お知らせ・レポート

EARTH MANUAL PROJECT展

2013年10月19日(土)-20日(日) 

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防災を楽しく学ぶ、「イザ!カエルキャラバン!in KIITO」を開催しました。あいにくの天気でしたが、多くの家族づれにご参加いただきました。家族でプログラムに参加し、防災に関する知識や技を学ぶことで、防災や自然災害についても共に考える機会にもなりました。インドネシア版のプログラムでは、実際にインドネシアで活動しているメンバーに、バケツの水を使って的を狙う消火活動や災害について考えるすごろくゲームを実施しました。イベントの最後に行われた人気の高いおもちゃを扱うオークションでは、カエルポイントを多く持っていると欲しいおもちゃを手に入れるのに有利なため、子どもたちは繰り返しプログラムを体験し、防災の知恵や技をしっかり身に付けていました。

■実施プログラム

巨大防災ボードゲーム(インドネシア版)           バケツ消火(インドネシア版)
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防災紙芝居                         ロープワーク
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ジャッキアップゲーム                    毛布で担架タイムトラアル
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家具転倒防止ワークショップ                 持ち出し品なぁに?クイズ
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防災カードゲーム「なまずの学校」              紙食器をつくろう
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※開催概要はこちら

「コミュニティ・アーキテクト イカプトラ」三夜連続レクチャー
2013年10月18日(金)

三夜目は、センター長の永田が取り組んできた防災訓練プログラム「イザ!カエルキャラバン!」と、インドネシアにおける受容と広がりについて取り上げます。

イザ!カエルキャラバン!
まちづくりには「風の人」「水の人」「土の人」が必要不可欠です。土の人は土地に根を張って暮らし、土壌を作る人達です。水の人は土地に寄り添い、種に水をあげ育て続ける中間支援的存在。風の人は外から種を運び、土地に刺激を与える存在。

永田は風の人として、次のような種を運ぶことを重視しているといいます。
・色々な人に手伝ってもらい、一緒に考えてアレンジしてはじめて完成するもの。集まった人がどんどん参加して自分たちのものにできるため。
・楽しい、美しい、感動的、非日常など、関わるものそのものに魅力があるもの。

阪神・淡路大震災から10年目、被災者からの被災体験談を半年ほど掛けて収集し、防災マニュアル『地震イツモノート』を出版。カエルキャラバンは、そのリサーチをもとに開発された新しいかたちの防災訓練システムです。アーティストの藤浩志さんが開発した「かえっこ」(いらなくなったおもちゃを会場に持ってきてポイントに交換し、他のおもちゃと交換できる遊び)と体験プログラムを合わせたものです。体験プログラムの内容が防災のノウハウを学べるものとなっており、参加することでポイントがたまります(消火器的あてゲーム、バケツリレー、毛布で担架タイムトライアルなど)。

カエルキャラバンを開催したい地域にはノウハウを教えに行き、普及を進めています。防災組織だけではなく地域のPTAなども巻き込み、地域のお祭りのようになればいいと考えている、と永田。現在はモンゴル、ブータン、タイなど、様々な国に広がっています。

インドネシアにおけるIKCとBOKOMI
インドネシアにおいては、災害が過ぎれば被災のことは忘れられ、次の災害に備える動きがみられないとイカプトラ氏は感じていました。
そんな中、永田と出会い、まず子どもへの防災を行うべきと教わりました。被災体験をより長く語り続けることができるのは、大人ではなく子どもであるからです。

カエルキャラバンをインドネシアで受け入れるにあたり、運営方法を開発する必要がありました。まず氏の所属先であるガジャマダ大学が先導し、地域のNGOと小学校の先生を巻き込み運営を始めました。その後政府の支援を得て、先生をトレーニングすると共に、NGOも含めて情報交換ができるネットワークを形成し、彼らにリーダーシップを任せていきました。

「イザ!カエルキャラバン!」の頭文字「IKC」を「INISIATII KANCA CILIK〈小さい友だちによるイニシアティブ〉」と読み替え、「イカチェ」というイベント名にしました。また日本ではカエルをマスコットキャラクターとしていますが、インドネシアではより身近な子鹿(KANCIL)をキャラクターとしました。

IKCを発展させるためには、(1)地方政府に活動を見てもらい活動の重要性をアピールすること、(2)ツール開発、(3)担い手である先生たちをトレーニングをすること、(4)実行するためのシミュレーションをすることが大切でした。
特に先生のトレーニングについては、IKCを楽しんでもらうだけなく学んでもらわなければならないため、正しい方法を子どもたちに教えられることが不可欠でした。そのために先生たちには、医学者やボーイスカウトなど専門家から学んでもらいました。

