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2020/7/11

イベントレポート

+クリエイティブゼミvol.34リサーチャー養成編「リサーチ・リテラシーを学ぶ」 例題2:「With/Postコロナ社会のライフスタイルを考える」 第5回目 レポート

7月7日(火)に、「+クリエイティブゼミvol.34リサーチャー養成編「リサーチ・リテラシーを学ぶ」 例題2:「With/Postコロナ社会のライフスタイルを考える」」の第5回を開催しました。長期の休館が終わった直後からスタートしたこのゼミも、残すところ、あと2回となりました。今回は、次回の発表に向けた準備を行います。

講師の山崎さんからのレクチャーでは、次回に向けて、発表の目的・性質を明確にすること(問題提起か主張を提示するのか)、発表の意味を明確にすること(問いが明確か、何が今後の課題か、ここから何が再び課題となるか)、誰を対象にするかを想定する、といった点が、発表する際のキーポイントとして提示されました。

各グループの活動もいよいよ大詰めです。その様子を紹介します。

コミュニケーショングループ
先週に続き、「オンラインを中心にリサーチすることで、オフラインにしかない価値が考察できるのではないか」という仮説のもと、各自リサーチ共有をしました。具体的には、現在ビデオ会議が浸透してきた中で、オフラインとオンラインが融合してきている状況が生まれているのではないかという仮説、技術進歩でVRやどうぶつの森などの「より現実に近い体験」ができるようになっているという仮説から、その中での今後のコミュニケーションの変化について議論を進めました。

議論を通じて、既存のオンラインの技術革新は、オンラインをオフラインに近づける方向性で技術が発達しているように感じた一方で、現状の技術には限界があり、オフラインのコミュニケーションにある“空気感”を感じることはできず、それがオフラインの価値ではないかと定義づけました。“空気感”という曖昧な言葉を明確に定義するのが困難なため、来週の発表では、オンラインコミュニケーションへの不満から見た「豊かなコミュニケーションのあり方」についての考察を、現状の事例を分析し説明することで明らかにしていきたいと考えています。


教育・文化・芸術
先週の段階で【問い】を「オンラインとオフラインのハイブリッド教育には可能性があるのではないか」としました。
オンラインのメリットとしては「直接行くことでわかる」という価値が二分化し、「オンライン上でも理解ができる」ものと「直接見ることで初めて理解できる」ものが出てくることが話されました。

また、オンラインでしかできない体験や教育コンテンツの表現の可能性について、「あつまれどうぶつの森」の博物館や美術館の登場や、「フォートナイト」でのオンラインライブイベントなどが挙げられ、オンラインならではの世界観が生まれていることがわかりました。

デメリットとしてはオフラインでできていたことがオンラインとなることでできなくなった事が多数あること、また、単純にハード面の整備について各家庭や教育機関それぞれに不備や不足があることが平等性に欠けることが挙げられました。

最後にプレゼンの構成について話し合い、①問い、②リサーチ結果、③メリットデメリット、④結論と課題、の流れで組み立てることとなりました。

その作成者についてどのようにするか考えた結果、オンラインでのスライド制作の共同作業はハードルが高いと判断し、今日までのリサーチ結果を共通の土台としつつ、プレゼンの構成は同じ流れで組み、全員がそれぞれの解釈でデータを作ることとなりました。プレゼン前に全員で全員のスライドをチェックし、話し合いの上で一つに絞り、微修正をしたうえで選ばれたベースのプレゼン制作者が発表者も担当することになりました。


情報・移動・交通
「いかにして「情報の信頼性」を確保するのか」という問いを掲げ、専門家会議、有志の会が情報発信・伝達の分野で行った実践を対象としました。また、何が実践されたか、成功/失敗したこと、今後への改善点などについて、リサーチを進めてきました。今回は、「専門家会議」、「有志の会」の発信や活動についての考察を進めつつ、発表をまとめていく作業を行いました。

まず「note」「Twitter」の発言を読み解き、活動の実態を調べ、活動の特徴を捉えることをめざしました。また、発言や投稿への反応、メディアでの評価、同時期に起こっていたことなども視野に入れ、どういう状況で活動をしていたか、どこが評価できるポイントか、何が課題だったかについて、広い視点から活動内容や評価を位置づけられるよう、グループ内で議論を続けました。

発表の構成としては、最初に、リサーチの背景、目的、アプローチの仕方について紹介し、次にリサーチの内容として、noteやツイッターなどの発信の内容や狙い、あるいは量的な側面も押さえて、ユーザーの反応や、他の評価などについて考察、言及し、最終的に、今回のリサーチとしての結論に言及していく、というものになる予定です。時間が限られていますが、より厚みのある、説得力を持った記述、かつ多くの人にも理解しやすい、一般性を持たせられるよう、準備を進めていく予定です。


働き方
働き方という切り口から、さまざまな「変化」について年代も職業も異なる人々に聞き取り調査(オンライン上でも可)をすることになっていたこのチームは、1週間で約40件近い調査結果を得ました。zoomを使用したり、まずはアンケート形式で質問したあとに直接ヒアリングしたりするなど、メンバーもいろいろな手法を試みたようです。

調査に取り組んで感じたことやポイントになりそうな部分を報告し合うと、「悲観的な意見ばかりと思いきや、変化にどう対応しているか、という聞き方をしたら前向きなコメントがもらえた」というリサーチ方法に関する発見や、「年代によってコロナで変わった社会や環境をどう受け止めているかが違うのではないか」という共通点の可能性等、少しずつ見えてきました。前回、山崎先生から「テーマをもう一段階絞る必要がある」とアドバイスを受けていたこともあり、話し合いの中でなんとかキーワードを探そうとしますが、なかなか前進しません。発表方法についても考え始めないといけない段階で焦りが出始めますが、今回のゼミのタイトルでもある「With/Postコロナ社会のライフスタイルを考える」に対する自分たちなりの「問い」が共通認識できていないと、まとまりのない調査報告になってしまいます。結局、決まりきらない状態でゼミの時間は終了。各自情報整理をするため深追いはせず、さっそく別途話し合いの予定を立てて、最後の仕上げに向けて動き始めます。



まだまだ、わたしたちが渦中にある状況を対象にして、最終発表では、今後に向けてどのような展望が示されるのか、興味深いところです。

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2019年度に開催した「+クリエイティブゼミvol.30 リサーチャー育成編「リサーチ・リテラシーを学ぶ」 例題1:「図書館の未来を考える」」についてはこちら