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2022/2/2

イベントレポート

合同発表会「SDGs+クリエイティブミーティング」レポート

2021年春から、フラワーロードを舞台に、SDGsの視点から「フラワーロードを舞台に神戸をもっと元気にする地域共創イベントを考える」プログラムを実施してきました。本日は、合同発表会として、神戸大学、大阪大学、KIITOゼミ生の全9チームが考えてきたアクションプランを発表しました。

本日の講師の紹介は、大阪大学COデザインセンター准教授の山崎吾郎さん。神戸大学減災デザインセンター副センター長の槻橋修さん。神戸大学ヴァリュースクールの准教授の鶴田宏樹さん。ゲストコメンテーターは、日本イーライリリー株式会社コーポレーターフェア―ズ本部広報CSR細井宏紀さま。神戸市企画調整局つなぐラボ部長の藤岡健さまにお越しいただきました。

発表|神戸大学Team1
 

 

私たちはフラワーロードと海外のストリートの比較研究をしたうえで、どういう違いがあるか、なぜ現状のフラワーロードに活気がないのかというところについて調査しました。そこから近未来やその先の未来に向けて、提案を発表したいと思います。

まず、フラワーロードの歴史について。フラワーロードは生田川が流れていたところに道が開発されたもので、かつて川だったという歴史を持っています。道路の右側と左側で異なる開発が行われており、一体として捉えるのが難しい状況になっています。歩道から対岸の歩道までの幅が約43mありますが、ここを一体として捉えるのは難しいと感じ、私たち海に向かって歩く時の左側に注目しました。

フラワーロードの問題点は、メインロードであるにも関わらず閑散としているところです。それを解決するために歩行者体験に着目し数値化してどのように変わっていけば良いかを調査しました。調査の比較対象として、神戸のフラワーロード、バルセロナのランブラス通り、メルボルンのスワンストンストリートをあげています。

 

1点目の「間口比較」について。間口とは建物の正面の幅の事を指します。間口が狭ければ狭いほどお店の景色が移り変わる指標になります。フラワーロードの左側は27.1mという数値になっているのに対して、ランブラス通りは右側と左側の約平均20m、メルボルンのスワンストンストリートは23.8mと9.9mです。この23.8mは図書館や歴史的な施設が密集していることによって広い間口となっていますが、栄えているところは9.9mと非常に小さい値になっています。続きまして、「平均路地感覚」です。平均路地は歩いていて景色が移り変わり行動の選択が増えるうえで重要なものだと考えます。「平均路地感覚」は、歩いていて平均何メートル間隔で路地に突き当たるかという数値です。フラワーロードの85.9mに対して、他の通りと大きな差がないということが分かりました。次に、「平均路地幅」は平均して約何メートルの路地幅をとっているかを表す数値です。フラワーロードは約14.9m。特に顕著な違いはスワンストンストリートの21.8mで、非常に路地の幅が広いものとなっています。歩行者体験「walkable比」(歩きやすさ)に注目すると、フラワーロードは30.1%の非常に小さい値ですが、海外の2つのストリートは67.3%または76%とwalkable化が進行し歩行者の行動体験や行動の幅が広がっているという結果になりました。
商店の割合・賑わいの指標は23.8%と80%後半や90%代と非常に大きな差が見受けられました。最後に「木の平均間隔」はフラワーロードは約21.9mに1本という間隔にあるのに対して、その他は10.4mに1本、8.5m、16.4m、15mとフラワーロードに対しては間隔が密に木が生えていることが分かりました。

フラワーロードの特徴をまとめると、平均間口が大きく、路地性が薄い。一層部分の商業用の割合が小さく、緑の密度も薄いという状況です。

 

提案1(数十年後の再開発に向けて)
・間口を増やす。
・建築的に路地空間をデザインし、立体的に歩行者体験をつくる。
提案2(近未来に向けて)ウォーカブル化が進み車線数が減ると仮定した提案
・パンじぃなど活動の場、新たな風景の提供、フードトラック・屋台、ベンチの設置により新たなストリートを創出。

KIITOで実施されている「パンじぃプロジェクト」のような、神戸をより良くしようとする取り組みに触れることができるような場を新たなストリートとして提案できるのではないかと思います。また、SDGsに基づき住み続けられる街として、間口を増やしてお店を増やすことでストリートをきれいに保てるようになるのではないかと思います。

講評|
細井:
私はジョギングをする時にフラワーロードを走るとつまらないので避けていて、逆に商店街を走りたくなります。その理由はそういうことなのかという発見ができ切り口として面白いと思いました。フラワーロードに様々な物ができたら賑わうのかなと思う半面、商店街とどうやってすみわけしてくのかなというところが気になりました。フラワーロードに人が集まると、商店街に人がいなくなってしまう。それでは本末転倒なので、そこをどうやってうまい具合に人が賑わっていけるのかというところを考えていただけたらと思います。

発表|神戸大学Team2
 

 

大人はフラワーロードを三宮の大動脈という認識をしていますが、それに対して若者はハーバーランドや三宮センター街などお店があるところに行っており、ハーバーランドの動線としてもフラワーロードに行かないという現状です。東遊園地は選択肢としてありますが、無料で休めるポイント以外に何もないと若者は感じています。

 

