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2013/11/18

イベントレポート

+クリエイティブゼミvol.7 防災+まちづくり+観光編 第10回ゼミ レポート

2013年10月1日(火) 

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最終発表会が行われました。7月から約3か月、リサーチやフィールドワークと議論を重ね、神戸(三宮、元町、ハーバーランド)にはどのような津波避難情報板が必要なのか、あらゆる視点から考えてきました。発表では神戸市危機管理室の方に、新たな看板や津波避難の担い手の育成など提案しました。発表後には、それらのアイデアを実際にどのよう展開し、実現に向けていくかについて、神戸市危機管理室の方を交えながら議論しました。

■発表内容
A班|看板(ツール)

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看板をつくっていくにあたり、中長期的な視点で、「知る」→「気づく」→「広がる」という流れで考えました。
「知る」:津波避難時の目安を、山側を東西に走る「山手幹線」以北とし、その道の新たな名称を公募します。公募をきっかけに存在や新しい名称の周知を図ることができ、また現在配布されている観光マップにもラインを入れることで、来街者への周知にもなります。
「気づく」:駅前や主要施設など鳥瞰図や3Dプリンターを用いた立体マップなどを設置し、津波発生時の避難方向が一目でわかるようにします。鳥瞰図などインパクトを持たせることで、よりマップの存在に気づきやすく、見てもらうことができます。土地の高低差を強調することでさらに避難方向を分かりやすくします。
「広がる」:都心部の津波避難マップの完成版をつくり、それをオープンソース化し、誰でも自由に利用できるようにします。汎用性のあるマップとして制作し、三宮、元町、ハーバーランド各地区においても、地域防災に取り組む際の基盤となるようにします。同一のマップを使用してもらうことで、イメージを統一でき、市民に伝わりやすくなります。津波時に安全な領域と推定される山手幹線以北までの移動時間や距離、ルートなども記載します。

その他、ステッカーキャンペーンとして、設置場所の海抜表記に加え、予想される津波の高さや設置場所までの津波到達時間の予測を入れます。これらは既存の看板に寄生していき、コンビニや自動販売機、郵便ポスト、ランニング用看板等を検討しています。また広告枠を設けることで、企業がCSRの一環として関わることもできます。

まずは知ってもらうためのマップ作成、次に気づいてもらうための仕掛け、そして広げていくための仕組みと段階的に進めていき、キャンペーン化へ、そして街に自然発生的に広がっていく意識が生まれ、神戸が防災で全国の先駆者になっていければと思います。

B班|キャンペーンや担い手育成(プログラム)

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完成した情報板をいかに役立つものにするか、認知度を上げ、運用されていくものるためにはどうしたらいいのかを考えました。
看板を設置しただけで来街者に本当に見てもらえるのか、迅速、かつ的確な津波避難行動をとるためにあらかじめ知っておくべきことを一方的に伝えることで、どれほど理解してもいらえるのか、ただ「伝える」のではなく「伝わる・つなぐ」津波避難行動にしていきたいと思います。また人が介在して、しっかり伝える、努力をして交わりながら、信頼される人、信頼される街に育てていこうと思います。

・都心部における来街者の目的
市内:主にショッピング、通学、通勤などが考えられ、つねに生涯顧客です。
市外:観光、ショッピング、ビジネス、学会、里帰りなど。来街頻度は低いが、リピートや紹介をもたらす顧客です。
・来街者の対応窓口
市の職員やボランティア、事業者、震災の経験から、公助の限界、自助の大切さを、身を持って知っている神戸市民などです。
・街をブランドにする活動
もっと伝える「担い手」を増やしていくためには学生の力が不可欠です。学生が参画することでのメリットやモチベーションを保ちながら取り組む仕組みづくりが大切です。若者の視点を取り入れることで活性化にもつながり、今までの防災訓練のマンネリ化も防げるのではと思います。
津波避難誘導ができ、街の防災について話すことができる資格制度をつくり、有資格者を明示するステッカーやバッジなどで認知度や注目度を上げていきます。またモデル地区やモデル業種を定め、協業します。すでに協力関係にある団体をパートナーとし展開します。地元の人自身が、まずは自分たちが避難できるようになることが重要です。しっかり理解することで来街者へも伝えることができるようになります。それらの活動を通して、もう一度自助や共助というものを考えていく仕組み、神戸ならではの避難方法をつくっていきたいと思います。

津波避難情報板を風化させないためには、つねにマニュアルや計画を見直し、改定し実情に合わせてメンテナンス、改善していくことを運用方針とします。また災害弱者と呼ばれる外国人や要援護者などの様々なコミュニティが参加したいと思えるよう門戸を開き、コミュニケーションを促します。

・スケジュール(看板披露までの6か月間)
3か月間を準備期間として、制作チームや企画チームなどに分かれ、勉強会を開催します。またモデル地域やスポンサー企業の担当者などの参加を促します。その後、防災講座や東北からゲスト団体を招き、交流会を行い、当事者の防災意識を高めます。看板披露前の3週間を津波避難誘導実践キャンペーン期間として、商店などはツールを活用し、地域では啓発イベントを開き、チラシなどを配ります。看板設置後はそれを使い実際に避難訓練を行い、活動を検証し、次回の津波避難の取り組みに向けて計画を進めていきます。

C班|

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・既存の看板利用
街中にある観光案内看板は余り目立たなく、活用している人は少ない、そこで既存の看板のシルエットがキリンに見えることから、キリンの模様でラッピングし、子どもにも興味を引き、目を向けるきっかけを作ります。
・重ねる観光マップ
既存の市街地図は観光案内が中心になっています。このマップを活用し、レイヤーを重ねる構造で、津波情報を表示します。レイヤーにすることで、伝えたい情報を分けて表記することも可能です。屋外用の塩ビフィルムを使用することで耐久性もあり、更新などの作業も容易にできます。またそれらの情報を既存の観光マップに挟み込んだりすることもできます。
・数字で表す津波情報
「?」と思わせることが重要だと思います。津波避難の情報を記号的に伝え、まずは興味を持ってもらう仕掛けとしてできる限りシンプルにします。

■講評|
神戸市危機管理室
いろいろな手法が出ており、津波避難についても良く調べられていると思います。市民との関わりをつくり、津波避難について街に自然発生的に広がるのはとても大切なことだと感じました。避難の基準として「山手幹線」という目標が本当にいいのかについては、もう少し議論が必要ではないかと思います。鳥瞰図や立体地図は、市民や来街者にとってもも興味を引き、知ってもらう仕掛けとしておもしろいと感じました。情報板だけでなく、それを活用し、広げていく担い手の育成もとても重要です。また新たに作り、終わりではなく、バージョンアップやメンテナンスなど関わりを継続させるのもいい発想であるが、その仕組みをどのように構築するかが今後大切になってくると思います。

永田宏和|ゼミ講師
ゼミを通して事業者や団体にヒアリングを行い、その結果、津波避難について、正確な情報を求めているように感じました。これだという目標や目印が必要ではないかと思います。またキャッチコピーを用いて、ここまで逃げようといった伝え方も重要になってきます。今回いろいろでてきたアイデアやフレームを活かし、今後も継続して、より具体的に津波避難看板や担い手育成の仕組みづくりを進めていきます。

+クリエイティブゼミvol.7 防災+まちづくり+観光編
「神戸発:日常的にも活用される津波避難情報板を企画する」

http://kiito.jp/schedule/seminar/article/4227/