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2015/10/10

イベントレポート

LIFE IS CREATIVE展 トークセッション「高齢社会における、人生のつくり方。」レポート

2015年10月4日(日)

博報堂新しい大人文化研究所の統括プロデューサー阪本節朗さんと、株式会社木楽舎「孫の力」編集門前貴裕さんを迎え、デザイン・クリエイティブセンター神戸の永田宏和をモデレーターに、わくわくする高齢社会をどうつくっていくのか、クリエイティブの力でどのようなアプローチができるのかについて、事例をまじえながら、意見交換を行いました。

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はじめに、阪本氏より、今高齢社会に起きている変化について、以下のようなお話をしていただきました。

現在、かつて流行をつくりあげた団塊世代が、高齢を迎えている現代において、高齢者の人生観は大きく変化しています。
これまでは、仕事を退職し、静かに余生をおくる。という意識の人が多かったが、現代は、高齢を迎えたからこそ、人生の最高の時を送りたい!と考える人が多くなっています。
高齢者を取り囲む環境も変化しており、「面倒を見られるお年寄り」ではなく、消費の主役であり続け、他の世代の面倒を見る人が増えているという現状があります。活力のある日本をつくるための鍵をにぎっているのは、まさにこの世代です。

高齢者層の活発化により、今後は、「子育て支援」や、「若者起業支援」など、3世代のクロスジェネレーションによる新しい活動が期待されます。世話役、先生役、相談役など、定年後に得ることのできる「新しい役割」が現代には多くあり、高齢者の活躍の場は、今後も拡大していくことが予想されるとのことでした。

また一方で、定年を迎え、会社以外のコミュニティを持っておらず、孤独な生活を送っている高齢者も多くいるといいます。そのような高齢者は、特に男性に多く、他者と上手く関われず、頑固になりすぎる人が多いのだそうです。
これを解決するためには、周囲の人々が声をかけ、地域や友人のコミュニティを作り、コミュニケーションを積極的にとることが必要とされます。他者と会話をすることは、大きなモチベーションになります。これによって、独居老人や孤独死などの課題も解決に導くことができるのではないかとのことでした。

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次に、門前さんより、『孫の力』がどのように創刊されたのか、これまでに『孫の力』に登場したシニアのみなさんの人生観をまじえながら、ご紹介していただきました。

『孫の力』は、2011年に創刊されたシニア向け雑誌です。2013年にリニューアルし、アートディレクターに寄藤文平さんが就任しました。『猫を抱いて死にたい』『東京五輪を見てから死ね』など、表紙を飾る特集名が毎号とても個性的です。

終活やエンディングノート等、これまでのシニアマーケティングでは「死」に向かってどう進むかを考えるというものが多かったのですが、これからは、「死」という決まった事項から逆に考え、それを踏まえた上で今をどう生きて行くのかが大切なのではと考え、前向きな高齢社会を提案をする、他に類のない雑誌として注目されています。

定年が65歳にのび、60歳前後と言えば、まだ「高齢者」とはいえない時代となりました。むしろ当事者自身が「いかに年をとるか」「いかに人生を充実させるか」を考えるべき年齢といえ、「孫」とは、その変化のシンボルになりうるのではないか。「孫がいるから楽しい」という心理も当然ではあるが、晩年であっても、自分の人生は自分の人生。年を重ねることとしっかり向き合い、今を充実させ、楽しく生きていくことが、孫の未来にも繋がるのではないかとのことでした。

中でも門前さんが『孫の力』で大切にされていることは、理想の自分をしっかり持っているという事だといいます。掲げた理想と現実にギャップがあれば、それを無くすために、意欲をもって何事にも挑戦し続ける事ができるのだそうです。

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最後にモデレーターの永田からの、これからの高齢社会においては、高齢者自身はもちろん、私達若い世代も、この課題を自分ごととして捉え、つなぎ手としての役割を果たして行く人材となることが重要になってくるのではないでしょうか。
見方を変えて行くことで、今後も高齢社会における新しい可能性はどんどん生まれていきます。
既存の概念に対して、少し角度を変えて捉え直すことで、結果的に大きな変化をもたらすことができるかもしれません。
との話でトークセッションが終了しました。
今回のトークセッションでは、そのヒントとなるお話をたくさんいただくことができました。


LIFE IS CREATIVE展 トークセッション「高齢社会における、人生のつくり方。」
http://kiito.jp/schedule/event/article/13748/

LIFE IS CREATIVE展 高齢社会における、人生のつくり方。
http://kiito.jp/schedule/exhibition/article/13681/