お知らせ・レポート

2015年12月22日(火)

第6回公園ゼミは、現在のアイデアや方向性について、各班より中間発表を行いました。ゲストとして対象公園を管理されている地域の方、神戸市建設局公園部計画課の方にお越しいただき、講評していただきました。聴講の方も多く来られました。

 
A班
対象公園は、豊かな緑がある反面、暗い、怖い、危険という印象がある。生活圏にある近寄りがたいエリアになっているのではないか。きちんと手入れをし、明るく安心な公園に設えていく。地域にとって居心地の良い場所にし続ける活動、これを辞めてしまうと、元の公園に戻ってしまう。やり続けること、持続することに意味がある。テーマである「健康」とは、地域の健全性を持続させていく仕組みづくりではないか。仕組みについてはまだ考えている途中段階である。持続可能性では、次の担い手ということも当然ある。間接的な関係者の裾野を広げていくこと、イベントに参加する人、木々を手入れする人など直接的な人を対象にするのではなく、住んでいる人たち、危険を感じている人たち、その人々が明るい緑の公園になって良かったと思える人を増やしていく。森を明るくする活動をすることで、生まれた木の枝や竹などの副産物が、ゴミになる可能性もある。こういったものを小学校と連携して、図工などの材料として作品を作り、その作品を公園に返してはどうか。公園の中だけのサイクルではなく、一度出して、戻ってくる仕組みにする。樹名板を設置した際に、人の手が入っている安心感があると思った。その延長線上で考えると、小学生が作ったものが公園内に置かれ、関連性ができる、それを見たい親が公園へ行く。活動の痕跡があると、怖さが和らぐのではないか。痕跡を残す活動を繰り返していく。すべてを公園内で完結するのではなく、公園は出発点でありゴールであると考えている。

地域住民
とても論理的でスムーズに聞くことができた。共感するところが多かった。地域のまちづくりと連携して捉えている点、間伐材などの副産物をゴミにするのか、資源にするのか、持続可能性、次世代へのバトンタッチ、すべてテーマとして捉えていることが良い。腐葉土、薪、副産物については具体的に考えていかなければいけない。具体的な行動の展開については次のテーマだと思う。感覚が私と合っているので最終発表会も期待している。

地域住民
我々が頑張らなければいけないのは持続可能性である。夏には公園で、昆虫採集に来ていた親子がクワガタを捕まえていた。樹名板を設置した後に、地域の方が、私は樹名板で木について勉強していると話していた。目立っている木にしか樹名板を設置していないが、親子で調べてもらい、自分で樹名板を作り設置するのもありかと思った。メンバーも高齢化しているので次の世代に引き継ぐことがとても大切である。

神戸市建設局公園部計画課
渋みを聞かせた提案に感じた。持続可能性はこの森にとって大切な視点だと思う。木々を切るだけでなく、切ったものがどうなっていくのか、草を刈ったものをどうしていくのか、非常に現実的で分かりやすいが、法律上何も問題ない提案で、少し弾けた感じがない(笑)。他の団体との連携などの視点も多くあり、良いと思うが、もっと提案を膨らませてほしい。

永田
とても論理的なプレゼンテーションで、感心しながら聞いた。公園そのものの要素が、学校の教材になり、活動に生かせ、使いこなしてもらうことを考えると可能性が広がる。学校の授業などで、図工の時間に合うものもあれば、理科の時間に合うものもある。学校の授業と公園がどうリンクするかを考えると、学校へのヒアリングも必要である。大西さんと同じで他にどんな団体があるのか、連携してできることがたくさんあると思う。みんなが安心して使える場を、誰と、どんな団体と、どのように連携して、どんな可能性を広げるのか、考えて欲しい。

 
B班
我々の考える健康とは、体を動かすことでの身体的健康、笑いや楽しさといった精神的健康の2つを達成して健康になることである。2つの要素が達成されるために、たくさんの人が集まり、楽しいことをする場を公園が提供できないか。森の手入れを進め、休める空間を作り、公園全体が地域にとって居心地の良い場所になっていくことが重要である。公園を整備する中で、木を切る作業が遊びにならないか、整備に楽しく関わることで、参加者が公園に対し愛着が沸いていくのではないか。現在のアイデアは、秘密基地づくり、マウンテンバイクコースづくり、犬と遊べる空間づくり、プチハイキングコースづくりなど。この公園の森を管理するには、意識の高さが必要。楽しい遊びを加えることで、地域の人も参加しすくなり、森や自然へもより興味を持ってもらえるのではないか。公園の整備に楽しく関わることで、様々な人と接し、つながることが健康に対して良いアプローチになると思う。