さらに、神戸の防コミ(防災福祉コミュニティ=消防や警察といった行政の力だけでは足りないほどの大災害に対し、住民による自主的な消火や救助活動が重要であるという認識の元形成される自主防災組織)をBOKOMIとしてインドネシアで発展させました。
まず、神戸市消防局に地域の防災組織について教わりました。神戸の防コミでは、地域の防災訓練に子どもたちも参加していることを知りました。
日本の防コミが持っている消火ポンプなどの設備はインドネシアでは高価すぎるため、地域にあるものを応用し、低コストで作るよう工夫しました。現在では三週間に一度の防災訓練を行い、子どもも参加しています。現在はさらにBOKOMIを広げようと、ツールを計画中とのことです。

ディスカッション
インドネシアのBOKOMIでは消火ポンプがとても人気があるとのこと。これは、自分たちが自主コミュニティを作っているという誇りの象徴の意味を持っているのではないか。またイカプトラ氏は、シーズマネーを生かし、プロジェクトをさらに発展させるためのアイデアを持たれていて、また、資金を提供する立場、運営を担う立場など、様々な人を巻き込む力があることがすばらしい、と永田から指摘がありました。
会場からも多くの質問が出されるとともに、インドネシアから来日されたBOKOMIの担い手のみなさまには、会場からの質問に答える形で、BOKOMIの具体的な様子や、運営する上で気をつけていることなどについてお話をいただくことができました。

開催概要はこちら
撮影:片山俊樹

「コミュニティ・アーキテクト イカプトラ」三夜連続レクチャー
2013年10月17日(木)

二夜目は、クリエイターと復興期の被災地との関わりについて取り上げました。

インドネシア・銀細工職人支援
まずイカプトラさんより取り組み事例をご紹介いただきました。歴史的な町の構成を持ち、銀細工の職人たちが暮らすインドネシアの村、KOTAGEDE(コタゲデ)は、2006年5月ジャワ島中部地震で被災しました。イカプトラさんは翌月に地域に入り、まず町並みや伝統的な建物の復興に着手しました。その中で、地域の銀職人と話をする機会があり、彼らが経済的に厳しい状況に置かれていることを知りました。職人組合に加入している場合、政府による援助の対象となりますが、経済状況が厳しく組合費を払えない職人は対象外となってしまうのです。そこで、援助をする側と受ける側を結びつける仕事をすべきだと考えました。

ちょうどその折、援助を申し出てくれた企業があったため、職人が職を得て被災から立ち直るシステムづくりに着手しました。個人個人に生活支援をしても、生活を立て直すことで精一杯になり仕事の復興まで行き着かないと考えたからです。

まず100人ほどの職人をリストアップ。若者が好むアクセサリーのデザインを学生に考えてもらい、カタログやパッケージもデザインしてもらいました。それぞれの商品には、デザイナーではなく職人の写真と連絡先を記載し、購買者が職人に直接発注できるようにしました。その結果、震災後2年で職人が生計を立てられるようになったといいます。

この取り組みにおいて重視したことは「三つのC」だと説明されました。
文化(Culture):コタゲデ村の文化をいかにいい状態にもっていくかを考えること。
職人(Craft):地域社会で職人が働けるよう、売る場づくりや技術向上に努めること。
コミュニティ(Community):働く場、住む場としてのコミュニティを作っていくこと。

日本・EAST LOOP
次に、株式会社福市の髙津 玉枝さんをゲストに迎え、東北の被災地支援プロジェクトである「EAST LOOP」をご紹介いただきました。

被災地では生活物資や人的支援を与えられる状況が多くなりがちです。人間の尊厳を保つためには誰かの役に立つことが大切であり、そういう仕事をつくらねばならないと思い、震災から約一ヶ月後の2011年4月に被災地に入られたそうです。その時は、地域で活動されている方に「被災された方に仕事をさせるなんてとんでもない!」と断られましたが、その後も大阪から被災地に通い、徐々に理解を得、プロジェクトを立ち上げることができました。

プロジェクトの目的として、(1)仕事を通じて尊厳を保つ、(2)悩みを仲間とシェアする場づくりなど、プロジェクトに参画することで精神的なサポートにつなげる、(3)一般の人々が商品を通じてサポートできる機会を作る、という三点を設定。また、場所や道具、技術が限られる中で作れる手編み製品とすること、支援していることを誇りとして身につけられ、コミュニケーションを生み出すものにすることがポイントでした。