フラワーロードが目指すべき方向性は、「フラワーロードが動線として選択肢に上がること」と「選択肢としてあがった後に、人が来て対流すること」です。具体的には、若者はハーバーランドが綺麗だからそこに行くという理由から、お花が咲いている綺麗なフラワーロードなら行く目的になると考えました。休憩スポットもたくさんあり、多機能ですごく便利だからフラワーロードに行こう!というふうに変えていきたいです。そのために必要なアクションが2つあります。1つめは、各機能を兼ね備えた椅子をたくさん設置すること。2つ目は花に満ちたオシャレな通りを作ることです。誰かを誘う時に行く理由として必要な要素になります。

 

フラワーロードは東西で性質が異なることもそうですが、実際に歩いてみると休憩する場所(座る場所)がとても少ないことに課題を感じました。SDGs的な広い観点で神戸の街を見た時に、今後取り入れたい目標が2つあります。1つは「持続可能な街づくり」そして2つ目が「多様な街づくり」です。SDGs的な街というのは、人が居続ける街ということが大事になってきます。SDGs的に神戸を見た時に多様な街とは、多様な人々がいることに加えて国際色豊かな場所であることです。

観光施設がバラバラに点在し、目的と目的を繋ぐ「憩いの空間」を神戸の休憩場所のハブとしてフラワーロードに創出します。「視覚的な憩い」と「身体的な憩い」をフラワーロードに取り入れ「人が留まる憩いの道、フラワーロード」になるといいなと思います。具体案として、お花で彩ったオープンスペース、屋外のスペースにWi-Fiが繋がっていたり、ランニング用のシャワー施設や自転車を観光に使う人たちに向けてパークレットをフラワーロードに用意します。

花による「視覚的な憩い」に加えて、フラワーロードが機能性に富み休憩地として便利な通りになる「身体的な憩い」の2つの憩いの要素を実現することで、より多くの人の話題になり、より多くの人が対流し続ける持続可能な街「神戸」の実現ができるのではと考えています。

講評|
永田:
SDGsと市民をどうつなげるかを僕らのゼミでは扱いましたが、神戸大学のチームが面白いなと思うのは、SDGsをテーマにした街づくりの形でどういう風に仕掛けていこうかと考えているところです。その視点で持続可能な街や多様な街が「視覚的な憩い」と「身体的な憩い」、花とベンチなど憩える空間やツールで考えると、KIITOで何かやろうとするなら仮設的にそういうイベントを展開するのだろうなと思いました。花もベンチも環境設定や空間設定でそこに多様な人が集い、皆が居心地の良いものになるプログラムがプラスされるといいなと思いました。

発表|神戸大学Team3
 

  

私たちは兵庫農協とSDGsというテーマで発表をします。フラワーロードを調査した結果は、国際都市として外国人居住者と外国料理屋の多くが北野周辺に集まっていると感じました。また、神戸市民が多く暮らすフラワーロード周辺には飲食店がなく、外国の料理店もほとんどありません。「市民と外国人の交流がない」と外国人留学生も言っていたこともあり、交流できる場を作れないかと思いました。そして神戸は自然豊かで広い土地を生かした農業が盛んなこともあり、三宮周辺の住民が多く暮らすエリアにはスーパーがないので兵庫県産の新鮮な野菜をもっと神戸市民にPRできないかと考えました。私たちはこの解決策として、フラワーロードに外国料理店を持ってくることで市民と外国人の交流になるのではと思いました。外国料理と兵庫県産の野菜を組み合わせてフラワーロードだけのSDGsイベントを開催し、作った人の顔が見える農業を知る機会を設けることで地産地消に繋がるのではないかと考えます。外国の文化と兵庫県産野菜を組み合わせて新しいフラワーロードのコミュニティを作れないかと思います。

  

私たちの提案の1つ目は、兵庫県産の農産物と外国の調理法を掛け合わせた野菜直売店です。三宮に点在する外国料理店に協力してもらい、フラワーロード周辺に屋台をたくさん作ります。兵庫県産野菜を購入し好きな調理法や味付けで異国の料理を楽しみます。TikTokやYouTube配信をしてネット販売で東遊園地ブランドを売り出すこともできます。また、農作物の種子の販売や栽培技術を学ぶ定期的なイベントを行い、神戸市民と農業をつなぐことで最新技術のスマート農業やIoTを高齢の農業従事者の皆さんに知ってもらえる展示会も考えています。これらの野菜イベントは外国人と市民の交流の場を設け、外国人が住み続けられる街づくり、また地元の野菜が身近でないことから「つかう責任、つくる責任」を解決できるのではないかと思います。

  

2つ目の提案は、異文化料理教室です。「市民と外国人の交流が少ない」「日本語を学びたい」「外国語を学びたい」といった声と、兵庫県産野菜のよりおいしい食べ方を知りたいといった要望を組み合わせ、外国人と日本人がグループになり一緒に料理やコミュニケーションを楽しむことでコミュニケーションの輪が広がればいいなと思います。実際にKIITOで実施されている「パンじぃ」だけでなく色んな人々の交流会として、「男性向けの料理教室」「子供のための料理教室」「障がい者のための料理教室」もあるといいなと思いました。異文化料理教室によってどんな人にも食事の場を提供し貧困をなくし、男性も女性も料理ができることが当たり前になることでジェンダー平等が解決できるのではないかと考えます。今後の持続性として、野菜を通じて世界の人々や神戸市民、障がい者やこどもが繋がることで兵庫県野菜がより身近になり地産地消の促進できるのではないかと思います。