地域住民
アイデアにあふれた提案であった。現地の特徴をしっかり捉えられていると思う。整備として木を切ることを遊びにするところは、共感するところが多い。実施が難しいアイデアもあるが、これから検討してみたいものもあった。公園管理には地域のボーイスカウトの子どもが年2-3回参加している。公園、森の利用は、整備をしっかり行い、明るい森にしてからと考えている。間伐した木の利用はまだ進んでおらず、我々も課題に感じている。

地域住民
参加者のほとんどは、70代、80代、90代と高齢である。参加している幼稚園の子どもは、公園整備の作業が楽しみで、毎回参加している。若い世代の人はあまり参加していない。若い人にも魅力のある作業ができたらいいのではないか、興味のあるアイデアがいくつかあった。間伐の利用は我々も課題に感じている。現在は切った木材をチップ状にして、公園内にカブトムシの培養場を作っている。

神戸市建設局公園部計画課
普段使い、イベント使い、ハレとケ、ケ(=日常)の仕掛けづくりを考えることも必要。地味かもしれないが、日常を通して公園を楽しむことも大切である。それは、犬の散歩とか、ジョギングなどかもしれない。イベントのアイデアは他にもたくさん出てくると思うが、そのイベントを誰が実施し、誰が参加し、誰が準備し、というところを練る必要がある。スタッフの必要数なども検討できる。また安全性についても掘り下げて考えてほしい。

永田
公園管理から、遊びにつなげるイベントアイデア集の提案になっている。これは良い、これはやってみたい思わせることが必要である。これを実施してはどうか、将来ならできるかもしれないというように、実施のレベル、企画の強度の差、時間などの問題もある。高齢者はできるのか、若い人を巻き込む要素があるのか、といった整理が必要。まだ見えていないサンプルがあると思うので、全国の先進事例も参考にしてほしい。

 
C班
健康にする対象を、人ではなく公園と捉えた。公園が健康な状態とは、活気があり、にぎやか、自生する動植物も元気な状態。誰がその状態を作るのか。地域の方々が関わっていくべきであり、公園ゼミ生も関わっていきたい。健康にするためには、公園の稼働率を上げたい、活動したイベントをまとめた表を作り、各イベントの間に新たなイベントを入れていく。アイデアとして、食材を育てるファームづくり、技術を学ぶ木こりサミット、公園内にはベンチが少ないので間伐材でのベンチを作り、野鳥用の巣箱や観測台、夜の活用として、音楽祭、映画祭など。開催するイベントタイトルも魅力的にすべきである。今後、継続する仕組みえを考え、自慢したくなる公園づくりを目指す。

地域住民
アイデア満載で、公園に対する愛情を感じた。バランスが取れている。人と自然がどちらも健康である、全く同感である。人だけが楽しむだけでなく、自然の保全問題も重要。人と自然とのバランスが取れている点に好感が持てた。地域には現状として、都会にしては緑が多く、池もある、人工物であるが、せせらぎもある。恵まれている場所にもかかわらず、自然があまり活用されていない。我々は、自慢したくなる公園にしたいと思って取り組んでいる。巣箱、野鳥観測台、夜の利用、映画上演などは私も温めている企画であるため、ぜひいいタイトルをつけてもらいたい。

地域住民
地域の方も意外とこの公園を知らない方がいる。樹名板をどこに付けるのかを決めるのが、私の仕事でした。剪定の際に、残してほしい木を切られてしまったことがある。樹名板は貴重な木を守る意味でも重要である。森の中でも生命の競争がある。蔦が木に巻き付いて枯れた木もあった。森は、いろいろな木があって、良いものと悪いものがあって健全な森となる。

