お知らせ・レポート

2016年12月2日(金)

「男・本気のパン教室」の4回目を開催しました。今回はケルン壷井豪シェフによる2回目のパン教室です。先週の自主練での疑問や間違いなどを確認しながら、本番に向け、手順やコツなどを細かく学びました。前回同様、ほうれん草とベーコン、長芋とハムと大葉、カレーの3種類のパンをつくりました。


はじめに材料の確認から行います。材料が足りない、何を入れたか分からないなどが起きないようにしっかりチェックします。まずは、液体のものから混ぜていきます。ぬるま湯に牛乳、オリーブオイル、塩を混ぜ合わせます。ボウルに1滴も材料が残らないようにかきだします。小麦粉とイーストは、袋の中で混ぜ合わせます。先ほどの液体と粉を合わせ、ボウル内で混ぜ、塊になったら、机に取り出し、力いっぱい捏ねていきます。両手を使ってテーブルに擦りつけるように行います。はじめは生地が手にベトベトとくっつきますが、捏ね続けていくと手から離れ、生地がきれいにまとまりつやが出てきます。体重をかけながら行うのでとても大変ですが、これまでで一番良い生地になりました。そして、チーズを生地に混ぜていきます。混ぜる際は、前回お店で学んだ手法で、生地の上に具材をのせ、半分に切り、切ったものを上に重ね、上から押さえ、またそれを半分に切り重ね…を20回ほど繰り返します。この方法だと、生地に負担をかけずに具材を混ぜ合わせることができます。


チーズの混ざった生地の1/3はほうれん草とベーコンを混ぜます。先ほどと同じように、半分に切っては重ねるを繰り返します。そして一次発酵に入ります。発酵中はみんなでシェフに質問タイムです。好きなパンを紹介したり、パン作りの工程の確認などをしました。一次発酵の終わった生地は、大きく膨らみ、壷井シェフも「前回よりもとてもいい状態です」と仰っていました。


発酵が完了したら、いよいよ成型です。チーズのみの生地の半分を25gの棒状に分け、長芋、大葉、ハムを重ねたものに生地を巻き付けます。今回は、前回の半分のサイズでつくりました。
前回非常に苦戦した、カレーを包む作業です。片手で生地を持ち、へらを使ってカレーを生地の中央にのせ、押し込みながら包んでいきます。力の加減やバランスが難しく、かなか包むことができません。これはかなりの特訓が必要そうです。なんとか包み終えたカレーパンの上部に軽く湿ったタオルで水を付け、その面にパン粉をつけます。ほうれん草とベーコンを入れた生地は、25gにカットするだけで成型終了です。生地にあまり触れすぎないことがおいしくつくるコツです、と壷井シェフ。


最終発酵を待ち、いよいよ焼成に入ります。オリーブオイルをしっかりと塗り、温めた窯へ投入し、約8分焼きます。だんだんいい香りが漂い、焼き目がついてきます。焼きあがったパンをテーブルに出し、再度オリーブオイルを塗って完成です。早速みんなで試食をします。今までの中で一番生地がふっくらと仕上がり、見た目もバッチリでした。味もみんな大満足で、家族に食べてもらうため、袋に入れて持ち帰りました。

次週はいよいよ本番です。前日の自主練習が最後の特訓になるので、そこでしっかり流れや役割を確認し、今日のような美味しいパンを提供できるよう頑張ります。
成果発表は、12/10(土)11:00-14:00に神戸市東灘区のカフェ・やすらぎで「パンじぃのおひるごぱん」と題して開催します。ぜひご参加ください。

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「男・本気のパン教室」開催概要はこちら
昨年度の「男・本気のパン教室」についてはこちら


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2016年11月25日(金)

近年の「歩いて楽しい都市空間づくり」への関心の高まりを受けて、都市計画・まちづくりの専門家である鳴海邦碩さんを講師にお招きし、+クリエイティブレクチャー「都心まちづくりの潮流を学び、これからを考える」を開催しました。


鳴海さんからは、いま、神戸で都心まちづくりを考えるにあたって不可欠な「歩いて楽しい都市」への考え方について基調レクチャーをいただきました。
また、ゲストに福岡で都心のまちづくりに関わってこられた福田忠昭さんにもお越しいただき、「We Love 天神協議会」での活動など、福岡でおこなわれてきた具体的な事例についてお話を伺いました。
以下、レクチャーの一部を抜粋します。

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鳴海邦碩さん(大阪大学名誉教授、関西大学客員教授)
「歩いて楽しい都心まちづくり」



都心のまちづくりを考える視点はいろいろありますが、ひとつの考え方として「都市は歩いて楽しくなければいけない」という観点からお話します。

都市はいろいろな人が訪れることで成り立っているので、訪れる人がいなければ都市が都市でなくなってしまいます。都市の特質は、人々が交流するところにあります。近年は海外からたくさんの観光客が来ていて、ひとつの交流となっていますが、まずは日本人があちこちに出かけることを前提にしなければいけない。
では、人が訪れるまちというのはどんなまちなのでしょうか?

「行ってみたい」と思える都市のイメージ
まちづくりにはいろいろな定義がありますが、私は「まちがいきいきとしていること」がいちばん大事なことだと考えています。これまで世界のいろいろな都市を訪れましたが、まち全体が一度は行ってみたいという気持ちを起こさせる雰囲気を持っているまちには、とても大きな魅力があります。

「行ってみたい」まちはふるさと性をもっています。ふるさとといっても故郷(こきょう)という意味とは少し違って、文化があるということです。文化、つまり自然や歴史、芸術、人びとの暮らしのありさまが、懐かしさを感じさせる。人間が帰るところというイメージを強くもっている。

都市の魅力は、歴史的に形成されてきた都市全体、とりわけ中心部に存在しています。都市空間の質は、それ自体が資産であると同時に、経済的繁栄に貢献します。都市空間において、建物よりも建物と建物のあいだの空間の方が大事であるということが、都市デザインの専門家の間では共通の理解になっています。なぜなら、公共的な空間からまちの姿が見えるわけで、歩くことで、肌を通してまちを楽しむことができるからです。そうした観点でまちを考える必要があるのではないでしょうか。

「都市の自由空間」のやくわり
歩いて楽しいまちにはいろいろ条件があります。人が歩く街路の沿道が建物にどのように囲まれているか。沿道の建物からいろんな賑わいが滲み出しているか。街路に見通しがあるか、などです。
そうした要素が総合してまちの魅力を形成しています。そうした働きがあるので、歩いて楽しい街路は、まちづくりを引っ張ってくれる役割を担っています。
私は、人びとに開かれた空間を「都市の自由空間」と名付け、学生時代から関心を持って研究してきました。これもまちの魅力をつくる重要な要素です。

