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2015/12/29

イベントレポート

+クリエイティブゼミ vol.18 まちづくり編 これからの公園のあり方について考える part.2「公園×健康」 第6回レポート

2015年12月22日(火)

第6回公園ゼミは、現在のアイデアや方向性について、各班より中間発表を行いました。ゲストとして対象公園を管理されている地域の方、神戸市建設局公園部計画課の方にお越しいただき、講評していただきました。聴講の方も多く来られました。

 
A班
対象公園は、豊かな緑がある反面、暗い、怖い、危険という印象がある。生活圏にある近寄りがたいエリアになっているのではないか。きちんと手入れをし、明るく安心な公園に設えていく。地域にとって居心地の良い場所にし続ける活動、これを辞めてしまうと、元の公園に戻ってしまう。やり続けること、持続することに意味がある。テーマである「健康」とは、地域の健全性を持続させていく仕組みづくりではないか。仕組みについてはまだ考えている途中段階である。持続可能性では、次の担い手ということも当然ある。間接的な関係者の裾野を広げていくこと、イベントに参加する人、木々を手入れする人など直接的な人を対象にするのではなく、住んでいる人たち、危険を感じている人たち、その人々が明るい緑の公園になって良かったと思える人を増やしていく。森を明るくする活動をすることで、生まれた木の枝や竹などの副産物が、ゴミになる可能性もある。こういったものを小学校と連携して、図工などの材料として作品を作り、その作品を公園に返してはどうか。公園の中だけのサイクルではなく、一度出して、戻ってくる仕組みにする。樹名板を設置した際に、人の手が入っている安心感があると思った。その延長線上で考えると、小学生が作ったものが公園内に置かれ、関連性ができる、それを見たい親が公園へ行く。活動の痕跡があると、怖さが和らぐのではないか。痕跡を残す活動を繰り返していく。すべてを公園内で完結するのではなく、公園は出発点でありゴールであると考えている。

地域住民
とても論理的でスムーズに聞くことができた。共感するところが多かった。地域のまちづくりと連携して捉えている点、間伐材などの副産物をゴミにするのか、資源にするのか、持続可能性、次世代へのバトンタッチ、すべてテーマとして捉えていることが良い。腐葉土、薪、副産物については具体的に考えていかなければいけない。具体的な行動の展開については次のテーマだと思う。感覚が私と合っているので最終発表会も期待している。

地域住民
我々が頑張らなければいけないのは持続可能性である。夏には公園で、昆虫採集に来ていた親子がクワガタを捕まえていた。樹名板を設置した後に、地域の方が、私は樹名板で木について勉強していると話していた。目立っている木にしか樹名板を設置していないが、親子で調べてもらい、自分で樹名板を作り設置するのもありかと思った。メンバーも高齢化しているので次の世代に引き継ぐことがとても大切である。

神戸市建設局公園部計画課
渋みを聞かせた提案に感じた。持続可能性はこの森にとって大切な視点だと思う。木々を切るだけでなく、切ったものがどうなっていくのか、草を刈ったものをどうしていくのか、非常に現実的で分かりやすいが、法律上何も問題ない提案で、少し弾けた感じがない(笑)。他の団体との連携などの視点も多くあり、良いと思うが、もっと提案を膨らませてほしい。

永田
とても論理的なプレゼンテーションで、感心しながら聞いた。公園そのものの要素が、学校の教材になり、活動に生かせ、使いこなしてもらうことを考えると可能性が広がる。学校の授業などで、図工の時間に合うものもあれば、理科の時間に合うものもある。学校の授業と公園がどうリンクするかを考えると、学校へのヒアリングも必要である。大西さんと同じで他にどんな団体があるのか、連携してできることがたくさんあると思う。みんなが安心して使える場を、誰と、どんな団体と、どのように連携して、どんな可能性を広げるのか、考えて欲しい。

 
B班
我々の考える健康とは、体を動かすことでの身体的健康、笑いや楽しさといった精神的健康の2つを達成して健康になることである。2つの要素が達成されるために、たくさんの人が集まり、楽しいことをする場を公園が提供できないか。森の手入れを進め、休める空間を作り、公園全体が地域にとって居心地の良い場所になっていくことが重要である。公園を整備する中で、木を切る作業が遊びにならないか、整備に楽しく関わることで、参加者が公園に対し愛着が沸いていくのではないか。現在のアイデアは、秘密基地づくり、マウンテンバイクコースづくり、犬と遊べる空間づくり、プチハイキングコースづくりなど。この公園の森を管理するには、意識の高さが必要。楽しい遊びを加えることで、地域の人も参加しすくなり、森や自然へもより興味を持ってもらえるのではないか。公園の整備に楽しく関わることで、様々な人と接し、つながることが健康に対して良いアプローチになると思う。

地域住民
アイデアにあふれた提案であった。現地の特徴をしっかり捉えられていると思う。整備として木を切ることを遊びにするところは、共感するところが多い。実施が難しいアイデアもあるが、これから検討してみたいものもあった。公園管理には地域のボーイスカウトの子どもが年2-3回参加している。公園、森の利用は、整備をしっかり行い、明るい森にしてからと考えている。間伐した木の利用はまだ進んでおらず、我々も課題に感じている。

