お知らせ・レポート

デザイン・クリエイティブセンター神戸で、2018年3月24日に開催する「オープンKIITO 2018」での開催プログラムについてプレスリリースいたします。

プレスリリースはこちら(PDF)

>イベントページはこちら

2018年2月17日(土)、18日(日)

セルフ・ビルド・ワークショップ 「あそび」のための「大きな家具/小さな建築」第3回を開催しました。


第3回目のゲスト講師は、過去のセルフ・ビルド・ワークショップでも講師を務めていただいたことがある、NO ARCHITECTSの西山広志さんです。

冒頭のミニレクチャーは、「あそび」をベースに組み立ててくれたとのこと。
具体的な事例紹介の前に、「手を加える前の何にもない状態を想像して聞いてほしい。空間に対して手の加えた範囲は、少しだけのものも、大胆なものもある。大きな空間に対してほんの小さなものだったとしても、もともとは何にもなかった状態の空間に対して、全体を想定しながらものを作れば、全体を作ったことになる。そういう考え方で今日は見てもらえたら。」とのコメントがありました。


最初は、「久々にデータを掘り返した」という、2年間くらいかけて、大学院の修了制作で行ったツリーハウスプロジェクトの紹介です。
西山さんの母校・神戸芸術工科大学は、もともと山で、切り開いてニュータウンにしたエリアにあり、キャンパス内にも、設計の時点で計画され、一部残されているもともとの森がある。その残存林が好きで、山を研究するところからスタート。山の中の木の種類を調べ、どの木にツリーハウスを作るかを決め、次に木の上の空間、周辺の植生環境をリサーチ。山の入口を定めて、看板を立てて、活動をあげたブログのリンクを書き、腐った木を掃除して、ツリーハウスまでの道を整備する、周りの環境を整えて、行きやすくする。ダンボールでモックアップの床を作り、モックアップを載せては外して工房に持って帰ってを繰り返し。ずっと載せておくと、木はそれに反発して上に幹を伸ばそうとするので、かなり木に負荷をかけるということが制作の過程でわかり、そこに設置するというよりは毎日持っていくものにしたとのこと。屋根をかけて完成。山自体の環境も整って、木の上の空間を体感できる。小さい計画だけど、山全体を変えていることになっている。


次は現在に飛び、空き家が増えてきていた大阪市此花区梅香四貫島で事務所・自宅を構えて、少しずつ改修しながらまち全体のライフスタイルをつくるような活動をしているお話に。その地域の地主さんの思いから始まった「此花アーツファーム構想」からできたつながりから事務所をそこに移すことになり、此花のギャラリー、カフェ、シェアハウスなどの改修を手掛けている。ほとんどはまるまる改修ではなく、一部だけ。「モトタバコヤ」は、角地に立っている物件の、手前の狭い一部屋+看板だけを改修。手を入れた範囲は一部だが、角地だからまちを背負っているようで、地域全体の見え方も変わる。これらは職人さんに発注して終わり、ではなくてみんなで作ることに意味がある。どういう仕組みを作ればみんなで作れるかを考えながら設計する。お店自体にも極力たくさんの人が関われるようにしているとのこと。
今では自宅も此花に移しているし、空地活用のプロジェクトなどもしている。1個1個は小さい手の施しだが、小さなエリアの中に増やしていきながら、まち全体の暮らし方を提案していくような活動。まち自体も全部つくるのはすごい大変だけど、小さい点を打つだけでもまちはすごく変わる。
今回のワークショップではそれを体感できるものとして設計してくれたとのこと。