では、どういうものが「都市の自由空間」なのでしょうか。
振り返ってみると、1970年前後に、世界中で歩行者空間の整備が行われました。1958年には、戦後のヨーロッパではじめて、ドイツ・エッセンに歩行者モールが生まれます。日本のアーケード街と同じように見えますが、まちのなかにネットワークとして広がっていることが日本と異なります。
1968年にはアメリカ・ミネアポリスでニコレットモールが生まれました。ニコレットモールは、良く知られていますが、トランジットモールと呼ばれるタクシーとバスのみ通行ができる道路があるモールです。
1972年、ドイツ・ミュンヘンのノイハウザー通りでは、当時自動車の渋滞が問題となっていましたが、オリンピック開催を契機に地下鉄が整備されたことに伴い、自動車の交通量の低下を見込んで車道を歩行者空間にしています。ミュンヘンの都心部は第二次大戦で大きな被害を受けましたが、歴史的な街並みを再建するまちづくりを実施し、モール周辺が魅力的な都市空間になりました。
日本では、1969年に、北海道の旭川市で買物公園の実験がおこなわれました。国道と道道の自動車の走行を止めて行ったのです。止めるために、市役所と商店街の人たちがたいへんな苦労をしています。このとき私は大学院の1年生で、調査に行きました。その後、1972年には買物公園の歩行者空間化が恒久化することになります。
旭川の買物公園はその後、1998年からリニューアルを実施。イベントがおこないやすいよう、できるだけものを置かないという方向で作り替えました。

歩行者空間への関心の再燃
かつて1970年前後に歩行者空間の整備が世界の各地で進められていましたが、最近になってまた歩行者空間への関心が高まっています。アメリカ・ニューヨークのタイムズスクエアの歩行者空間化が行われました。NYの顔となる場所で車の通行を止めたのです。ブロードウェイでも歩行者空間化がおこなわれていて、車線を狭めて歩行者のための場所が生まれています。
ブロードウェイの取り組みは、非常に簡単なやり方になっています。問題があればすぐにもとに戻せるといった方法です。車をとめて歩行者の居場所を増やし、新しいイメージを実感してもらうという戦略です。

欧米に比べて、日本では公共空間の利用には制限が多く、道路や公園、水辺での商業利用はとても厳しいのが現状です。むかし、道路は屋台などでいろいろ活用されていましたが、いまは厳しくなっています。道路利用については、警察の権限が非常に強く、まちづくりの敵は警察、という構図がしばしばあらわれます。安全でスムーズな自動車交通を確保することが一番と言われると、市民はなかなか反論できないというところです。

しかし、社会実験などで公共空間を楽しく使いたいと思ったとき、条件をそろえると制限をクリアできることが見えてきました。地元の人びとが地元のために組織化して取り組み、自らルールを定めてそれに従っておこなっていて、それが公共的な利益にかなうものであると行政が認めると道が開けてきます。

お祭りではどうどうと道路を利用します。お祭りには歴史があって、公共的な利益だということが証明されているために、公共空間の活用も可能になっているわけです。

旭川の買物公園では奇跡的に実現しましたが、日本で車をとめて歩行者空間にするという取り組みはとてもむずかしい。そういう背景もあって、最近では再開発によって広場をつくろうという取り組みがあちこちで進んでいます。そのひとつの発端が富山市のグランドプラザです。再開発で路地を集約して帯状の空間をつくり、そこにガラスの屋根をかけて広場にしています。広場は貸しスペースとして貸し出していて、稼働率がとても高いです。土足で入れるオープンなスペースを貸し出している例はめずらしい。

長岡市のアオーレは、市役所などを複合した市の施設で、施設同士をつなぐ空間を広場にしています。隈研吾の設計で、ここも貸しスペースとして貸し出しています。
グランフロント大阪や姫路駅前にも、ダイナミックな広場が設えられました。

共通しているのは、公共空間ですが道路ではない、はじめからそういう目的でつくった空間です。いろんな使い方ができるという特徴があります。


まちづくりの2つのタイプ
魅力のあるまちづくりには、2つのタイプがあります。ひとつは大きなプロジェクトとして行うもので「造る魅力」ということができます。しかし、このタイプは大きな都市ではできても、地方都市ではなかなか難しいのが現実です。ほかの都市では「育てる魅力」としてのまちづくりをする必要があります。

現場がどのような状況なのかを考えて、今あるストックを見直し、魅力のあるポイントを周囲と結びつける。そのために歩ける空間を重視する。また、都市活動を畏縮させてしまう規制を排除する工夫も必要です。公共的な施設をつくったら、まわりに広がるネットワークをつくることを考える。このような「育てる魅力」タイプのまちづくりは地方都市でもできる。

貴方まかせのまちづくりは、楽しい魅力のある都市を生み出すことはできない
提案やアイデアはたくさんあるし、自治体も頑張っているけれどなかなかまちづくりが動かない。ではどうすればいいか。これまでいろいろ活動してきてわかったのは、サポーター型のまちづくりです。

まちに愛着があり、そのまちが好きな人はたくさんいると思います。そういう人はまちの応援団になれる。まちに応援団がいるというのは素敵なことだ。市民、住民でなくてもまちが好きな人はサポーターになれる。
まちを楽しむことからはじまるのがサポーター型まちづくりです。参加する人が楽しいからこそ、まちがいきいきとしてくる。

神戸くらいのスケールだと、サポーター型のまちづくりがいいのではと思います。
福岡も同じようなスケールなので、参考になるのではと思い、福田さんをお呼びしました。福田さんからは、より具体的な都心まちづくりの事例をご紹介いただきます。

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福田忠昭さん(LOCAL&DESIGN(株)代表取締役)
「福岡・天神の都心まちづくりについて」



今日はまず、天神の歴史の話からはじめます。
今では「博多」と一括りに呼ばれますが、江戸時代までは、商人のまち「博多」と、武士のまち「福岡城城下町」のふたつのエリアにわかれた双子型の都市でした。このふたつのエリアは「桝形門」という関所一か所のみでつながっていて、基本的には行き来できませんでした。商人のまちと武士のまち、方言も違うし生活習慣や習わしも違うという状況でした。
博多のまちの碁盤目状の都市基盤は、1587年の「太閤町割り」という、豊臣秀吉がつくった町割りによってつくられました。山笠というお祭りでは、碁盤目状の都市構成がそのままお祭りの流れに引き継がれて、いまだに生き続けています。一方、城下町は1601~07年の福岡城築城によって成立します。

