2019/8/27
イベントレポート
去る8月20日(火)に、「+クリエイティブゼミまちづくり編vol.32「人口減少時代の豊かな暮らしを神戸でデザインする」」の第3回目が開講されました。今回から、本格的にグループワークがスタートしました。
前回のレポートでも紹介されたように、前回のグループ分けの前に、参加者のみなさんと、今後のゼミの進め方について議論する時間を設け、下記の2つの進め方のうち、どちらが良いかを選ぶこととなりました。
①「人口減少」に関連して取り上げられる個別的な問題──空き家、インフラの維持、交通、地域の催事の担い手の維持、など──ごとにグループを作り、その対応をアクションプランとして練り上げる。
②どんどん出てくる問題に対処療法的に取り組むのではなく、人口減少を念頭に置きつつも、地域の様々な問題に対応できる人材、場所、機会──これまで「+クリエイティブゼミ」で重要視してきた、「風」(新しいアイデアの種を撒く)、「水」(アイデアのスタートと実行を助ける)、「土」(プロジェクトを継続させ、土地に根付かせる)──を育成することをテーマに、グループ分けをする。
結果、②の方向で参加者からの合意が得られ、それぞれ、「風」が3グループ、「水」が1グループ、「土」が2グループ成立しました。お盆休みを挟んで2週間、今回の第3回目では、個人で進めてきたリサーチ内容を持ち寄り、グループ内で共有する作業を行います。それぞれのリサーチを通じて、グループとしての視野を広げていくことが、より魅力的なアイデアを出す上で重要になります。
下記、今回の各班のグループワークの様子をご紹介します。
A班(土)
神戸の特徴を考えてみる。短期滞在者が多い。学生も就職で多くが転出すると考えられる。独身者も多い。こういった人たちの受け皿になるような団体、活動はなかったのではないか。長期的に活動する土の人も必要な一方で、短期的にやってきて活動する人も、同時に重要なのではないかと考えている。また、メンバーそれぞれで、まちづくり講座、地域で活動する機会を設けている団体、大学での活動、人材育成に効果をあげている活動、総合型スポーツクラブ、しあわせの村の活動について、リサーチを進めた。また、地域が求めていること、やりたいことがかさなるところが、「土」の人のプログラムを新たに実施する場になるのではないかと考えている。すみわけができる人、地域に来た人に、有効な情報、技術を提供できる人、もしくは、興味がある人にアプローチできる人、情報提供できる人、などが担い手。ターゲットとしては大学生、まちづくりに参加している若者、単身者など。今後は、後押しをする人や、マッチングを行っている団体について、リサーチをさらに進めたいと考えている。
B班(土)
住民と住民をつなぐ、交流のきっかけとなる場を作りたい。どうやったら住民どうしの橋わたしができるか。例えば、花。花壇を共有して世話を一緒にする時に、同時の交流の場も作る。あるいは、音楽の場を設けて交流の場を作っていく。お気に入りのお酒を持ち寄って、試飲会を通じて交流の場を作る。また、神戸駅にピアノが設置されているが、ピアノがあるだけで、演奏者と聴く側の交流が生まれている。フリースペースが、交流が生まれるときに大きな役割を果たしていると考えており、今はフリースペースについて、議論を進めている。
C班(水)
水の人とは何か、からスタート。風の人の運んできた活動をサポートし、大きくしていく、あるいは、地域に足りない要素、風の人を招き入れ、広めていく、形は1つではなく、様々なやり方がある。また、人口減少時代の「豊かな暮らし」とは何かという議論もあり、ホームレス、社会から脱落してしまった人をサポートする活動が紹介されたり、お金を持っていても孤立している人もいるという意見が出たりして、「孤立」が広まっている、あるいは従来の結びつきが形骸化して様々な活動も先細りになっていて、コミュニケーションを促進する活動をしていくことが、水の人の大きな役割の1つだというところに行き着いた。1つのコミュニケーションポイントとしての、BE KOBEの事例も見ている。
また、アクティヴィティと空間を重視した活動が、多いのではという意見が出ていて、あまり担い手がいないところで活動を促進することが重要ではと感じている。
D班(風)
風の人の定義的な部分はE班、F班と似ている。つなぐ、仕掛ける技量を持った人という意見。高齢者を最後まで看取る試みや徳島県神山町にIT企業が集積している事例、コミュニティデザインに取り組む山崎亮さん、「場を編む人」の藤本遼さんなど、つないで、地域を活性化させている人として挙がった。一方で、まったく関係のない、脈絡のない風の人が来ても意味がないのではないか、水の人、風の人の状況を見て、どんなものが必要なのかを見極められる、そうしたきっかけを作れることも風の人には重要ではないか、という意見も出ている。
E班(風)
F班と同じく、風の人はどんな人か、定義することからスタートした。具体的には、何かの動きを作る人、企画をする人、イベンターといった役割をする人。また、何かをする際に熱量があって、つなぐことができて、時におせっかいで、発信力があるタイプの人という像を想定している。具体的な事例としては、ちいサイズや高槻ジャズストリートを仕掛けた人、水道筋のナディストといった人が挙がった。風の人には、Iターンしてくる人がいいのか、それとも縁がなかった人がいいのか、という話題が出て話し合っているところ。
F班(風)
風の人とはどんな人か、具体的に活動をしている人を取り上げて、何をしているか、どんな役割を果たしているかを取り出していった。天王寺動物園の牧慎一郎さん、徳島県神山町でアートプロジェクトを手がける大南信也さん、何かと何かをつなぐ、場所に役割を与える、活動のエネルギーも同時にもたらしている。あるいは、シェアハウスや多拠点居住が広がっているように、そうした人は拠点を持たずに各地を動くようなっているという意見も。また、SDGsが(持続可能な開発目標)注目され、資源の問題や格差の問題が注目される中で、人口減少の問題はそこにどうかかわってくるのか、SDGsの観点から、いかに人口減少にアプローチできるのか、という意見も出た。
どの班も活発にグループワークを行い、視野を広げて、次のステップに進みつつあるようです。「風」、「水」、「土」というキーワードの次は、人口減少を念頭に置いて、具体的な担い手や場所を想定していくことが、中間発表に向けて重要になりそうです。
次回、第4回目は引き続き、グループワークを行い、中間発表の準備も進めていきます。