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2015/10/28

イベントレポート

LIFE IS CREATIVE展 終活ラボワークショップ 「アルバム整理ワークショップ」レポート

2015年10月21日(水)

KIITOのクリエイティブラボスペース入居クリエイターで、秋田県発行のフリーマガジン『のんびり』のほか、吉本興業発行の『おおらかべ新聞』など、編集を軸にローカルデザインを考える編集者、藤本智士さんを講師に迎え、整理しないまましまいこんでしまった写真を持参し、たった一冊のアルバムにまとめる「アルバム整理ワークショップ」を開催しました。

終活ラボでなぜアルバム整理ワークショップなのかというと、終活に取り組む人の多くの方のその動機に「子ども、孫に迷惑をかけたくない」という想いがあるようで、後世に残しても仕方がない、と、写真やアルバムを捨てる方が多くいらっしゃるようです。そんな写真を捨てる前に、とっておきの一冊を作ることを目指しました。

はじめに、藤本さんから東日本大震災とアルバムについてのお話がありました。
震災後、津波によって流されたものの中でも、最も大切に扱われたものの中に写真アルバムがあったそうです。
亡くなられた方のご遺体を捜索する際、道なき道を歩き、瓦礫をかき分け、かつて家だったもの、店だったもの、商品だったもの、あらゆるものが破棄される運命にあるものとして扱われました。そんなか、瓦礫から発見された写真アルバムだけはとても大切に一箇所に集められていったそうです。そして、避難を余儀なくされた人たちが一時帰宅の際、まず持ち帰るものの中にアルバムが含まれていたそうです。
写真とは、私達にとってそれだけ意味深く、かけがえのないものになりうるということをお話いただきました。

昨今、写真はデジタル化が進み、プリントされることはかなり減ってきています。
代わりにPC保存やクラウドフォルダに保存されたりします。それらの容量は進歩するにつれて増加し、それと足並みを揃えるようにシャッターを押す量も増加しています。
藤本さんはこのことに疑問を覚えたそうです。撮られた写真たちはほとんど見返されることもなく、ただただ蓄積され、データとして残されたものは実は故障や事故で一瞬で消え去ってしまいあとすら残らない頼りなさがあるからです。写真とはプリントされてこそ価値がある、と藤本さんは話されました。

次に整理と整頓についてのお話に移りました。
整理と整頓の違いをご存知でしょうか。整理とは「必要なものが必要なときに取り出せる状態」を指し、整頓は「整然と綺麗に並べられている状態」を指すそうです。
写真アルバムはどうでしょうか。写真アルバムは時系列に並べられることが基本とされているが、それは整頓されているだけで、整理されていないのかもしれません。
アルバムにもならず、プリントしたまましまいこんでしまっている写真、これはどうでしょうか。もはや整理も整頓もなされていません。持っていることさえ忘れてしまうようなもの、これは仏教の言葉では「無明」と言われるそうです。無明とは忘れたつもりでいても、心はちゃんと覚えていて、「どうしようかな」と思い続けている状態です。こういったものが増えると無意識の中でも記憶のデータベースを混雑させていしまい、脳の働きを低下させてしまうのです。この無明の領域を減らすためにも、整理整頓の滞った写真をアルバムにまとめることはとても良い、とお話がありました。

いよいよ、アルバム整理に移ります。
まずは皆さんの自己紹介と、お持ち頂いた写真がどういったものかを紹介していただきました。
数年前に行った海外旅行のお写真をお持ちになった方や、ご両親の写真を整理したいのでその練習ということでまずは練習用にご自身の写真をお持ちになった方、シニアの方の自分史作りのサポートに役立てたいということでご参加いただいた方など、様々な目的の方にお集まりいただけました。
目標はとっておきの一冊のアルバムです。

今回の整理には、「いろは整理術」を用います。
大阪のある写真屋の奥さんが開発した整理方法です。
まずは、アルバムのページ全てに「いろはにほへとちりぬるを・・・」の48文字を各ページに2文字ずつ書き込んでゆきます。合計24ページになります。
そして、その文字を頭文字としたタイトルを考えながら、写真を選びます。
例えば、「いい笑顔!」と思った写真は「い」のページに貼り付けてタイトルを書き込む、と言った具合です。

深く悩まず、どんどんやってゆきます。
また、誰かと相談しながらやることも大切です。一人でやっているとのめり込んでしまうので、誰かに相談したり、どっちかを選ばなければいけない時も他の人の力を借りれます。
家族でやるのもおすすめです。いろいろな写真を見ながら、この時はこうだったんだよ、と語り継ぐことができ、形式張ったエンディングノートよりも想いを込めてこれまでの”人生”を語り継ぐことができます。

写真の選定で悩まれる方や、すぐに決めてどんどんいらない写真を捨てていく方や、ザクザクと切り抜いて貼り付けていく方など、同じアルバムでも様々なものが仕上がっていく様子が伺えたのがとても印象的でした。

最後に、皆さんの出来上がったアルバムを紹介してもらいました。


LIFE IS CREATIVE展 ワークショップ「アルバム整理ワークショップ」
http://kiito.jp/schedule/workshop/article/14411/

LIFE IS CREATIVE展 高齢社会における、人生のつくり方。
http://kiito.jp/schedule/exhibition/article/13681/