講評|
鶴田:
もう少し掘り下げてみると面白いなと思いました。兵庫はもともと5つの国から成り立っていて、農業自体の文化も違います。神戸は大都市ですが、農業に根差した名産品があることと、それが目に見える形で都会に消費されていくことが同時に存在している県は、結構珍しいと思います。兵庫県産の農産物をどういう状況で神戸のフラワーロードに持ってきたら、どんなことに繋がるのかをもっと考えてみると人が集まりやすい魅力的なものになるのではないかと思います。

発表|神戸大学Team4
 

  

私たちは休日と平日に分けておよそ30代~70代の11人にアンケートをとりました。フラワーロードの利用頻度や目的。困っていることやあればいいなと思うこと。そして、10年後に神戸に住むイメージがつくかという質問でアンケート調査を行いました。アンケート結果から「若者だけではない多世代の交わりで、誰もが生きやすい場所になってほしい」「神戸の人向けのイベントがあればいい」「神戸でしかできないを取り戻したい」というワードに着目しました。そして、10年後に神戸に住むイメージがつくかという質問で、住み続ける街としての魅力を皆さんがどういう風に感じているかを聞きました。「安全で交通の便がいい」「子育てもしやすい」「海にも山にも近くて程よい都会」という意見がありました。

アンケート結果から「神戸の歴史的背景が、現在の神戸の魅力につながっている」のではないかと考察します。昔の神戸を知っている世代だけじゃなく、神戸の歴史を知らない若者世代も魅力に感じている部分は、そのルーツや歴史にあるのではないか。日常では知る機会がない歴史的背景について知ることができるような機会を設けたいと考えました。現状としては、「歴史的な建造物は残っていますが、日常で神戸の歴史を感じられる機会は少ない」「日々を過ごす中では、ただの都会の街並み」と神戸の地域性を意識してもらいたい意見が出ました。私たちが考える問題点は、「SDGsと聞くと具体的に何をすればいいか分からない。」「言葉だけが先行している」というものでした。目標は、自分たちの日常でできる行動がSDGsに繋がっていることを知ってもらいたいと考えます。「神戸に住み続けたくなるような神戸らしい魅力を再認識して欲しい」そして、その魅力は物ではなくて体験で学んでもらいたいと思います。そしてSDGsの視点から、歴史・暮らし・SDGsの3者が結びつく場が必要ではないかと考えました。

歴史・暮らし・SDGsが結びつく手段としては、「多国籍フードフェス」「ジャズ」「絨毯の貸し出し」を提案します。多国籍フードフェスは、フラワーロード周辺の飲食店に出店してもらい、フラワーロードの活性化につなげます。神戸にはファーマーズマーケットがありますが、食品や調理品を売るだけではなく、自分で買った食品が消費につなげられるようなイベントを作りたいと思います。貿易港であったという歴史から異文化交流を図り、暮らしに密着している食を通じて消費について学ぶ機会を作ります。

さらに神戸は日本ジャズ発祥の地です。こども達にも聴覚としての体験から神戸の歴史を知ってもらい、東遊園地のステージ部分を活用したいという意見もありました。
視覚的な体験として、異国の文化に触れてもらいフラワーロードを休憩の場所としてさらに利用しやすくします。リサイクルや寄付で絨毯を募って、SDGsの「つくる責任・つかう責任」という目標を意識してもらうための機会を設けたいと考えました。

講評|
藤岡:
日常で神戸の歴史を感じられるというお話がありましたが、今の三宮もそうですがフラワーロードも再開発が進んでいて、その時の都市の記憶や景色がどんどん変わっています。KIITOも終戦直後は進駐軍がここを占領していたわけですが、そういうのがどんどん薄れていって古い建物をみて初めて感じる程度になっていっています。日常において我々が神戸という場所の歴史を感じるものとしてお祭りがあります。フラワーロードの歴史をAIや最新技術で見せる方法もあると思いますのでもう少し検討してもらえたら面白いことができるのではないかと思いました。我々も大事な物としてBE KOBEのようなメッセージを作っています。市政としても課題になっていることで、歴史は仮説ではなく事実です。こういったものをどう継承していくか考えていただきたいなと思いました。

発表|大阪大学ZAT神戸チーム
 

 

私たちは課題内容から4つのキーワードを抽出し、それぞれに対して考えました。まずは「SDGs」について、SDGsのイベントはそれぞれの目標に向かって取り組むより、世界中の人々が繋がって社会課題を解決する共通項を見出しました。しかし、解決に取り組む前に課題の可視化が必要不可欠だと考えます。次に「フラワーロード」にある、みなとのもり公園や東遊園地はイベントを行う最適な場所だと考えます。再整備されたフラワーロードの宣伝にもなり、神戸市を活気づけることができます。課題文には「そこに集う企業、行政、市民が誰一人として取り残されることなく」と表現されていました。もちろんそれも一つの捉え方ですが、それ以外は?という疑問が生まれました。私たちは社会を構成する要素について改めて考えました。実は、世の中には多様な人がいる中で、分け方によって誰かを見過ごすということがあります。以上の結論から今回のイベントは、フラワーロードで行われるイベントを通してさまざまな人が繋がり、社会課題の認識を深めることを目的と定めます。さらに、イベントを行う条件を明確にするためにSWOT分析を行いました。