地域住民
参加者のほとんどは、70代、80代、90代と高齢である。参加している幼稚園の子どもは、公園整備の作業が楽しみで、毎回参加している。若い世代の人はあまり参加していない。若い人にも魅力のある作業ができたらいいのではないか、興味のあるアイデアがいくつかあった。間伐の利用は我々も課題に感じている。現在は切った木材をチップ状にして、公園内にカブトムシの培養場を作っている。

神戸市建設局公園部計画課
普段使い、イベント使い、ハレとケ、ケ(=日常)の仕掛けづくりを考えることも必要。地味かもしれないが、日常を通して公園を楽しむことも大切である。それは、犬の散歩とか、ジョギングなどかもしれない。イベントのアイデアは他にもたくさん出てくると思うが、そのイベントを誰が実施し、誰が参加し、誰が準備し、というところを練る必要がある。スタッフの必要数なども検討できる。また安全性についても掘り下げて考えてほしい。

永田
公園管理から、遊びにつなげるイベントアイデア集の提案になっている。これは良い、これはやってみたい思わせることが必要である。これを実施してはどうか、将来ならできるかもしれないというように、実施のレベル、企画の強度の差、時間などの問題もある。高齢者はできるのか、若い人を巻き込む要素があるのか、といった整理が必要。まだ見えていないサンプルがあると思うので、全国の先進事例も参考にしてほしい。

 
C班
健康にする対象を、人ではなく公園と捉えた。公園が健康な状態とは、活気があり、にぎやか、自生する動植物も元気な状態。誰がその状態を作るのか。地域の方々が関わっていくべきであり、公園ゼミ生も関わっていきたい。健康にするためには、公園の稼働率を上げたい、活動したイベントをまとめた表を作り、各イベントの間に新たなイベントを入れていく。アイデアとして、食材を育てるファームづくり、技術を学ぶ木こりサミット、公園内にはベンチが少ないので間伐材でのベンチを作り、野鳥用の巣箱や観測台、夜の活用として、音楽祭、映画祭など。開催するイベントタイトルも魅力的にすべきである。今後、継続する仕組みえを考え、自慢したくなる公園づくりを目指す。

地域住民
アイデア満載で、公園に対する愛情を感じた。バランスが取れている。人と自然がどちらも健康である、全く同感である。人だけが楽しむだけでなく、自然の保全問題も重要。人と自然とのバランスが取れている点に好感が持てた。地域には現状として、都会にしては緑が多く、池もある、人工物であるが、せせらぎもある。恵まれている場所にもかかわらず、自然があまり活用されていない。我々は、自慢したくなる公園にしたいと思って取り組んでいる。巣箱、野鳥観測台、夜の利用、映画上演などは私も温めている企画であるため、ぜひいいタイトルをつけてもらいたい。

地域住民
地域の方も意外とこの公園を知らない方がいる。樹名板をどこに付けるのかを決めるのが、私の仕事でした。剪定の際に、残してほしい木を切られてしまったことがある。樹名板は貴重な木を守る意味でも重要である。森の中でも生命の競争がある。蔦が木に巻き付いて枯れた木もあった。森は、いろいろな木があって、良いものと悪いものがあって健全な森となる。

神戸市建設局公園部計画課
良くまとまっている。夜の音楽会など、新しいアプローチが面白い。ファームづくりが気になる。公平性の観点から考えると、勝手に自分の土地以外で野菜を作るのはどうかという意見もあるので、バランスが重要。スケジュールを見える形にするのは、他にも例がある。自治会に張り出す、SNS、HPなどは様々な地域でトライアルしている。参考にしてみてはどうか。

 
総評|
地域住民
環境活動は理系であり、発表のアイデアは文系の発想、思考が強いと思った。活動のゴールとしては楽しさが重要であるが、自然相手、この公園は森である、100パーセント管理した公園にしたいのではなく、森、自然として残したい。こういった活動は楽しさを追及するあまり、生態系を無視した行動も良く見受けられる。環境NPOは楽しませることだけに注力してしまい、自然の摂理に反し、外来種を放流してしまう。科学的に間違ったことを行っている団体もある。専門性が必要なので、地域の方だけでは難しい部分もある。べ―スは科学的に正しくなければいけない、その上で楽しさがある。道を誤ってほしくない。人、街に良いだけでなく、自然へも謙虚であってほしい。最終発表に向けてこの辺りも配慮していただきたい。

永田
公園は、地域の大切な資産であり、一定の作法がある。楽しさの中に学びがなければいけない。公園が健康であることは本質である。自然とどう付き合うのか、ニュースポーツの話も興味がある。夜の活用も気づきであり、夜、森、公園の組み合わせはゾクゾクする。楽しい情景が浮かんだ。以前、シーツを張って映画を上映したことがある。当時の様子を子どもは今でもよく話している。家ではできないことは、一生の思い出になる。みんながゾクゾクするような地域向けのイベントを行い、地域の人が実施したいことを聞いてみる。やりたいことを実施できる仕組みを組み込めないか。各班バリエーションがあり、面白い提案があった。ゲストの皆さんからアドバイスをもらったので、地域に寄り添うようにアイデアをブラッシュアップしてほしい。

 
各班素晴らしい発表で、ゲストの方々も最終発表を大変楽しみにしているとのことです。講師の永田も「いい意味で期待を裏切られた」とコメントしています。次回のゼミは年末年始の冬休みを挟み、1/12(火)になります。

+クリエイティブゼミ vol.18 まちづくり編 これからの公園のあり方について考える part.2「公園×健康」
http://kiito.jp/schedule/seminar/article/14882/