2015/11/4
イベントレポート
2015年10月25日(日)
いよいよ展覧会の最終日となる10月25日に、20日間の会期を振り返りと、今後の高齢社会にむけて展覧会で行ったことがどうつながっていくかの展望を明確にするトークを行いました。
①シニアメディアラボ
このラボでは、「1.高齢社会においてどんな情報が必要なのか?」「2.それを知るためにどんな情報媒体が必要なのか?」「3.読む、書く、聞く、調べるがコミュニケーションのきかっけになりえるのか?」という3つのテーマをもとに展示やトークを行いました。
<地域情報誌「omusubi」>
今まで4年間、東灘区社会福祉協議会と協働で行い、地域のリタイアした人、大学生、コピーライター、デザイナー、KIITOが一緒になりチームを組んでつくってきた情報誌「omusubi」の、これまでの展示と、これからを考える試みをしました。
10月12月(月・祝)には、今まで「omusubi」に関わった人たちに来ていただき、さらにこれから関わりたい方々と、「omusubiトーク 地域情報紙 プロジェクトのこれまでとこれから」を行いました。参加した方の中から出た意見としてとても面白かったのは、情報誌が自分ができる関わり(役割)方を見つける舞台になっているということです。会期中に「omusubi」第3号制作のキックオフミーティングを行ったのですが、新たにラボに関わったメンバーが興味を持ってくださったりと、今後に向けて新しい展開を生み出していました。
<トーク・アラウンド・ザ・ブックス>
「プロの書店員が選ぶ65歳からの1冊」という企画で、歳を経たからこそ楽しめる本をセレクトし、書籍を紹介するブックリストの展示を行いました。
10月18日(日)にはトーク「トーク・アラウンド・ザ・ブックス 」を行いました。
<編集を学ぶかべ新聞部>
壁新聞が最近なくなっている中で、壁に貼っているものをみんなで共有しながら読むことは新しいコミュニケーションを生むのではないかと考え、10月17日(土)にワークショップ「編集を学ぶかべ新聞部」を行いました。
参加者が実際に街に出て取材をする中で、高齢者が自然と集まる輪があることなど新たな発見がありました。
②食ラボ
地域に関わっている食のプログラムのリサーチやヒアリングをし、展示を行いました。
地域で月1~2回行われている「ふれいあい給食」に関して既存のメニューをリサーチし、料理研究家の坂本先生にアドバイスをいただき、スパイスを足して味に変化をもたらしたり、盛り付けで彩良くする方法など、簡単にアレンジできるメニューの提案をしました。
もう1つリサーチの中で多かったものが、男性向けの料理教室です。既存のプログラムは自分のためのものが多いが、本気の料理を学び誰かのために作るという内容があっても良いのではないかということで、全4回の「男・本気のパン教室」を会期中に行いました。参加者は50歳以上の男性6名で、サ・マーシュの西川シェフ指導のもと、パン作りを学びました。10月17日(土)には「ライフ イズ クリエイティブ カフェ」を開催しました。
会場に、「男・本気のパン教室」に参加していた方が来ており、参加されての感想を聞いたところ、「最初は、2日間でパン作りを習得するなんて無理だと思ったが、シェフに丁寧に教えてもらえたことと、メンバーの結束が強かったことで、カフェ当日のパン作りを満喫できた。」「今回参加したことで、家族にも喜ばれた。」「今後も、場があればぜひまた集まってやりたい。」という声をいただきました。
③公園ラボ
「健康」をテーマにリサーチをしました。会場内には、遊具メーカーの株式会社コトブキさんにご協力いただき、健康遊具の展示を行いました。健康公園のリサーチも行い、現状、高齢者にとても人気がある公園がどういったものかを展示し、さらに、公園に対する「こんなことができたらいい」「こんな場所があったらいい」というアイディアを募り、その場に貼っていってもらいました。
会期中には、全3回のワークショップ「公園×シニア×健康の未来を描こう」を行いました。国内・海外の公園の事例をリサーチからはじめたのですが、参加者からは「久々に公園に行った」「公園にこんなに健康遊具があるとは知らなかった」という意見がありました。最後には、その場で「こんな公園があったらいい」といアイディアを、絵を描いたり粘土や紙を使って立体にしてもらい、発表を行いました。
④オールドタウンラボ
このラボでは、「高齢者のスキルをまちでどう生かすか」「高齢者と他の世代がどう交流したらよいか」という2つのキーワードがありました。いくつかオールドタウンの事例をリサーチしていく中で、オールドタウンと呼ばれているものの、そのまちにはキーマンとなる元気な高齢者がおり、その人がいかに他の地域の高齢者に役割を与え、何か催事等に巻き込むかどうかがとても重要だということに気づきました。そのため、今回の展覧会では、以前に開催した+クリエイティブゼミvol.3まちづくり編
で繋がりのある須磨区高尾台を題材に、キーマン含め巡民の方がどうやってつながっているかを図式化した「つながりMAP」と、高尾台で行われている多世代の住民が参加できる様々なイベントをリストアップした「高尾台の1年間」というものを制作し、展示しました。
その他、高齢者のスキルを活かしたり、スキルアップの場を創出できないかと思い、展覧会の会場設営を高齢者の方と一緒に行う「ものづくり講座」を実施しました。建築家の方々に講師になっていただき、事前講習で道具の使い方や会場設計のコンセプトを学び、実際に3日間かけて各ブースのファサード(木の枠組み)を制作しました。
