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2020/1/22

イベントレポート

1月12日(日)開催「Gabarito KOBE」 レポート

1月12日(日)

神戸のまちを歩いて俳句を詠む吟行句会イベント「Gabarito KOBE」。第3弾はポートアイランドで開催しました。冬らしい灰色の空の下、公募で集まった男女16人の参加者たちは、ゲストの松本てふこさん、Tsudio Studioさん、コーディネーターの酒井匠さんとともに駅から伸びる道へと分かれていきます。さっそく吟行スタートです。

  

関西圏ではまだ松の内と呼ばれるこの日は、まだまだ随所に正月の風景が残ります。ビルの入口に置かれた立派な門松。公園で楽しそうに凧揚げをする親子。そんな景色と混じり合う、高層マンションやホテル、国際会議場といったポートアイランドの大きい建造物たち。集合場所だった駅名にもなっている市民広場には独特な静寂が漂い、広場をぐるっと歩いてみたり、椅子に腰掛けてじっくりとあたりを見回してみる参加者も。ほのかに感じられる正月ムードと静けさが交錯するこのエリアで、みなさんは何を見たのでしょうか。ぜひ、レポート最後にある投句一覧をご覧ください。

  

  

場所は変わって、中公園。芝生からいくつも顔を出す、遺跡のように意味ありげに置かれた岩を横目に見ながら、真っ赤なアーチが印象的な神戸大橋を目指します。ここからはほぼ団体行動でぞろぞろと動いていたため、公園の芝生で作業をしていたおじいさんに「何の会ですか?」と聞かれる場面も。遠くに見える工場群に玉ねぎのような不思議な造形を見つけたり、海を見下ろしながら歩道橋を渡りしばらく歩くと神戸大橋の真下・北公園に到着。釣りに興じる休日のお父さんらしき陰がちらほらと見える堤防、遠くにポートタワーが見える景色は、先ほどのエリアとはまた違って見えます。石でできたベンチに座って、きもち霞んだ海の向こうを眺める講師・参加者一行。空気こそ冷たいものの、風もなく穏やかな気候だったこの日に詠まれた句には、「春」の文字もちらほら。もしかしたら、遠いようで近い春を少しだけ感じた方もいたのかもしれません。

  

  

吟行後の句会では、投句(詠んだ俳句を提出すること)された全58の俳句をゲスト・コーディネーター・参加者全員で選句し、それぞれの句について感じたことを意見交換し合いました。経験者の参加が多かった今回はコーディネーターの酒井さん曰く、特に今回は“俳句らしい俳句”が多かったとのことですが、普段参加している句会と年齢層が違い新鮮だったという人もいて、会場は終始楽しげな雰囲気に包まれていました。

【ゲスト賞・最多得票賞】

〈松本てふこ 賞〉 科学館科学の子らの着膨れて  阪上真吾

〈Tsudio Studio 賞〉 凍土なく人工島の浮き沈み  山下裕

〈KIITO賞(最多得票句)〉 春隣ポートタワーのくびれかな  鯛鮟

今回詠まれたすべての句はこちらからご覧いただけます。(クリックで別ウィンドウが開きます)
※作者の意向により、一部の句は非公開とさせていただいております。

  

  

同じものを見ているようで、違う表現方法になる。それでも同じものだとわかる。言葉で景色を綴る俳句は、今回も私たちの感性をより豊かなものにしてくれたことでしょう。

イベントの詳細はこちら
Gabarito KOBE(1月12日開催)

過去の「Gabarito KOBE」レポートはこちら
Gabarito KOBE(2018年7月28日開催)レポート
Gabarito KOBE(2019年2月23日開催)レポート