そのほか、展示や、イベントの会場構成、美術館でのワークショップ、KIITO内の什器制作など、多岐にわたる事例を紹介いただき、最後に「今日、頭に置いておいてほしいこと」としてのまとめです。
・みんなのものをみんなで作る仕組みを考える:みんなで使うものは極力みんなで作る仕組みを作ったほうがみんなで使いやすい。面倒くさいことでもあるが、そのほうが結果長く使われることが多いので、計画段階からそういう仕組みを考えたほうがよい。
・もともとあるものを最大限肯定して利用する:元々ある状況を否定するような提案は、もともと使っていた人のそこに流れてきた時間みたいなものを全部否定してしまうことになる。できるだけ良さを肯定的にとらえて利用することが大事。
・小さなものを考える時も、大きな視点で考える:人の目線は通常のスケール感覚で考えることができるが、さらに猫の目線~下から見上げることに近いが、どんどん走りまわって、上に乗ってみるとか、ふだんの使い方ではないこと~、を意識する、さらに、鳥の目線で上から俯瞰で見ること。3つくらいの視点で考えて設計すれば、いろんな人にとって使いやすかったり愛してもらえるものになる。

続いて、課題の発表です。今回作るものは「空間を仕切る装置」、簡単に言うと屏風。設置予定場所にすでにある楕円のテーブルに刃向かわず、ならったかたちで、と西山さんが考えた基本の設計案をもとに、楕円の大きさ、組み合わせ、配色、金具をつける位置などを参加者が考えていきます。


設置予定場所の現場チェックをして、西山さん作成の図面を見つつ、人・猫・鳥の目線/なかった状態、ある状態/置かれる場所、使われる場面を想像して、デザインを考えます。他にも、決められた板の枚数の範囲内で作る/色は指定の3色を全部使い、それぞれの色が占めるバランスも決められた範囲内で考える/丁番は金銀2種類を決められた数の中で配置する、などいろいろなルールが設定されており、参加者の頭を悩ませます。


随時、アドバイスを西山さんやコーディネーターの川勝真一(RAD)さんから受けつつ、なんとか組み合わせや配色をチームごとに決定します。アドバイスは、設置予定場所は主に仕事の打合せで使われる場所なので、ポップになりすぎないようにとか、もともとが比較的無機質な空間なので、そこに調和するように、といった、個性を爆発させる方向よりは、調和と個性の両立を目指していくような考え方であるのが「建築家ならでは」のように感じました。


デザインや材料の取り方が決まったら、下書きをした上で木材をおおまかに丸ノコでカットし、その後ジグソーで丸くする部分をカット。カットした小口にやすり掛けして滑らかに。やすりは4回!丁寧にかけます。滑らかにしたら塗装。木地の色を残す部分は、ワックスを塗布。小口の塗装は刷毛、面の塗装はローラー、ワックスはふきんで拭き取るように。
塗料が十分乾燥するまで待って、その後はそれぞれを金具でつなぐ作業です。使う金具は丁番、合釘、かすがい。どこに何本必要かという構造的な検討と、見た目の検討の両方が必要です。


丁番を付けてみたら、表裏が逆だった!といったんはずして付け直す場面もありましたが、時間内で、統一性を感じつつも、3チームそれぞれ個性があるものができあがりました。


板材の背が高いところと低いところがあることで、仕切った向こうが見え隠れするようになり、向こうで人の姿がちらりと見えるのもかわいらしいし、仕切った向こう側でお茶やミーティングをする人にとっても、囲って閉塞感が出る感じもなく、見えすぎて気が散ってしまうということもなく、良いバランスを保ちつつ空間を分けてくれる機能を持った装置になっているようです。

設置予定の4Fプロジェクトスペース4Cに3つとも設置して、最後に全参加者から、ひとこと感想を言ってもらいました。「安い材料なのにこれだけ空間が変わるんだと勉強になった」「課題の作り方がすごい。制約が大きくて、ざっくりしてると思ったけど、なんとなく統制がとれたものできあがるのがすごい」「工具はある程度知っていたが、丁番、釘といった細かい道具のセレクトが、手に入れやすそうだけど知らなかったもので、勉強になった」などといったコメントが聞かれました。
西山さんからも「今回の参加者は意気込みが強くて、丁寧な作りで完成度が高いものができている、想像以上に良いものが生まれている。みなさんの成果です!」と太鼓判をいただきました。

今回で全3回の「あそび」をキーワードにしたセルフ・ビルド・ワークショップはいったん終了です。3つの成果物はKIITOの4階に設置しています。お出かけの際はぜひご覧ください!