神戸市建設局公園部計画課
良くまとまっている。夜の音楽会など、新しいアプローチが面白い。ファームづくりが気になる。公平性の観点から考えると、勝手に自分の土地以外で野菜を作るのはどうかという意見もあるので、バランスが重要。スケジュールを見える形にするのは、他にも例がある。自治会に張り出す、SNS、HPなどは様々な地域でトライアルしている。参考にしてみてはどうか。

 
総評|
地域住民
環境活動は理系であり、発表のアイデアは文系の発想、思考が強いと思った。活動のゴールとしては楽しさが重要であるが、自然相手、この公園は森である、100パーセント管理した公園にしたいのではなく、森、自然として残したい。こういった活動は楽しさを追及するあまり、生態系を無視した行動も良く見受けられる。環境NPOは楽しませることだけに注力してしまい、自然の摂理に反し、外来種を放流してしまう。科学的に間違ったことを行っている団体もある。専門性が必要なので、地域の方だけでは難しい部分もある。べ―スは科学的に正しくなければいけない、その上で楽しさがある。道を誤ってほしくない。人、街に良いだけでなく、自然へも謙虚であってほしい。最終発表に向けてこの辺りも配慮していただきたい。

永田
公園は、地域の大切な資産であり、一定の作法がある。楽しさの中に学びがなければいけない。公園が健康であることは本質である。自然とどう付き合うのか、ニュースポーツの話も興味がある。夜の活用も気づきであり、夜、森、公園の組み合わせはゾクゾクする。楽しい情景が浮かんだ。以前、シーツを張って映画を上映したことがある。当時の様子を子どもは今でもよく話している。家ではできないことは、一生の思い出になる。みんながゾクゾクするような地域向けのイベントを行い、地域の人が実施したいことを聞いてみる。やりたいことを実施できる仕組みを組み込めないか。各班バリエーションがあり、面白い提案があった。ゲストの皆さんからアドバイスをもらったので、地域に寄り添うようにアイデアをブラッシュアップしてほしい。

 
各班素晴らしい発表で、ゲストの方々も最終発表を大変楽しみにしているとのことです。講師の永田も「いい意味で期待を裏切られた」とコメントしています。次回のゼミは年末年始の冬休みを挟み、1/12(火)になります。

+クリエイティブゼミ vol.18 まちづくり編 これからの公園のあり方について考える part.2「公園×健康」
http://kiito.jp/schedule/seminar/article/14882/

2015年12月10日(木)

セルフ・ビルド・ワークショップ 「余白不動産-余白につくる小さな建築」の第1回目を開催しました。

「余白をリサーチ - 余白の秘密を読み解く」とした今回は、講師のRAD・川勝真一さんによる、これまでの経緯と企画概要の説明、参加者自己紹介・チーム分け、余白物件巡り、借り手のアイデア紹介、を駆け足で行いました。


昨年度、KIITO館内の「余白」(未活用空間)を考えるワークショップとして、余白に「屋根」をかけてみました。今年度は趣向を変えた発展版として、「余白」を、様々なアイデアを実現するための「物件」として貸し出す「余白不動産」プロジェクトを展開するものです。
KIITOの3、4階にオフィスを構えるクリエイティブラボ入居者を中心に、「余白の借り手」と余白の活用アイデアを募りました。ワークショップの参加者は、そのアイデアを叶えるべく、「余白不動産・建築部」のメンバーとなって、それぞれの空間が持っている魅力を読み解き、その「物件」ならではの小さな建築をデザイン、DIYによる制作をおこないます。
ワークショップ参加者は、全4回のプログラムを通して、場所を使いこなすヒントや、場所をつくり変えるためのスキルを身につけることを目標とします。

余白活用や小さな建築の事例として、サンフランシスコで駐車スペースをレクリエーションや美化空間として活用する「Parklet」という試み、大阪の「ミズベリング」、ゲスト講師のNO ARCHITECTSの仕事の中で、小屋的な構造物が制作されたものなどが紹介されました。

途中、参加者のDIY習熟度チェックに、工具の名前当てクイズを行いました。インパクトドライバー、カンナなどです。見たことがあるけれど意外と名前を知らない、、、というものもあり、なかなか苦戦しました。
当てた参加者から自己紹介を行いました。学生から社会人、自分のお店を開く予定の方まで、さまざまな方が参加されていました。


