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2020/6/24

REPORT

+クリエイティブゼミVol.33 多文化共生編「神戸流の多文化交流のプラットフォームを考える」第5回レポート

+クリエイティブゼミVol.33 多文化共生編「神戸流の多文化交流のプラットフォームを考える」。
最終となる今回は、これまでチームで進めてきたリサーチやディスカッションを基にアクションプランをまとめ、オンラインで発表しました。
講評には講師の永田、神戸市国際課、神戸国際コミュニティセンター(KICC)の方々にご参加いただきました。

人・組織チーム 「世界のうわさプロジェクト」

 

現状と課題
・日本と外国人の間に言語や文化等の理由からくるコミュニケーションの壁を壊す。
・外国人向けのイベントはあるが認知度が低いので、新たな周知方法を考える。

チームのアクションプラン 「世界のうわさプロジェクト」
既存の「神戸のうわさプロジェクト」に便乗する形で、思わず笑ってしまうような世界のうわさを市内の様々な場所に貼り付け、日本では知られていない他国の情報を発信する。
人々が様々な情報を享受できるようになるだけではなく、共通の話題をつくることで、日本人が外国人に抱く壁を和らげる。
うわさのシールには友情の証としてうわさ対象国の国旗を日本の国旗と並べて掲示。言語は日本語、英語、できればうわさ対象国母国語の計3言語を使用する。
プロジェクトを推進するにあたり、任期半年程度で日本人と外国人が混在する10名程度の編集部を結成し、うわさの収集と選択を行う。
うわさシールは内容に関連性のある場所に掲示。シール貼付作業をイベント化し、多くの人に参加してもらうことでプロジェクトの認知向上も図る。
将来的にはQRコードから詳細webサイトにリンクできるようにしたり、SNS連携をしたりなどの継続的な活動を目指した展開を行い、最終的には「共生」から「共笑」が根付いた社会になることを目指す。

講評と質疑
永田
・今あるものにしっかり便乗し、さらにアレンジをきかせてそれぞれの文化の違いからくるミスコミュニケーションを埋めていくのはすごく良いアイデアだと思った。
どういううわさを掲示するか、言葉のインパクトを考慮した選定や編集、またうわさシールを掲示する場所の工夫がポイントになる。
次、またその次と先々まで見据えてからプロジェクトを実施した方が良い。
・新たな周知方法としてうわさプロジェクトを活用するというのはどのようなことか。
→コミュニケーションの壁を壊すということを最優先事項としているので、周知はその次の段階で検討する予定。まずは編集部に参加した人に拡散してもらえるようにできれば良いとは考えている。

神戸市国際課
・どういった人をターゲットと考えているのか。
→そもそも国際交流に興味がある人と、うわさに興味・疑問をもってくれる人。国際交流に興味がある人については編集部に加わってもらいたいと思っている。
・単に世界の豆知識を掲示するだけではその場で完結してしまう。どういった内容を発信する予定なのかを知りたい。
→まだ具体的な内容は定まっていないが、編集部分が要になると思ってはいる。編集部自ら実際の情報をヒアリングしに行き編集を進める予定だが、その際神戸在住のライター等プロにアドバイスを頂けるようにしたいと考えている。
・どこに貼り出すのか。
→該当のうわさに関連のある場所。料理であれば飲食店、乗り物であれば公共交通機関など。
・効果測定はどのように行うか。また次の施策にどうつなげるのか。
→市民から何かしらの反響をいただいたり、SNSで取り上げられたりしたら効果があったとみなす。KOBE PRアンバサダーのSNSアカウントフォロワー数は参考としたい。
・「今後について」のところでお話された「市の施設で効果の確認」とはどのようなことか
→シールの貼付け場所について、最初飲食店などはハードルが高いので、市役所・区役所等の協力して頂きやすいところから始めたいと考えている。
・初回にバルセロナの反うわさ戦略にもふれたが、ネガティブな感情を打ち消そうとすると議論的になるので、こういったポジティブな情報を流すのは面白く受け入れられやすいと思う。ただそれだけで終わってしまっては意味がないので、QRでアクセスすればイベント詳細ページにつながるなど、より深いところにつなげるためにはどうするかを考えるべき。
→編集部の任期を短めに設定することで、プロジェクトに関われる人を増やす。その上でプロのライターや多文化共生に関わる専門家を招き、アドバイスを頂けるような仕組みを整えられれば、交流の場を生み出すことができると考えている。