セルフ・ビルド・ワークショップ 「あそび」のための「大きな家具/小さな建築」
開催概要はこちら

2月13日(火)

去る2月13日(火)より、「+クリエイティブゼミ vol.27 まちづくり(公園)編 「仮設のピザ窯に続く、まちの公園をみんなの場所にするためのプログラムを考える」」(公園ゼミ)が始まりました。「公園ゼミ」は2014年度から毎年開講されており、今年度で4年目を迎えます。

IMG_4646 IMG_4650

公園で何も起こらない、利用されないのはどうしてなのか、何が必要なのか、という問いかけから「公園ゼミ」は始まりました。どういう公園が必要かという問題意識のもと、公園のあり方を考えた1年目。公園を通じて高齢化社会にどう対応するかを模索した2年目。3年目は、それまで出されてきた多くのアイデアが実際に公園で継続して実施されるにはどうすればよいかについて考え、提案を行いました。

4年目の「公園ゼミ」では、特定の公園を対象とせず、住宅地の中の「街区公園」が近隣住民に積極的に利用され、交流の場となるようなプログラムを考えていきます。

IMG_4659 IMG_4696

今回は、受講者は宿題として、自身の公園の思い出、公園での印象的な光景、好きな公園について、画像を1枚準備しています。ゼミの開講にあたって、まず、この画像を題材にして、受講者に自己紹介をしていただきました。立地や規模、時間帯、利用者層など、受講者それぞれの視点から、公園の光景や思い出が取り上げられます。近隣にある公園やトレッキングの先にある眺望の良い公園、子どもたちの遊び場になっている公園、公園それぞれで異なる遊具や設備、催しで賑わっている様子など、公園ついてアイデアを出していく手がかりが見えてきます。

lecture_02_01 lecture_03_01

lecture_07_02 a001

自己紹介のあと、ゼミの開講にあたってのレクチャーが行われした。これまで高齢化やまちづく、防災など、さまざまなテーマで「+クリエイティブゼミ」が開講されてきました。その趣旨や、これまでのリサーチや提案の事例がゼミの最初に紹介されます。ゼミでは一時的な盛り上がりや集客ではなく、地域で有意義な活動が継続していく土壌を作り上げる「豊穣化」を目指すこと、「土」、「水」、「風」という言葉が、そのためのキーワードとして紹介されます。今回、ゼミの受講生は公園に良い「種(アイデア)」をもたらす「風」になることを目指します。

リサーチの例としては、講座名にもあがっているピザ窯の事例が取り上げられました。良い提案を出すためには、アンテナを広げてたくさんのヒントを収集すること、グループのメンバーどうしでアイデアを出し合い、公園に求められていることと照らし合わせながら、具体的な提案を練っていく過程が重要になります。それぞれのグループに別れたあとも、講師からリサーチの重要性が強調される場面が見られました。

レクチャーのあとはグループ分けを行います。今回は、幼児、小学生、高校生、社会人、ファミリーなど様々な利用者層に応じたグループ案が提示されました。受講者は関心のあるところに参加を表明して、グループが成立していきます。今回は次の4つのグループが成立しました。