説明や自己紹介の後に、川勝さんの先導のもと、余白物件巡りをしました。
ワークショップ開催前に、川勝さんとKIITOの施設管理担当者で、余白となっている場所を巡り、なぜ余白が生まれたのか?事前リサーチを行いました。そこで見えてきたポイントは4つ。

◆見えない規制線(避難、バリアフリー)
 ・・・日常的な利用のときには余白に見えるが、防火扉が開けるように、避難時の通路幅確保、など、非常時のために空けておかなければいけないスペースがある
◆みんなのものという罠(共用部)
 ・・・みんなのものだから、特定の目的で占有できないスペースがある
◆プラン変更に伴う表裏の反転
 ・・・生糸検査所を改装した建物を文化施設にリノベーションするにあたり、動線の変更が必要になり、もともと搬入用の通路だったところが玄関になったり、もともと玄関だったところが使えなくなったりしている
◆なんとなくダメという思い込み

巡った物件がどれに分類されるか、意識しながら見ていきます。


最後に、今回の「余白物件の借り手」とその活用アイデアを発表しました。

(1) 藤本智士さん(KIITOクリエイティブラボ入居者/編集者)「りすラジオ」
 ・・・ラジオ収録する場所とブースが欲しい
(2) 遠山敦さん(アーティスト)「アナログゲームルーム」
 ・・・ドイツゲームなどアナログゲームをみんなで集まって思いっきり楽しめる場所を作りたい
(3) 山本篤司さん(KIITOクリエイティブラボ入居者)「サイクルステーション」
 ・・・ロードバイクを安心して停められ、ちょっとメンテナンスしたり、サイクル好きが集まれるような場所を作りたい

工具当てクイズの正解者順でチーム分けを決めて、借り手ごとに制作する「小さな建築」のアイデアを考えてくることを宿題として今回は終了しました。

次回は、チームに分かれ、借り手の3組から直接詳しい要望をヒアリング、ゲスト講師のNO ARCHITECTSと一緒に、実際に作る、余白とその活用アイデアのための「小さな建築」を設計してみます。


セルフ・ビルド・ワークショップ 「余白不動産-余白につくる小さな建築」 
開催概要はこちら

2015年12月15日(火)

第5回公園ゼミを開催しました。次週の中間発表に向け、時間いっぱいまで各班、熱い議論が繰り広げられていました。

 
A班
現状の公園の暗い、怖いといったイメージを、現在活動している方々が目指している、明るく安心な場所へ変えていくことを後押していきたいと考えている。木々を切るなど公園の整備を行う中で、その切った木材を小学校などの図工などで活用し、さらにできた作品を公園内に展示するなどのサイクルを作れないだろうか。作品は動物など森の生き物を題材に制作し、公園内や林道に設置することで、公園に来られた方が発見する楽しさも生まれる。公園に人の手が入っていることが目に見えることで、より安心感が増す。自分たちの居場所づくりや小学校との連携などをさらに検討していきたい。

B班
対象公園の一番の魅力は森だと思う。森づくりをテーマに議論を進めた。公園管理と普段の公園の居心地の良さの両立も重要。公園管理に参加することで、公園への愛着も生まれると思う。木を切る作業もより楽しくできる仕組みを考えている。例えば、チェーンソー体験など、普段なかなかできない体験を行い、切った木材でベンチやイスなど公園の備品を制作しても面白いと思う。また、切った木材を薪にして、ご飯を炊くなどの展開も検討中。身近に自然を感じられる公園として、森の魅力を活用できるアイデアを引き続き考えていく。

C班
人の健康もあるが、公園を健康にしたいと考えてる。公園の健康とは、活気があり、、賑わいがあること。公園の稼働率も上げていきたい。議論の中で出てきたアイデアは、木こりワークショップを実施し、木こりの作業を体験、切った木々を使い森にいる野鳥のために巣箱を作る、公園内には座るところも少ないので、ベンチなども作れたらいいと考えている。稼働率の増加として、森の中での音楽祭、夜に時間の活用として、森の中での映画鑑賞なども面白いと思う。イベントタイトルなどもより魅力的な言葉にすることで、若い世代の参加増加につながるのではないか。

 

