2016/2/4
イベントレポート
2016年1月30日(土)、31日(日)
セルフ・ビルド・ワークショップ 「余白不動産-余白につくる小さな建築」の第3,4回目を開催しました。
「余白をDIY – 小さな建築を建てる」とした今回は、チームに分かれ、これまで考えてきた建築物を、いよいよ実際に制作する時間です。2日目には、ゲスト講師のNO ARCHITECTS・西山さんも駆け付けてくださいました。
前回との間に、講師のRAD・川勝真一さんと有志で予備設計作業の時間を設けました。この時間でアイデアがかなり具体的になったおかげで、必要な材料を用意して当日に臨むことができました。
「ラジオ収録ができるブース」
閉塞感がないように、角材で作るスリット状のパーテーションになりました。カーブを描いていて、可動性があり、軽やかなデザインです。仕事や学校で建築に関わっている人が多く、安定感のあるチームでした。
12 x 60 x 4000 mmの平たい角材を2mにカットして、片面を黄色に塗装していきます。
必要数100本。その後は、間をつないでカーブを形作る短い材料を量産。ひたすら単純作業が続きます。
電動工具(丸ノコ、インパクトドライバー)、塗装道具(ハケ、ローラー)などの道具は、使い始める前に、川勝さんから丁寧なレクチャーがありました。ボタンを押せばすべてOK!ではなく、道具の役割や特徴を知って安全な使い方を覚えることがDIYの第一歩です。
どうやって角材をつなぐのか?川勝さんから、布を貼ってつなぐ方法のアドバイスがあって採用されましたが、DIYの最中でも悩みつづけている様子でした。上部のカーブをどのような曲線にするかも、実際にイスを置いてみて、座った時に顔がどのくらい出るのかをシミュレーションしつつ、慎重に考えました。「ラジオブース」だから、電波みたいなかたちにしよう!という楽しいアイデアも。
パーテーション関連の作業が多く、テーブルをどう作るかが後になっていましたが、量産した片面黄色塗装の材料を重ねて、小口が天面になる、個性的なデザインのテーブルが仕上がりました。余った材料を利用してその場のアイデアで作ってしまう、というのもセルフビルドの力がついてきた証、と言えるかもしれません。
「アナログゲームルーム」
ゲームルームには、カードをめくりやすい天板のテーブルと、座りやすいイスが必須として考えていましたが、設置予定場所の北玄関が実はそんなに広くなかったことと、避難経路になっているために、真ん中に立派なテーブルを据え付けにすることはできないことに、予備設計作業時に気づきました。そこで、L字型のパーテーション兼棚のようなものを作って、いつでもテーブルとイスが出せるような場所にしよう、という発想の転換がなされました。
1日目は棚を作るための部材カットと組立てです。L字のパーテーションで、短い方(=テーブルの天板がしまえる壁)、長い方(=イスが収納できる棚)それぞれ構造が違うので、カットする材料も違います。
棚におさめるイスの作り方とサイズにたいへん悩み、かなりの時間をかけました。DIY初心者の手による棚は、どうしても縦横のサイズがまちまちで、そこに収納できるイスを作ろうと思ったら、その、サイズがまちまちのどの棚にも入るようなサイズを考えて作らないといけません。また、長時間、他のことを気にせずゲームに没頭できるように、疲れないイスの高さは何センチだろう??と、試し座りを何回もして、慎重に高さを決めました。
テーブル天板を収納する、短い方のパーテーションのパネルは、骨組みをほぼ組み立てたところで、かなり歪んでいることに気が付き、半分以上一度解体するという事態が起きました。木材の反りに注意しながら、どういう順番で組み立てるべきかをチームで話し合いながら再度組み立てていきました。
※もうひとつ「小商いができる受付カウンター」を制作する予定でしたが、当日の参加人数不足のため、上記2チームに混ざってもらうことにして、残念ながら制作は断念しました。
2日間とも時間を延長しましたが、なんとか最後まで仕上げることができ、1人ずつ感想を述べて、講師のお二人から総評をもらって終了しました。ふだんはなかなか機会のない、大きな構造物をつくること、チームでの作業が楽しく、達成感があった、感動した、という感想が複数ありました。クライアント(借り手)がいる状態で建築物を考えること、設計からやること、余白の利活用という視点を持つこと、といった経験も学びが大きかったようです。
本ワークショップのプログラムはこれでいったん終了となりますが、この後は、余白不動産の活用アイデアを出してくれた借り手による、実際の運用を試み、余白不動産を発端としたKIITO内のコミュニティ醸成を目指します。
セルフ・ビルド・ワークショップ 「余白不動産-余白につくる小さな建築」
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