その結果は「柔軟性」「包摂性」「新規性」です。つまり、テーマや規模が調整できる柔軟性とテーマや参加者だけではないステークホルダーとの協力関係を築き深めるという包摂性、最後にKIITOの企画力を十分に発揮できる新規性という3つの条件を満たす必要があると考えます。課題文の分析とSWOTの分析結果から、フラワーロード沿線におけるSDGsをテーマとするダンス・フェスティバルを提案します。なぜダンスなのか。ダンスは属性を超えた交流ができます。1つの不思議な言語であり、ジェンダーや民族、国籍に関わらずみんなが自分の体を動かしてコミュニケーションすることができます。今回のイベントは4つの事を考えました。

まずは、「ダンス・ショー」についてです。各社会的な属性を持つダンスグループや個人を招集しSDGsに関する社会的課題をテーマにしたダンスを創作して上演します。参加者は好きなダンスグループの「ワークショップ」でダンスを学ぶことができます。ダンスグループは参加者と創作した経緯や自分たちのSDGsの理解について交流する「カフェ」を開きます。また、イベントや神戸関連のグッズを購入できる「ショップ」も作ります。今回のイベントの目的は、普段イメージしにくい社会的課題を可視化させることと、新鮮な気づきを得ることです。また、新たな繋がりが生まれる場所にもなると期待しています。イベントのターゲットには制限はなく、もともと社会課題に関心がある人やダンスに興味がある人、あるいはダンスに興味がなくても健康を保ちたい人や友達を作りたい人などみんながターゲットになります。KIITOのネットワークを活用して、これまでコラボの経験がある方々やNPOダンスボックスなど、ゲストとして招待できればと考えています。ダンスの試合で優勝した学校ともコラボできます。ダンスは若者だけのものではなく、高齢者も積極的にダンスに参加できることから、高齢者の社交ダンスグループも招待したいと思います。また、音楽の団体とのコラボレーションも可能です。今回のイベントのメリットは、先ほど挙げた3つの条件を満たすことだけではなく、皆さんが踊ることでSDGsという課題は身の回りの課題なんだと認識してもらいます。最後に、SDGsは長期的な目標なので長期的にイベントを行えたらと考えています。皆さんが気軽にダンスを学んだり、鑑賞することで社会課題の視野を広げていく機会になればいいと思います。最後にこのイベントは社会におけるダイバーシティ&インクルージョンの推進の一環になることを期待します。

講評|
槻橋:
身体を使ってコミュニケーションすることを、SDGsと暮らしを掛け合わせて文化を作っていく形は非常に面白い視点だと思いました。ダンスにも色々ありますが、もう少し拡大解釈をすれば世界中にはいろんなダンスや舞踏や身体表現があります。テーブルマナーのような生活の身振りも新た表現の中に入れると、食でもご飯の食べ方は世界では違っていたりするので、身体表現を通して多様性を一緒に作り上げていく文化がフラワーロードを舞台にできてくるコンセプトになると非常に面白いと思いました。

発表|KIITOゼミAチーム
 

 

コロナ前にフィールドワークを行いました。普段何気なく通っている道でも、改めて意識的にめぐると色んな事が見えてきます。SDGsに触れる機会もなかったので、色々と議論していくと、人生ゲームなど何かしら経験のある群発的なものでめぐる「すごろく」に可能性を感じました。SDGsを知る・学ぶだけではなく、その次の行動へ移すきっかけになるように自分ごと化するための装置として「すごろく」の仕組みを使いたいと考えます。最終的には、そこで学んだ・気づいたことで、ちょっと意識の変わるような小さなアクションが起こせるようになればいいなと思っています。

 

具体的な場所は、三宮駅をスタートとし、そこからKIITO:300までたどり着くようなコースをイメージしています。ルールは、マス目をめぐりながらミッションスポットを作り、ミッションをクリアしたら特性カードがもらえて、それを集めてゴールを目指します。全体90分くらいのイメージの「すごろく」です。ミッションスポットには、サンドイッチマンスタイルの看板を着用した案内人を配置します。色んな企業さんに足を運び取材をするミッションがあったり、東遊園地にもベンチがたくさんありますが、そこに座っておしゃべりを楽しむようなポイントがあったり、街を彩るためのペットボトルを使ったプランターづくりの場所があったりします。ミッションをクリアするとクリア特典として、カードと専用ポイントがゲットできます。ゴールのKIITO:300までポイントを貯めていく想定なので、KIITO:300で行うイベントでクリアポイント使うことができたらいいなと思っています。例えば、イオンの「幸せの黄色いレシート」のようにお買い物の何パーセントかを団体に寄付されるような、自分が応援したい子供食堂や国際交流などの活動に寄付ができます。その他、ポストを作って学んだことを誰かに伝えます。自分が学んだことを手紙に書いてポストに投函する仕掛けや、カエルキャラバンのようにおもちゃと交換したりします。

 

