2015/10/21
イベントレポート
2015年10月11日(日)
オールドタウンラボのリサーチをしていく中で課題としてあがっていた、「高齢者の地域での役割」や「高齢者と若い世代がコミュニケーションとる方法」のアイディアを、参加者と一緒に考えるワークショップを行いました。
最初に、まちの中で高齢者に対するアクションを起こしている事例、高尾台(神戸市須磨区)と鶴甲(神戸市灘区)の活動内容を紹介しました。
■ 事例:高尾台(発表者:KIITO)
KIITOにて2013年に行った「+クリエイティブゼミvol.3 まちづくり編」で提案されたアイディアをもとに、神戸市須磨区の高尾台・水野町まちづくり協議会が主となり、地域を巻き込んだ企画を、定期的に開催し、子どもと他の世代が一緒になって楽しめる企画を実施しています。地域のコミュニティーを形成すると共に、町の安全を図っています。まちづくり協議会のメンバーが地域のコーディネーター役を担い、自らの「高尾台でこれをやりたい!」という小さなたくさんの夢を、様々な世代を巻き込みながら実践していくことが、まちを元気にすることにつながっています。若い世代が移住し地域の子どもの数が増え、町の活気が戻ってきていようです。高尾台は、600世帯で住宅のみの少し特殊な地域だが、このまちの活動には、地域で元気な高齢者が活躍していけるヒントがたくさんあります。
■ 事例:鶴甲(発表者:神戸大学大学院人間発達環境学研究科准教授 片桐恵子)
六甲山系の中腹にある、人口約5,100人の神戸市灘区鶴甲地区は、31.7%が65歳以上。同地区にある神戸大学が中心となり地域と連携し、大学の人的・物的・空間的リソースと地域住民の人的リソースを総合的に活用することで、住民が心身ともに健やかに安全に暮らせるまちづくりを目指した取り組みを行っています。住民へのアンケートによるヒアリングやタウンミーティングを数回重ね、住民のニーズにあったアカデミックサロンを定期的に開講。各プログラムを通して、住民同士のネットワークを形成するとともに、サロンを継続していくための担い手育成や、住民主体の活動の支援を行っています。
後半は、5~6人のグループ3チームに分かれ、2つのお題「地域の中にある、イベント、仕事、役割とは?」「高齢者と他の世代が一緒にできるプログラムを考えてみよう」についてグループディスカッションを行いました。
各班、学生から高齢者の方まで幅広い参加者が集まったため、各世代から意見が出たため、お互いに気づきがとても多いディスカッションとなりました。
■ 地域の中にある、イベント、仕事、役割とは?
地域の中でのイベントは、どの世代も比較的共通で、盆踊り・町内会の運動会・火の用心・お花見・公園掃除などの意見が出ました。その他、あまり最近は少なくなったが、昔は地域のみんなで住民のお葬式の準備をしていたという話があり、必然的に隣近所とのコミュニケーションや世代間での交流があったそうです。
地域の役割では、その地域に長く住んでいる人が地域のキーパーソンになる場合が多いという意見が出た一方、1人の人が長く地域の役割を担い過ぎて、うまく世代交代ができていないという課題も出ました。
■ 高齢者と他の世代が一緒にできるプログラムを考えてみよう
<A班>
公園を使って、みんな(多世代)が集まれる場をつくりだし、関係性を生み出すというアイディアが出ました。例えば、高齢者が地域マイスターとして伝統技術を子どもたちに教えたり、青空カフェと称しちょっとしたお茶を高齢者が提供し若い親子が遊びにきたり、子どもから高齢者までが一緒になって畑づくりをしたりなど、日常の中で持続性のあることを重要とし、具体的なアイディアが述べられました。
<B班>
食はどの世代にもとても興味があるテーマなので、準備から多世代で行う「秋のご飯会」を実施し、1つの同じ目的をもつことで、自然とコミュニケーションが生まれることを考えました。準備の際には、昔ながらの調理方法や旬の食べ物の知識などの高齢者のスキルを若い世代が学んだり、ご飯会に直接来れない高齢者には子どもたちがご飯を届けるなど、多世代が交流する具体的な内容があげられていました。
<C班>
まず最初に、「高齢者を高齢者と呼ばず、〇〇さんと呼ぶ」という意見が出ました。それには、会場の誰しもが賛同していました。
提案は、学校とうまく連携を図り、コミュニティカフェを実施するという内容です。例えば、吹奏楽部が練習する際、地域の公園に出てきて練習をし、それを地域の高齢者の人たちが聞きに来れるようにする、その他、高齢者の人たちが語り部となって、地域の歴史や風習を若い世代に伝える場をつくるという話が出ました。
ワークショップの中で出たアイディアは、どれもぜひ実現したい内容ばかりであり、可能な限り神戸市内のどこかで今後実現できることを望んでいます。
※今回のワークショップのはじめからおわりまでを、グラフィックファシリテーターの石橋智晴さんに絵と文字で書き残していただきました。話しの中での重要なところを分かり易く書きとめてくださったので、前半の事例紹介で出たキーワードなどは後半のグループディスカッションでとても参考になりました。
LIFE IS CREATIVE展 オールドタウンラボワークショップ「いきいきとした地域づくりにおける高齢者の役割」
http://kiito.jp/schedule/workshop/article/14448/
LIFE IS CREATIVE展 高齢社会における、人生のつくり方。
http://kiito.jp/schedule/exhibition/article/13681/