博多商人たちの団体「都心界」の設立
天神は城下町の一番はずれの場所で、当時はまちの中心ではありませんでした。明治時代、路面電車が走り始め、交差する場所になったことが大きな転機となり、循環する路面電車が天神で交差し、さらに西日本鉄道(以下、西鉄)ができたことで、明治期から天神が中心地になりました。そうして現在は、天神・博多の二極構造ができています。
博多駅周辺はオフィスビルだったのですが、2011年に博多駅ビルがリニューアルして、おおきな商業施設の集積が進んでいます。

天神の特徴は、半径1kmの歩いて回れる範囲に、商店街と3つの百貨店、さらに10の大規模商業施設が集積しているところにあります。
戦前からあった百貨店の岩田屋、戦後すぐに博多商人の方が戦後復興としてつくった新天町商店街、そして西鉄の3社が「都心界」という親睦団体を1948年につくります。自社だけでなく、天神がみんなで盛り上がれば自分も儲かるだろうという発想で「都心界」はスタートしました。現在は、さきほどの半径1km範囲内の大規模商業施設がすべて「都心界」に入っています。この「都心界」は、その後のWe Love 天神協議会発足のベースになりました。

「We Love 天神協議会」発足に向けて
エリアマネジメントが2000年代前半に各地で盛り上がりましたが、天神でも「天神モビリティタウン協議会」や「新・福岡都心構想検討準備会」など、いろいろな組織が乱立しました。福岡市としても、2006年に「新・福岡都心構想」というマスタープランの策定を進め、天神ピクニックという社会実験が契機となって「We Love 天神協議会」が発足します。みんながいろいろ考えていたことを「We Love 天神協議会」がまとめてプラットフォームができました。

博多駅周辺にも2008年に同じようなエリアマネジメント団体「博多まちづくり推進協議会」がJR九州を中心につくられ、博多駅ビル開業に向けて準備していました。天神には他にも「天神明治通り街づくり協議会」という明治通り沿いの再開発のための協議会があります。さらに天神と博多駅前、ウォーターフロントのエリアを含めた3拠点を都心部として位置づけて、福岡地域戦略推進協議会(FDC)が取りまとめています。FDCが福岡の都心部全体をコントロールし、「We Love天神協議会」はFDCと「天神明治通り街づくり協議会」」のあいだに入って、調整役のような役割もあると思っています。

まちづくりガイドラインの策定
「We Love 天神協議会」の発足後2年間かけて、天神まちづくりガイドラインをつくりました。さきほどの鳴海先生の話にもあった「歩いて楽しいまち」がWe Love 天神協議会が掲げている将来の目標です。そのための戦略をいくつか考えて、ガイドラインのなかで整理しています。

エリアマネジメントの活動に対して国からの補助金をもらい、その更新のタイミングで、「天神交通戦略」をまとめました。特徴としては、歩行者を交通のなかに入れ込み、歩行者が中心として公共交通と自転車、自動車の整理をおこないました。天神の中心地には42か所のバス停があるので、集約を進めたり、歩行者については、地下・地上・空中デッキの三層構造で移動ができないかといったことをまとめました。今年から連節バスの運行がスタートし、天神から博多駅、ウォーターフロントエリアを結ぶ実験としてスタートしています。これは天神だけの話ではないので、FDCが取りまとめて実現につながりました。また、自転車は、サイクルポストなどをつくって数字上では違法駐輪は減りました。サイクルポストが歩道上にあるのでは見た目としては変わらないので、早くサイクルポストも撤去したいと考えています。

道路空間を公共活用したまちづくり
2013年、きらめき通りという道路を歩行者専用としたときにどういう影響があるかの調査のための実験として、車を通行止めにしてみました。公開空地を利用してせめてもの賑わいをつくりましたが、道路は車をとめただけで、道路空間の活用まではおこなっていません。

そして翌年の2014年に、国家戦略特区に福岡市が指定され、行政の特例を受けました。さきほどの車の通行止め実験で、周辺に渋滞ができることも歩行者が困ることもないことが証明されたので、「天神ストリートパーティー」を開催できました。

道路空間とは、車道と歩道を含めた空間を指します。このイベントでは、実際の道路の上にはほとんどものは置かず、すぐに動かせるものだけでの実施としました。テントは歩道横の公開空地にのみ設置しています。

公園を活用したまちづくり
那珂川の河川敷にある公園で、オープンカフェを実施しました。河川敷の使用許可を県からもらい、公園の使用許可は3カ月おきに区役所に申請を出しています。隣接するカフェの方がテーブルなどの管理をおこないながら、植栽は西鉄のホテルが担当しています。カフェ事業者からは、屋外カフェの売り上げの3%を、We Love 天神協議会に活動資金として寄付していただいています。

警固公園のリニューアルでは、もともと犯罪が多発していた公園をリニューアルし、公園のなかでWe Love 天神協議会のおこなうイベントとしてカフェを出店してもらい、売上の15%を寄付してもらっています。リニューアルの際に仕組みを恒常化させたかったのですが、いまも検討している段階です。
水上公園のリニューアルでは民間コンペによる運営の動きもありました。

広場・公開空地を活用したまちづくり
市役所前のふれあい広場では、ヒートアイランド対策として保水性のある人工芝が設置されました。せっかくの場所ですので、にぎわいの場所として民間に開放し、年間200日間をWe Love 天神協議会を含む事業体が借り受けて、イベントをまわしています。
広場や公開空地では、全国的に広がった「明後日朝顔プロジェクト」という日比野克彦さんがはじめた運動が行われています。他にも各商業施設が環境プロモーションのための活動を行ったり、クールシェアなどのイベントもおこなっています。

公開空地については、営利目的での利用はできないので、行政と相談し、We Love 天神協議会がにぎわいづくりをおこなうためのイベントという位置づけで物販をおこなうという仕組みを実験し、来場者の評価をとりながら、売上の一部を活動資金として寄付してもらうことで、今年度から条例として制度化されました。イベントがないときは休憩スペースとして使う実験も行っています。

他に博多駅周辺でも、博多駅前通りという道路空間にコンテナの設置やマルシェをおこなう実験などがイベントベースですがおこなわれています。

天神の都心まちづくりの今後
明治通りの再開発や水上公園の整備、国家戦略特区などが実現してきていますが、天神は良くも悪くも集客さえすればいいという、商業施設中心のエリアマネジメントがおこなわれています。そうでなく、歩いて楽しいまちづくりという観点に立ち返る必要があると思っています。道路・公園・公開空地・広場などのマネジメントをおこないながら、財源の確保(普通の事業者が使えないところをWe Love 天神協議会であれば使わせてもらえる、ということをマネジメントしながら収益をあげる)を目指すべきだと思います。また、ソーシャルデザインとして、都市をクリエイティブに再生する方策をおこなうべきと考えています。