また、商品を買うことで利益が誰に届くかが購買者にわかるようにしました。髙津さん自身のフェアトレードの経験を生かして、作った人に売上の50%を届けることとし、販売経費や諸経費、原材料を50%におさえました。
魚を贈る→一緒に魚を採る→魚の採り方を教える、という段階があるように、単に寄付するのではなく、自立を支援する取り組みが必要だといいます。

ディスカッション
制作者に十分な利益を分配するためには、地域に根付く人々に、任せられる部分は任せていくことが大切だと髙津さん。プロジェクトを継続させ、東北支援グッズから東北ブランドに育てることに繋がるといいます。

二つのプロジェクトに共通する点として、状況を把握し必要な支援を行っていること、プロジェクトの継続を見据えて支援期間を設定すること、専門性を活かしていることなどが挙げられます。会場からだけでなくゲスト同士も沢山質問し合い、刺激的な時間となりました。
会場ではコタゲデの銀細工、EAST LOOPのブローチなどを販売し、多くの方にご購入いただきました。

開催概要はこちら
撮影:伊東俊介

「コミュニティ・アーキテクト イカプトラ」三夜連続レクチャー
2013年10月16日(水)

 

一夜目は、住み続けながら拡張する復興住宅「コアハウス」を取り上げました。コアハウスとは、核となる必要最小限の住宅を作り、居住者が徐々に建て増していくことで、住宅を復興させる考え方で、仮設住宅と復興住宅の二つの機能を併せ持つ応急住宅といえます。
まずイカプトラさんに取り組み事例をご紹介いただきました。2006年、ジャワ中部地震が発生。イカプトラさんは地震から2週間後に、壊滅的被害を受けたカソンガン村に被災調査に入ります。そこで地域の人々に会ってニーズを汲み取り生み出されたのがコアハウスでした。

コアハウスとは
コアハウスの原則は、構造的、建築的、経済的に成長させていけるということです。構造的に、増築した部分も地震に強くなければなりません。また、最小限のスペースから建て始めて、収入があった時に住むスペースを徐々に増やしていけるというものです。
これを実現するためイカプトラさんが行ったこととしては、まず建物の意匠的なユニークさをなくし、シンプルな家にすること。建物の個性を出そうとするのは、この場面においてはそぐわないからです。
また、地域の人に作り方を伝え、彼ら自身が耐震性のコアハウスを作っていけるよう、マニュアルを作るとともに、連夜一般向けのレクチャーを開きました。

コアハウスを建てる際の留意点として、人だけではなく持ち物、そしてプライバシーも守ることができるシェルターの機能を持たせること、安く仕上げるためにその場にあるものを活用し、かつ耐震のために必要な物資を用いること、外部の資金を得ることが挙げられます。

事例比較から見えること
また建設時期について、震災直後にコアハウスを建設したカソンガン村と、政府によるパーマネント住宅の建設が始まった後にコアハウスを建設したケブンアグン村を比較。前者は建設費用が後者に比べ2分の1ほどであり、増築がより進みました。その理由は、震災から時間が経つと資材が高騰し、また政府からの復興援助が既に届いていて家が建ち始めていたため、増築するための十分なスペースがなかったためです。カソンガンではまずコアハウスを建て、その後に政府の援助によって増築するという流れを作ることができたため、よりよい事例と言えます。
インドネシアの場合、多数の家族で一軒の家に住んでいることが多く、政府の援助はその実情に合っていませんでした。その点コアハウスは住む人の事情に合わせて建てることができます。

日本のコアハウス事例
次に、聞き手にお迎えした曽我部 昌史さんからは、被災地における様々なプロジェクトに関わってこられた中でも二つの事例をご紹介いただきました。

板倉の家
牡鹿半島のための地域再生最小限住宅の開発プロジェクトで、アトリエ・ワンが設計を担当した「コアハウス/板倉の家」。
牡鹿半島らしい風景をつくる、予算に応じて規模が選べる、地域の産業と連動する、の三点を重視し、コアハウスのが採用されました。住む人に漁師が多いため、仕事から帰ってきて玄関を通さずに直接風呂場に行く習慣に対応するなど、住む人に合わせた構成としました。