KICC
・もう少し具体的なところまで示されるとイメージしやすい。
→工夫点として、「豆知識」だけでなくすべて疑問形にして何かしら疑問をもってもらい、今後のアクションにつなげていただけるようにしたいと思っている。

場所チーム「待つだけじゃなくて行く!」

 

現状と課題
・外国人コミュニティが細分化され、また各コミュニティが閉鎖的になってしまっている。
・日本人と外国人、また外国人同士でも距離が生まれている。
・ふたば国際プラザを活用しているのは関心を持っている外国人住民が大半。

チームのアクションプラン 「待つだけじゃなくて行く!」
ふたば国際プラザに来る人を増やすという発想ではなく、外国人等の「コミュニティの活動場所に出向き、またふたば国際プラザに来ている人が地域に出て自然とコミュニケーションできるような仕掛けを考える。
ここに来たら皆友達というテーマをもって、生活に必要なことを教える講座と、必要なものは何かを話し合う交流会を実施。
防災、病院・薬局など生活に必要なことをテーマとしてはじめ、遊びなどにも展開していく。

例:防災
外国人コミュニティや長田区の地域住民を対象とし、ふたば学舎(ふたば国際プラザ)から「まちなか防災空地」まで歩いてみて、危なそうな場所や災害に関連するサイン等を観察しながら街歩きをする。
防災空地に到着したら、青空喫茶を展開し、そこで振り返りをしながら疑問点・不安点の洗い出しや、災害の際どのように備えたら良いのかという点まで話し合う。

期待されること
外国人コミュニティ…生活の不安が解消され、コミュニティでの交流が生まれる。また地域を知るきっかけになる。
商店街(地域住民)…外国人コミュニティへの理解につながり、商店街や地域について愛着をもってもらえるようになる。
ふたば国際プラザ…活動を知ってもらい、ふたば国際プラザに行くきっかけを生み出せる。

他、病院など地域の困りごとに関係する場所を選び、シリーズ化していく。

講評と質疑
永田
コロナウイルスも災害と言え、より多くの在住外国人が困っている現状に対し、タイムリーにアプローチしていくということは、感謝が生まれて関係性を構築でき、次につながりやすいという点で非常に有用的だと思う。また実際に街歩きする点も良い。ただ運営体制については要検討。

神戸市国際課
・具体的で実現性も高い。また必要知識を学びながら交流を進めていけるという点が良い。
・コミュニティや地域団体においては交流を生み出せるが、そこからコア層以外のレベルにどうやって広がりを持たせるのか。
→各回の満足度を高め、コミュニティの中でいかに浸透させられるか、また如何にしてキーマンをおさえるという点がポイントになってくると思う。
・日本地域住民が国際プラザにくるきっかけはどういったところか。
→既にいくつものプログラムが実施されているが、そこで日本人の地域住民として何か一緒にやりたいという思いを持てるように、まずお互いを知ることが大事だと考えている。
・稼働率60-70%という話が出たが、その数字はどこから来ているか。
→全体的なプロジェクトの中の利用率。ふたば国際プラザが発行している小冊子からの引用。

KICC
・待つだけじゃなく行くという視点が面白い。外国人住民にとっては参加することによって知識が得られるというメリットがあるが、日本人側にとってのメリットも打ち出せると、より魅力的なプログラムになると思う。

仕組みAチーム「”やさしいにほんご”でやさしさムーブメントをつくろう!」

 

現状と課題
現神戸在住外国人のデータ
・3年間で約4000人増加。アジア圏からの来日者が多い。
・在留資格別に見ると、技能実習の方が4.4倍となっており、日本語を不自由としている人が増加している可能性が高い。
・約4割の方が日常生活で、また半数の方が災害時に言葉による不便さを感じている。
→日本語が不自由なことが原因で、日常生活に支障をきたしていたり、コミュニケーションがとれず孤立している可能性がある。