次回は、年内最後のゼミで、中間発表になります。各班の方向性、現段階でのアイデアを発表し、対象の公園を管理されている方や神戸市建設局の方に講評していただきます。

+クリエイティブゼミ vol.18 まちづくり編 これからの公園のあり方について考える part.2「公園×健康」
http://kiito.jp/schedule/seminar/article/14882/

デザイン・クリエイティブセンター神戸で、2016年1月、2月に開催するイベントについてプレスリリースいたします。

プレスリリースはこちら(PDF)

2015.12.29 (火) - 2016.1.4 (月) は休館とさせていただきます。
1.5(火)より通常開館いたします。

デザイン・クリエイティブセンター神戸で、2016年1月に開催するイベントについてプレスリリースいたします。

プレスリリースはこちら(PDF)

2015年12月8日(火)

公園ゼミの4回目を開催しました。はじめにスタッフから先日行った垂水区の対象公園での見学報告、先進事例紹介を行いました。

 
公園見学報告
公園管理をされている方の案内で、公園内を見学し、行っている活動や公園への思いなどをお聞きしました。公園は原生林が多く残る貴重な場所なので、この緑を活用していきたい。まだ始めたばかりだが、小学生を対象にした環境学習などもこの公園で行っている。公園には非常にたくさんの木々があるため、手入れがとても大変。活動日にはボランティアメンバーが集まりますが、平均年齢が70歳以上で斜面地での作業は難しい。地域の子どもたちには、他の公園ではできないワイルドな遊びをしてもらいたいと思っているとおっしゃっていました。

先進事例紹介:風の郷公園(神戸市東灘区)
風の郷公園はJR六甲駅と阪急六甲駅の間にあります。注目されている公園で、ここをモデルにした公園が、トルコで作られたりしているようです。震災後、区画整理の際にまちづくり協議会が神戸市から委任されて作られた公園です。どういった公園にしたいか、8つのまちづくり協議会が集まり、何度も繰り返し話し合ったそうです。この公園は子どもの遊具は最小限で、ほとんどが広場です。フェンスもなく、注意看板なども見当たりません。公園内には風の家という集会所もあります。風の家の運営は、助成金なしで独立運営し、オープンしてからずっと黒字を維持しています。健康器具も平均台などが少し置かれていました。子どもだけでなくご老人の方もおり、幅広い世代の方が利用されているようでした。公園内の木々も、どんな木を植えるかについても、協議会の中で決められました。オープンしてからずっと黒字を維持います。地区住民は全員会員というかたちで、他地域の方も利用することができます。遠方からの利用者も多いとのことです。公園づくりは壮大な実験である、「なんでも実験をしてみよう!」がキーワードです。公園に遊具が少ないと言われれば、「公園すべてが遊具です」と答えます。今の子どもたちには走り回れること自体が贅沢なことです。何かしたいときに何かできる設えが重要で、「公園は完成しないことが大切」なので、神戸市にも70パーセントの完成度で公園を作ってほしいと伝えたようです。公園内に看板がない理由は、看板は誰も見ていない、注意したい人が注意するために利用するものなので、人が「歩く看板」になって、子どもたちに注意すればいいと、始めは毎日公園に行き子どもたちに注意したりしていたようです。オープンスペースは人間形成に関わる事であり、「公園は公園であって、公園でない」。など名言が止まりませんでした。
 
 
講師永田のコメント
体を鍛えることだけが健康ではなく、心の健康もある。健康をどうとらえるかというのも重要なことです。人とふれあう、公園を介して地域とつながることも大切なことだと思います。以前、地域で防災活動をされている方に聞いた話ですが、地域で一生懸命防災している人が、リタイアしたら自分の夢はゴルフ三昧、好きなだけゴルフに行くことが夢であるという人がいました。その後、1,2年して会ったら、もうゴルフは飽きた、地域の人のために役に立ちたいと思うようになったそうです。人のために活動ができることは幸せなことだと思います。公園という場所を介して、どんなきっかけを作り出せるか、余地があることで活動が生まれます。同じ神戸市にこんな公園がある、公園を舞台に繰り広げられている活動を紹介する、公園のネットワークをつくるなどといった仕組みの提案もあると思います。どこまで行っても我々は住民ではないので、気づかないことを提案して気づいてもらうことも大切ですし、よそ者しか知らないことを伝える、学び合える場を作ることも重要なことです。公園をフィールドにどう高齢者の健康を醸成できるのかがポイントです。