オカミのイエ
被災地復興計画のコンペで、岩手県のある地域の生活習慣や風習を前提として提案されました。
この地域の家には「オカミ」という地域の人が雑談するスペースが必ずあり、そのオカミを中心に置き、周辺に増築できる形のコアハウスです。地域の人々をむすび協働するような生き方を目指し、かつもともとある集落に足していく形の建設が提案されました。土地に合った風景を作り出すとともに、陽の光や風を取り入れる構造でもあります。

ディスカッション
コアハウスを日本で普及させるための課題として、まず日本人の意識として、自身の経済状況に合った家のイメージをみんな持っていて、それを実現することを考えがちなのではないかという意見が挙がりました。また増築する際に、日本は人件費が高いこと、建築基準法から見れば確認申請を出し直さなければならないなど、色々な障壁が複合的に合わさっているということが話されました。
コアハウスは復興住宅とは異なり、その地域に住み続けられるためコミュニティが守れるという利点があります。住み継いでいく家としてコアハウスは可能性を秘めているといえるでしょう。

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(撮影:辻本しんこ)

2013年10月14日(月・祝)

展覧会も中盤となった10月14日、地震や津波などの災害から生き延びるための知識を楽しみながら身につけることができる防災ゲームを紹介し、展覧会会場の防災ゲームコーナーでの展示を実際に体験できるイベント「防災ゲーム大会」を開催しました。

イベント会場には、タイのゲームデザイナーであるラッティゴーンさんが講師を務めた「“遊びながら学ぶ”地震ゲームを作るデザインワークショップ」で参加者とともに開発した、地震や津波をテーマとした4つのゲーム、「イツモ村」「ひなんでGO!GO!」「いそげはやちゃん」「森のシェルター」と、日本で生まれた7つの防災ゲーム「東日本大震災教訓教材 「とっさのひとこと防災編」」、「ぼうさいダック」、「なまずの学校」、「GURAGURA TOWN」「3.11シンサイカルタ」「防災カードゲーム シャッフル」「クロスロード」の全部で11の防災ゲームが勢ぞろいしました。

「“遊びながら学ぶ”地震ゲームを作るデザインワークショップ」
日本で生まれた7つの防災ゲーム

参加者は、受付でスタンプシートをもらい、ゲームの体験スタート。4つのゲームを体験しスタンプを集めると展覧会のオリジナルバッジを1つゲット、さらに、8つのゲームを体験すると2つめのバッジをゲットできるという仕組みのため、1周2周と何度もいろんなゲームを体験する子どもの姿も見られました。「“遊びながら学ぶ”地震ゲームを作るデザインワークショップ」で開発したゲームのコーナーでは、実際に開発と制作にかかわったデザインワークショップ参加者がゲームの説明や遊び方のサポートを行い、参加者に体験してもらうことで、遊びやすさやテーマが伝わるか、といったことを検証できました。

また、展覧会の会場では、日本だけでなく、タイで開発された防災ゲームやインドネシアのすごろくを使った防災ゲーム、巨大「GURAGURA TOWN」といった防災ゲームが展示されていました。

イベント会場には、たくさんの方にお越しいただき、子どもも大人も一緒になって、「災害が起こった時にどんな行動をとればいいのか?」「布やロープ、段ボールなどの限られたアイテムを使って、どうやってトラブルを乗り切るか?」といったゲームのタスクに頭を悩ませながら取り組む様子が見られました。
今回のイベントでは、参加者はボードゲームやカードゲームの他に、体を動かすものなどいろいろな種類のゲームを楽しみながら、防災の知恵や技を身につける機会となりました。
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2013年10月12日(土)-13日(日) 

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災害時に身の回りのものを使って、工夫して生活できるための知恵や技を学ぶ、ワークショップを行いました。洪水の際に身を守る方法や避難の補助となる道具、避難所で自分の生活空間を確保するための方法、ロープの様々な結び方や紙食器づくりなど、各ブースで子どもも大人も一緒に体験し、災害時に役立つ技術や生き残るための技を学びました。体験はスタンプラリーになっており、たくさんのプログラムに参加するとオリジナル缶バッジがプレゼントされました。

■実施プログラム
・身の回りのもので災害を乗りきる技やアイデアを学ぼう!(浮き輪づくり、ホイッスルづくり、ウェットブーツづくり|
ウィパーウィー・クナーウィチャヤ―ノン
・紙の管で避難所を作ろう|京都造形芸術大学大学院 坂茂研究室
・段ボールで自分だけのスペースを作ってみよう!|早稲田大学理工学術院建築学科 古谷誠章研究室
・FAST BOXをつかって場所づくりの大切さを学ぼう!|神戸芸術工科大学基礎教育センター 久冨敏明研究室+学生有志
・ロープワークを学ぼう!|レッドベアサバイバルキャンプクラブ
・紙食器をつくろう