・「高校・大学生」
・「社会人」
・「ファミリー」
・「高齢者」



それぞれのグループは次回のゼミに向けて、リサーチとアイデアを出して行くことになります。次回、どんな面白いリサーチやアイデアが現れるのでしょうか。

今回の公園ゼミは、実際の公園の現場で、トライアルを行うことも目指しています。どんな面白いアイデアがみなさんの前に披露されるか、楽しみですね。


「+クリエイティブゼミ vol.27 まちづくり(公園)編 「仮設のピザ窯に続く、まちの公園をみんなの場所にするためのプログラムを考える」」

これまでの公園ゼミ
+クリエイティブゼミvol.12 まちづくり編 これからの公園のあり方について考える。
+クリエイティブゼミ vol.12 まちづくり編 特別版 KIITO×Collective Dialogue「これからの公園のプロトタイプを試行する」公開セッション
+クリエイティブゼミvol.18 まちづくり編 これからの公園のあり方について考える part.2「公園×健康」
+クリエイティブゼミ vol.23 まちづくり編 公園と地域をつなぐ仕組みを考える。

デザイン・クリエイティブセンター神戸で、2018年3月31日(土)に開催するものづくりワークショップ「NaLgreen佐々木さんと、テーブルをつくる。」についてプレスリリースいたします。

プレスリリースはこちら(PDF)


>イベントページはこちら

デザイン・クリエイティブセンター神戸で、2018年3月21日(水・祝)に開催する、ものづくりワークショップ「めがね舎ストライク比嘉さんと、めがねをつくる。」についてプレスリリースいたします。

プレスリリースはこちら(PDF)


>イベントページはこちら

デザイン・クリエイティブセンター神戸で、2018年3月17日(土)に開催する、セルフ・ビルド・ワークショップ おさらい編「端材を使ってなんでも作ろう」についてプレスリリースいたします。

プレスリリースはこちら(PDF)


>イベントページはこちら

2018年1月20日(土)、21日(日)

セルフ・ビルド・ワークショップ 「あそび」のための「大きな家具/小さな建築」第2回を開催しました。


第2回目のゲスト講師は、浜松を拠点に活動する「+tic」(プラスチック)の鈴木知悠さんと鈴木陽一郎さんです。
第1回目と同じく、+ticによるミニレクチャーからスタート。自己紹介から、浜松でどのように暮らし、働いているか(暮らしと働きを連動させているか)、設計についてどのように取り組んでいるか、また、今回のテーマに則して、「建築として捉える家具」について、スライドを交えて分かりやすく説明していただきました。

2人は2013年に静岡文化芸術大学デザイン学部空間造形学科を卒業し、そのまま独立。建築設計的な考え方をベースに、まちづくり、家具、アートプロジェクトなどさまざまなことを手がけながら活動しています。
建築を学びながらも、隣では家具、写真、映画、都市計画を学んでいる人がいるような、居住にまつわることを共通点にしつつもさまざまなスケールで制作を行う大学に身を置いたことが、+ticの考え方の一つの柱になっているようです。他方で、コーディネーターの川勝真一さんとの出会いとなった「リサーチストア浜松」への現地リサーチャーとしての参加など、地域で実践的な学びを得たことも大きかったとのこと。本人いわく、「大学と地域を父母(あるいは先生)とした建築設計ユニット」。


現在は、400メートル四方くらいにシェアハウス、オフィス、ゲストハウスなど、5つくらい拠点を持ち、すごく小さい範囲で、多拠点で活動しています。
大学卒業後、「自分たちの身を置く場所を作るため」からはじまって、やがて人から相談を受けたり、自分たちで調べて交渉したり。施工後も自分で借りたり、利用したり、仕事の受け方も、施工とウェブ制作を物々交換(スキル交換?)にしたりして、関係が続き、それでだんだんと多拠点化しているようです。
施工の仕事を受けるだけでなく、自主的な動きも展開しています。「まちの使い方ラボ」では、空いているけれど賃貸情報に出ない物件の事情を聞き取りして、改装をする代わりに安く借りる。完成後も自分たちで占有するのではなく、イベントを開催できるようにするなど、自分たち「が」ではなく「も」使える場所-「住むこと+α」の場所として少し開く仕組みを埋め込む。複数の共有空間があるほうが、自分が身を置く空間によって集まる人も違うし、まちにとってオープンな場所が増え、まちなかで暮らしながら働くことになっている、とのこと。