報告後は、各班で、それぞれ対象公園を見学した際の気づきや、公園を活用した事例などを持ち寄り話し合いました。丸太を切る体験など森を活用するアイデアやイベントタイトルを魅力的なものにしてみるなどたくさんの意見が出ていました。

次回は、グループワークがメインになります。そして次々週、12月22日は中間発表になります。地域の方や神戸市建設局公園部計画課の方も来られ、各班の方向性やアイデアに対し講評していただきます。

+クリエイティブゼミ vol.18 まちづくり編 これからの公園のあり方について考える part.2「公園×健康」
http://kiito.jp/schedule/seminar/article/14882/



KIITOが年4回発行する情報誌「KIITO NEWSLETTER」の最新号Vol.11が完成しました。

今回は、10月3日~25日に開催した「LIFE IS CREATIVE展 高齢社会における、人生のつくり方。」会期中に、大阪の浄土宗大蓮寺、應典院住職・秋田光彦さんと、KIITOクリエイティブラボの入居者でもある有限会社りす代表、編集者の藤本智士さんとで対談をしていただきました。
展覧会の中で、秋田さんには「今と未来の終活の話」トークイベントで、藤本さんには「アルバム整理ワークショップ」で登場いただいています。「終活」「写真」を切り口に、高齢社会について認識を新たにする契機となるようなお話をしていただきました。

KIITO内や、全国の文化施設・教育機関などに順次配布していきます。ぜひ手に取ってみてください。PDF版も下記リンクからご覧いただけます。


KIITO NEWSLETTER
バックナンバーを含めたPDF版はこちら

2015年12月1日(火)

+クリエイティブゼミ vol.18 まちづくり編 これからの公園のあり方について考える part.2「公園×健康」第3回目は、公益財団法人 日本レクリエーション協会より佐藤健氏を講師としてお招きし、レクチャーを行いました。
高齢化に伴い、健康であることの重要性がこれまで以上に認識され、スポーツが果たす役割に期待が高まっています。そんな背景にあって、スポーツ習慣の普及や、スポーツを通じたいきがいやコミュニティ形成に向けて取り組まれている様々な事例についてお話していただきました。
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佐藤氏の講義は、まず拍手から始まりました。
講師が「せーの」と言ったら一度拍手をします。せーの、パン、せーの、パン。これは簡単。
次は「せーの」の後の拍手の数を増やしていく。せーの、パン、せーの、パンパン、せーの、パンパンパン…。
高齢の方を相手によくこのゲームをしていますが、手拍子をするだけでも運動になる。今、数を数えること、手を叩くことを同時にやりましたが、同時に複数の動作をすることが脳にもよく、認知機能の向上にも繋がると言われています。

次に、膨らませた風船を2個用意。風船を落とさないように、ポンポンと上にトスしてみます。次に簡単な足し算をしながら、その動作を続けます。講師が出した問題に答えながら風船をトスし続けます。
「4+2は?」「3+1は?」「12+3は?」…
問題を少しずつ難しくしていきます。「7-2は」「15-7」「13+19」…
ボールを突きながら計算をする、というような2つ以上の動作を同時に行うことを「デュアルタスク」といい、こういったゲームをすることで、楽しみながら認知症の方の機能向上につながると言われています。

 
夢中になる瞬間「フロー」状態
人が何かのタスクを遂行する時、簡単過ぎると退屈してしまい、難し過ぎても不安を感じたり、投げ出したくなってしまう。その人にとって簡単過ぎず、難し過ぎない状態だと夢中になって楽しめる。そのちょうどいい中間地点のことを「フロー」状態という。
何かに夢中になっている時、人は思い煩っていたことから解放される。同じ事をずっと考え続けるのではなく、思い出す「対象」にしてしまい、忘れた後にもう一度思い出すことで、ポジティブな効果があるといわれている。
「夢中になる瞬間」であるフロー状態ををどうやって作りだすかがとても重要で、それを意図的に作り出すのにスポーツは適している。
「運動」といえば、野球やサッカーなど、勝つために激しいトレーニングを積むスポーツを思い浮かべるかもしれないが、自ら体を動かし、楽しむことが重要なレクリエーションとしてのスポーツについて、今日はお話したい。

