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2024/5/9

イベントレポート

〈災間スタディーズ:震災30年目の“分有”をさぐる〉「分有資料室」オープニングトーク

デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)は、災間文化研究会と協働し、災厄の経験を分有する表現の可能性をさぐるリサーチプロジェクト「災間スタディーズ:震災30年目の“分有”をさぐる」を立ちあげました。そのプロジェクトの一環として、3月30日より「分有資料室」を開設しました。「分有資料室」は、プロジェクトの拠点となる特設展示室です。
開室初日には、災間文化研究会の高森順子さん、会場設計を担当いただいた片田友樹さん(micelle ltd.代表)をお迎えし、オープニングトークを行いました。

はじめに、高森さんより開室の挨拶をいただきました。

高森さん:「災間文化研究会では、「分有」「災間」という難解で、聞きなれないキーワードを掲げています。共有ではなくなぜ「分有」なのか。「災前」「災後」「災害の渦中」などの言葉がある中でなぜ「災間」なのか。災間文化研究会に所属するメンバーは、異なるフィールドで研究活動を行い、言葉にするということを行っています。「分有」は、言葉にならなさを前提にした考え方です。資料室には、強烈な災害に関する記録写真やビジュアルがある訳ではありません。また、阪神・淡路大震災と大きく謳ってもいません。言葉にならなさというあいまいで不確かな「分有」というイメージを、実際の空間に表現しました」

続いて、会場設計を担当いただいた片田さんよりお話をいただきました。

片田さん:
「プロジェクトに関わることになった時、まずはじめに、何がそこに展示され、どういう行為を生むべきなのかという点を整理する必要があり、研究会やKIITOと一緒に話し合うところから始めました。資料室は、書架があったり、プロジェクトの活動資料があったり、手記の読み書きができるなどの3つの要素で構成されることから、その要素を繋げて束ねる会場構成を試みました。素材は、これまでに展示などで使用された部材を再活用できないかというKIITOからの提案もあり、それらを利用しながら什器をデザインしていきました」

高森さん、片田さんより資料室ができるまでのお話を伺った後に、実際に会場を巡りながら展示や設計デザインについてご紹介いただきました。

会場の一角には、人と防災未来センターが収蔵する「阪神淡路大震災を記録しつづける会」の関連資料や実際の手記を展示しています。資料の多くは紙資料ですが、中にはフロッピーディスク、写真のネガ、ビデオテープに収録されたラジオ音源、家庭用ビデオテープなど、メディアの変遷が分かる資料もあります。手記の一部は、コピーしたものを会場に展示しているので、手に取って読むこともできます。

 

分有資料室では、ほかにも研究会の皆さんが関わった書籍や災害に関する資料をご覧いただくことができるほか、募集中のプロジェクト「30年目の手記」について、会場で手記を書き、専用のポストに投函いただくことができます。
資料室は、9時~21時にご利用いただけます。ぜひお気軽にお立ち寄りください。

災間スタディーズ:震災30年目の分有をさぐる
期間:2023年11月18日(土)~2025年3月30日(日)

阪神・淡路大震災から「30年目の手記」
募集期間:2024年1月17日(水)〜12月17日(火)

分有資料室
期間:2024年3月30日(土)~2025年3月30日(日)※月曜休(祝日の場合は翌日休館)