施工の仕事は、スケールに応じた考え方の違いから説明していただきました。50~100平米は、基本的には職人に依頼し、部分的に参加する。30~50平米は、基本的には自分たちで作り、作り方を工夫して、まわりの人やクライアントを制作のプロセスに巻き込む。10~30平米は、時間をかけて特殊解を考えて取り組む。どのスケールでも、作ることの横断、まわりの人々を巻き込む方法について考えられ、実践されています。
物件だけではなく、家具も手がけています。家具職人と渡り合おうとするのではなく、どうやって、僕たちが建築を学んできたことを活かして家具とするか、を念頭にしていてるとのこと。「家具を建築プロジェクトとして捉えると、、」という考え方が印象的でした。そうすると、敷地、素材、まわりの状況とどういう関係を新しく作っていくか、という意識に向かうようです。


ミニレクチャーに続いては、今回の課題の説明です。
今回は、建築家・ル・コルビジェが提唱した、最もシンプルな住居の構造=ドミノシステムを参照しつつ、スラブ=KIITO内に残る端材、柱=長ネジを素材に、家具/建築を作っていきます。

設置場所のスペースのうち窓がある一面を対象地に設定。面を均等に3分割して、1チーム1区画を担当。設計にあたり、+ticが設定した条件は3つ。窓の開け閉めを妨げないこと。場所に対する説明を何かしらできるようにすること/プレゼンできる言葉を持つこと。隣接するチームと最終的に接合できるデザインにすること。また、区画の中には、窓の位置や、もともとの設備でパイプや配線が通っているところがあったり、区画ごとに異なる環境もチェックしたうえで設計する必要があります。
+ticから伝えられた、考えるためのヒントは、「空間のガイドラインみたいなものを意識すること。今回の設計敷地を注視してみると、窓の間隔、カーペットの模様、置いてある家具など、敷地状況が実はある。それらに対してどのような反応ができるのかを考えること」。


チームに分かれたら、まず担当する区画を計測。設計作業は、絵に描いて/使える端材を見ながら/現場で話し合いながら、、、とチームごとにさまざまな方法で行っていました。
端材+長ネジといっても、どうやったら作れるのか、どうやって考えていけばいいのか?一般的にイメージする「DIY」より少々複雑な課題に、しばらく「?」となっているようすの参加者も複数いるように見えましたが、+ticやコーディネーターの川勝真一(RAD)さんのアドバイスのもと、設計、構造の検討、材料の切り出しへと行程を進めていくうちに、そんな表情も見られなくなりました。

1日目はほぼ設計作業で終了。2日目にエンジンをかけて急ピッチで作業をしていきました。講師たちもしっかり各チームに入ってアドバイスと作業の手伝いに入りました。


長ネジは、金属用の高速切断機で使いたい長さに切ります。高速切断機は火花が散るので扱いにはくれぐれも注意が必要。使ったことがある参加者は少なかったですが、何本も切っていくうちにかなり慣れたようでした。
材料の切り出し、長ネジ用の穴あけが終わり、組み立て作業で待っていたのは、延々とボルトとナットを締める作業!長ネジには、板材の順番を間違えることなく通していかないといけません。間違えると間違えた場所まで板もナットも一度外す必要があります。


時間がオーバーしましたが、なんとか3チームとも完成。スペースの一面をカバーする大きな家具/建築ができあがり、達成感はひとしおです。


Aチームは布を使ったり、スペースの角にパイプがあって角を避けないといけない逆境を活かして、人が入れるスペースを作ってみたり、遊び心のあるデザインでした。
Bチームは、スライドさせることができる面をつくったり、端材の中でも変わったかたちをした引き出しを使ったり、アクロバティックな試みが目立ちました。
Cチームは、同じ素材やかたちの板材を連続で使う中にひとつ違う色・かたちの板材を入れてみたり、バランス感覚が良いデザインが特徴的でした。

