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2019/4/13

イベントレポート

ものづくりワークショップ「somerude坂本さんと、古着を藍染めする。」 レポート

生活の中で使っているものの出来上がるまでのプロセスを、プロの技と知識に触れながら自らの手で辿っていくことで、ものの価値やつくり手の想いを体感する場として開催を続ける「ものづくりワークショップ」8回目となる今回は0からモノを作り上げていく、これまでの物づくりワークショップと少し趣旨を変更し、ご持参いただいた古着を藍染めするワークショップを実施しました。

モノの価値を再編集し新しい魅力をつくること。また、藍染めの手法や歴史を知ることでモノが出来るまでの過程を知る試みです。今回の講師はsomerudeの坂本ひろきさん。アパレル企業で販売員として仕事をしながらsomerudeの名義で藍染めを行う若干24歳の藍染め作家さんです。今回、前半で藍染めの歴史や手法について学んだ後、実際にご持参いただいた古着を藍染めする流れで開催をいたしました。

まず講師の坂本さんより「藍染め」についてのレクチャーからスタートです。

 「染め」について知る
藍は温帯にの育つ青色に染める事のできる唯一の植物です。様々な国で自生し育てられています。藍は染める以外にも食べることもできます。他に染料として利用されることができる「ウコン」や「ショウガ」も風邪を引いた時や二日酔いのときに食べるように、東洋医学でいう「衣療(着ることで体の調子を整える)」ものとして昔より扱われてきました。

次に藍がなぜ青く染まるかの理論についてのお話です。藍を酸化発色(化学変化)することで青く色が出ます。使っている葉っぱによって藍染めの種類が変わります。工程として藍を刈り取って茎と葉にわけ寝床に入れて水をかけて発酵させる。発酵したもの(すくも)をまるめて保存する。それを水の中に入れて染料として使っていく。という流れとなります。その他にも刈り取った葉をすぐに染料にしていく「生葉染め」などがあります。今回は藍染めの成分を持つ特徴として開発された染料をつかう「化学藍」をつかう「化学建て」という手法を使います。天然の染料らしい雑味が少なく、青々しい青がでるのが特徴です。

デニムによっても天然藍をつかって染めたもの化学藍を使って染めたものが色の柔らかさや色落ちの仕方で見えてきます。

  

世界の藍染め
アメリカの藍染めと言えばデニムが有名です。デニムは織の技法を指すものでフランスの民族のセルジュ・デ・ニームが語源とされており、イタリア発祥のワークパンツをデニム織の生地に変更したことにより波及したといわれています。日本の藍染めは古くは奈良時代に中国より受け入れられました。当時の王朝に納品されると冠位十二階の色分けで3位に設定されるなど当時のトレンドとして確立したそうです。その後兵庫県播磨・竜野で生産され室町時代には藍染めが全国区のものとなります。江戸時代には紺屋と呼ばれる染め物屋があり、庶民から武士まで衣類を纏うようになっていきます。「武士がより黒っぽい羽織を着ているのは権威の表れだったのではないか」と坂本さんは話ます。さらに、藍に鉄を入れたりすることでカラーバリエーションをつくる藍四十八色というものが存在していたり、絞り染めが開発されたりとさまざまな発展をしていきます。その後、戦争の影響などで生産がストップしますが、その中で徳島県が唯一生産を続け現代まで受け継がれていったと言われています。
インドでは専業農家が多いことやアフリカでは自生する藍をつかって染めが行われていたりとそれぞれ国によって藍染めは独自の変化をしていきます。

並々ならぬ技術やセンスを武器に徳島で活躍する「BUAISO」や染め物界の重鎮、「志村ふくみ」さんなど、染めをキーワードに活躍される様々な方を最後に行い実際の染めに入っていきます。

藍を建てる:まず初めに今回の藍染めの染料を作ってきます。水に染料を溶かしていきます。最初は緑っぽい染料が酸化して青色に変わっていきます。
服を精錬する、染色する、脱水する:藍が出来たら染めの作業に入ります。まず全体にむらなく染まるように衣類を水に浸します。衣類を乾かし、藍染料に浸します。この時、染料が酸化しないようにゆっくりと浸します。全体に染料が馴染んだら水で洗っていきます。

  

一通り作業を説明後、参加者全員で染色をしていきます。
実際に藍染めを体験していく中で、自分の着ていた衣服の変化や染まり方にそれぞれ驚きがあったようです。
自分がいままで着ていた服やつかっていたモノがまた別のかたちで生まれ変わって、使い続かれていくことや、みんなでモノづくりの場を共有し作り上げていくこと。モノづくりの価値はそこにもあるのかと考える場となりました。

  

  
イベントページはこちら
http://kiito.jp/schedule/workshop/articles/33301/