2015/1/28
イベントレポート
2015年1月27日(火)
「これからの公園のあり方について考える。 ~高齢化するニュータウンにおける公園を事例にして~」(公園ゼミ)の第8回目を開催しました。今回は、最終発表前の最後のグループミーティングの回です。
前回までの間で、対象公園で公園管理を担当されている地域住民の方と、講師の永田がお話しする機会があったため、その報告を行いました。
定期的に開催するふれあい喫茶はとても人気/手芸品などが多く出品され人気のフリーマーケットスペースがある/地域で行なわれる活動(園芸講習会など)はあまり積極的な参加が見られず、同じ顔ぶれが参加することが多い/「手伝う」と言ってくれる人はいるが、「主体的に何かやりたい」という人は少ない/時間を取られたり、負担が大きくなりそうなことは敬遠される など、地域で行われている活動、そこに参加する層などについて、プラン推敲のヒントになりそうな地域の状況についても聞くことができました。
今回も、たっぷり時間をとってグループミーティングを行い、最後に、班ごとに進捗状況の発表をしました。
【A班】
公園の段差を利用し、布で屋根状のものを作る。単なる屋根ではおもしろくないので、柱を立てて、ロープの張り方によっていろいろな屋根の形を作れるようにする。さらに、設定したグリッドを基準に、後から柱を増やせるようにすれば、遊具やベンチへの改造ができたりして、用途を増やし、表情を増やすことができるのでは。遊具のリニューアル事例なども参照して、時代のニーズに対応できるようなかたちで提案したい。
ソフト面は、既存の活動(ふれあい喫茶など)を屋根の下で楽しんでもらうことを想定している。柱やタープは、子どもに色を塗る・デザインするなどしてもらい、一緒に関わってもらう。
永田コメント:大きな屋根の下でどのようなアクティビティの可能性があるか、提案してあげないと、イメージしにくい部分もある。アクティビティのイメージが伝えられるようなプレゼンテーションにしてほしい。言葉以外の表現方法も考えると良い。
【B班】
「わざの交換」について事例を調べた。しっかりした「勉強」というより、技の見せあいっこのようなイメージで、ハードルを低くしてお互いに楽しめるようなものにしたい。ああ、なつかしいね、となるようなものにしたい。事例を参照しながら、対象公園ならではの「おとなの小学校」ができるようにしたい。
ハード面では、小学校の運動会で使われているような、おそらく今はあまり使われなくなっているであろうテントをうまくリノベーションして、時計台がある古い小学校のイメージを活かしたものを作る。近隣の学校と協力して、「おとなの学校」を子どもが作る、というのもおもしろい。それを象徴的なものにして、その中では、いわゆる学校で行われそうなアクティビティ(校歌を作る、書道、写真、けん玉)を行う。いきなり「教えて」ではハードルが高いので、シニアの「教えたい欲求」を上手く引き出せる場所にしたい。
永田コメント:地元へのヒアリングでは、「技」を引き出すのはかなり難しい印象があり、二段階(まず集まる場所を作る→誰かと話しているうちに、そんなことができるの?という会話が生まれる)が必要では。間をつなぐ人が必要なのかもしれない。そのあたりのリアリティの方が大事ではないかと感じている。「あぶり出すしかけ」のリアリティを考えてみては。
【C班】
前回、レンガを使って、何かを作る→作るプロセスを経ることが愛着につながり、管理を楽しめるのでは、という案になったので、活用例を考えた。モザイクアート(レンガに色を塗って、テーマに基づいた絵を作ってみる)やピザ釜など。ジャストアイディアだが、「足湯」は人が集まるのでは、「足湯」をみんなで組み上げる、そこで生まれる諸問題をみんなで解決することで、みんなの意識の中に公園が落ちてくるのでは、という話にもなった。考えていく中で、「参加意識」「健康」がテーマとして抽出された。テーマをどうハードに落とし込むかを考えている。
安易にまとめずに、粘って、深く掘り下げる部分は掘り下げたいと思っている。
永田コメント:掘り下げは大事だが、最終発表が来週に迫っているので、あまり振り出しに戻り過ぎずに、レンガで決めて考えるとよいと思う。「足湯」がまだわからない部分があるが、そこに必然性が出てくれば、良い方向性になっている。「健康」をテーマに設定するのは、対象公園の特性から考えると良いこと。いろいろな要素が出ているが、イメージを結べていないようなので、粘ってなんとかイメージを紡いでほしい。
【D班】
ピザをテーマにする、とはいえ、なかなか理解しづらいと思うので、まず、食べる楽しさ、作る楽しさを提案するイベントを開催したい。地域のピザ職人やパン屋さんを招いて、一緒に焼いて作る。立食スタイル。食器類は自分のものを作って食べる。
大事に考えているのは、このイベントが単発で終わってしまわないようにすること。継続的に開催して、人が集まって、公園ってこんなことができるんだ、自由に使っていいんだ、と意見を出してもらうきっかけにしたい。最終目標は、このイベントを通して、公園がみんなのリビングルームになること。ハードはあまりいじるつもりはなく、既存のものを利用して自由度を高くしてやっていきたい。
永田コメント:職人を呼んで、「派手にやったな。で?」という感じにはしたくない、という班の思いはわかる。地域では、やろうと思えばがんばれるけど、しんどいのは避けよう、という空気になりがちなので、「ちょっと」がんばったらできる、という程度の仕立てにして、地域に渡してあげるといいと思う。職人にも相談して、やり方を考えるといい。
次回はいよいよ最終発表です。対象公園の地域住民の方も講評ゲストにお招きして、プレゼンテーションをお聞きいただきます。
+クリエイティブゼミ vol.12 まちづくり編 「これからの公園のあり方について考える。 ~高齢化するニュータウンにおける公園を事例にして~」
http://kiito.jp/schedule/seminar/article/10142/