づきがありました。今回は、クライアントが自分、というところからスタートしました。もっとこうだったら良いのにという、各自の考え、アイデアが生まれてきました。自分たちで問いを見つけるプロセスが非常に難しく、アイデアばかり出てしまいました。何度も行ったり来たりしながら議論を重ね、このプロセスそのものが意味のあるものだと思います。ここで出たアクションプランを
どう展開していくのか、フォローアップをしながら進めていきたいと思います。今後もこのような取り組みを続けていきたいと思っています。


「新しいパンをつくる」開催概要はこちら

2016年7月19日(火)

いよいよ最終発表の日を迎えました。約3カ月にも及ぶ期間にわたってリサーチやディスカッションをかさねた成果を発表するとあって、班での最終確認も入念に行われます。プレゼン開始の直前まで、班のメンバーで話し合う声が聞こえていました。

今回は、講師のデザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)の副センター長の永田のほか、ゲスト講師の美術家の藤浩志さま、対象地区をよく知るスタヂオ・カタリストの松原さま、兵庫県立大学の和田 真理子さま、神戸市企画調整局のみなさまにもお越しいただき、講評をいただきました。


s_DSC01460


はじめはE班から。発表者は、普段はかけていない有名な実業家風の丸眼鏡をかけて登場し、緊張ではりつめた空気の流れる会場を和ませて、プレゼンがスタートしました。


はっぴーの家で実現したいこと s_DSC01465


≪E班提案/て・しごとば≫
子育てをするママを対象に、ハンドメイドクラフトができるまちの共有作業スペースづくりを提案。子供を連れていけるアトリエや交流スペースなどを、商店街や再開発ビルを拠点として整備する。まずは、駒ケ林駅の東、真陽小学校の横に12月完成予定の、介護施設「はっぴーの家 ろっけん」に場を作り、ハンドメイドを通じて、ママ世代と子ども、高齢者の交流からはじめることを検討中。また、自分で作ったものは地域のイベントなどで販売し、手仕事を通じて新しい女性の働き方や、保育や託児ではない子ども達の学びの場、多世代交流の中から高齢者も活気づくような仕組みを考えている。

▼講師講評
【永田】
アクションプランを現実に落とせているのはすごい。この企画に、人を惹きつけるためのデザイン性をどのようにもたらすのか、今後の展開に期待。
【藤さま】
これはコミュニケーションプログラム。ものをつくることにばかり興味が偏ってしまいそうだが、実は大切なのはそこで過ごしている時間。この場所に携わることの期待感をふくらませるような新しいアイデアを、継続して提案できるようなしかけがあると、もっと面白くなるのではないか。
【松原さま】
まちの高齢化の問題はどこにでもある。自分も長田で喫茶店をしているが、そういった小さな経済を生み出すことの大切さを感じている。ここで作ったものは、お金に換えていけるシステムをしっかり整えるべきだと思う。
【和田さま】
長田は若い世代の新しい移住者も多いまち。そういった人たちが関われる場づくりというのは、まちが抱える課題を、こちらが想定していたよりも多く解決することがある。実際にコトを起こしてからの広がりに期待する。
【神戸市企画調整局】
つくり手の自信をしっかり育てていける環境になるといい。またつくり手だけではなく、流通を考える人、材料を仕入れる人、広報をする人など、関わりしろがたくさんあるのも魅力的だと感じた。


次はD班。たまたま班のメンバーの多くがDIYが趣味だったということで、早い段階から提案がかたまっていた班です。



まちの変化 s_DSC01516


≪D班/兵庫運河周辺を中心としたクラフト文化の醸成≫
兵庫運河周辺の、さまざまな既存の資源(特殊な工具や機械、屋内の大空間、味のある建物)を生かし、兵庫区でまち工場を「借りたい人」と「貸したい人」をつなぐための、3つのアクションプランを提案。
1.清掃・補修のお手伝い
「貸してもよい人」を広げる活動、廃業を検討するときに声をかけてもらえる信頼関係の構築。
2.ポテンシャルマップ作り
「つなぐ人」の補完の役割として、兵庫らしさと活用の余地がある場所の全体像を目にみえるかたちにする。
3.つなぎイベント
「貸してもよい人」「借りたい人」がつながるきっかけの場づくり。
兵庫区にまち工場を借り、DIYやクラフトをする人が増えることで、職住近接でまちに住む人も増えるのではないかと考えている。

▼講師講評
【永田】
まちとの関わり方がしっかり計画されていて良い。特に入念なリサーチをしていた班だったが、その成果がしっかりと表れているように思う。よそ者がまちに関わるときにはその取っ掛かりが重要なので、最初のアクションをどうするか、慎重に検討して欲しい。
【藤】
コンセプトブックが仕上がりそうなボリューム感。しくみをつくるのか?場をつくるのか?どこから始めるのかが重要。
【松原】
「つなぐ人」の発見と、その関係性の発見。この視点を持つのはとても大切なので、アクションを起こす時には注意深く扱ってほしい。