都心まちづくりについて、働く人と来街者との関係をどのようにつくるかが問題になります。どちらかの視点に偏らずに両立させることを考えます。魅力的なまちとは、商業的なイベントによる集客で人が訪れるまちだけではないはずです。まちの記憶のアーカイブとして、まちの歴史も観光コンテンツにつながります。そうした集積のためのセンターも必要だと思われます。公共スペースでの過ごし方を、市民と一緒に提案するかたちも実現できるといいなと考えています。

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その後の質疑応答では、行政や企業、市民をつなぐ役割の重要性や、市民がまちを主体的に利用できる土壌の重要性など、活発な議論がおこなわれました。




KIITOは今後もまちづくりの連続講座を展開していきます。神戸のまちづくりの今後にご期待ください。

+クリエイティブレクチャー「都心まちづくりの潮流を学び、これからを考える」開催概要はこちら
http://kiito.jp/schedule/lecture/article/18765/




2016年11月25日(金)

「男・本気のパン教室」3回目を開催しました。

前回、ケルンの壷井シェフから初の指導を受けた6名のメンバーたち。今回はシェフ不在の中、自分たちだけで同じパンを作ってみます。
ケルンでは3種類のパンを教わりましたが、本番(12/10のカフェでのパン提供)を見据えて、今日は2種類に絞ります。長芋と大葉とハムのパン、ほうれん草とベーコンのパンの2種類です。

前回の後、何名かのメンバーがオリジナルのレシピを作成していました。イラスト入りで、綿密に手順が書かれています。


お店では材料も全て用意されていましたが、今日は材料を洗い、粉を計量するところから始めます。前回は一人ずつ作りましたが、今回は共同作業。「どうだったっけ?」とひとつひとつ手順を確認しながら進めていきます。


口を切った紙コップにお湯を張り、温度を保って発酵を待ちます。生地に触れてみて、発酵具合を確かめてみます。
生地に具材を巻く段になり、一度自宅で練習していたメンバーは、とっても鮮やかな手つき。それを見て皆、自主練習は大切、と実感。


自主練習と本番当日は、家庭用のオーブンを使用します。10分程焼いて様子を見ますが、お店の窯とは違い、オーブンの上段と下段で焼け具合に差が発生。下段のみ再度火を入れて調整します。

出来上がりを皆で試食。見た目はまずまずですが、さてお味は?シェフの手を離れ、自分たちで作ったパンに「うん、おいしい!上出来!」と自画自賛。


しかし食後、皆が雑談する中で、手順を失敗していたことに気付きます!
ほうれん草とベーコンのパンは、発酵させる前に生地に具材を混ぜ込むのですが、混ぜる前に生地を発酵させてしまいました。誰もミスに気づかず、皆愕然。何となくの思い込みは厳禁です。
新しいチャレンジに失敗はつきもの。次回、再びケルンで指導いただくので、今回失敗した部分や曖昧だった部分を確実にマスターし、本番に臨みたいものです。

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2016年11月23日(水・祝)

全5回の短期集中型ゼミとしてスタートした今回の道路ゼミ。今回が最終発表会となりました。
講評には、講師の永田、西尾京介さんに加え、神戸市建設局道路部の方々にもお越しいただきました。
それぞれのチームから、個性的なアイデアが提案されました。

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①みなとのもり公園案内チーム
対象道路を「みなとのもり公園の参道」として、道路と公園を一体化する提案。
一体化するための仕掛けとして、3つの取り組みを展開する。
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1)イベント等の企画
みなとのもり公園ではすでにいくつかのイベントがおこなわれているので、道路へと広げながら、非日常的なイベントから普段の日常的な取り組みまで、段階的な仕掛けを企画。
年に2回のイベントとして、みなとのもり公園では年に2回、夏と冬にインラインスケートの大会がおこなわれているため、大会に合わせて対象道路を歩行者天国にし、周辺の飲食店とタイアップしながら道路上にコースの設置、ウォームアップの場所の提供、前夜祭の開催、体験ミニスクールなどを企画。
毎月おこなうイベントとして、みなとのもり公園でおこなわれているスポーツなどを知ってもらうためのイベントを企画。
毎週おこなうイベントとしても、スポーツに関連するショップなどに声をかけ、グッズ等に関する出張相談などをおこなう。
日常的な取り組みとして、周辺で働いている人や住民に対して、日替わりで昼食時間にキッチンカーを要請し、可動式のテーブルやイスなどを設置して対象道路を開放する。
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2)道路の緑化計画
道路に設置された植栽を華やかにする活動を、みなとのもり公園で活動されている団体(森づくりなど)の方々と一緒におこなっていく。景観への取り組みとして、緑を感じてみなとのもり公園との一体感を生み出す。
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3)案内サイン計画
既存の地下配線盤を活用した案内サインの制作。みなとのもり公園はもともと防災公園なので、こうした内容もサインに盛り込み、イメージの共有のために道路に愛称をつける。
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みなとのもり公園と対象道路を一体的に利用することで、道路を利用する人が増え、これまで公園に関係していなかった人とも関わりが生まれ、道路ににぎわいをつくりつつ、周辺店舗にも利益ができるように仕掛けを行う。

講評|
永田
みなとのもり公園の参道にするというコンセプトが明快でよい。もっと深掘りして、公園でおこなうことが道路にはみ出したときのメリットや、自分たちの場所として使いこなすための仕組みがあることが重要なのでは。

西尾
みなとのもりと一体化するという大きなテーマを設けているため、いろんな人たちがいろんな関わりができるような仕組みだと思うので、これをもとにいろいろと考えが生まれればいい。

神戸市道路部
参道というアイデアはおもしろい。参道にするのであれば、誘導やアプローチをしっかりする必要があって、その点でもサイン計画などの提案がありよかった。継続的なイベントでなにをしてどのような人をどのように巻き込むかという仕組みが重要。これまで関係をもてていなかった人まで巻き込むことができる可能性について考えさせられた。


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②周辺住民対象チーム
周辺住民に対しての道路の利活用の提案。対象道路にはマンションが立ち並んでいるにも関わらず、住民の気配が感じられない。
そこで「外の家」をテーマに、住民が道路を使いたいと思えるような仕掛けを提案。家の中だけではできないことを道路にはみ出して、まち全体をシェアするような感覚を生み出す。
仕掛けとして、道路上に長い「みんなのつくえ」を設置する。机を置くだけで、使い方を利用者に委ねて、さまざまな利用のしかたを誘発させる。
机があることで拠り所になって、それぞれがなにかを持ち寄って、それぞれの居場所を作り出す。外だからできること、ひとりでもできること、みんなでできることをそれぞれの意思で生み出せる。

講評|
永田
住民と道との関係を考えたチーム。自分の場所を机をきっかけに生み出す仕掛けはおもしろい。アクションプランとして実施するうえで、机があることでどのような活用がされるかなどを社会実験的におこなってみるとよいのでは。検証を重ねることで、机以外にも必要なものが見えてくるかもしれない。そうしたバリエーションがあらわれるとより現実的。