チームのアクションプラン 「”やさしいにほんご”でやさしさムーブメントをつくろう!」
阪神・淡路大震災をきっかけに考え出された、ふつうの日本語よりも簡単で外国人にもわかりやすい「やさしいにほんご」を使うことで、ちょっとした「やさしさ」が人々の間に広がり、課題が解決されることを狙う。
現在は高度な翻訳ツールのような物質的なものもあるが、ここでは心にフォーカスし、やさしさが広がる多文化共生都市・神戸を目指す。

やさしいムーブメント
神戸アジアン食堂バルSALAさんに協力依頼し、
・日本語困り感あるあるクロストーク
・「やさしいにほんご」であそぼう
・外国人による「やさしいにほんご」きょうしつ
上記を例としたイベントを開催する。

広げ方
神戸版「やさしいにほんご」ステッカーを作成し、協力店に配布、店頭に貼っていただく。
第一号にアジアン食堂SALAさん、今後は近隣の飲食店や販売店に裾野を広げる。他にもミニシールや缶バッジもイベントで配布したい。

「やさしいにほんご」は外国人だけでなく、高齢者や障がいのある方等にも配慮した情報提供の在り方。
「やさしいにほんご」を使って困っている人や助けを必要とする人と話し、そういった行動の積み重ねが神戸にやさしさの気持ちを根付かせ、皆が暮らしやすい街にかわっていく。

講評と質疑
神戸市国際課
・現状の在住外国人のデータについて、人数だけでなく在留資格別でもとらえているのがとても良かった。
イベント・場にいかに多くの参加を促せるかが課題になると思う。またステッカーを掲示するというアイデアまで出ているのは大変良かったが、掲示先としている飲食店ではさほどコミュニケーション上の問題は無いと思われる。日本語のコミュニケーションで本当に困っているところに対してのアプローチを考えた方が良いのではないか。
→指摘の通り飲食店で本施策をひろげるのは限度があるとは思うが、まず一番敷居の低い飲食店で学ぶ機会を設け、そこで学んだことを日常生活に活かしてほしい、あくまで飲食店という場所を足がかりにしてほしいと考えている。
・「やさしいにほんご」は国際課でも注目している取組だが、「やさしいにほんご」とは何か、またどうやって評価するかという点が未だ確立していない。
やさしいにほんごは実は習得するのが難しいと考えているので、良い方法があれば教えてほしい。
→まだ方法を見つけられていないが、やさしいにほんごをテーマとして扱っている研究会やNPOなどがあるので、コラボレーションして内容面を補完し、広報誌を活用して市民に届けるのが良いのではと思っている。

KICC
中間発表のときでお話していたことを、今回「やさしさムーブメント」という非常に上手い形でまとめられていた。

永田
“やさしさムーブメント”にするための仕掛け・仕組みが必要。例えば現在防災の知識や技能を拡げるための市民講師を多く育成しているが、同じように研修プログラムなどある種の認定制度とセットで動かした方が良い。確立できると行政でも展開しやすくなる。
→既に研修制度があるかは定かでないが、大阪市生野区では「やさしいにほんご」の内容が表明されていたり、QRコードのリンク先から詳細を確認できるようになったりしているので、同様の形式である程度の体系的な知識は提供できるようになるとは考えている。

仕組みBチーム「焚火のある場」

 

