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2025/2/20

イベントレポート

ワークショップ「親子防災工作教室」レポート

2025年1月13日、子どもの創造性を育むプラットフォーム「KIITO:300 キャンプ」では、阪神・淡路大震災から30年目を契機として、身近にある素材を活用し、被災地で役に立つ道具を親子で作る防災工作教室を開催しました。講師は、NHK教育テレビ「つくってあそぼ」でおなじみの、わくわくさんこと久保田雅人さんと、KIITOのセンター長であり、楽しく防災を伝えるプログラムやツールの開発などを行うNPO法人プラス・アーツの理事長である永田宏和が担当しました。当日は永田による被災地の状況のレクチャーと、久保田さんの工作教室をあわせた1時間弱のワークショップを2回実施し、防災工作の知識をそれぞれ15組程度の親子参加者に届けました。

 

 

 

最初に、永田が写真を見せながら被災地の状況について説明します。普段当たり前のように手に入る食糧や物資が、災害が起こったあとでは簡単に入手できなくなります。参加者は、災害に対する理解を深めるとともに、防災道具を常に備えておくことや、非常時に工作の知恵を活かし、周囲にあるものを活用して道具を作ることの重要性を認識しました。さらに、永田はNPO法人プラス・アーツが主催する防災訓練プログラム『イザ!カエルキャラバン』や、防災教育に取り組む学校や学生団体との連携活動の紹介を通し、参加者に楽しく防災知識を身につける方法と可能性を提示しました。

 

 

 

レクチャーが終了したら、いよいよ「工作の伝道師」の久保田さんによる、万が一の災害時に役に立つ道具をつくる防災工作教室が始まります。制作物は、災害時に食事や水分補給を摂るための器として使える、新聞紙でできた「紙食器」と、風雨や埃から身を守るためのウェアとなる、ゴミ袋でできた「ポンチョ」。被災地で伺った声の中で実際に活躍している2種類の道具となります。

ワークショップでは、久保田さんとアシスタントの山田さんが2つの道具の作り方をお手本で示しながら説明し、参加者も一緒に工作をしていきます。講師の2人は親や子どもにユーモアを交えつつ話しかけながら、作り方に困っていないか、やり方が間違っていないか、常に会場を見回って気にかけ、フォローしてくださいます。会場は賑やかな笑い声が絶えません。

 

 

 

工作① 新聞紙でできた「紙食器」
作り方:
一枚の新聞紙を分割して正方形をつくり、折り方に沿って箱をつくります。出来上がった箱の上に水がはじけるようにラップや袋を包みます。

 

 

工作② ゴミ袋でできた「ポンチョ」
作り方:
一枚のゴミ袋に、折り目を軸に切れ目を描きます。切れ目に沿ってハサミで切り、ポンチョのフードや結ぶためのリボンをつくったら成功です。

 

 

また、できたポンチョに自由に絵を描くこともできます。

 

ワークショップの最後に遊び道具の少ない避難所でも多くの子どもたちの心を癒すことができるアイテムとして、ごみ袋で簡単にできる風船の作り方を久保田さんから教えていただきました。この風船は、空気で膨らますごみ袋の上にゴムをくくって作るため、遊んだあとは元のゴミ袋に戻すこともできます。できた風船で参加者と遊んだ久保田さんは、1人でも多くの子どもたちにこのアイデアをシェアし、万が一災害が起こる場合は前向きに「正しく恐れる」など、勇気を与える言葉をいただきました。多くの参加者が「家に帰ったら風船を作ってみたい」と、嬉しそうに話している様子が見られます。

 

 

防災工作は、被災時でも身近にあるものを活用し、工作を通じて「被災時の困りごと」を解決するための方法です。今回のイベントを通じて、手を動かして工作を楽しみながら防災の知識を身につけ、災害など予想外の状況が発生した際に、身近な材料でも役に立つものを作れること、そして、「正しく恐れる」ことの大切さを伝われば幸いです。

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