3/30 Sat- 2025/3/30 Sun
PROJECT
阪神・淡路大震災から30年を迎えようとしています。
長い年月が経ったと感じる人、あっという間だったと感じる人、まだ生まれていなかった人。
震災を語ることをめぐっても、さまざまな人がいるでしょう。
震災を語りつづけてきた人、かつては語ってきたけれどいまは語らなくなった人、語りはじめて間もない人、いつか機会があれば語ろうと思っている人、語ってよいのか迷っている人。そして、語るほどのことはないと思っている人。
1995年以降、地震、風水害、コロナ禍など、いくつもの災害が発生してきました。
私たちは、すべての被災地の復旧や復興を見届けられない「災間(さいかん)」の社会に生きています。
だからこそ、阪神・淡路大震災から30年目を迎えるいま、あらためて、それぞれの体験に思いを馳せたいと考えました。
ただ、体験というものは、ひとりひとり異なります。全く同じように共有することはできません。
では、私たちはどうやって「あの日」を想像すればよいのでしょうか。
この場所では、その想像の手がかりとして「分有(ぶんゆう)」という言葉を掲げています。
「分有」とは、体験の「共有できなさ」を知ったうえで、それでもなお、ひとりひとりの体験を知ろうとすること、そして、他者に手を伸ばそうとする態度です。
分有資料室では、阪神・淡路大震災を中心に、さまざまな体験の記録や表現に触れることができます。奥のスペースでは、「30年目の手記」を書くことができます。
誰かの体験が、あなたに受け止められますように。そして、あなたの体験が、新たな誰かに届きますように。
・開室時間は、午前9時~午後9時です。
・資料や記録を見たり、読んだりできます。座席はご自由にお使いください。
・手記を読んだり、書いたりできます。書いた手記はポストにご投函ください。
・会場内はご自由に撮影いただけます。資料の接写はご遠慮ください。
ー分有と表現のライブラリー
ある出来事を分かちもつために、どんな術があるだろうか?阪神・淡路大震災の後には、どんな議論がなされたのだろうか?
神戸や各地の経験を〈災間〉と〈分有〉をキーワードで探る「災間スタディーズ」のライブラリ。資料は、2025年1月まで随時更新していきます。
※資料リストはこちら(2024.3.30更新版)
1. 災間文化研究会
デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)と「災間スタディーズ」に取り組む、災間文化研究会のメンバーがかかわった資料です。
2.阪神・淡路大震災とアート
1995年の阪神・淡路大震災が起こった後に、アートにまつわる取り組みや議論には、どんなものがあったのだろうか? 書籍や展覧会の図録など、さまざまな資料を集めています。
3.神戸スタディーズ
神戸というまちのイメージをあらためて考えるため、歴史学、地理学、生態学、文化人類学、アートなど領域横断的に多彩な講師を招き、今までにない視点で神戸を見る「神戸学」をつくる試みの記録冊子です。2013年〜2021年にデザイン・クリエイティブセンター神戸で開催。
4.災間スタディーズ
記録や表現を通して、ある出来事を分かちもつ術について考える。「災間スタディーズ」にお呼びしたゲストや活動の関連資料です。
5.〈分有〉をたどる:[記憶・歴史・表現]フォーラムをめぐって
震災から10年目の2005年、詩人・キュレーター・研究者などで構成されたグループ「[記憶・歴史・表現]フォーラム」は、体験の「共有できなさ=共有の不可能性」を出発点に〈分有〉という言葉を掲げ、神戸で展覧会を開催しました。その活動の関連資料を集めました。
6. 〈分有〉のゆくえ:東日本大震災とアート
2011年の東日本大震災の後には、さまざまな表現活動が生まれました。他者の声に耳を傾け、遠くに伝えるために表現に昇華する。それは阪神・淡路大震災後の〈分有〉の議論と響き合っています。
ー「阪神大震災を記録しつづける会 」へ寄せられた手記と手記集ー
阪神大震災を記録しつづける会が発行した手記集、そして、実際に寄せられた手記を展示しています。
協力:人と防災未来センター
資料室では、実際に手記を書いていただくスペースを設けています。阪神・淡路大震災から「30年目の手記」を、会場で綴ってみませんか。あなたにとって、あまりにささやかだと思えたり、語るほどのことではないと感じる出来事が、誰かの明日を生き抜くためのヒントになるかもしれません。会場に設置した用紙に記入後、資料室入口にあるポストまたは、1階および3階受付スタッフにお渡しください。
「30年目の手記」の詳細はこちら
「災間スタディーズ:震災30年目の“分有”をさぐる」は、デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)と災間文化研究会が協働で行うリサーチプロジェクトです。分有資料室は、本プロジェクトの一環です。詳細はこちら
https://researchmap.jp/community-inf/Saikan-Studies
2021年に実施したTokyo Art Research Lab「災間の社会を生きる術(すべ/アート)を探る 災害復興へのいくつもの「かかわり」から」でのディスカッションをきっかけに活動を開始。災間の…(続きを表示)