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2015/1/16

イベントレポート

+クリエイティブゼミ vol.12 まちづくり編 「これからの公園のあり方について考える。」 第6回 レポート

2015年1月13日(火)

「これからの公園のあり方について考える。 ~高齢化するニュータウンにおける公園を事例にして~」(公園ゼミ)の第6回目を開催しました。今回は中間発表です。

各班5分の中で、用意したスライドを見せながら、対象地の公園リニューアル案を発表しました。
各班ごとのプレゼンテーションの後には、ゲストの神戸市建設局公園砂防部計画課・広脇課長、福田係長と、講師で副センター長の永田からの講評がありました。

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【A班】
「屋根のある公園」。
対象地の公園は、くつろげる場所がなく、普段あまり使われていない。→まずは人が集まる場所に変えよう!多世代がくつろげる、楽しめる場所に。
「屋根」を作ったら、みんなが公園に対して持っているふんわりとしたニーズが具体化していき、出来ること・やりたいことが増えていく。屋根からストーリーがはじまる。
今すでに地域で行われている活動(ふれあい喫茶、公園掃除、園芸講習会)が、公園でも実施できる可能性が生まれ、もっと楽しくなり、広がる。
屋根にペイントするなど、カスタマイズできるようにして、子どもの参加を誘導する。

講評:
・アイディアはおもしろい。親子、お年寄りなどに特に良いと思う。
・居心地が良い場所を作ると、占有してしまう人が出てくるので、その問題は検討が必要。
・具体的にどういう人たちをどのように引っ張ってくるかのしかけをもう少し考察してほしい。ソフトとハードをどうつなげるかが今後の課題。
・プレゼンで使用している写真が魅力的じゃない。もう少し事例を探したほうがいい。建築家の庭で、仮設のタープを設置していたのが、とてもかっこよくて気持ちいい空間だった。常設か仮設かでもプランニングが変わってくる。

【B班】
「おとなの小学校」を作る。
現状の問題:世代間のコミュニケーションが少ない、地域の活動はあるが、入りにくい雰囲気がある。→地域住民が利用しやすい、もっとオープンな場所・大人がおもいっきり遊び、学び、楽しむ場所=おとなの小学校を作る。大人の「本気の背中」が子どもの学習につながるし、活動の場が公園になることで、世代間のコミュニケーションが生まれる。
地域が持っている力・無形資源を掘り起こして活用。団塊の世代のチームワークを活かし、既存団体やアクティブシニアに活躍してもらう。
多彩なプログラムを実施。例:「わざわざ交換会」「あなたの特技を教えてください」、日替わり○○教室、本気でバームクーヘンを作る/本気の園芸教室、本気で草引き

講評:
・「おとなの」という視点がいい。全体をコーディネートする、地域の中心人物がいないというのがどの公園でもある問題。具体化には、それをどうするかの考察があるといい。青空教室みたいなものはよい。タープのような簡易なものでも実現できそう。
・ハードをどうするか、もう少し聞きたかった。現状のアイディアは、特に施設が要るものではないから、今の公園でも実現できてしまう。それでは今の公園の何が問題なのか、という考察がさらにあると、より深いものになると思う。
・そこに行きたくなる・学びたくなるしかけの新しい可能性を考えてみてほしい。学校や教室には、どういう要素があるか、そこと公園とのギャップ、公園に活かすのに必要な要素のスタディを進めて、煮詰めていってほしい。

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【C班】
「コミュニティガーデン+クリエイティブ」
身近な人にアンケートを取った結果、やはり緑・自然が公園の大切な要素にあがった。→「管理も利用も楽しめる自分の公園」を作る。
自分の庭みたいになれば、管理も利用も楽しく、関心が高まる。公園全体がガーデニングの場になるイメージ。収穫した作物でさまざまなイベントを企画・開催する。
例:たぬき村(東京)、はぐくみの庭(川崎市)

講評:
・コミュニティガーデンは楽しい部分だけじゃなく、プロセスの中で、しんどい部分が絶対ある。しんどい部分をどう楽しく変えていくかのアイディアが必要。
・市民花壇でさえ、ものすごい労力が要る。規模感をもう少し現実的に考えて、はたして公園全体を花壇にするにはどれだけの労力がいるのかをイメージしてみてほしい。整理が必要だと思う。「管理を楽しく」という視点はとてもいいので、コンセプトを大事にしてほしい。神戸市でも管理の問題は日々、頭を悩ませている。コミュニティガーデンは神戸でも広がりを見せている。その中で、スケール感の話と、ガーデニングオンリーでほんとうに活性化が出来るのか、ごく一部のガーデニング好きが満足して終わるようなことにならないか、等、コミュニティガーデンで地域のみんなが楽しくなるような、もう一工夫を考えてほしい。
・公園ゼミでやるなら、コミュニティガーデンそのもののあり方の新しい提案が欲しい。コミュニティといってもとても深い。地域特性やバリエーションなど、よりリサーチしてみてほしい。ガーデニングに特化するのもいいが、偏り過ぎずにリサーチを進めて、対象地にふさわしいコミュニティのあり方を考えてみてほしい。