福田
なるほどそうきたか、という感じ。提案の芯にあるものが的を得ていると思う。公共空間をみんなのものとして取り扱ううえで、どのような装置によって公共空間の中に個人の居場所を生み出していくかを、さまざまなところで試行錯誤している。イスはいろいろなところで提案されているが、机の提案は少ない。机がないとできないことはたくさんあるので、そこには可能性があると思う。提案のテーマ性を保持しながら、現実化する段階で机の設えを検討して、その他の機能も提案に抱き合わせられればよりおもしろいのでは。

神戸市道路部
日本人の外と中を明確に分ける考え方に対して、公共空間を活用するためのきっかけとしての机という提案は、机でおこなわれる活用方法の検証ができれば、よりおもしろい展開になるのではと感じた。


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③路上魅力創出チーム
アートを絡めた路上の魅力を生み出す提案。
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1)実験的なイベントの計画
普段生活しているなかで、道路に充電ができれば、ミーティングできれば、他人の視線が気にならなければ、大型モニターでみんなと試合観戦ができれば、などのあったらいいなという日常的な活用法に対して、実験的なイベントを一度開催してみて、今後につなげていくための足掛かりにする。
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2)街路樹へのアプローチ
街路樹とアートを掛け合わせて、街路樹そのものをあかりにする計画。道路上がアートで彩られると、鑑賞する人にとって邪魔に感じられるので、結果的に路上駐輪が減るのでは。昼間はトリックアートを設置して道路の魅力向上に。
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3)神社とのタイアップ
道路沿いにある神社を活用。すでに神社発信で神輿などの催しがされているので、抱き合わせるかたちで境内に喫茶スペースを設けたり、おみくじをカラフルにすることで結びつけた風景を彩ったり、おしゃれなお守りをつくったりなど、神社を道路の名所として活用できないか。
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4)その他アートを用いた仕掛け
交差点に絵を描く、電灯にハンモックをかける、上部に屋根をかける、など。
チャレンジできる雰囲気のある道路なので、さまざまなチャレンジを仕掛けて、道路の魅力を生み出すきっかけになれば。

講評|
永田
道路になにをプラスすればよいかという視点。楽しく関われるということが重要。アートをプラスするという視点は、デザイン都市・神戸での取り組みとしてインパクトを持って仕掛けを展開させるためにも必要。道路に追加する装置を統一感をもったうえでつくれると、いろいろな人が楽しく道路に関わることができるのでは。

西尾
楽しもうとする意識は必要なこと。それが人の目に入ったときの効果として大きい。神社や街路樹など、現状すでにある具体的なものを素材として扱おうという意識も、ここにしかないものを活かすためには必要。全体のテーマ設定が明確なことは、人に伝えること、その後の提案の継続性に関わるので設定したい。自分の感覚だけでなく、誰がどのように幸せになるか、対象の設定も重要。

神戸市道路部
地域にある資源を有効活用することは重要だと感じた。いかに実現させるかということを考えると、制作の過程で地域住民や道路の利用者を巻き込むことができればよりよい提案になるのでは。


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総評
永田
道路に対してどのように人を関わらせるかというつなぎの機能を考えているという点では共通しているので、それぞれのアイデアから種が見えてきた。協議を進めながらトライアルができればいいなと思う。それぞれのアイデアには課題はあるが、最終的に楽しいプロセスの中でプランが実現に近づけられれば。

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全5回の道路ゼミは今回で終了ですが、今回の提案がよい形で進展するよう、調整を続けていきたいと思います。ひきつづきご注目ください!

+クリエイティブゼミvol.22「道路の未来を考える2実践編」
ゼミの開催概要はこちら

2016年11月19日(土)
2016年11月22日(火)


早くも終盤戦。+クリエイティブゼミvol.22「道路の未来を考える2実践編」第3回、第4回を行いました。

全5回の今回のゼミ。第3回と第4回のゼミでは、それぞれのチームに分かれてディスカッションを行いました。


第3回の冒頭、KIITO事務局から、道路の利活用に関連した事例を紹介しました。
その後、前回行ったフィールドワークでの情報を整理しながら、自分たちのチームが掲げたテーマに関して議論を広げました。
議論の最中にも、アクションプランの方向性などを確認するため、何度か対象道路へのリサーチにも出かけました。
以下、各チームの議論の内容です。


①みなとのもり公園案内チーム
・みなとのもり公園ではガーデニングやどんぐりの木の植樹などの活動が行われていて、そうした団体と協力しながら、対象道路をみなとのもり公園の入り口として緑化していく計画。
・現状なにも植えられていない花壇が歩道に多く設置されていて、これも活用できれば。
・対象道路を通ってどこに行けるかが現状わからないので、わかりやすいサインの計画ができればよいのでは。

②周辺住民対象チーム
・「外の家」をテーマに、普段家の中だけでは味わえないもうひとつの居場所を提案。
・道路を留まる場所と捉えて、通行する以外の役割を考える。

路上駐輪解決チーム → 路上魅力創出チーム
・再度フィールドワークに出てみると、新しく改装された道路には路上駐輪はほとんどされておらず、ある程度解決はされていると感じた。
・道路そのものの魅力を底上げするようなイベントなどの仕組みを考えて、結果的に路上駐輪もしにくいような道路を目指す。
・対象道路周辺の商店なども巻き込んだ仕組みを作れれば。


次回はいよいよ最終回となる第5回。最終発表です!

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+クリエイティブゼミvol.22「道路の未来を考える2実践編」
ゼミの開催概要はこちら

2016.12.1(木)から12.20(火)までの期間、生糸検査所ギャラリーとライブラリは、館内改修工事のためご利用いただけません。
ご迷惑をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします。

2016年10月27日(木)
「KOBEパンのまち散歩」のオープニングイベントとして、昨年に引き続き「KOBEパントーク2016」を開催しました。今年のテーマは「珈琲・紅茶」です。珈琲店の上野真人氏(LANDMADE)、紅茶店の大西泰宏氏(ウーフ)、パン屋の西川功晃氏(サ・マーシュ)、壷井豪氏(ケルン)、井筒大輔氏(イスズベーカリ―)をゲストに招き、珈琲や紅茶に合うパンやパンとの合わせ方について、トークセッションと試食が行いました。