浮き輪づくり                        ホイッスルづくり
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ウェットブーツづくり                    紙の管で避難所を作ろう
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段ボールで自分だけのスペースを作ってみよう!        FAST BOXをつかって場所づくりの大切さを学ぼう!
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ロープワークを学ぼう!                   紙食器をつくろう
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2013年10月11日(金)

タイにおいて、日用品を活用した洪水対策知識・技術の普及や防災教育に取り組むDesign for Disasters(以下D4D)の協同設立者で、中心メンバーとして活動するウィパーウィー・クナーウィチャヤ―ノンさん。対談相手として、デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)副センター長・永田宏和がレッドベア・サバイバルキャンプの活動を中心に紹介し、災害時の知識や防災教育と、それを広げる実践について意見交換しました。

まず、ウィパーウィーさんにD4Dの活動を、スライドを使用しながら紹介していただきました。

Thai Thai Daijyobu!
EARTH MANUAL PROJECT展での展示プロジェクト名でもある「Thai Thai Daijyobu!」は、タイの人のメンタリティー、楽観的な国民性を表しています。そんなタイの人々に、災害時に生き延びるためのクリエイティブな視点や知識を持ってもらうための活動を、アプローチや協働の概念図を使って詳しく説明いただきました。

日用品を用いた浮き具の実験 その1(アユタヤ:2010年)
ペットボトルやゴミ袋といった日用品から浮き具をつくるアイデア。この時点の課題として、使用に際しての安全性の検証は行われていなかったことが説明されました。

SURVIVE! デザインコンペティション(2011年8月~2012年1月)
身のまわりの26アイテム(傘やハンガーなど)を用いた洪水対策グッズのアイデアコンペを実施。
安全性の検証はされていないが、災害時に生き延びるためのアイデア、創造性への刺激として有効であると確信しているとのこと。このコンペでの入選作品の展示会は、バンコクのフアランポン駅やコンベンションセンターで開催されました。

日用品を用いた浮き具の実験 その2(バンコク:2013年)
ファッション分野や写真家などのクリエイティブな技術を、災害を乗り切る場面で生かしてもらう取り組みとして、アーティストとのコラボレーションで実験を行いました。枕カバー、竹かご、Tシャツ、網とペットボトル、またゴミ袋やサロン(布)などを使用した浮き具のアイデアを紹介いただきました。デザイナーから提案されたその他のアイテム紹介や、協働での成果をまとめたインフォグラフィックの紹介もありました。

その他の進行中のプロジェクト
タイ政府(厚生省、文科省、福祉省)の協力を得て制作を進めている2つのゲーム(11月記者発表予定)を、タイ11州の学校で実際に遊んでもらい、改善していくプロジェクトが進行中です。これは、来年にはミャンマー語、ビルマ語に翻訳してASEAN諸国に広める構想もあるそうです。
また、アユタヤでの洪水のリスクのある地区を見つけるマップ制作を子どもたちと行っており、マップの裏には災害に備えた持出品などが記載されています。

最後に、タイ洪水時の市民のユニークな写真をお見せいただきました。そこからは、深刻な状況を受け入れつつ、ユーモアのセンスを忘れないタイの国民性を垣間見ることができました。このような柔軟性をもつタイで、D4Dの活動は人々のクリエイティビティーへの刺激となることを目標として展開されていきます。

レッドベア・サバイバルキャンプ
次に、永田がレッドベア・サバイバルキャンプを例に、防災教育のコンテンツの企画と開発から、どのようにして学ぶ場を作るか、どのようにすれば多くの人に伝わるかを、スライドを用いて説明しました。

災害時などに必要な技術を、キャンプでの実践を通して習得するプログラムが、レッドベア・サバイバルキャンプです。
一般の人たちと「ゼミ」の中でプログラムを作成し、子どもたちに興味を持って参加してもらえるバッチシステムを考案した経緯、そして、寄藤文平さんにイラスト、岡本欣也さんにコピーでご協力いただいた「ブランディング」も重要な要素となっていることが説明されました。