10月11日(日)には、ワークショップ「いきいきとした地域づくりにおける高齢者の役割」を行いました。実際に参加者の中に、大学生と高齢者の方が一緒になってグループディスカッションを行っており、
⑤恋愛ラボ
事前のリサーチのなかでとても興味深いデータがあり、シニア男性は「いつもでも恋をしていたい」、女性は「恋愛はもうとっくに卒業した」という違いがありました。そこで、シニア男性にはよりいきいきと恋を楽しんでほしい、シニア女性にはもう一度恋する気持ちをもってほしいということをテーマに展示やイベントを行いました。
新しいシニア像を提案する「モテインフォ」を設け、いくつかに分類したモテるタイプの人物像が書かれたおみくじがひける「モテみくじ」を設置しました。その他、「モテ絵馬」を設置し、来場者に「愛する人にもらいたいもの」「愛する人と行きたいところ」を書いてもらい、どういった人がモテるのかなど、リサーチを兼ねた展示をしました。
また、会期中に全4回の「おしゃれ着リメイクワークショップ」を行い、会期の最終日の10月25日(日)には「ライフ イズ クリエイティブ ファッションショー2015」を行いました。ワークショップの参加者の方からは、「このワークショップに参加しておしゃれを楽しんで自分磨きをしたことで、恋愛スイッチが入った。」という言葉をいただき、とてもいい機会が持てたと感じます。
⑥認知症プロダクトラボ
高齢者に対する海外でのプログラムはどういうものがあるのか?という興味の中で、イギリスが高齢社会に対する文化芸術からの取り組みで先進事例が多く、プロダクトの展示を行いました。
レジデンスとして、デザイナーインベンターのクロエ・メイネックさんを招聘し、作品である「Music Memory Box」を展示し、さらに神戸版Boxの制作を進めました。実際に神戸の認知症の方々やその周辺の方にヒアリングを行い、認知症の方ご本人がいきいきと思い出がよみがえる物や音楽について情報収集を行いました。実際にヒアリングをしていく中では、ご本人だけでなく家族が元気になるという姿が見受けられ、家族のためにも大きな役割を持つプロダクトだという事を感じました。これのヒアリング情報をもとに、今後、クロエさんが神戸版「Music Memory Box」の制作を進め、完成した後、KIITOで展示を行います。
その他、イギリスのデザインカウンシルが開催した認知症デザインコンペで応募された2作品の実物の展示と、イギリスの美術館が開発したアプリの展示を行い、認知症プロダクトに対する可能性を広く見せました。
10月22日(木)には「クロエ・メイネック アーティストトーク」を行い、10月23日(金)には、ブリティッシュ・カウンシルのアーツ部長、湯浅真奈美さんをお迎えして、レクチャー「高齢社会における文化芸術の可能性 英国を事例として」を行いました。
⑦防災ラボ
NPO法人プラス・アーツが実施している家族で楽しく参加できる防災訓練「イザ!カエルキャラバン!」をベースに、高齢社会での新しい防災訓練が考えられないかということでリサーチと提案を行いました。
神戸の中でも、色々な工夫をして防災訓練を実施している地域がありその事例紹介と、防災食の中でも介護食を出しているメーカーがあり、その展示も行いました。
10月17日(土)にはレクチャー「高齢社会における新しい防災のカタチを多面的に考える。」を行いました。ゲストが、防災訓練のプログラムをつくり続けることがとても楽しいとおっしゃっており、大きな仕組みは考えられないけど、高齢者が参加できる工夫をチャレンジし続けているとお話しさせれていました。また、地域の中には、「誰かのために何かしたい」と思っている高齢者の方は地域におり、そういった人たちをどう巻き込んでいくかがとても重要だということが分かりました。
⑧終活ラボ
まずは「終活」の現状と今をリサーチしました。今まで遺産相続やお墓などの「死のための準備」が「終活」だった状況が、ここ数年は「残りの人生をどう生きるか」という「生」のための「終活」に変ってきたということが分かりました。そのため、「終活」の新しい可能性を探る展示を行いました。
1つめは、「これまでの終活」「新しい終活」「未来の終活」という3つに分けてアイディアをイラストにして展示を行いました。もう1つが、来場者の方々に「死」を意識して人生計画をしてもらい、”ものさし”(紙)にその内容を書いてもらう「LIFE IS TAPE」という公開ヒアリングを行いました。予想以上に、若い方々にも書いていただき、「改めて考えたらとても時間がかかった」「残りの人生の時間を考えたらいっぱいやりたいことがあった」などの感想がありました。
10月12日(月・祝)にはレクチャー「今と未来の終活のはなし」
10月21日(水)には「アルバム整理ワークショップ」を行いました。
今回のクロージングトークのはじめからおわりまでを、グラフィックファシリテーターの石橋智晴さんに絵と文字で書き残していただきました。
LIFE IS CREATIVE展 クロージング・イベント トーク「ワクワクする高齢社会にむけて」
http://kiito.jp/schedule/event/article/14566/
LIFE IS CREATIVE展 高齢社会における、人生のつくり方。
http://kiito.jp/schedule/exhibition/article/13681/