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2020/2/29

イベントレポート

「神戸野菜学 ブロッコリー」レポート

1月26日(日)

緑、緑、緑。
KIITO CAFÉの店内には、壁一面に貼られたアーティスティックなブロッコリーの絵と、宙に浮く生のブロッコリー。会場に足を踏み入れた参加者たちは、少し落ち着かない様子で席に着いていきます。
「神戸野菜学」は今回で15回目。毎回異なる野菜をテーマにその生態や調理法など“知っているようで知らない”姿に迫ってきました。中でもとりわけ不思議な見た目をしているブロッコリーがこの日の主役です。チャイムの音と同時に、講師の3人が登場。まずはそれぞれがブロッコリーに対する想いを語りました。

  

参加者には、当日までに心をブロッコリーモードにしておくための「宿題」が配られていました。こちらは今年度開催の野菜学から実施されているもので、宿題と言ってもテスト形式ではなく、用紙には「わたしのブロッコリーヒストリー」「ブロッコリーを褒めよう」など自分とブロッコリーの関係を改めて見つめ直すことができるような項目が。ブロッコリーヒストリーを発表する場面では、よくお弁当に入っていた、母がつくっていたブロッコリー料理が思い出の味、ブロッコリー好きの友人へ、ブロッコリーをブーケのようにしてプレゼントしたなど、さまざまなエピソードが披露されました。スケッチの欄にも、これぞブロッコリー!というものや葉付きで丁寧に描かれたものまでそれぞれの個性が現れています。
この宿題にちなみ、今回の講師・「fresco,fresco」(ポルトガルの市場での掛け声、「新鮮」の意)という屋号で西区押部谷で活動されている農家4年目の丸山倫寛さんと兵庫区和田岬で「カルチア食堂」を営む仲島義人さんにもうかがってみました。
丸山さんは子どものころブロッコリーが苦手で農家になってからも特に育てる予定はなかったのですが、試しに育ててみたら意外に簡単にでき、しかも美味しいことがわかったのだそう。のちに栄養価が高いこともわかり、今はブロッコリーを栽培しながらその偉大さを実感しています。
一方仲島さんも、子どもの頃はあまり好きではなかった様子。しかし最初に勤めたレストランで初めて覚えた料理「ブロッコリーのアーリオ・オーリオ・ペペロンチーノ」がとても美味しく、今でもあと一品欲しいというときに作るくらいブロッコリーが好きになった、と話していました。
また、農家と料理人をつなぐ、神戸市北区の野菜直売所「はっぱや神戸」加古祐樹さんのブロッコリーヒストリーは、おばあちゃんが育てたブロッコリーのお話。ときどき虫がついているからよく見て食べなさいと言われていたのに、美味しくて次々と食べているうちに虫まで口に入れてしまった…といううっかりエピソードでした。

  

場が和んできたところで、まずは座学でブロッコリーの生態を学びます。机の上には、1人1つマイブロッコリーが。実際に手にとってじっくりお話を聞くことで、より一層理解が深まるのです。
日本におけるブロッコリーの歴史は意外にも浅く、やってきたのは明治時代。しかも、最初は洋食文化の広がりとともに普及したカリフラワーのほうがもてはやされていたそうです。ちなみに、カリフラワーはブロッコリーが品種改良されるなかで生まれた兄弟分。しかし、カリフラワーは少しでも汚れると市場価値が下がるなど栽培や流通面で手間がかかることが多く、次第にブロッコリーの普及量が逆転していき現在に至ります。
今回講師として来ていただいた3人には、「わたしのブロッコリー論」ということで、それぞれの立場から見たブロッコリーを評価していただきました。栽培するひと・丸山さんは育てやすさを高評価。寒さにも強く、種を蒔いてから3ヶ月ほどで収穫でき、苗が定着するまでの水やり期間を過ぎればあとは何もしなくてよいコストパフォーマンスの良さを熱弁しました。次に、広めるひと・加古さんが語るのは栄養価の高さ。カロテンとビタミンCが豊富なブロッコリーは、抗がん作用が高いとも言われ注目されているそうです。栄養を余すところなく摂取するコツは茹ですぎないことなのだとか。そして、料理するひと・仲島さんが推すのは、何と言っても料理の幅広さ。茹でたり蒸したり揚げたり焼いたり…茎にいたっては生でも食べられます。また、側枝(そくし)と呼ばれる、茎が伸びた部分は調理しやすく美味しいとのことでおすすめです。

  

一見種類が少なそうであまり掘り下げる部分がないように見えるブロッコリーですが、実は余すところなく楽しめる野菜。ということで、今回の調理実習と仲島さんによるブロッコリー料理では、ブロッコリーを部位ごとに使った3種類の料理を楽しみました。
調理実習でつくったのは、ブロッコリーの「コンフィ」。たっぷりのサラダ油でブロッコリーの株と塩麹を煮詰めた一品です。シンプルな工程ではありますが、材料を切って鍋に入れ、火加減を気にしながら煮る作業を参加者たちで協力しておこないます。ドボドボと投入されるサラダ油に少々驚くみなさんでしたが、ぐつぐつと美味しそうに煮えていくブロッコリーに楽しみを隠せない様子でした。
コンフィと一緒に味わうのは、ブロッコリーの葉を使ったスパイスたっぷりのキーマカレーと、茎をピクルスのように漬け込んでつくるインド料理「アチャール」。3品とカレーのお供となるバゲットが盛られたブロッコリー尽くしのプレートは、心まですっかりブロッコリーに染まった参加者たちのお腹を満たしてくれたことでしょう。

  

  

「今日お話したブロッコリーの基本的な情報はインターネットで調べても出てくる内容です。それだけではなく、今日実際に農家さんと料理人の方に来ていただいて、いろいろなエピソードをうかがうことができたということを良い思い出に、これからももっとブロッコリーを好きになってくれたらと思います」
加古さんの愛情たっぷりのメッセージ、そしてこちらも愛が詰まったオリジナルの「ブロッコリー体操」を全員でおこない、神戸野菜学ブロッコリーは幕を下ろしました。

  

「神戸野菜学 ブロッコリー」イベント詳細はこちら

◆以下、イベント告知チラシ裏面(上記webページにも掲載)の「抜き打ちブロッコリーテスト」の解答です。

問1 ブロッコリーの原産地(国)を答えなさい。

(   イタリア     )

問2 ブロッコリーの仲間を次のうちから1つ選びなさい。

①リーキ  ②フェンネル  ③コールラビ  ④アーティチョーク

(   ③コールラビ     )

問3 ブロッコリーの房は無数の蕾(花蕾)で出来ています。一房におよそどのくらいの蕾がついているか、次から1つ選びなさい。

講座A

①1,000個  ②10,000個  ③100,000個

(   ③100,000個     )

問4 今回の講師・丸山さんの好きなブロッコリーの食べ方は次のうちどれか答えなさい。
〈ヒント〉「味がしみやすいところが好き」だそうです。

①ブロッコリーをうすめにスライスした「ブロッコリーしゃぶしゃぶ」。
②茎を刻んでスープに。
③ひとつをまるごとゆでてマヨネーズをかけてかじる。

(   ②茎を刻んでスープに。     )

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