トークセッション
珈琲:上野真人さん(LANDMADE)
朝はパンと珈琲という方も多いのではないでしょうか。パンはとても自由度の高い食べ物だと思います。惣菜もフルーツも挟むことができます。「珈琲に合うパンは?」と聞かれますが、パンに合わせる方が私はやりやすいです。パンの耳の苦味に珈琲の苦味を合わせたり、天然酵母などを使われるパンには、天然酵母の酸味に珈琲の酸味を合わせます。
パンを食べて、珈琲を飲んで、もう一度パンを食べたくなる珈琲がおススメです。最近の良い珈琲は甘味が強いですが、それは化学反応による甘味です。実はパンの甘味とは成分が似通っていいます。珈琲の豆は元々赤い木の実で、成熟度が低いと、果物と同じで渋さが残ってしまいます。どんな珈琲も鮮度が悪くなると酸化してしい、台無しになってしまいます。甘味のある珈琲の見分け方は、後味があり、変な渋さがなく、酸味が残らないもので、心地よい香ばしさと甘味が長く残ります。
本日準備した珈琲は、ティーバックタイプのものです。好みの濃さで珈琲を入れることができますので、ぜひ試してください。

紅茶:大西泰宏さん(ウーフ)
私は、2002年から紅茶の輸入と販売をしています。まずは私が何をしてきたのかを説明します。高校生の時にTwiningsのティーバックアソートのカラフルさに感動して、勝手に紅茶の道に進むと思っていました。就職活動の際に、まずは一般の会社で社会を学んでから好きなことをしなさいと、親に言われ、3年間一般企業で働いき、やはり紅茶の道を忘れられず、紅茶専門店で働くことになりました。飲食業も初めてで、戸惑いばかりでした。本格的に紅茶の仕事を始めると、年収が半分になり、このままでは生活していけないと思い、3年でやめようと考えていました。そして3年たったとき、すばらしいウーロン茶に出会いました。この茶葉は紅茶発祥でもある福建省の岩茶という岩が育てるお茶でした。飲んだ時に鳥肌が立ち、感激したのが1999年です。
その後、中国に留学し、生産者に会いに行き、産地回りを繰り返し、日本に帰国後2002年にお店をオープンしました。15年目になります。パンには油分が含まれているので、紅茶や珈琲だと、カテキン、カフェインが強めのものを選ぶと良いと思います。
本日はパンの朝食をイメージし、ミルクティーを準備しました。しかも特別なものです。当店のブレンドで、スリランカやインドから輸入し、神戸港でおろされた茶葉で、イングリッシュブレックファーストティをつくりました。また、お水は布引の水の神戸ウォーター、牛乳は北区にある弓削牧場の低温殺菌牛乳を使ったスペシャルなミルクティーです。
まずはパンを食べていただいて、口の中に風味が残っている段階で、ミルクティーを一口飲んでください。そうすると口の中がスッキリして、またパンが食べたくなる、そのペアリングを感じていただきたいと思います。


パン:井筒大輔さん(イスズベーカリー)
イスズベーカリーは三宮、元町間に4店舗あります。そして1946年創業、今年で70年になります。
良いパンってどんなパンでしょうか?それは飲み物無しでも食べることのできるパンだと私は思います。それでは話が終わってしまいますが…(笑)。なぜかというと、パンにも水分が残っていて、口どけが良く、のどごしの良いパンが良いと思います。老化が進んでいるパサついたパンだと、飲み物の力を借りて飲み込まなければいけません。
珈琲・紅茶には、ハード山食が合うと思います。実はうちのお店の定番商品なのですが(笑)。実は私は珈琲があまり飲めません。しかし今日試食でご提供するLANDMADEさんの珈琲は全く渋みがなく、苦味も少なく、甘味のある珈琲でした。とても飲みやすかったです。パンとも合うと思います。
紅茶には思い出があります。幼いころにラジオ体操の帰りに母と喫茶店で飲んだ紅茶です。また祖父の家に行くと、いつも甘い紅茶を出してくれました。祖父はその甘い紅茶にパンを浸して食べていました。行儀が悪いと思われるかもしれませんが、フランスではカフェオレにクロワッサンをつけて食べる文化もあります。皆さんが楽しみたい食べ方で楽しみ方で食べていただければと思います。

パン:壷井豪さん(ケルン)
ケルンも創業70周年です。神戸はパンの文化が古く、老舗も多いです。
珈琲は何か物事を始める時に私は良く飲んでいる気がします。一方、紅茶は何か物事が終わった後に飲みます。
20年以上前になりますが、阪神・淡路大震災の際は、家がつぶれ大変でした。学校が再開ししても学生は2割ほどしか来ていない状況でした。学校などには支援物資がたくさん運び込まれ、紅茶の箱が山のようにありました。お湯を沸かすことができなかったので、なかなか手を付けられていませんでした。
毎日、兄と井戸の水を汲みに3キロの道のりを2往復していました。水が重く、手に豆を作りながら必死に運んでいました。その時に冷たい井戸水にティーバックを入れて、運び終わって疲れたときに紅茶を飲むと、とても落ち着いたことを覚えています。
本日準備したパンは、このように合わせると美味しいのではないかと思い、試行錯誤してつくりました。後ほど試食の際に食べてみてください。


パン:西川功晃さん(サ・マーシュ)
珈琲・紅茶にパンが合うかどうかについて、私は上野さんや大西さんと逆の考え方です。珈琲、紅茶、抹茶、お茶を楽しむ時間について考えたことがあります。どこで楽しむのか…。日本には抹茶があって、和菓子が必ず添えられます。和菓子の世界は抹茶がなければ発展してこなかったと思います。抹茶はあるから、そこに和菓子が存在し、発展しています。そこで感じたのは、お菓子もパンも同じではないかという事です。珈琲も朝食や昼食、夕食の後などさまざまな場面に登場します。
珈琲や紅茶を入れた人の顔が見え、気持ちが伝わる中に、珈琲を飲みながら会話をする、それが本来の楽しみ方ではないでしょうか。そこに添えられるのがパンやお菓子だと思います。場面に合わせて、パンやお菓子が変化し楽しめる、そんなことをイメージして本日のパンをつくってきました。
私は普段からティーバックをいろいろ組み合わせて遊んだりしています。皆さんも珈琲・紅茶に対して遊び心を持っていただければ、合うパンを考えたりと、食と暮らしが楽しくなるのではないでしょうか。

司会:土井茂桂子(KOBEパンのまち散歩 実行委員長、神戸山手短期大学 准教授)
珈琲・紅茶は脇役という話から、飲み物があって、それにパンを合わせていくという話、そのようなさまざまな相乗効果が生活の豊かさを生み出すのではと感じました。嗜好品という感覚でいうと、珈琲・紅茶はそのカテゴリに入りますが、それぞれのものはさまざまな広がりや楽しみがあり、皆様が自由に、それぞれの文化というものをつくっていくのかもしれません。