日本レクリエーション協会とは
日本レクリエーション協会は、1947年に誕生、約70年の歴史を持っている。各?都道府県や市町村にもレクリエーション協会がある。日本に新しく入ってきたニュースポーツの種目団体も加盟し、行政や国と連携しながらレクリエーションの普及に取り組んでいる。

1985年頃から子供の体力低下が指摘されている。TVゲームが普及し、集団遊びが減少した。それが今の20・30代に当たり、現在の成人の中で一番運動をしていない世代と言われている。協会では、スポーツを通じた街コンなど、若年世代への啓発事業を行っている。
一般に65歳を過ぎると「高齢者」と呼ばれるが、今の65歳は高齢者と呼べないくらい若い。「高齢者の新人類」という意味で「ニューエルダー」と呼んでいるが、これまでのイメージとは違い、年齢にかかわらず自由に格好よくありたいという意識を持つ人が多い。ニューエルダーを対象に、夫婦で一緒に健康づくりをするプログラムなどを開催している。
スポーツを通じて、体だけでなく、頭と心の健康づくりを推進している。

スポーツを通じた健康づくりの必要性と背景
高齢者の割合が人口の7%で「高齢化社会」、14%で「高齢社会」と呼ばれるが、日本は2015年で65歳以上が26.8%の超高齢社会となっている。2055年には4割になると予測されている。我々は、いわば世界の最先端の高齢社会に生きていて、その中でどう生きるかを考えなければいけない。
日本は世界に名立たる長寿国だが、平均寿命と自立して生きられる期間「健康寿命」の差が男女とも約10歳の開きがある。いかにこの差を縮めていくかが重要になる。

医療費は増加しており、国家予算の一般会計の歳出の約4割を占める。そのうち約半数が70歳以上の医療費に使われている。
一人暮らしの高齢者が増え続けており、1980年と比較して2010年には女性で約2倍、男性では約3倍に増えている。最近、孤独死が問題になっているが、地域との繋がりがどんどん減ってしまっているのではないか。
16~64歳の生産年齢人口(高齢者を支える世代の人数)は現在では約2.7人で1人の高齢者を支えているが、2050年には1.3人で1人を支えないといけない。高齢者は支えられるだけでなく、自分で自分を支えなければいけなくなり、そのためには健康で元気であることが大切になる。

要支援・要介護の状態にある人も2000年に比べ、2倍以上に増加している。
高齢になると身体能力が低下するが、特に下肢の筋力は低下しやすい。要介護の状態になる原因として、骨・筋肉・関節などの運動器疾患も多い。
現在の介護予防の考え方では、健康でもなく、要介護でもない虚弱な状態「フレイル」から健康な状態に戻ることが目指されている。フレイル状態にあると、健康な高齢者に比べ、軽度の疾患が要介護状態へと繋がりやすく、回復にも時間がかかるからだ。

高血糖、高血圧・脂質異常のうち、2つ以上併せ持った状態を「メタボリックシンドローム」というが、運動することでメタボリックドミノ(徐々に深刻な状態に進行していくプロセス)の進行を抑制することができる。
また、運動によって認知機能の向上や気分の改善、自尊心の向上、ストレスからの気晴らしなど様々な効果が見込める。要介護状態の多くが運動で予防可能だと言える。
 
 
「ニューエルダー」施策の課題
国の「スポーツ基本計画」の中ではライフステージに応じたスポーツ活動が推進され、製作目標としてスポーツ実施率の目標値が定められている。
「競う」よりも楽しく交流するスポーツが求められている。社会参加と要介護状態には因果関係があるが、スポーツをする人ほど近所づきあいも多いという調査報告がある。スポーツを通じた生きがいづくりが我々の課題である。

