2023/7/17
イベントレポート
2023年7月5日(水)
神戸のビール醸造所「IN THA DOOR BREWING」を運営する中戸正親さん、中村美夏さんをゲストに、KOBE LOCAL BEER TALKを開催しました。
KIITOでビールをテーマとするのは初。CO+CREATION KOBE Projectの事業の一つとしてIN THA DOOR BREWINGの「KOBE LOCAL BEER PROJECT」が採択され、令和2年度の全体報告会を当センターで開催したことをきっかけに、KIITOとIN THA DOOR BREWINGとのつながりが生まれました。
今回のテーマは「ローカル」ビール。えっ、ローカルビールって何?クラフトビールとどう違うの?という疑問を恐らくお持ちである参加者の皆さんを前に、IN THA DOOR BREWINGとKIITOの協同企画ビール「KIITO CRAFT」での「乾杯!」音頭から、トークスタートです。
■WHAT IS THA WE BREW – IT IS LOCAL BEER
流行り廃りの回転が非常に早い日本で、人気になっても一過性ですぐ淘汰されるようなビールをつくりたいわけではない。ではどうしたいか?を考えた結果、地域にしっかり根付いた醸造所にしたい、という想いをもち、”ローカル”を意識するようになりました。
まずは神戸の天然水でビールをつくろうと考え、思考錯誤して、100%布引の水を使用したビールができあがりました。そして運営を続けているうち、ローカルに根付いた醸造所ということで、EAT LOCAL KOBEの方から「FARMERS MARKET」出店のお声かけをいただき、出店スタート。そこで地元の農家の皆さんと出会い、旬の食材を使用したビールをつくり始めるきっかけになりました。またIN THA DOOR BREWINGのお店で提供する料理の食材も、FARMERS MARKETで購入したりしています。
■二宮から六甲アイランドへ
コロナ禍という大きな社会変化をきっかけに、もっと運営を新しい形に変えていく必要があるし、また、変えられるタイミングだと思い、お店の移転を決断しました。お店の前は緑豊かなスペースがありとても良い場所です。六甲アイランドは遠い、というイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれないですが、六甲ライナーにのれば意外とすぐなんですよ。
■IN THA DOOR BREWINGの考えるローカルブルワリー
規模感は小さいですが、地域の人と助け合い、協力し合いながら運営していくことで、地元の良さを引き出していく。そうやって地域に根付くことで、「私たちにしか提供できないビール」をつくることができればと思っています。
ローカルブルワリーを運営するポイントとしては、一つ目に地域オリジナルのビールを作ること。真似ではなく、オリジナルを出す。これは簡単なようで、一番難しい重要なポイントです。
次に、地産地消。これは難しく捉えられがちですが、身近な人と人との関係性でなりたつこと。無理してやるのではなく、自然とそうなっていくと思っています。
三つ目は、地域と連携すること。特別なことではなく、それぞれの特性、フィールドを活かしながら、その仕事のどこかで役に立つことができれば、という考え方です。
四つ目は、地域の課題解決方法を模索すること。例えば、小規模の農家ではどうしてもその年々の状況により収穫量のばらつきが出てきますが、IN THA DOOR BREWINGでは収穫量を指定せず、逆に農家に合わせてビールをつくることができます。年間指定量に合わせて収穫できないということを課題ではなく、単にその年のできごととして捉えています。また、は損なわれていないものの、少し傷がついてしまったりして販売が難しくなってしまったものを買い取り、ビールにしています。
最後はローカルエコノミーを大切にすること。莫大なお金は動かないかもしれませんが、地域で経済を回していくことを常に意識して運営しています。
■KOBE LOCAL BEER PROJECT
プロジェクトという大事感のある名前がついていますが、これはIN THA DOOR BREWINGが続けてきたライフスタイルそのものです。意識しているのは、「循環」。クラフトビール醸造所におけるモルト粕の廃棄問題をうけて、何かできることはないかと考えて始めたのが循環のスタイルです。モルト(=麦芽)粕を農家に無償で渡して肥料として活用してもらい、その土壌で育ったフルーツなどでビールをつくったり、あとは、地元のパン屋やグラノーラ屋に提供して商品の原料としてもらったりしています。モルト粕ってとても美味しいんですよ。しんどくなってしまうと続けられないので、いずれも無理のない範囲で楽しんでやることを意識しています。
ほか、FARMERS MARKETでたまたまお隣にて出店されていた「いなだ養蜂園」の方と仲良くなってうまれた「いなだハニーセゾン」を皮切りに、沢山の農家と進めているコラボレーションビール作り、アパレルブランドCAPの地域貢献プロジェクト「LOCAL HERO&GAPプロジェクト」認定の話、またこの夏の醸造所移転に伴う、通常とは一風変わったクラウドファンディングについてなど、楽しく実り多いお話が次から次へ…!Q&Aコーナーに移ってすぐから、参加された皆さんからの質問がとまりません。「これまでのコラボレーション数は」「これからチャレンジしたいコラボレーションビールの食材は」「購入側に求めることはあるか」「ブルワリー名をちゃんと覚えたいから名前に込めた想いを教えてほしい」「今どんどんブルワリーが増えていっている中で意識している差異化について」「環境への取り組みについて」etc…そのひとつひとつにとても丁寧にお答えいただき、あっという間に時間となりました。
参加の皆さんからは、何も知らずに単にビールを飲むのと今回のお話を聞くことができたのとでは楽しみが全然違う、神戸でこのような取り組みをされている会社があることが嬉しいしもっと増えてほしいと思う、またトークをしてほしい、そして何よりビールめっちゃ美味しかった!というお声が終了直後から上がっていました。
是非お店にいったり、朝9時からビールを楽しめるFARMERS MARKETに行ったり、KIITO CRAFTを手に入れていただいたりしてビールを味わいながら、そこにある背景や想いや活動、そして地域・人・経済ついて考えてみてくださいね。
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