アウトプットは、実際にボードゲームを作って振返ってみたり、壁新聞を作って貼ってみようなど、ポイントがもらえるような仕掛けを開催内容に合わせて展開します。大きな仕組みとしての「すごろく」ですが、「ちびっこうべすごろく」「SDGs人生ゲーム」「イングリッシュすごろく」「すごろくアプリ」「お散歩すごろく」「デートすごろく」「商店街すごろく」のように色んな切り口の展開ができると思います。実際に一人一人の行動を少しずつ変えていくことによって、神戸から世界を変えよう!私たちもこのゼミを通して少なからず変わっています。そういった形でみんなの小さな一歩から始まる物語が、ここから始まればいいなと思っています。

講評|
山崎:
汎用的なプラットフォームの提案と受け止めました。どういうコンテンツが連なっていって、誰がそれに参画しているかというところが一番聞きたかったです。それと、ゲームは飽きるということが最大のリスクだと思います。それをいかに飽きさせずに2030年まで「すごろく」をやり続けるか、誰が連なってくれるのかがすごく効いてくると思います。

発表|KIITOゼミBチーム
 

 

コンセプトのSDGsは私たち大人だけではなく、こどもたちの未来にも関係のあることです。こどもの素朴な視点や何気ないシンプルな言葉に私たちおとなは学ぶことが多いです。こどももおとなも一緒に未来について考える場づくり、私たちおとながこどもたちから学ぶ場を作ることを提案します。そこで考えたのが「こども先生」という仕組みです。こどもたちが学校を飛び出してフラワーロードを拠点にSDGsを知り、こども同士の対話で気づきを得ます。その気付きが様々な人々の学びにつながる仕組みです。この仕組みは3つの期間に分かれます。準備期間として学校の「総合的な学習の時間」を利用して“学びの期間”とします。神戸市内の小学校5年生を想定し、その中から1クラスを選出して事前にこども達にSDGsを学んでいく期間を設けます。

 

KIITOのSDGs ONE DAY SCHOOLとしてフラワーロード周辺のステークホルダーの企業さんからレクチャーを受けるイベントで学びます。グループに分かれてONE DAY SCHOOLの学びを共有したところで“学びの期間”は終了します。次に「こども先生」のメインになる“対話の期間”に入ります。SDGsのゴールの中から4つのゴールを選びます。こども達同士でp4cという形式を取り入れた対話をします。対話のテーマは専門のファシリテーターと相談して決めていきます。どうすればいい未来が作っていけるか、どうしたいい地球を残していけるのかという哲学的な問いについて、こどもたち同士で対話します。これで、「こども先生」の期間が終了となり、次の“広める期間”に入ります。この期間のアウトプットの方法は、おとなとこどもが学べる3つの物を考えています。まずは、こどもたちの発表の場、学びの期間・対話の期間を絵本にし、ドキュメンタリー映像に残すことで、この先の学びの広がりとして考えます。こども同士の学びでは5年生の1クラスが選出されているので、選ばれたクラスのこどもたちが別のクラスのこどもたちを教え、他の学校の子たちに伝えることで学びを広げていきたいと思います。

 

各パートを詳しく説明すると、学びの期間は計4コマです。最初の2コマは、フラワーロードに完成予定の「こども本の森」の司書さんにSDGsの概要についてレクチャーをお願いします。あとの2コマはSDGsカードゲームを使ってKIITO:300 スタッフと一緒にプレイします。SDGs ONE DAY SCHOOLは、単なる学習スキームではなく地域共創イベントである側面を体現した物になり、SDGsに取組む企業の方に講演をしていただきます。一般の参加とこども先生メンバーはクラス分けをして学びます。こども先生クラスメンバーは希望のクラスを受講できます。一般参加者向けには、事前学習にあたる入門クラスも用意します。参加者が参加しやすいように休日の実施を考えており、こどもが家庭に帰ってからもSDGsに関する会話をしてほしいという意図があります。

最後に「SDGsこども先生」の本番だと考える対話の部分について説明します。p4cというこども達が哲学的な問いを考えるためのスキームを使い、輪になってお話をしたり、コミュニティボールを使ってこども達の考えを深めてコメントを引き出します。場所は教室ではなく、東遊園地でやります。若者にとって興味のある場所は他にいくらでもありますが、フラワーロードはどんなところなのか、どんな歴史や背景があって現状はどんな問題点があるのかなど、興味がない人が多いと思います。地元の人にとっては当たり前になっていて、実際にフラワーロードに行ってSDGsに取組む企業を能動的に体験して理解し、多様性の観点で見るとバリアフリーになっていたりするので、あまり興味を持っていない人も様々な視点でフラワーロードを見ることで興味を持ってもらえるのではないかと思います。今日のイベントで発表されたような、地域創生の多くのアイデアを出してくれる人を生み出すことで、フラワーロード自体がよくなるのではないかと考えています。SDGsも同じように、若者が当たり前と思っている恩恵を知る機会が大事だと思います。学校で数枚の写真や文字を見ただけのレクチャーではSDGsに興味を持つのは難しいです。その場所に行って、ステークホルダーを知ることでSDGsやフラワーロードに興味を持つ人が来てくれると思います。