日本レクリエーション協会は、普段スポーツに縁のない方々に来てほしいとイベントを開催しているが、実際に参加されるのは普段からスポーツをしている人がほとんど。そして女性に比べ、男性の参加者は圧倒的に少ない。
まず自分の体に関心を持ってもらうことが重要。「体重増えましたか?」「姿勢が悪くなっていませんか?」など、身近な、人々の関心の高い話題から入り、肺機能や筋力などのチェックを行う。ストローで何秒ティッシュを吸い続けられるかなど、楽しみながらできる方法で測定してもらっている。

公園を活用した健康づくりの取組み
身近に、定期的・継続的にスポーツ・レクリエーションを楽しむ場が必要。いわゆるスポーツ施設ではなくても、公園や学校、お寺など、身近にある場所を使うこともできる。楽しくてためになる、新しい交流のための開かれた場所、ライフスタイルの創出が必要。
その点で公園は、①オープンエアーである(誰でも入れる、目につく)、②太陽の下で気持ちよく過ごせる、③身近である、などの条件を備えており、レクリエーションに適している。

我々は「スポーツピクニック」をキーワードに、「公園スポーツ」という高齢者の新しい新ライフスタイルを提案している。
公園スポーツの象徴的なスマートスポーツは、薪を投げ合って遊ぶ「KUBB(クッブ)」というスウェーデン生まれのスポーツ。KUBBは身体感度を高め、人々のコミュニケーションを深める。
また、公園という身近な場所を使って過ごすライフスタイルの提案も行っている。
 
 
質疑応答
Q.閉じこもりがちな、あまり活動的でない方に参加してもらうために、イベントのことを知ってもらう方法は?
完全に閉じこもってしまっている人に参加してもらうのは難しいので、まずは以前から興味があったがきっかけがなかった、というような比較的活動しやすい人を対象にしている。
また、「誰から誘われたか」ということも重要な要素なので、主催する側は様々なネットワークを張り巡らせることが大事。
あとはメッセージの出し方。それぞれの人の生活スタイルや行動習慣を考え、アピールする方法を考える。

Q.世代を通じたレクリエーションにはどんな形があるのか?
料理や伝承遊びなど、高齢者のもつ知識が蔑ろにされがちな現代において、高齢者に講師になってもらい、子ども達に教えるという高齢者がいきいきするような場を設定したり、家族で地域の文化や歴史を学ぶウォークラリーなど、いろんな形が考えられるのではないか。
ただ、世代が違えば生活スタイルの違いもあり、定期的な継続は難しく、月一回程度開催しているものが多いように思う。

Q.(スポーツピクニックの映像を見て)公園の基礎的なインフラとしては芝生だけでいいのではないかと思うくらいだが、その他に何か必要なものは。
環境が「アフォードする」というが、環境が何かを「やりたくさせる」ことがある。「芝生」も「スポーツ」もその一要因となると思う。大きな設備だけでなく、ちょっとした工夫で環境を作ることができるのではないか。

Q.今までスポーツになじみのなかった人にとって、まず必要なのは「仲間」ではないか。仲間を作るノウハウを伝えたり、仕掛けをすることが必要なのでは。
仲間がおらず、情報が不足していることがスポーツをしない理由の上位にくる。我々の役割として、情報を収集することと、それを届ける中間的な役割の2つがある。

質問は止まず、手が挙がり続けました。
幅広い世代の交流を生み出すには何が必要か、いかに関心のなかった人々を巻き込んでいくかなど、今回のゼミの対象公園でのアクションプランに繋がる、具体的かつ普遍的な問いが発されていたように思います。

レクチャー後の10分程度、各班でそれぞれがリサーチした内容を共有し、3回目のゼミは終了しました。
我々に切実に迫る「健康」問題の背景を共有し、それに対する取り組み事例について知ることで、ゼミのテーマに対する思考が深まったのではないでしょうか。
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初回から知識や考え方などインプットの回が続きましたが、次回からいよいよ、本格的にディスカッションがスタートします。
 
+クリエイティブゼミ vol.18 まちづくり編 これからの公園のあり方について考える part.2「公園×健康」
http://kiito.jp/schedule/seminar/article/14882/

デザイン・クリエイティブセンター神戸、神戸市、issue+design実行委員会との協働で行っている、「震災20年 神戸からのメッセージ発信」事業から生まれた「BE KOBE」プロジェクトが、書籍としてポプラ社から12月7日に発行されました。

プレスリリースはこちら(PDF)

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