サバイバルキャンプクラブのメンバーは、ミーティングで考案したプログラムを試すデモキャンプを経て、それを伝える場としてのサバイバルキャンプを実施します。開催地域の担い手であるメンバーがプログラムを考案することで、その地で必要な技術や知識が伝わります。
例えば、福島県いわき市では「レッドベアいわき防災キャンプ」として実施されており、同地では、震災の経験から水の大切さを知るプログラムなどが実施され、オリジナルのバッチが制作されています。
いわきやそのほかの地域において、神戸で実施しているプログラムがそのまま広がるのではなく、学びの場としてのサバイバルキャンプとバッチシステムが広がり、新しいプログラムが各地で生まれることが、目的と展望として話されました。
対談のなかで、D4Dの活動を広げるための構想やプロジェクトのイメージを永田に聞かれたウィパーウィーさんは、次のように答えました。

「今日、ひとつのプロジェクトが浮かびました。バンコクの街中の公園でサバイバルキャンプを実施したいです。バンコクの子どもや学生にはサバイバルに対する知識や技術がないと思います。知識や技術で災害時を乗り切るという、D4Dと同じ目的を持つレッドベア・サバイバルキャンプとジョイントしたい。」

D4Dは防災教育のプログラムを持っているので、そのプログラムを普及させる方法としてのレッドベア・サバイバルキャンプとそのシステムはこれからの活動に適しているといえます。
ウィパーウィーさんは、バッチなどのデザインやキャラクターも魅力的なので、レッドベアのグラフィックもタイで使用したいと伝えました。
それに対し、永田からも「是非協力したい!」という返答とともに、オリジナルカラーリングでのバッチ展開などが提案されました。

この対談からは、日本とタイの活動のコラボレーションの可能性、そしてタイにおける新しい防災教育プロジェクト展開への「種」が蒔かれました。

開催概要はこちら
撮影:辻本しんこ

10月8日~13日の6日間、タイを代表するゲームデザイナー・ラッティゴーンさんと、地震をテーマにしたゲームを作るワークショップを行いました。
ラッティゴーンさんは、これまでにユネスコ主催のゲーム作りワークショップなどの講師としてドイツやインドでもワークショップを開催してきました。約1週間という短期間でゲームを完成させるワークショップを実施するのは初めての試みとのこと。「日本に来て実施する貴重な機会を頂いたのでぜひ地震をテーマに良いゲームをつくりたい!」と、事前の打ち合わせから意気込んでいました。
※開催概要はこちら

1日目|10月8日(火) 19:00~22:00

ゲームの構造を知る
参加者には、事前に阪神・淡路大震災の被災者の体験や声をもとに、防災についての知恵や工夫を1冊に集めた新しい防災マニュアル『地震イツモノート』をお渡しし、地震や防災ついて事前勉強をしてきて頂きました。1日目には、各参加者に好きなゲームを持って来てもらい、ラッティゴーンさんが勧めるゲームと併せて、4つのグループに分かれて体験しました。初めて顔を合わせた参加者同士のアイスブレイクの意味もありましたが、これからゲームを作るにあたって、最初にゲームの楽しさを純粋に体験することと、ゲームの仕組みを知るというねらいがありました。

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ゲームを体験しながら、ラッティゴーンさんが制作した、このワークショップ用の教材であるワークシートに、「どういうルールなのか?」「どうやったら勝つのか?」「かかる時間」「ゲームの終わり方」などの項目を書きだしていき、ゲームを構成している”要素”と”タイプ”の種類を学びました。



2日目|10月9日(水) 19:00~22:00

キャラクターとストーリーを作る
1日目の最後に参加者には、「地震に関連するキーワード(人物、場所、職種など)をいくつか上げ、それをもとにストーリーを考えてくる」という宿題が課せられていたので、その内容を各グループで1つにまとめる作業を行いました。
ラッティゴーンさんのゲーム制作の手法は、まずはストーリーをしっかり組み立ててから、そこにゲームとしての楽しさや面白さのアイデアを盛り込んでいくという方法です。

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ストーリーと一緒にキャラクターを決定し、地震というテーマに対して伝えたいことがより明快になるように、場所や状況、起こる災害、出てくるアイテムなどを設定していきます。各グループが最後にまとめたストーリーを発表し、感じたことやアドバイスを伝えあいます。一度、客観的になって見ることで、より誰にでも分かりやすいキャラクターやストーリーになります。