C班はまちを俯瞰的に捉え、どんな切り口で提案を出すか、まちの「種」探しに時間をかけ、多国籍文化に行きつきました。


多言語 s_DSC01490


≪C班/日本とベトナムをつなぐ、コミュニケーションの場づくり≫
長田区に多いベトナム人労働者に着目し、まちの中での多文化共生を目指して、文化の違いを理解しあえるよう、言葉や習慣、マナーなどの違いを伝え合う交流の場を設ける。そのために、まちの地図を掲載した日本語の看板にはベトナム語表記を記載したり、ベトナム語表記しかないお店の看板やメニューには日本語表記の記載を促すなどの、まちの中にある言葉のコミュニケーション不足の解決からはじめることを提案。

▼講師講評
【永田】
ベトナム人が住みよい町になった時、どういう魅力が発信できるのか?既存の魅力のリサーチがもう少し欲しかった。
【藤】
ベトナムの魅力を理解すること、ベトナム人のコミュニケーションを取ることの楽しさ、それを地域の人と共有する方法はもっと幅広く、さまざまな手法があるように思う。
【松原】
「わからなさ」「とっつにきくさ」は面白さにつながりやすいので、それを地域の人に知ってもらうしかけづくりが大切。
【神戸市企画調整局】
この地区に住むベトナム人だけのコミュニティが既にできているのであれば、そこへの日本人の関わりしろはどこかにあるはず。引き続きリサーチを。

B班は、班のメンバーに対象地区で働く職人がいたこともあり、まちのものづくりの魅力に着目しました。


アプローチ s_DSC01511


≪B班/クリエイティブをつなげて育む街づくり≫
兵庫・長田のものづくりの資産を生かして、技術のある職人や、豊かな発想を持つクリエイターをつなぐため、地元のメディア制作クリエイターが、職人の仕事を取材・編集・発信し、クリエイターや職人、市民がつながる情報発信メディアをつくり、ものづくりの新たな価値や仕事を生み出すという提案。情報メディアを継続的に成長させることで、ものづくり業界における「長田ブランド」を育て、クリエイターや職人にとって魅力的で住みやすい街をつくることを目指す。

▼講師講評
【永田】
対象地区の中にいるクリエイターと職人だけで強度をもったものができるか?ものが生まれにくくなっている時代なので、そのしくみをしっかり詰めていく必要がある。
【藤】
もっと具体的なコンテンツが見えると良い。この結果新たな商品を売っていくというよりも、プロセスを大切にして、ワークショップなど地域の人を巻き込む方法で発信した方がよい。
【和田】意味のあることだと思うが、この人たちにとっては「仕事」なので、利害の一致はやはり必要になってくる。そこがもっとイメージできるようになると良い。

最後はA班。プレゼンを始める前に聴講のみなさんを突然立ち上がらせたり、全編手書きのスライドを披露したりと、個性が光っていました。


長田自漫収集集団 s_DSC01508


≪A班/日常の風景写真をテーマにした魅力の再発見「長田自漫収集集団」、「百人百景」≫
長田のまちのレトロな魅力があふれる日常風景写真をツールに、まちの人々が交流し、地域外の人にも長田の街の魅力を届ける仕組みづくりを提案。さまざまな人の独自の視点で撮られた写真で長田に人を誘い込み、まちを舞台にした写真展や、参加者と地元の人をつなぐ、写真投稿型のフリーぺ-パー・WEBサイトなどを制作し、地域内外にまちのファンを増やすことを目指す。

▼講師講評
【永田】
プレゼンのゆるさ、世界観が面白かった。長田のまちの意外なフォトジェニックさに気付いた視点はすごく良い。この班のメンバーが楽しみながら進めていくことが重要に思う。
【藤】
アナログな視点は面白いが、その裏側では、やはりネットをどう使っていくのか、地域の人たちとの接点のつくりかたというのは課題になる。そのしくみづくりをもっと深く行うべき。
【松原】
写真を通して人を「つなぐ」ことまで意識を向け考えていけるといい。
【和田】
スライドが全部手書きだったり、突然聴講のみなさんに「立ちあがってください」と言ってみたり、「なんで?」と思わせるプレゼンがとても魅力的だった。それ自体がこのプロジェクトをよく表しているように感じるので、その姿勢を大切にしてもらいたい。


s_DSC01537 s_DSC01542


最終発表を終え、最後に懇親会を開催。
他の班のメンバーと交流しアドバイスをしあったり、協力できる点について話し合ったりと、プレゼンの熱が収まらない様子。毎週、同じ日に顔を合わせていたゼミのメンバーとの別れを惜しむように、時間いっぱいまで話題がつきず、盛り上がっていました。

これから、各班の提案をもとにアクションを起こしていきます。
引き続き神戸まちラボ02にご注目ください。

+クリエイティブゼミ vol.19 まちづくり編「神戸まちラボ CASE02 つなぐデザイン ~市街地西部地区(兵庫区南部・長田区南部)の豊醸化をめざして~」
ゼミの開催概要はこちら

ページの先頭へ戻る