お知らせ・レポート

Meets+DESIGN

2016年3月27日(日)

異分野のクリエイター同士の出会いにより演出された空間で、彼らの活動に身近に触れてもらう企画「Meets+DESIGN」。
今回のコラボレーションは、神戸の創作フレンチ・アノニムのシェフ加古拓央さんと、植物図鑑「微花」(かすか)を発行する2人組・石躍凌摩さん+西田有輝さん。
「微花」では石躍さんは文章、西田さんはデザインを担当。ともすれば見過ごしてしまいそうな、その名の通り「微か」な植物たちを紹介する図鑑を制作しています。
加古さんの「言葉から料理を作ってみたい」という思いから、今回の企画ははじまりました。
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薄暗い照明の中、暗幕の奥の明かりが灯り、石躍さんが登場。彼の朗読から会は幕を開けます。

「0皿目」は純水で作られた「氷」。参加者は目を閉じ、朗読を聞きながら、氷を口に含みます。

電球の明かりが灯り、ここからメインの料理がスタート。参加者は皿を手に取り、思い思いの場所で料理を味わいます。
一皿目のタイトルは「タコ/木の芽/ビーツ」。
タコを溶かしたゼラチンのスープに、スポンジのような食感のパンを添えたもの。食べた後、紙の皿に水彩画のような美しい模様が残ります。

二皿目の料理は「シリアル/スプラウト」。豆苗や小松菜などが雑草のように盛られ、そこに麦やゴマ、鱒の卵など、さまざまな食感が一度に口の中で感じられる、不思議な味わいです。
その後、三皿目「焼き畑/青豆」、四皿目「経産牛/ヒネ芋/落葉」と続きます。「焼き畑/青豆」は「焼き畑小麦」と呼ばれる小麦を使った薄いクレープのようなもの。「経産牛/ヒネ芋/落葉」は、経産牛(出産後の牛)のホホ肉を赤ワインや味噌で煮込んだもの。ルッコラの葉にビオラの花、うずらの黄が美しい料理です。

今回のメニューは、加古シェフが石躍さんが書いたテキストを読み、そこから着想を得て創作したもの。

撮影:西田有輝

目で、舌で料理を味わった後、それを言葉にするワークの時間に入ります。
参加者は3名ずつ、全部で10のグループに分かれ、それぞれ一皿目~五皿目を担当します。ワークは2種類あり、一つはAからZまでの頭文字を使い、その料理に関連した27個の言葉を考えるワーク。たとえば、一皿目「タコ/木の芽/ビーツ」なら
A…あまい B…ビビッドな色 C…ちょうどよい苦み
といったように、食べた時に感じたこと、そこから連想したこと、印象などを言葉にしていきます。
もう一つのワークは、同じように料理を食べて感じたことを、しりとり形式で、最後は「ん」で終わるよう、27個の言葉を繋いでいきます。例えば、
「みどりの」→「のはらみたい」→「いかではない」…「たりないよ」→「よかん」
といったように。
ヒントがほしい時には、本を開いてそこから言葉を拾ってもOK。セレクトされた食にまつわる本や漫画を参考にしつつ、言葉を連想していきます。

 
撮影:西田有輝

グループワークが終わったら、そこからは一人で言葉を紡ぐ時間です。3人で話し合ったことや本で見つけた言葉を思い出しながら、料理を味わって浮かんできた感覚を、今度は自分と静かに向き合いながら、自由に紙に書いていきます。
この「AtoZ」と「しりとり」、一人で紡いだ言葉は、微花がデザインした冊子となり、後日参加者の皆さんの元に届きます。
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最後は加古シェフと微花の石躍さんと西田さん、空間構成担当の姉崎さん・時本さんも加わりトークを行いました。一部をここに採録します。

石躍:「はじめてあじわうときのように」の企画は、加古さんの「テキストから料理を作りたい」というお話から始まったんですよね。なぜそうお考えになったんですか?

加古:仕事で料理をしていると、レシピをアレンジしたり、今までの経験から料理が生まれたり、「自分の料理を作っている」というよりも「パッチワークしている」という感覚。時々、自由な時間に本を読んでいると自然とアイデアが湧き上がってくる時があって、そんな時は自分が料理を作っているという感覚になる。既成の言葉、町にあふれている言葉じゃなく、イベントのために作られた言葉で作ってみたいと思いました。
経験を積めば積むほど、「初めてやること」は必然的に少なくなってきます。石躍さんの文章を読んで、「この人の書く文章なら、今までやったことのあることに行き着くはずがない」と思いました。初めて読むリズムや文体にすごく引き込まれて、その言葉で料理を生むことができたら、自分がまた大きくなれるのではと思いました。


石躍:空間構成をお願いした姉崎さんと時本さんは、僕らのトークイベントに来てくださったお客さんでした。

姉崎:最初に今回のイベントのチラシの石躍さんの言葉を読んで、どんな空間がふさわしいかを考えました。時本さんと話をする中で、その中にあった「あじわうことをあじわう」という言葉、それを改めてするためには、非日常性のある場所になればと考えました。

