2021/6/29
イベントレポート
去る4月21日(水)、当センター3階に新たに設けられる「社会貢献活動の交流拠点」に先立って始まった「相談業務」についてのトークセッションを実施しました。このトークセッションには、相談業務を担当する市民活動、社会貢献活動についての専門家3名(田村太郎さん(一般財団法人ダイバーシティ研究所)、戸田香苗さん(認定NPO法人しみん基金・KOBE)、永田宏和(デザイン・クリエイティブセンター神戸)が登壇し、鼎談形式で、それぞれの自己紹介、これまで対応してきた相談の事例、KIITOの相談業務に期待することなどについて、意見を交わしました。
本トークセッションの映像アーカイブはこちらからご覧いただけます。
新館3階に「社会貢献活動の交流拠点」を開設
2021年度からは、当センター3階に、「社会貢献活動プラットフォーム」、「こども創造的学びの推進」という2つの機能が設置されます。特に「社会貢献活動プラットフォーム」については、これまで、KIITOで生み出されてきた「タネ」がより広く各地域へと撒かれて、新たな活動の担い手の育成につなげることを目的としています。具体的には、大学生や社会人と地域活動、社会貢献活動との橋渡し、地域活動やNPO団体への支援も手がけていくことになります。この「社会貢献活動プラットフォーム」における「フロント」的な事業として、「相談対応」が実施されることになりました。
当センター3階に設置される新たな施設、事業については、別途説明会を実施しております。詳細につきましては、下記リンク先をご覧いただけましたら幸いです。
2021年4月16日(金)開催 「KIITO新センター長が解説! 神戸を元気にする「創造の中心地」はじまる─KIITOのこれから説明会」(レポート)
2021年6月4日(金)開催 「センター長が新スペースのブランディングを発表!~参加したいプロジェクトがみつかる!KIITOのこれから説明会~」(レポート)
私は以前、外国人の方からの生活相談を受けてました。例えば、給料未払いについて1カ月で相談する人はほとんどいない。2、3カ月続いて相当困ってから相談に来るケースが多いんです。もっと早く来てくれたら深刻にならずに済んだかもしれない。困ってから相談に行く人は多いけれど、そうではなくて、もう少し手前、こんなことがしたい、こんなことに困ってる、という話ができる相談窓口であることが大事だと思います。
社会活動の相談には、「課題に直面する人」と「解決を支援したい人」の2つの入口があります。防災であれば、前者は災害に合うリスクを感じている人、後者が行政や企業の人になりますが、前者の人が相談に来るのはたいてい被災してからの場合が多い。本当は事前に来てほしい。そこにリソースを提供したいと相談に来る人も多いわけです。前者の人は、リソースを持ってる人がまさかいるとは思っていないことが多い。事前にこの2者を繋げたら、もっと両者にメリットがあるわけです。例えば、保育園をやりたいがやったことある人を紹介してほしいとか、こういうボランティアを探しているがどこに聞いたらつないでもらえるのかとか、そういう相談も受けたいですね。
ここからとくに紡ぎ出したいのは、相談者が解決に必要な資源を持つ人や団体とつながって「解決ができる」という空気感です。先日、子どもの視野を体験できるツールを作ったので広めたいという相談を受けましたが、それをハウスメーカーに紹介しました。家を建てるときに子どもの目線を体験するのが役立つのではという提案にしてつなぎました。相談者が持っていない資源を持つ人や団体とつながることで解決できることはたくさんあります。
もう1つ期待しているのは、相談者が自ら新たな仲間を得て新しい事業を形成していくというものです。1つの相談事例をもとに「こういう事業ができるのでは」と別の人と一緒に新たなチャレンジを組み立てていく。KIITOではすでに多様な担い手が色々なことを行っていて、こんな課題があるという発見をしやすい。KIITOだからこそ相談を入口にした新たな展開が可能なのではないか、という大きな期待を持っています。新しい担い手が、ここで解決して、事業にも結びつく、そういう流れがあるといいですね。
これまでの活動について
阪神・淡路大震災で被災した外国人への支援を機に、「多文化共生センター」を設立。携帯電話で多言語情報提供を行うサービスも始めました(現在はサービス終了)。これが、ビジネスで社会課題解決をすることの端緒となりました。
さらに、企業の社会貢献を促すことで社会課題解決を促すべく、「ダイバーシティ研究所」を設立。特に東日本大震災では、復興と企業の社会貢献活動をつなぐ活動を行ってきました。
様々な活動に関わってきましたが、地域が元気になるにはどんなリソースどうしをつないでいけば良いか、「こういうことで悩んでいる」という話を聞いて、「あの企業がこういうことしているから一緒にやってみては」ということが、私が相談業務でお手伝いできることの1つだと思っています。神戸の街が元気になるお手伝いができればと思っています。
これまでの活動について
阪神淡路大震災の後、沢山の団体ができたのですが、しばらく経つと、そういった団体が財政的に立ち行かなくなるという問題が出てきました。そこで1999年に、そういう団体を支援しようと、黒田裕子さんが「しみん基金・KOBE」が立ち上げられました。日本国内では初めてというくらいの、100%民間によるコミュニティファンドで、寄付をいただいて、審査を行って、市民活動団体に助成する活動を行ってきました。財政的な支援に特化した中間支援団体です。また、助成を受け取る団体にも、翌年、支援ができるように恩送り形式で、できる限り寄付をしてただくことをお願いしています。設立経緯の関係から、被災地支援も継続して行っています。