講評|
槻橋:
「こども先生」というタイトルとアイデアはめちゃくちゃ面白いと思いました。こどもから大人が学ぶ、そのポイントは非常に面白かったですが、プログラムが結構複雑に見えました。こどもがどうやって習うんだろうというところが見えにくかったです。実走しようと思ったら、黒子になるチームが必ずいると思います。こどもから実際に大人が学べるという機会をどう演出できるかを分かりやすく整理した方がいいのかなと思いました。今聞いた話だと、結局こどももワークショップに参加して勉強している感じがします。大人とこどものプロセスの違いも分からなかったので、見せかたなのかなと思いました。フラワーロードはどう絡んでくるのかなと思いましたが、学ぶ内容に関係するなどフラワーロードに絡んできたらいいのかなと思いました。

発表|KIITOゼミCチーム
 

 

私たちがこの課題に触れて感じたことは「分断」でした。フラワーロード近辺には十分な都市機能もたくさんあり、SDGsに積極的に取り組んでいる企業もあります。また、これからは学びのエリアとして整備されていく施設もSDGsに積極的に取り組まれていくのではないかと思われます。しかし、それぞれの取り組みやその人達の気持ちが分断されている気がしました。SDGsに感じる距離感や温度差、目的がバラバラな印象で街のポテンシャルが生かされていないと感じています。

多角的に見てなぜ分断がおきるのか考えてみました。まず「興味ある人」「興味ない人」に分けましたが、「興味のない人」の中に「アイデアを持っている人」や事情でなかなか参加できなかった人がたくさんいて、それを取組側が受け入れる仕組みを持っていないのではないかと考えます。それが双方の「枠」に見えることによって、分断に見えてくるのではないかと思います。

  

私たちは、SDGsに取組む前にこうした「枠」を取り去ることが大事なのではないかと考えました。私たちは神戸独自の18番目のSDGsと設定して、誰もがいつでも繋がって、ワクワクする街づくりに必要な学びと実践に取組める仕組みと場のプラットフォームを作りたいと考えます。それを実践するためにどのように取り組むか考えた時に「ニューヨークケアーズ」を研究しました。関わり方の「入り口がわからない」「深く関われない」「よくわからない」という方でも、気軽に自分たちが好きなように関われて、しかも特別な技術が必要とされないことで関わりやすい仕組みになっています。

 

その仕組みに学んで「タスカール」というイベントを考えました。これは、すでに行われているテーマも含めて、フラワーロードに隣接する街の施設や企業のスペース、公園をベースにして、色んな人が自由に関われるような場所を作りたいと考えます。「タスカール」は1年に1回、こうべタスカールとしてより多くの人に周知し、興味のあるテーマに触れていただく機会を提供する目的でイベントを開催します。そこで生まれた課題に参加者がそれぞれのスタイルで継続して関われるように「ときどき タスカール」という集まりも実施します。具体的に行うイベントは、「こどもの森神戸」では声優志望の学生さんによるSDGs読み聞かせ会や、「東遊園地」ではSDGsピクニックとして、使用するマットをSDGsの色にして興味のあるテーマの色のマットを使ってもらいます。それによって興味のあるテーマについて話したりしてコミュニケーションが生まれます。百貨店では商品のチョコレートを通してSDGsを知ってもらいます。製薬企業との緑化計画では、六甲山の薬草を学びながらフラワーロードの花壇に植えていきます。KIITO:300では、「タスカール」がどこでやっているかが分かる、すごろくを作ったり活動内容や地域課題に触れる機会を作ります。私たちはこういう取り組みをすることで、「興味があるけど来れていない人」や「興味がない人」もできれば巻き込みたいと考えています。活動を通じて関係人口を増やして資源が増えることで学びも広がり、フラワーロードに来る人が増え、フラワーロードに対する思いも変わるのではないかと思っています。私たちが議論していくと「KIITOさんがやっていることに近づくね」という意見が出ました。KIITOさんが軸になってこの案を進めていけたらありがたいと思うので、私たちチームメンバーも「タスカール」となってお助けしたいです。

講評|
細井:
誰でも出来て面白い取り組みだと思いました。それを軸にするのがフラワーロードで、自然とそこに集まってくることでいい取り組みだなと思います。おそらくSDGsは知っているけど、もっと知りたい人はどこに行けばいいんだろうという人に、そこにあることをどうやって伝えるか。それを色んな人に周知するにはどうすればいいのかが、次の課題になってくるのかなと思います。

発表|KIITOゼミDチーム
 

  

SDGsをイベントにどう取り入れるかを考えた時に、本質的な理念である「誰一人取り残さない」を大事にしたと思いました。ただ、この言葉は抽象的で遠い感じがあったためブレイクダウンする必要もありました。私たちが大切にしたい3つの事として、「自分は唯一無二の存在であると自覚すること」「他者の価値観・生き方を知ろうとすること」「一緒に何か解決できないか考えようとすること」を上げました。他人の見えにくい部分について、我々は「見えにくい多様性」と呼んでいますが、身近なものから概念的なものまで様々な多様性があると思っています。我々が考えた「かりもの共創」というイベント名は、誰かの日常を体験してみる、これを「かりる」という言葉で表現しました。そこで体験したことを自分の言葉や思い・アイデアとして一緒に生み出そう、これを共創という形で実現したいと考えています。

  