石躍:一か月ほど後に皆さんのお家に「図鑑」が届きます。その図鑑は、皆さんが今日のあじわいを少しでも思い出せるようなものであればと思っています。図鑑というのは一般的には公に見せるものですが、今回の図鑑は基本的には自分だけが見るもの。自分のために、自分で図鑑を作っている。ある意味日記のようですが、いろんな人の手が加わったという意味で、編集というプロセスも踏んでいる。

西田:今日「言葉を出さなければいけない」という課題があって、それを前提にものを食べた時、いつもと違う味覚が働いていたと思う。そのチャンネルをまた思い出すことができたら、今まで食べていたものも違う形であじわうことができるかもしれない。そんな、これからの日常に変化をもたらすようなイベントにしたかった。

石躍:最初に氷を食べながら朗読を聞いて、そのまま飲み下してもらうというアイデアの参考にしたのは、どこかの民族で、トーラという法律を書いた石板に蜜を塗って目隠しして舐めるというもの。それがすごく効くらしい。僕らは僕らの尺度でそんなもの意味がないと思ってしまいますけど、何か法を犯そうとした時にふとその蜜の味がしたり、歯止めになるらしいんです。
僕らは食べるとか、読むとか、分けすぎているんじゃないかと思います。今回はそれを繋げてみようと思いました。

西田:石躍が文章を書くということは、世界を「読んで」、それを翻訳して文章にするということ。その文章を今度は加古さんが読んで、つまり「食べて」、体に取り入れて、また加古さんの言語で翻訳をする。そうして出てきた、ある種テキストのようなものが料理。その料理を今日、皆さんが召し上がって、また文字に戻す。その流れをやりたかった。

加古:石躍さんの文章、難しかったです。何度も黙読だけじゃなく、声に出して読みました。そうすることによって、少しずついろんなことが引っかかったり、飛び出してきたりした結果、料理にすることができたかなと思います。
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最後は石躍さんが今日の料理の元になったテキストを朗読して、イベントは終了しました。
普段何気なく行っている「あじわう」という行為を、言葉という一見離れた文脈から捉え直す試み。このイベントが参加者の皆さんにとって、「あじわう」ことについて日々、発見していくきっかけになればと思います。

Meets+DESIGN「はじめてあじわうときのように」開催概要はこちら

2015年2月19日(木)

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異分野のクリエイター同士の出会いと交流から演出された空間で、クリエイティブな活動に身近にふれる機会を提供する交流イベント、Meets+DESIGN。今回は林周平さん(パティスリーモンプリュ シェフパティシエ)とサタケシュンスケさん(イラストレーター)のコラボレーションで、親子でフランス地方菓子を学び、味わう、「カシュカシュの森 ~お菓子の森でかくれんぼ~」を開催しました。林さんはフランス伝統菓子を、サタケさんは空間演出を担当しました。
ゲストにはユネスコの創造都市ネットワークでサンテティエンヌから招聘されてきているフランスのデザイナー、カクシデザインのギョームさん、エロディさんの2人にも、フランスつながりということでお招きしました。

KIITOのカフェ空間が、1晩限定でお菓子の森に変わりました。森の中にある、動物をヒントに、親子でちからを合わせて、12種類のフランス伝統菓子を探し、クイズに答えていきます。後半では、おやつの時間と林さん、サタケさんのコラボレーションについてお話を伺い、参加者から2人への質問なども受付ました。

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会場の入口では、サタケさんデザインの中が12個に区切られた空のお菓子箱が配られました。会場内は天井から動物や葉っぱなどカラフルなモビールがたくさん吊り下げられ、テーブルにはクマやリス、フクロウ、木の実などが装飾されています。

早速、お菓子集めが始まりました。お菓子箱の中には12種類の動物のイラストが描かれており、それをヒントにお菓子を探します。テーブルに置かれているお菓子のそばには、そのお菓子がフランスのどの地方で生まれたもので、どのようなお菓子なのかを説明したパネルもあります。参加者は会場内を歩きながらお菓子を見つけました。お菓子を探す間には、クイズも3問出題されました。「『クサン・ド・リヨン』というお菓子があるリヨンというまちの盛んな工業は?」。選択肢は、家具工業、絹工業、アーモンド工業。正解は…絹工業。お菓子を探しながら説明パネルを読んでいれば答えが分かる問題になっています。全問正解者には林シさんより、12種類のお菓子のほかに、特別なお菓子がプレゼントされました。

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11種類のお菓子を詰め、その後は、おやつタイム、林さんサタケさんによる今回のコラボレーションについてのトークです。おやつには、イチゴのショートケーキとアイスクリームが配られました。トークでは今回のアイデアがどのように生まれたのかについて話しました。KIITOでは大人向けのイベントが多いため、子どもが夜遊びするような、非日常を体験することはできないかと、林さんの意見からスタートしました。林さんはフランスのポスター画家であるサヴィニャックが好きで、サタケさんのイラストにサヴィニャックとの共通点を感じたそうです。
参加者から、パティシエやデザイナーを志すきっかけについて質問がありました。林さんは幼少期からつくることが大好きだったこと、お母様がよくおやつをつくってくれたことがきっかけでパティシエを目指したそうです。サタケさんは絵を描くことを仕事にしようと思ったのは、大人になってからであるが、物心つく頃から絵を描くことが好きで、そのまま仕事になっているとのことです。