ゲストからゲストへの質問
「珈琲と合わせるパンづくりで苦労した点は?」
井筒さん:珈琲・紅茶をあまり飲まないので、それぞれのイメージを紙に書きだすところから始めました。珈琲であれば苦い、刺激的、強い…、紅茶は、温かい、優しい、落ち着く…などです。珈琲は少し攻めた食材を使っても大丈夫ではないか。一方紅茶は…という風に考えていきました。

西川さん:珈琲・紅茶のつくり手に失礼がないように、これはぴったりきますね、と上野さん、大西さんに言ってもらいたいと思って、それぞれのパンをつくりました。きっと今回のお客様にも楽しんでいただけると思います。つくっている人がそれの味を一番わかっていると思います。私はパンのことを「この子」と言います。珈琲・紅茶も同じように、自分の入れたものは、自分の分身のようなもの。魂が入っていて、おいしく食べてもらいたいと思っているはずです。

「食パンに会う珈琲・紅茶は?」
上野さん:食べながら飲み、口の中で合わせるもの、食べて珈琲で流すもの、2つあると思います。一緒に食べる時には、味に重なりがあればあるほど、マリアージュが起こりやすいです。一番合わせやすいのは、食パンの耳の部分の甘苦さと珈琲の甘苦さ。食べた後の口をリセットしたいときは苦味の強いものが良いと思います。

大西さん:朝は頭が起きていないのと一緒で、舌も起きていません。なので強いものを飲んだ方が元気になれます。強い珈琲を飲んで、朝シャキッとするのは、カフェインを体内に入れて興奮しているからです。珈琲と紅茶のカフェインの効き方が違うことはご存知でしょうか。珈琲のカフェインは体内に吸収され、興奮作用があります。紅茶の場合は、体内に緩やかに摂取され、リラックス効果があります。
珈琲も紅茶も200gの同じ乾燥状態だと、紅茶の方が実はカフェインが多いです。珈琲は100gで7-8杯しか取れないので、カフェインが濃縮されます。紅茶の場合は、100gで80-90杯取れるので微量になります。
朝目覚めるために、食パンと合わせるなら強めの紅茶、アッサムティとかセイロンティを濃いめに入れてミルクティにするのがおススメです。夜であればストレートティでもカフェインの少ない、アールグレイとなどが良いと思います。

トークの後に、隣の部屋に移動して試食と質疑応答を行いました。質問は参加者の皆さんにふせんに書いて提出してもらいました。


メニュー紹介|
紅茶に合うパン
壷井さん:栗を使用したパンを準備しました。栗は丹波のもので、黒豆の煮豆と求肥(ぎゅうひ)で包んで中に入れています。外はクロワッサンの生地になっており、食感も面白いと思います。
井筒さん:テーマは「紅茶へのやさしさ」です。半円の形をしたソフトなパンにしています。生地にはマカダミアナッツやホワイトチョコレートのチップを練り込んでいます、やさしい甘味を感じていただきたいと思います。
西川さん:三角形の形をしたソフトな食感のブリオッシュです。レモンのジャムを練り込んでいます。ほんのりと香る程度のオレンジピールとカルダモンを入れています。食べ終わった後に感じると思います。

珈琲に合うパン
壷井さん:上にオレンジのリキュールで風味をつけたクロワッサンです。オレンジのペーストを煮詰めてリキュールをつくっているので香りも良いと思います。
井筒さん:珈琲の強い、刺激的なイメージをテーマに棒状のパンをつくりました。紅茶に合うパンのマカダミアナッツに対して、少し癖のあるクルミを使用しています。オレンジピール、シナモンパウダーを生地に練り込み、中にはミルククリームが入っています。
西川さん:フランスの伝統菓子をアレンジし、シンプルにつくりました。オレンジの皮とシナモンでつくったシロップに漬け込んだブリオッシュにチョコレートソースを塗って、栗のペーストを搾り焼き上げました。栗のペーストは特別なもので、スペイン産とチリ産のものを組み合わせています。食感と香りがとても楽しめると思います。

質疑応答
Q:「パンづくりで考えていることは何ですか?」
A:西川さん:季節などを意識しています。季節の香り、風の音、枯れ葉を踏む音、葉の色、落ち葉を拾ってこんなパンができないかと考えることもあります。自然から感じ取れる様々なものを取り入れています。
パン職人ではない別の職人とコラボレーションすることで、新たな食材との出会いや新たな使い方を発見できます。皆さんに合ったパンをどれだけ提供できるかが重要だと思います。

Q:「食パンの山食と角食の違いは何ですか?」
A:井筒さん:食パンは生地を型に入れて焼くのですが、山食と角食の違いは、その型に蓋をするか、しないのかです。蓋をする角食は、生地が伸びず詰まるので、サンドイッチなどに合います。一方山食は蓋をせずに焼き上げるので、生地が自由に伸びます。生地の中の気泡も大きいです。角食と比べるとライトな食感です。

Q:「紅茶を入れる際、器などで味は変化しますか?」
A:大西さん:とても影響があります。紅茶の赤色はポリフェノールが含まれており、カテキンの一種であるタンニンという渋みの成分があります。このタンニンがステンレス製のものを嫌い、合わせると紅茶が不味くなってしまいます。おいしく紅茶を飲むには、陶器のものが良いです。また、紅茶の出来上がりの温度をできるだけ高くすることで、香りがより引き立ちます。さらに空気の入ったお湯を使って、勢いよく注ぐことで、ふわふわと茶葉が回る現象が起きます。それをするかしないかで味が大きく変わります。

Q:「珈琲が苦手で、飲むと胃がムカムカするのですが、自分に合う珈琲を見つけることができるでしょうか。」
A:上野さん:原材料が酸化していると、胃がムカムカする可能性があります。焙煎でしっかり豆に火を入れ、ただ黒く焼くのではなく、中で無理なく火を入れている豆であれば、胃のムカムカは少ないと思います。

珈琲・紅茶をテーマとしたパントークが終了しました。それぞれの専門の職人からの考えや方法を聞き、また試食を通して体験できる貴重な機会でした。お客さんもトークに試食ととても楽しんでいる様子でした。
11月1日からは「KOBEパンのまち散歩」が始まります。期間中の1か月間に、中央区内のパン屋さんを巡り、様々なパンと出会っていただきたいと思います。また様々なイベントも開催されますので、そちらも楽しんでいただければと思います。今回から特設のウェブサイトも立ち上がり、フェイスブックやインスタグラムなどでも、様々な情報を随時アップしていきますので、ぜひご覧ください。



KOBE パントーク20162016
開催概要はこちら

このたび、デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)において、個人、企業・団体のオフィス・スタジオ・アトリエ等としてご利用いただけるクリエイティブラボスペースの使用者を募集いたします。

募集に関しては、こちらをご覧ください。

2016年11月18日(金)