今年度のセルフ・ビルド・ワークショップのタイトルには「大きな家具/小さな建築」とありますが、今回は絶妙に、建築であり家具でもある、中間領域にあるものを作っていたのでは?と感じられました。次回も楽しみです。


セルフ・ビルド・ワークショップ 「あそび」のための「大きな家具/小さな建築」
開催概要はこちら

デザイン・クリエイティブセンター神戸で、2018年3月24日(土)に開催する「オープンKIITO 2018」についてプレスリリースいたします。

プレスリリースはこちら(PDF)


>イベントページはこちら

11月29日(水)、ランドスケープアーティストのハナムラチカヒロさんをお招きして、キイトナイト19「まなざしのデザイン」を開催しました。風景異化をキーワードに、私たちが普段見ている“モノ”ではなく“モノの見方”を設計する「まなざしのデザイン」について、ハナムラさんが公共空間で実際に取り組んだ事例を紹介しながらお話ししていただきました。


今回のトークのテーマでもある「まなざしのデザイン」とは、風景を眺める側である“自分”の想像力を、様々な方法でデザインしてあげること。枯山水の砂や小石を水面に見立てる文化があるように、日本人は昔から見立てが得意です。自分で「風景の補助線」を引いてあげることによって、モノの見方を変えることができるのです。風景は「誰か」が「眺める」ことで風景になる、つまり自分と環境との関係性が風景を生み出しているのだとハナムラさんは考えます。ランドスケープデザインというと、環境そのものをデザインすることを指すと思いがちですが、“自分”をデザインすることで、無意識下に埋もれて固定されてしまった「まなざし」を再び風景に異化することができるのです。

では、この考え方はどこで活かすことができるのでしょうか。
それは、街、災害現場、貧困の現場といった問題のある場所。「こんな所でアートを目にするはずがない」と思っている人々のほうが、実は芸術的なものを必要としているのです。ハナムラさんはここ数年、病院でのアートの実践に力を入れています。その中のひとつが「霧はれて光きたる春」という作品。人々が毎日当たり前のように通り過ぎているため、固定化されてしまった病院の縦穴(建物の中心部にある大きな吹き抜け)を利用して、風景を異化する、つまり「まなざしをデザインする」という試みです。縦穴の下から霧を噴出し、その霧が晴れるころに空から大量のシャボン玉を降らせます。すると、そのとき病院にいる人たちがみな、その存在すら気に留めていなかった縦穴に一斉に視線を向けるのです。人種、役割、いろいろな壁が全て取り払われた状態。それはすなわち、「自分がどう見られているか」を全く考えていない状態です。そのような人々が空を見上げる美しい姿には、きちんと意味があります。これは単なるシャボン玉を見る作品ではなく、人々が平等になる瞬間を生み出す作品なのです。
このような取り組みに光が当たることによって、ほかの病院でも「このような企画ができるかもしれない」と勇気を持つことができ、人々が未来の可能性を想像することができるのです。


まなざしは、生成と消滅を繰り返しています。「未知」の風景が「既知」になることでまなざしは消滅してしまいますが、これをまた「未知」化することでまなざしが生まれます。風景という言葉を使っていますが、これは「価値」や「世界」といった言葉に置き換えても成立することで、まなざしは常に構築されたり解体されたりしているのです。そして、この構築を行なっているのがデザイン、解体を行なっているのがアートだとハナムラさんは語ります。問題や課題を解決し、何かの役に立たせよう、機能をもたせようというものがデザイン。どんなに美しい椅子を作ったとしても、座ることができなければそれはデザインとして成立していません。しかし、アートの側面から見た場合、実用性や有用性といった点は重きを置くところではありません。アートとは、私たちに疑問を投げかけてくる存在です。たとえ座ることができない椅子ができあがったとしても、それが「座るとは何か」を問いかけているのであれば、その椅子はアートになりうる可能性を秘めているのです。