イベントは大きく3つに分けています。一つはプレイベント、ここでは見えにくい多様性を知ったり集めたりします。イベント当日は、体験したり一緒に考えます。イベント後につくる(共創)というフェーズを考えています。イベントだけやって打ち上げ花火にするのではなくて、この全体を仕組みとして考えます。「知る」の段階は、「SDGs」や「見えにくい多様性」をいきなり言われてピンとこない人も多くいると思います。イーライリリーさんの「ヘンズツウ部」などすでに神戸で活動しておられる方の話を聞きます。次に、フラワーロード周辺を実際に歩きます。そこで自分自身が「見えにくい多様性」を見つけます。自由に歩くだけでは、どうしていいか分からないので「だけかもシート」というフォーマットを用意します。(イベント後、参加できなかった人のためにウェブから記入できるように考えています。)プレイベントで集めた「だけかもシート」を運営側で選定、解釈・翻訳して体験プログラムに落とし込みます。イベント当日は、他者のエピソードが書かれた場所を歩き、公園等のオープンスペースで「見えにくい多様性」を色々体験できることを企画します。KIITOでは、だれか一人のために物を作ってみようというワークショップを考えています。

  

そして「だけかもシート」には裏面があり、「もしかするとシート」になっています。体験した後に、「もしかしたら、こういったことで解決できるのではないか?」「そもそも、こういうことが課題なんじゃないか」など、対になるような形で用意します。イベント当日は、事前抽選で当選した人が5人1グループになって案内役のスタッフと一緒に街を歩きます。案内役は「だけかもシート」のエピソードを参加者に伝えます。実際に歩いて感じた事やアイデアをシェアします。

それ以外には、VRなどを使って認知症の方が普段どういう風な見え方や感じ方をしているか疑似体験をする。宗教上食べられない物をレストランのメニューをパッと見てどれが食べられないメニューなのか、読めない文字のメニューなどを体験します。体験するだけでなく、「だけかもシート」や「もしかするとシート」に書いてもらいます。その人だけが喜んでくれるかもしれない、世界で一つだけの何かを自由な発想で作ってみます。それを我々は「n=1グランプリ」と名付けました。ファッションや空間、料理などを創作してみたらみんなが楽しめるのではないかと思います。イベントが終わってからは、集まったフィードバックをウェブサイトで公開します。アイデアで終わらせるのではなく皆さんが関心のあるテーマや面白いアイデアをKIITOと協力してお店や企業、いろんなところとつないでもっと共創して実現していけたらと思います。小さな悩み「多様性」から、いろんな問題を解決していくことにより、結果的に神戸があったかい街に「誰一人取り残さない」街になるのではないかと考えました。

講評|
鶴田:
前のチームもエンパシーという言葉が出てきましたが、個人的にはエンパシーを理解することで、色んな社会が動いていくとても興味があるところでした。n=1グランプリは最高ですね。何かが変わる期待感が高いです。「だけかもシート」の一番根本になるところは、とても大事でありながらものすごく難しい(書くことさえも難しい)と思いました。自分だけかもしれないことに、どれだけ自分が気づいているか。実は気づいている時点で見えにくいのではなく、自分の中でハッキリ見えているその手前のところを含めてどうやって可視化していくのかは、トレーニングみたいなことがワンクッション必要ではないのかなと思いました。そんな仕掛けが背後に含まれていると効果的なものに繋がっていくのかなと感じました。

総評|
 

 

 

藤岡:それぞれのチームから楽しい提案をいただきました。今までのフラワーロードでの取組みもありますが、それを新しい時代に合わせて進化させる人や新しい技術を展開する発想がちりばめられていました。ダンスの提案は、ダンスを通じて皆さんのご提案を少しずつ入れていくのもいいのかなと個人的には思いました。皆さんがいろいろ考え、街を良くしようという思いがすごく伝わりありがたいことだと思いました。

細井:私からは、ありがとうございますというコメントをお伝えしたいと思います。本当に皆さんが長い時間をかけて、色々と考えられたもの一つ一つがすべてが実現できたらいいなと思いながら聞いていました。私たちも神戸にある企業として、何か一緒にできることがあれば今後考えていけたら良いのかなと思いながら聞かせていただきました。皆さんの活動の全部ができるように進めていけたらなと思っています。お疲れ様でした。

鶴田:皆さんお疲れ様でした。非常に面白かったです。特に、ゼミの方々は見ているところの概念部分(価値観であったり、対話であったり、エンパシーであったり)は必ず捉えなければならないところを的確に捉えながら、色んなプロジェクトを考えられていると思いました。阪大チームのアートやダンスも大好きです。一つのアプローチとしてとても大事なチャレンジだと思います。神戸大学の学生とは一緒にディスカッションをしていましたが、ちゃんと状況を理解するなかで、何をすればいいのかという認識がよくできているなと思いました。みんなで一緒に考えていければ、すごく面白いことができるんだろうなとワクワクしながらお話を聞いていました。
槻橋:フラワーロードとSDGsという異色の組み合わせで、どういうことが起きるのだろうかと思っていましたが、実は一つの大きなテーマの周りで皆さんがいろいろ考えていたのだなと思いました。例を出すと、ニューヨーク市でアクティブデザインの取り組みがあります。これは都市計画局と健康管理局の部局が合同で作った政策です。とにかく歩きやすい街をつくる、ビルの中の階段を上りやすく作ることで、普段から体を動かす機会を街づくりや建築の作りの中に入れ込みます。それによってトータルにみんなが健康になり、医療費を下げるという政策です。今日お話を聞いていて思ったのは、体だけじゃなくて心と体のアクティブデザインだなと思いました。心と体を元気にする街づくりの可能性が、皆さんの発表の中でぼんやり見えていて非常に面白いなと思いました。私は、これから工事が始まる東遊園地の中に賑わい拠点施設であるカフェの設計のお手伝いをしています。来年の夏ごろには東遊園地が再オープンし、飲食のカフェだけじゃなく、屋外空間と連動させた色んなクリエイティブなミーティングをする場所もできます。フラワーロードは心と体を元気にする、そういう街の中心地というふうになると、世界に誇れる神戸のシンボルロードになるのではないかと思い期待しています。