「男・本気のパン教室」2回目を開催しました。
前回の顔合わせから10日後。今回からパンづくりの特訓が始まります。
東灘区にある「ケルン」本社にお邪魔して、壷井豪オーナーシェフに教わります。


今日練習するのは、フォカッチャ生地を使った3種類のパン。長芋と大葉のパン、ほうれん草とベーコンのパン、カレーパンを作ります。フォカッチャはオリーブオイルと牛乳を入れた生地で、力を入れなくても混ぜやすく、比較的短い時間で作ることができます。
シェフへの自己紹介と作り方の説明が終わったら、早速厨房でパン作り開始です。

材料を混ぜた後、生地を捏ねていきます。力を入れ過ぎず、まな板に擦り付けるように。やり過ぎは禁物。手が生地の水分を奪ってしまうので、捏ねすぎると固くなってしまうのだそうです。その後、生地の上にチーズを広げ、スケッパー(カード状の道具)で生地を切っては重ね、を繰り返します。
今回の最高齢、昔パン工場で働いていたという81歳の方は、とても慣れた手つきで、シェフも驚くほど。「作り方は覚えていない」と仰っていましたが、考えるより先に手が動いているようでした。


ここからは、具材によって違う作り方をします。
ほうれん草とベーコンのパンは、生地に具材を混ぜ込みます。生地を広げて具材を乗せ、先程と同じように具材ごと切っては重ねて、を繰り返すことで混ぜ込みます。
長芋と大葉のパンは、ひも状に伸ばした生地で具材を巻くスタイル。カレーパンは生地にカレーを包み、表面にパン粉をつけます。


発酵を待っている間、「パンが出来上がったら、誰に食べてもらいたいですか?」とシェフから質問。答えは「まず自分が食べたい(笑)」「パン作りなんて無理!と言われた妻を見返したい」「パンが大好きな娘に食べさせたい」などなど。
シェフは食べる人のために、その人の顔を思い浮かべながら作ってほしい、と仰っていました。

そうこうするうち、オーブンからいい匂いが漂ってきました。
それぞれ自分の作ったパンを試食します。「カレーが生地からはみ出てる」「けどそれも味や」「○○さんのはさすがに形がきれい!」


「メンバー同士連絡を取り合って、ちゃんと復習もしてくださいね!」と壷井シェフ。メンバーに主体的に動いてほしいと発破をかけます。
次週はシェフがいない中での練習です。果たしてどうなるのでしょうか?
引き続き乞うご期待です!
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「男・本気のパン教室」開催概要はこちら
昨年度の「男・本気のパン教室」についてはこちら



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2016年11月13日(日)

+クリエイティブゼミvol.22「道路の未来を考える2実践編」第2回を行いました。

前日の第1回では、講師の副センター長永田からのKIITOゼミ心得、神戸市さまからの道路利活用の現況報告、対象道路を含む地域のまちづくり協議会の方からのまちの歴史についての講演、そしてゲスト西尾さまからの道路活用事例や運営ノウハウについてのレクチャーと、盛りだくさんの1日となりました。
第1回のレポートはこちら

2日目となる今回は、実際に神戸の街に出て、フィールドワークを行いました。

まずは、ゲストの西尾京介さんから、フィールドワークを行うにあたってのポイントを教わりました。
ポイントは大きく3つ。

①環境の観察:場の環境を評価すること
②客観的に観察:どのような人がいるか、何をしているか観察すること
③主観的に観察:自ら利用者として場を感じること

これらのポイントに注意しながら、ふたつのチームに分かれて神戸の街を散策します。


まずは、今回のゼミの対象道路である「葺合(ふきあい)南54号線」を南下します。
ゼミ会場の小野八幡会議室は、葺合南54号線のちょうど真ん中ほどに位置しているので、フィールドワークの拠点には最適です。

葺合南54号線の南側は、最近できた高層マンションがいくつか立ち並び、現在も新しいマンションの建設が進んでいる一方で、貿易センタービルとサンボ―ホールのあいだにある公開空地では風が抜け、憩いの場となっている様子が伺えました。


南側の先端には、みなとのもり公園の入り口があります。
さまざまな人たちが思い思いの過ごし方をしている場所でありながら、定期的にイベントなども開催されている公園です。


つづいて対象道路を北上します。
途中、対象道路に電線がなく、地下電線を管理するための機器が納められたボックスが歩道のいたるところにあることに気づきました。立ちながらなにかをするには丁度良い高さのボックスなので、何かに活用できないかと話が盛り上がりました。

ほかにも、車道の路肩に駐車できるパーキングメーターがいくつもあったり、対象道路から山までの眺望があるなど、多くの発見がありました。



もう一点、対象道路を歩いていて気付いたことは、歩道にとめられたたくさんの自転車。
路上駐輪禁止の看板を出すなど対策はされていますが、景観上よくないのではとの意見もありました。


対象道路上でもっとも人通りの多いスターバックス前では、前日の拡幅した歩道の一部先行開放の効果もあり、ベンチに座る人々の姿を見ることができました。
実際にベンチに座ってみながら、どういう感覚か、どのような人が利用しているのか、さまざまなことを観察します。


次に、神戸市がこれまでに取り組んできた「KOBEパークレット」「三宮プラッツ」などの道路活用事例も見学に行きました。
当日、「三宮プラッツ」ではマーケットが開催されており、イベント開催時の様子も見学することができ、「KOBEパークレット」では利用されている方から直接声を伺うこともできました。


最後に、三宮センター街に設置されている「屋台プロジェクト」のベンチの見学や、対象道路の北端である三ノ宮駅前、東遊園地などを観察し、ゼミ会場へと戻りました。


会場に戻ってから、フィールドワークで感じたことを書き出して共有します。
どういうことを感じたか。なぜそう思ったか。どういう人がいたか。場所と感情を紐づけながら情報を共有しました。
ゼミ生からは、対象道路が北と南で性格が異なり、観光客や買い物客でにぎわう北側と、マンションが建ち住民の利用がありつつも静かな南側、それぞれの道路の活用法があるのではという意見や、みなとのもり公園への誘導の方法、放置自転車への道路の活用を介した解決ができないかなど、さまざまなアイデアが発表されました。


最終的に、ゲストの西尾さんにも情報を整理していただきながら、
①みなとのもり公園へのアクセスについて対象道路の魅力をプロモーションし、道路の活用につなげるチーム
②周辺住民に向けた対象道路を活用する上でのハード・ソフトを提案するチーム
③ゴミ・路上駐輪をハード・ソフトで解決を試みるチーム
の3つのチームに分かれ、提案を行うことになりました。

次回はそれぞれのチームにわかれてグループディスカッションを行い、アクションプランのアイデアを考えていきます。

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+クリエイティブゼミvol.22「道路の未来を考える2実践編」
ゼミの開催概要はこちら

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