一見、価値や意味がないように見えるものの中にそれらを見つけようとする行為は、誰にでもできることですが決して簡単ではありません。私たちの心は「常識」「欲望」「理念」といった多くのものに囚われていて、それらが考えを固定化することによって、自分の都合に合わせて世界を捉えようとしています。そして、人々がそれぞれ自分の欲望をぶつけ合ってしまわないようにするために、法律や倫理観、いわゆる世間体と言われているものといった「自分を外からまなざしているもの」の存在がありますが、経済の損得を優先させることでこれらの存在をないがしろにしてしまえば自分の心には「欲望のまなざし」のみが残ってしまい、余裕のない、自分のことしか考えない人間が生まれてしまいます。ですが、人間は一人で生きていくことはできません。ゆえに古来から、人の正しくあるべき姿を教える「宗教」と人はどうすればより美しく生きることができるかを示す「芸術」の2つがあり、これが前法律等と合わさることで人間の生きる指針になっているのです。一方で、今では宗教の役割が衰退してしまっているのが現状です。そこで、宗教の代わりに芸術の力で人々の倫理観を取り戻していこうと考えたハナムラさんがプロデュースした作品が「モエレ星の伝説」。この企画は、札幌にあるモエレ沼公園を舞台に行なわれる花火大会を“物語花火”として演出したものです。年に一度、モエレ沼公園に星空が降りてくる日にさまざまな妖精たちが集まるという架空の神話をストーリーとし、途中、参加者がアクションを起こす場面を随所にちりばめながら物語は進んでいきます。単に花火を観るだけでは、人々の中には何も残りません。ただ「花火を見に行く」のではなく、この1日があったことによって残りの364日の意味がガラッと変わってしまうほどの力を持った非日常を体験しに行くことが重要で、思い出に残るのは「自分が何かを与えたとき」。私たちの価値観やものの見方が、世界を作っていくのです。


ハナムラさんの視点がぎゅっと凝縮された講演のあとは、参加者同士が数人のグループに分かれて講演内容を振り返るフリートークの時間を設けました。みなさん思うところがたくさんあったようで、身振り手振りを交えながら周囲の方と熱く語り合っていました。
続く質疑応答でも、積極的に質問が飛び交いました。

授業に対する生徒のまなざしや、学校に対する世間のまなざしを変えていきたいと思っている、という教育関係者の方の意見に対しては、昨今の勉強のあり方を問うハナムラさんの考えを語っていただきました。勉強した結果によって大学が決まるのに、その大学のために必死に勉強するというように、今は目的と結果が反転してしまっている教育が目立ちます。学校で聞く授業だけが勉強ではなく、たとえば父親と一緒に行ったプラネタリウムで星を覚えるのも勉強です。これからは、答えを教える教育ではなく、問いを立てる教育が必要なのです。いまの学校教育の外側に、そのヒントがあるのではないでしょうか。


最後に、ハナムラさんはご自身の役割を「旅人」に例えました。旅人は、地域のルールの外側にいる人間。いろいろな地域を見てきた旅人は、その地域でおこなわれていない新しいことを知っているのです。旅人は、他者として地域の人々が見えていないものを指摘し、何かを渡してあげられる役割を持っているのだといいます。つながっていないからこそ、直接声を届けて地域や人をつないでいくことができるのです。

自分が変われば、世界も変わる。見えているようで見えていなかった、自分と環境との関係を見直すことができる貴重な時間となりました。


キイトナイト19「まなざしのデザイン」

デザイン・クリエイティブセンター神戸で、2018年2月13日(火)、3月6日(火)、3月13日(火)、3月20日(火)に開催する「+クリエイティブゼミ vol.27 まちづくり(公園)編 「仮設のピザ窯に続く、まちの公園をみんなの場所にするためのプログラムを考える」」についてプレスリリースいたします。

プレスリリースはこちら(PDF)


>イベントページはこちら

ページの先頭へ戻る