【D班】
「公園×リビングルーム(ピザが作れる公園)」。
街区公園=地域のコミュニケーションの場。日常的に利用できるものであるべき。自然と人が集まる場所=リビング。充実感は、「個人の楽しみ+他者との時間の共有」で生まれる。
→ピザを作ろう!
ピザに特化した野菜を育て、それを収穫して食べる。ハーブも育てて、収穫までの空き時間には、ハーブを使ってお茶も淹れられる。収穫は失敗する可能性もあるが、できなかったことも相談して乗り越える。
公園=「おいしいピザを作るために共につくる場」と考える。地域のコミュニケーション向上になる。

講評:
・リビングルームという発想はおもしろい。里山管理などでは似た事例もある。それを公園でやる必要があるのか、公園の「空間としての使い方」のイメージをより練り込むといい。プランを空間に落とし込めていないから、サンプルを集めたりして、イメージを膨らませていくといい。
・きっかけとしてのピザはおもしろい。ピザならピザに特化して、ピザ釜をつくるとか、考えてみるのもいい。そのとき、地域について掘り下げるといい。どういった人たちを主体としてイメージするかは大事。
・プレゼン方法はもう少し整理すべき。

【総評】
・ソフト寄りのアイディアが多かった。それぞれ、キーになる部分があり、オリジナリティある提案だった。ソフトの方向性は今のままでいいと思うが、ゼミのテーマは「公園」だし、せっかく具体的な公園が設定されているので、最終的には空間に対しての提案を考えてみてほしい。
・最終的なプレゼン案にはリアリティはもちろん必要だが、みんな、公園をどうしたらよくできるか悩んでいる中で、なかなか打開策が見つからない。だから、もうちょっと振り切ってもいいと思う。情報収集のアンテナを張り巡らせて、サンプルをもっと集めて、企画を具体的に膨らませて、いい提案にしてほしい。考えたりリサーチすることは、一番わくわくする作業だと思う。時間はかかるが、うまく時間を使って、「空間のプランニング」に落とし込んでみてほしい。

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プレゼンテーション~講評の後は、広脇課長より、現在神戸市の公園管理に取り組む立場から、これまでの事例や抱えている悩みについて、短いレクチャーをしていただきました。

公園の機能には、「存在することで発揮できる機能」「利用することで発揮できる機能」がある。新しく一から作る公園(西神ニュータウンなど)の場合、設計では、公園に入れる機能(「休憩」「遊具」「運動」など)を考え、ゾーニングを行う→第1回計画で図面、パースを作成する→動線、ゾーニングの修正→最終計画図の作成→模型の制作 という流れを踏む。
震災復興後の公園づくりでは、ニュータウンのように更地にではなく、既存の市街地で公園を作ることになる。その場合、6,7回のワークショップを経て、住民の意見を聞きながら作る。ニュータウンと震災復興後の公園の作り方で、いちばん大きく違うのは、住民の意見を取り入れるかどうかとういうこと。

公園管理の原則は、「誰でもいつでも使える」「公園には建物を建てない」「勝手になくしてはいけない」「植栽による緑化をはかる」「安全でなければならない」「利用に支障があることはしない」。細かいように見えるが、解釈の幅がある。ケースに応じて柔軟に捉えることができる。

公園が抱える悩みは、遊具・施設の劣化による補修や、樹木の管理。公園がある地域の特性をよく見極めることが重要。遊具の補修をしたら、子どもがいないと思っていた地域に子どもがたくさん現れた、という事例もある。
公園は、自由に使えることが原則だが、地域のルールの中で使用しなければいけない(犬の放し飼い、ボール遊びなどにはルールが必要)。住民のコンセンサスをとることが重要。自由な発想があってもいいと思う。

公園は市民の財産であり、市民が正しく使い、活かす施設。人と自然の接点になる場所。これから公園をどうしていくべきかは行政でも大きな課題になっている。機能を特化させたものにするなど、行政でもさまざまな可能性が検討されている。

レクチャーの後に、次回以降の検討事項を各班で整理する時間を設けて、今回は終了です。
今回は、終了後に懇親会を開催しました。ゼミでは各班ごとでの話し合いが主ですが、懇親会で個々で情報交換し、親睦を深めました。

次回はグループミーティングの回です。中間発表で出てきた懸案事項を、ブラッシュアップしてもらいます。

+クリエイティブゼミ vol.12 まちづくり編 「これからの公園のあり方について考える。 ~高齢化するニュータウンにおける公園を事例にして~」
http://kiito.jp/schedule/seminar/article/10142/