山崎:全体の感想として、皆さんが非常に真剣に取り組まれたということがビシビシ伝わり感銘を受けました。スライドの作り込みもそうですが、本気でやっていたことが素直に一番伝わりました。SDGsはすごく難しいテーマだと私自身も思っています。大学でそういったことに関わっていたとしてもどう扱っていいのか難しいところで、「私、これやっています」とシールを貼るような言葉だけのSDGsがたくさんありますが、今日の発表ですごく印象に残っているのは、皆さんがいかに参加障壁を下げ皆が参加できるようにするかというところにすごく腐心されたのだろうなと思いました。その結果出てきたものが、基本的なコンセプトに立ち返っていました。「暮らし」の中に何かを見つけたり、「ダンス」は体の一番根源的な事に戻ったり、「こども」もおそらくそうだろうし、哲学みたいな話もいくつか出てきていました。唯一無二性も普段あまり日常生活の中で忘れているようなだけど基本的なところに流れているようなものを、SDGsを考える中でたどり着いていて、私自身が学ぶところがありました。根本にそういう避けられない問題があることをどのチームも触れていたことが全体の一番大きな感想です。皆さんが唯一無二のプレゼンだったと思います。仕組みの話とアイデア・コンセプトの話に分かれていたので、むしろ組み合わせるとすごくいいものになっていく、そういう可能性もすごく感じる発表会になったと思います。

永田:SDGsをテーマにフラワーロードを舞台にして地域共創イベントを考える難しいテーマだったと思います。普段やっているゼミと比べても相当難易度の高いゼミでした。もちろん学生さんが取り組んだテーマとしても非常に難しいテーマだったと思います。今日9チームの発表をワクワクしながら最後まで聞けました。本当にワクワクが止まらない感じですごく面白かったです。今日は皆さんのプランを聞いて「2023年にこのプランでやります」と言えたらいいなと思っていたのですが、甲乙つけられない状態です。KIITO目線の「いい種の条件」は、関わり代がたくさんあるか、強度があるか、引き付ける力があるかです。プロセスや発展性も見ています。そういう面では神戸大学の「農業」のプランにはすごく可能性を感じました。大阪大学の「ダンス」のプランは、イベントとして立ち上がるとどんなことになるのだろうという期待を感じました。「すごろく」プランに関しても完成度が高くて年度末にやりますか?というくらいの感じでやれそうなプログラムでした。「タスカール」はメルボルンのお話みたいに、フラワーロードにいろんなことを学びに来た時の仕組みとなって定着し、最終的にはイベントではなくなるのではないかと思います。それをイベント的に仕掛けていくのかなと思って聞いていました。屋台のお話やお花の話も全部企画の中に盛り込んでいける大きなお皿を作ろうとしています。そういう意味では、そこにも参加してもらえる余地があるのではないかと思います。2023年に向けてこれから、企画ミーティングという形で皆が話し合っていきながら作っていくプラットフォームをKIITO:300の中につくることで講師の方々とも一致しました。年内に1回目のミーティングをワークショップという形で立ち上げます。参加できる場所を作りますので、2023年に向けてぜひ参加してください。来年、KIITOの中で小さく始めることもできますし、KIITOと図書館と東遊園地は連携が決まっているので、フラワーロード全体ではないけれどもまずは3施設で一緒にやっていくこともできます。小さな種を作りながら、再来年に大きな種になるように積み上げていけたらなと思います。最終的にスケールの大きいことをやることになる可能性もあり、皆さんに参加していただかないとできないのでは?とも思います。本当に長い間お疲れ様でした、ありがとうございました。

参加してくれた学生さん社会人の皆さんが真剣に議論をしてきた過程が見えてくるような発表会でした。本気で取り組んで積み上げてきた時間の重みは、皆さんが提案したアクションプランの中にワクワクと熱い思いとなって伝わってきます。これでは終われない!と感じた有志が集まり次のフェーズに進みます。2023年たくさんの市民を巻き込んだSDGs共創イベントはどのようなゴールが待っているのでしょうか。

KIITO:300 ファーム|大学連携(神戸大学)概要|https://kiito.jp/schedule/project/articles/49122/
KIITO:300 ファーム|大学連携(大阪大学)概要|https://kiito.jp/schedule/project/articles/49120/
+クリエイティブゼミvol.36 リサーチ・まちづくり編概要|https://kiito.jp/schedule/seminar/articles/49439/