最後に、12種類目のお菓子をもらうための仕掛けがありました。会場内にはサタケさんがデザインした動物がたくさんいるのですが、1匹だけお菓子箱のイラストにいない動物が隠れていました。それを答えないと最後のお菓子がもらえず、帰ることもできません。参加者は皆必死に会場内を探し、その動物を見つけ、無事に森を出ることができました。終わりには、カクシデザインのギョームさんよりフランス語での「ありがとう」を教えていただき、みんなで「Merci」といって別れました。

お菓子箱は家に持って帰り、家族や友達とどんなお菓子か楽しみながら食べてもらえればと思います。普段とは異なる空間で、親子でフランスの伝統菓子を学ぶ機会となりました。参加者からは、次回の開催を期待する声もありました。

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12種類のフランス伝統菓子とおやつタイムのケーキ

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カシュカシュの森、オリジナルお菓子箱と会場装飾のモビール

Photo:岩崎暁子

Meets+Design 林周平×サタケシュンスケ「カシュカシュの森 ~お菓子の森でかくれんぼ~」
http://kiito.jp/schedule/event/article/10939/

2014年11月30日(日)

KIITO 1Fのカフェにて「ピクニック」をキーワードに、参加者のみなさんと、秋を彩る空間演出と共に「食」を楽しむ会を開催しました。
今回はお弁当の料理を、奈良の生駒を拠点に地元の新鮮野菜を使いできるだけ体に優しいごはんを提供しているMAHO-ROBAさん、空間は、ノスタルジックでロマンティックなスタイリングを得意とするスタイリストの村上きわこさんに用意いただきました。
五感で秋を感じる仕掛けをしつつ、個々にピクニックへのワクワクとドキドキを持って集まった人たちが、楽しく集う空間を演出しました。


まず、ワークショップにてお弁当箱に巻く帯を参加者それぞれでコラージュをしました。村上さんが用意したスタンプや木の実、マスキングテープや紐を使って秋やピクニックをキーワードに帯を作りました。


その間、会場となるカフェでは、MAHO-ROBAさんの手によりお弁当の準備を進められていました。
料理の並ぶテーブルが秋の味覚で彩られてゆきます。


帯が完成したあと、いよいよ会場に移動です。
会場は秋の植物や、カトラリーのシャンデリア、森をイメージした木々など、様々な装飾で彩られ、会場に踏み入れた参加者からは感嘆の声が上がりました。
入口には落ち葉が敷かれ、「落ち葉を踏みしめながら音と共に秋をお楽しみください」という村上さんの演出がありました。
会場を奥に進むとテーブルに3つの大きなお弁当箱があり、それを取り巻くように料理が華やかに盛りつけられています。
参加者が全員集まったところで料理についてMAHO-ROBAさんに説明いただきました。
メニューは

・人参と菊芋のポリポリサラダ
・水菜とりんごのレモンサラダ
・鹿尾菜とアボカドのマスタードマリネ
・生姜金平
・トマトと菊芋のペンネ
・里芋蒸し山椒酢味噌で
・ネギの玉子焼
・大豆ミートの唐揚げ
・鹿尾菜のハサミ揚げ
・冬キャベツの春巻き
・鮭の豆腐ハンバーグ
・梅玉コロッケ
・ほうれん草のコロッケ
・玄米おむすび
・炊き込みおむすび
・小松菜と黒豆のおむすび
・カリフラワーのポタージュ スパイシービーツの雫
・キャロブの豆腐ケーキ 柿とりんごのソース

と、たくさんの料理が用意されました。
説明いただく中で大きなお弁当箱のフタが開かれるごとにテーブルがより秋らしさを増してゆきました。


いよいよお弁当箱にそれぞれ料理を選んで詰めてゆきます。
参加者がそれぞれ食べたい料理を選び、詰め終わったあと先ほど作った帯を巻き、自分だけのお弁当の完成です。
みんなで「いただきます」を言い、食事をスタートしました。
素材の地の味を活かした料理なのでとてもシンプルな味付けですが、その分、食材自身が持つ美味しさがダイレクトに伝わるように調理してありました。参加者からは「地の味を活かしたお野菜の料理がたくさんあり、一品一品楽しみながら食べられてとても嬉しい。」と感想をいただきました。

食事が終わったところでMAHO-ROBAの室屋さんと村上きわこさんに今回の料理について、そして会場演出についてお話をうかがいました。


その後、デザートとお茶をいただきました。
最後にみんなで「ごちそうさま」を言い、ピクニックはお開きとなりました。


photo:伊藤かおり
Meets+DESIGN WONDER PICNIC  PICNIC IN THE ROOM.
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