3日目|10月10日(木) 19:00~22:00  4日目|11月11日(金) 19:00~22:00

ゲームのアイデアを考え、実際に何度も試してみる
ゲームのアイデアをどんどん考え、紙やペンを使って試作し実際に各グループで進行やルールを試してみます。ゲームを制作するには、「伝えたいことがうまく伝わるようになっているのか?」「ゲームとして面白いのか?面白くなければなぜなのか?」「このゲームをやってみたいという気持ちになるか?」など、考慮するポイントがたくさんあります。何回も参加者で試作・体験することを通して、それらのポイントを確かめていくのです。

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参加者は工夫して、ペットボトルのキャップを駒代わりにしたり、サイコロにテープを貼って自分たちの好きな目に描き直したりとツールの制作では工夫していました。



5日目|10月12日(土) 10:00~19:00

専門家のアドバイスを参考にデザインを完成させる
いよいよゲームを形にしていくワークショップの大詰めです。この日は、ゲストとして防災ゲームの第一人者でもある吉川肇子さん(慶応義塾大学商学部教授)を招き、ラッティゴーンさんと共に各グループを周りながらゲームの内容についてアドバイスを頂きました。地震をテーマにしたゲームとして、子どもたちが遊んで楽しいものになっているかというポイントの確認を中心に、何回も試作と改良を重ねていきます。

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6日目|10月13日(日) 10:00~19:00

ゲームの見本を完成させ、ゲームを紹介するポスターをつくる
10/14に実施する「防災ゲーム大会」で、開発したゲームを子どもたちに遊んでもらうため、デモ版を完成させる作業を行いました。その際に、分かりやすくそのゲームの内容を伝えるためのポスターも、制作しました。

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最後に、各グループそれぞれ完成したゲームのプレゼンテーションを行い、ラッティゴーンさんと吉川さんに講評して頂きました。地震をテーマにしたゲームでは、災害時の大変な状況をそのまま要素として取り入れすぎてしまうと、ゲームとしておもしろくならないことの方が多いようです。ひとつのグループは「避難所に集まる様々な人を動物に例える」というアイデアを取り入れ、避難所生活での役割分担や協力する事の大切さを、遊ぶなかで楽しく学べるゲームを開発し高い評価を受けました。
今回の短期間のワークショップでは、コマやゲームボードの仕様、カードのデザインなど、ゲームのツールについてじっくり検討する時間がとれず、普及させることを考え使いやすいゲームにするというところでは、少し力不足だったことが課題です。

完成した各グループのゲームは、10/14(月・祝)に実施された「防災ゲーム大会」の中で、実際にワークショップ参加者がゲームの説明や遊び方のサポートを行い、参加者に体験してもらうことで、遊びやすさやテーマが伝わるか、といったことを検証できました。
その様子はこちらから

2013年10月6日(日)

アート制作を通して、虐待や自然災害で受けたトラウマに向き合い、生きる力を引き出す取り組みを続けるアルマさん。この日は親子を対象にワークショップを行いました。制作を通じ、気持ちを素直に表現することによって、親子でお互いのことをもっと知り合う機会としました。前日の「アートによる心のケア“heARTS”(ヒアーツ) 担い手養成ワークショップ」参加者にとっては、アルマさんから学び取ったことをファシリテーターとして生かす機会でもありました。

1:作品見学
この日はまずEARTH MANUAL PROJECT展の会場に行き、アルマさんの展示作品をみんなで見学しました。作品の説明をするのは、昨日のワークショップ参加者のみなさんです。ワークショップでの制作体験も含めて、子どもたちにわかりやすく伝えます。
 
2:ゲーム
ワークショップ会場に戻り最初に行ったのは、打ち解けるためのゲーム。昨日と同様、3グループに分かれての競争ゲームです。ゲームの進行をするのは、ここでも昨日のワークショップの参加者。アルマさんにコッソリ指示を受けながらテンポよく進行していきます。ゲームの最後には、一位のチームの足の下を最下位チームがくぐるという罰ゲーム。くぐる方もくぐられる方も、大人も子どもも赤ちゃんも入り混じり、大はしゃぎの盛り上がりです!アルマさんが誰にも負けないくらい心からゲームを楽しんでいて、その姿こそがみんなを思い切り楽しませることのできるファシリテーターの魅力となっていました。
 
3:Power Cards
すっかり心がほぐれた後で、いよいよ制作に入っていきます。「わたしの得意なこと、好きなこと」というテーマで、パワーカードを作ります。親子と昨日の参加者がチームになり、わからないことなどをサポートしながら制作を進めていきます。14センチ角の台紙に収まらない、ユニークな形の作品も生まれました。
 
