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神戸スタディーズ#4 「”KOBE”を解す―せめぎあいにみる神戸の都市史」第3回目 レポート

2016年2月13日(土)

神戸スタディーズ#4 「”KOBE”を解す―せめぎあいにみる神戸の都市史」第3回トークセッション「過去から未来へ:まちの変わる契機(モメント)」を開催しました。

今回は、講師の村上しほりさんから、第1,2回の振り返りと補足をしつつまとめのレクチャー、最後に、モデレーターを務めるKIITOセンター長・芹沢高志とのトークセッションを行う回です。


モニュメント
第2回フィールドワークで注目した「モニュメント」について。
・神戸では、1960年代後半から大規模な彫刻展が開催され、積極的に「花と緑と彫刻のあるまちづくり」が推進されていたが、1998年に現代彫刻展は終了。
・主因としては、予算、公園における防災機能の優先化~各地の空地を復興用途で利用していく過程で、園内の彫刻がその場所にある必然性、メッセージ性が問われるようになったことなどが考えられる。
・1995年以降、各地に「震災モニュメント」が設置されるようになる。震災からモニュメントに対する認識の転換がおこったのか。

まちが変わる契機、災後の変化
神戸というまちの変化に影響したさまざまな出来事(戦災復興/三大水害/都心が東へ/山地を切り崩して臨海部の埋め立て地造成「山、海へ行く」/ニュータウン開発やポートピア81に向けた都市整備/震災/復興 など)を挙げ、その変化の契機について見ていきました。
・自然災害からの復興やその原因の克服は都市整備のモチベーションに。
・「復興」に際しては民間の力もたくましかったが、「官」が主体となって引っ張ってきた。それが復興のスピードを上げたともいえる。新しいことを、と走っているうちに、気がついたら過去が遠くなっていた、のではないか。なお、都市開発が急激に進む前には、民衆の間や人びとと行政との間のエネルギーのせめぎあいが目に見えて残っていた。過去の写真の建物の立ち方からも分かる。
・震災を契機として、集合的記憶の喪失というクライシスが実感された。
残し、伝えることの重要性の認識がなされ、そこから膨大な記録が生まれた(災後の記録だけでなく、災前の資料の救出・収集も)。

聞く力
トークセッションでは、集合的記憶を残す、という話をきっかけに、「聞く力」についての話になりました。

聞き取り調査などをするとき、人の記憶に比べ、この場所に何があったか、といった場所の記憶は、聞かないとなかなか自分からは出てこないのだそうです。その場所の建物が建て替わったりしてしまうとなおさら。また、資料なしに聞くと、事実と異なることが多いため、聞きたい時代についてあらかじめ調べておき、地図や写真などを準備した上で、さらに決して誘導はしないように気をつけながら質問を投げるのだそうです。
忘れたからといって、忘れたきりではなくて、何かが引き金になって思い出すこともある、とのこと。

思い出すきっかけの他に、語るきっかけについても言及されました。
歴史化されるタイミングとは何だろう。伝えたいと意識するのはどんな時なのか?
村上さんの調査のなかで「震災があったから、戦後のことを話す気になった」という人が複数いて、「戦後の振り返りのために商店街の資料を集めていたけれど、持ち出せなかった」という話もあったそうです。
95年はちょうど戦後50年の年。節目の年に、自分の振り返りをしようとした矢先に震災があった、ということが、喪失感をより大きなものにしたのではないか、と二人は考察します。


サラエボ・サバイバル・ガイド、発見された1958年の広島のスナップ
また、芹沢からは、これまでの3回を経て浮かんできたという『サラエボ・サバイバル・ガイド』、エマニュエル・リヴァの写真集についてなどが話されました。

・村上さんのお話や写真から、神戸の特徴を改めて感じた、これまでの神戸スタディーズで、兵庫津の方をまわるフィールドワークを行った時も感じたが、歴史的な遺構のようなものが、ずいぶん目立たなく、あっさりしているのが印象的だった。失ったものを再建するのではなく、次に進む、という考え方なのだろうか、びっくりするほど残っていない。
・サラエボの都市インフラが止まった時、TVプロデューサーのスアダ・カピッチが、ミシュランの都市ガイドの形式をまねて、『サラエボ・サバイバル・ガイド』という本を作った。カピッチは「ハード・ウェアは破壊されたが、ソフト・ウェアが生き延びた」と言っている。自分たちの文化的な記憶、昔ながらの野草を使った料理法、暖の取り方など、ものがなかったころのソフトをしたたかにユーモラスに再生していく。
・1958年のフランス映画『ヒロシマ・モナムール(邦題:二十四時間の情事)』に出演した女優のエマニュエル・リヴァが撮ったまちのスナップが、何十年後かに発見されて写真集になった。その写真が、人がさまざまなことを思い出すきっかけになったという話を聞いたことがある。写真が大きな引き金になっている。


今回も時間いっぱいまでトークセッションが続き、質疑応答の時間が短くなってしまいました。アンケートからも関心の高い参加者が多く、聞きたいことや話したいことがご自身にもある方が多かった企画だったことがうかがえましたので、今後機会があれば、参加者とのトークセッション中心の回を設けるなど、構成を検討したいと思います。

神戸スタディーズ#4は今回で終了です。これから本企画の内容をまとめた成果冊子を制作します。参加出来なかった方も楽しんで読めるような構成を検討していますので、ご期待ください。


神戸スタディーズ#4 「”KOBE”を解す―せめぎあいにみる神戸の都市史」
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2016.2.24

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