現状と課題
日本人として外国人との接し方や言葉がわからず、隔たりができてしまっている。
また各種イベントや施設、活動等の情報が十分に届いていない。

チームのアクションプラン 「焚火のある場」
神社、校庭、公園、海岸 ふたば国際プラザなどで焚火のある場を提供し、地域のお店(飲食店)や企業、保育所、温泉、映画、文化団体・サークルなどとコラボし、活用してもらう。他、焚火は舞台の照明として使えたり、屋外で実施することで密を避けられたり、冬の寒い時期も開催可能だったりと利点も多い。
イベントの告知は多言語で、かつインターネット上とポスター・チラシ等のアナログ上両方で発信する。運営についてはふたば国際プラザを活用している在住外国人に依頼し、交流のきっかけとしてもらう。出店における各種申請等のノウハウはKIITOから提供する。また、アウトドア関係会社へのスポンサー協力や、学生委託による運営も検討する。
最終的に、生命を守る炎の下に集まる文化も異なる人々が、自らの場所を作っていけるようになることを目指す。

講評と質疑
KICC
焚火という発想が面白いので、告知方法ももう少し工夫するとより興味をもっていただけると思う。

神戸市国際課
・焚火という発想は面白い。
・ターゲットは誰なのか。ふたば国際プラザにくる在住外国人に突然依頼するのは難しいので、運営は他の方に依頼し、在住外国人にはまずは参加側にまわってもらい、触れ合える場を創出することを優先した方が良いのではないか。
→学生団体も運営に参加してもらえれば良いとは思っているが、今後検討していく。
・広がりをもたせられるという点は面白いが、実際施策として進めていく上ではもう一捻り必要。集まろう、行こうとするモチベーションの要素を入れられれば、一層魅力あるイベントになる。

永田
発想はとても面白いが、実際運営を進めていくと一筋縄でいかないことが多い。例えば、プラス・アーツでは「火育キャンプ」を実施しており、焚火イベントとしての実施は難しくても、防災イベントとしてなら可能となるケースもある。そのように、焚火が駄目だった場合の次の打ち手を予め二段階構えで用意しておくと、実現可能性が高まる。
また様々なコラボレーションによるイベント実施は面白いが、焚火が中心なのか、もしくはイベントが中心なのか、核となる部分を見失う可能性があるので注意した方が良い。

総評
神戸市国際課
・人・組織チーム「世界のうわさプロジェクト」
運営側が楽しめる点が良い。また既存事業を活用するので実現可能性が高い。
今後は効果のはかり方、この施策から啓発されることについても検討しながら次の施策に結び付けられるような仕組みができれば面白いと思った。
・場所チーム「待つだけじゃなくて行く!」
国際課が考えていた施策と方向性が一致している。実現性も高く、イメージもしやすかった。後はどのようにしてターゲットとすべき人たちを沢山集めるかという点が解決できれば非常に面白くなると思う。
・仕組みAチーム「”やさしいにほんご”でやさしさムーブメントをつくろう!」
国際課で検討している多文化施策のひとつ。着眼点も良い。「やさしいにほんご」の使用障壁を緩和できる仕組みを併せて考えるようにすれば施策の実現可能性が高くなる。
・仕組みBチーム「焚火のある場」
着眼点が面白い。孤立した人を如何に巻き込み交流を深めることができるかをもう少し考えれば、イベントとして非常に良くなると思う。

永田
中間発表時と比較し、非常にリアリティ・可能性を感じる発表になっていた。
効果もある程度期待でき、昨今のコロナウイルスの影響も鑑みたタイムリーな提案も多かった印象がある。
問題となるのは、誰が実施するのかというエンジンの部分。またそれを考える際、常に自分事として捉え計画していかないと、提案してもらったアクションプランの実現は難しい。
実現までのハードルの高さはプランによってそれぞれだが、いずれにしてもここから詰め、メンテナンスを重ねる必要があるので、運営パートナーを探すことが重要になる。その部分がクリアになればどの施策も効果が期待でき、将来的に神戸モデルとして推進できる可能性もあると思うので、是非アクションを進めていただきたい。
最終発表までしばらくインターバルがありモチベーションを維持するのが大変だったと思うが、非常に良いアウトプットが出来ていたと思う。

全5回の多文化共生ゼミは今回で終了ですが、発表された内容を神戸市・KICCと再度見直し、良いアイデアはアクションプランとして実際に神戸の街で実行していきます。

+クリエイティブゼミVol.33 多文化共生編「神戸流の多文化交流のプラットフォームを考える」概要はこちら