4:感想の共有と作品取り付け
作品が完成したらみんなで輪になり、作ってみてどう思ったか感想を話し合います。中には「自分の得意なことって、考えてみたら不思議だなぁと思いました」など、奥深い感想を持つお子さんがいたりなど、親子や周囲の参加者との関係性の中で、自身の得意なこと、好きな事を見直す機会となったようです。その後、参加者全員で手をつなぎ制作を締めくくりました。最後に展覧会場に戻り、アルマさんの作品の布の壁に思い思いに作品を取り付け、アルマさんの作品はいっそう賑やかになりました。

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(撮影:伊東かおり)

 

2013年10月5日(土)

アート制作を通して、虐待や自然災害で受けたトラウマに向き合い、生きる力を引き出す取り組みを続けるアルマ・キントさん。彼女の手法を学び実践するワークショップを行いました。1日目は、これまで数多くの国やコミュニティで行なわれてきたワークショップを体験しました。”heARTS”とは、「healing through the ARTS」の略で、アルマさんが提唱する、アートを通じたトラウマヒーリングのトレーニングワークショップの手法です。

 

1:ゲームその1
最初に参加者全員でゲームをしました。その名も「BAHAY BATA BAGYO」(バハイ バタ バヨ)。「家 子ども 洪水」を意味し、家をつくる役2人とその中に入る子ども役1人の合計3人のグループに分かれます。鬼が「BAHAY(家)!」と言えば、家役の2人が解体し中に入れる子ども役を探さねばなりません。この時、仲間はずれになった人が次の鬼となります。
鬼が「BATA(子ども)!」と言えば、子ども役は今居る家を出て違う家を探さなければなりません。「BAGYO(洪水)!」と言われたときは、家役も子ども役も全員がバラバラになり3人グループの仲間を探さねばなりません。椅子取りゲームのようですね。
アルマさんのワークショップでは、一つのことを終えたらみんなで輪になって思ったことを話し合います。ゲームでおもいっきり楽しみ、感情を開放し、その後にシェアをする。このプロセスをアルマさんは重視します。

 

2:ゲームその2
もうひとつゲームをしました。まず3グループに分かれ、それぞれ1列に並びます。次にアルマさんがお題を出すので、その順番に並び直します。「髪の短い人から長い人」「服の色が薄い人から濃い人」「靴のサイズが小さい人から大きい人」など。一番早く、正しく並び終わったチームが1ポイントゲット!早く並ぶにはチームメンバー同士の連携が不可欠!かなり盛り上がる楽しいゲームです。
ゲームの最後には、一位のチームの足の下を最下位チームがくぐるという罰ゲームが!盛り上がりは最高潮で、みんなすっかり打ち解けました。

 

3:Dot Connect
参加者の気持ちがすっかりほぐれ、いよいよワークが始まります。まずは「Dot Connect(ドット コネクト)」。
はじめに画用紙に何も考えず点を打ちます。次に、点同士を繋ぎその人自身を表す絵を描き、色を塗ります。このプロセスを踏むのは、絵を描き慣れていない人でも描くことができるからです。完成したら、参加者同士で互いの絵を紹介し合います。

 

4:Power Cards for Exchange
次のワークは「Power Cards(パワーカード)」。自身の力の源や大切にしていることを表現するカードを、紙のコラージュにより制作します。14センチ角の小さな紙ですが、人によって本当に様々な作品に仕上がりました。

 
パワーカードが仕上がったらみんなで輪になり、一人ずつ順番に自身のパワーカードの紹介をし、他の参加者へプレゼントします。自身のパワーを他の人に分け与える行為となります。

 

5:Stitching our Collective Vision
最後に大きな作品に取り組みます。6つのグループに分かれ、ハギレをパッチワークのように使い、共同作業で一つの大きな旗を作成します。これまでの制作の集大成として、参加者のパワーが集まった豊かな作品となりました。作品はEARTH MANUAL PROJECT展会場のアルマさんの作品に取り付けられ、アルマさんと参加者のコラボレーションが出来上がりました。

参加者のみなさんからは「楽しくてあっという間に時間が過ぎていった」「参加者の気持ちを開放させる手法が勉強になった」などの感想をいただき、個々人が持つ生きるパワーを引き出す手法を身をもって体験いただけました。明日は、学んだことを活かしてファシリテーションに挑戦します!

 
 

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(撮影 1~4:片山俊樹/4の4枚目、5:ペータ)

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