お知らせ・レポート

2016年6月21日(火)

+クリエイティブゼミ vol.19 まちづくり編「神戸まちラボ CASE02 つなぐデザイン ~市街地西部地区(兵庫区南部・長田区南部)の豊醸化をめざして~」第5回

第5回目は、次回の中間発表に向けて、アイデアを具体的に詰めていく作業を行いました。これまでの現地リサーチの結果と照らし合わせ、自分たちの提案に実現性があるかなど、話し合いを進めました。
以下、各班のディスカッション内容と講師の永田による講評です。

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■A班
写真をキーワードに、まちの人が参加し、体験する地域情報の発信方法について検討した。まちの人が気軽に参加することができるよう、インスタントカメラを町の中に設置し、自由に持ち出して写真撮影ができ、また撮った写真を気軽に共有できるような仕組みづくりについて検討した。また、すでに長田区で写真をメインにしたフリーペーパーを作っている人がいることがリサーチの中でわかったので、その発行者の方と協働できないかとの案も出ている。

講評|この提案が町や人にどのような幸せをもたらすのか考えをさらに深めてみてほしい。写真というツールを使い、すでに活動をしている人も町の中にいるので、「まちが画になる」ということが実際にどういう魅力になるのか、再度考えてみて欲しい。

■B班
「ものづくりの町」として長田へのクリエイターの移住促進を図るアイデアについて検討し、クリエイターと長田の工場が連携し、新たな商品を生み出す仕組みづくりなどについて話し合った。また、リサーチの中から、ものづくりをしながら余生を楽しむ高齢者の方が、町にはたくさんいることがわかったので、そういったまだ発信されていない小さなものづくりの現場を発信する方法についても話し合いを進めた。

講評|地元の中小企業支援のような印象を受ける。クリエイターの移住を促進するのであれば、この対象地区の利点は顔の見える住民同士の距離感だったり、小さなコミュニティが各所で生まれていることだと思うので、町の資源を再度整理したほうが良いのではないか。

■C班
長田の靴産業に着目し、リサーチで靴の工場などを見学した。工場を実際に見てまわり、現場の動きや職人さんのお話を聞けたことがとても参考になったので、この体験をそのまま「工場見学ツアー」として提案できないかと話し合いを進めた。また、実際に長田で靴産業に関わる方のお話から、以前地域活性化のために行われていた「アジアギャラリー」という、アジアの魅力的なものを集め紹介する会についてのお話をいただき、靴という資源を生かしながら、アジアからの移住者の多い長田で、アジア文化の交流の場として機能する場の提供ができないかと話し合った。

講評|靴やアジア文化というのが、町の中でどれぐらい生活に寄り添い、根ざすことができるのか、そのポテンシャルを意識しながら話し合いを進めて欲しい。

■D班
前回からの、DIYの拠点施設づくりと、その仕組みについて、実際にどのような人が担い手になるのか、地域の人を巻き込む魅力があるかなど、アイデアの軸について再度話し合い整理した。また、地域性を生かすため、兵庫運河の活用方法についても検討した。

講評|アイデアを地域に根付かせるために、風・水・土の構成を再度整理したのがとても良いと思う。引き続きアイデアをブラッシュアップしていって欲しい。

■E班
長田の女性たちに根ざす手仕事の文化を生かし、地下鉄海岸線の各駅ごとにその手仕事を特色づけるプロモーションの提案。商店街の空きスペースを利用して、ハンドクラフトのイベントやワークショップを開催し、移住者に多い若い世代のお母さんや子供の交流の場づくりを目指す。

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講評|海岸線の駅ごとのリサーチを深め、現地の資源を整理することが必要。「おかんアート」として町の中で活動をしている人に対しても、この提案を通してどうアプローチしていくのかが重要なのではないか。


+クリエイティブゼミ vol.19 まちづくり編「神戸まちラボ CASE02 つなぐデザイン ~市街地西部地区(兵庫区南部・長田区南部)の豊醸化をめざして~」
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2016年5月25日(水)

未来のかけらラボvol.8 トークセッション「二地域居住から見えてくるもの」を開催しました。

今回お招きしたのは、ライター/NPO法人南房総リパブリック理事長の馬場未織さんです。子供三人、共働きで、平日は東京、週末は南房総、という「二地域居住」生活を続けて10年近く、2014年に「週末は田舎暮らし」という著作を発表され、NPO法人を発足し、二地域居住を自ら実践するだけでなく、南房総の魅力を伝える活動も精力的に行われている方です。

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ご自身の体験、そこからの気づき・起こしたアクションを生き生きと話してくださるので、楽しさが伝わります。お話は、そもそも何をやっているか、の自己紹介から、二地域居住のきっかけ、やってみて気づいたことまでをお話しいただきました。一部を抜粋します。

やっていること
いま、執筆、NPO理事長、3児の母、妻、嫁、PTAをやっている。稼ぎのある仕事~稼ぎのない仕事・シャドウワークまであるが、稼ぎのない部分に暮らしの豊かさ、生きるモチベーションを見出していて、このバランスはわりと気に入っている。

二地域居住のきっかけ、実際
二地域居住のきっかけは12年前。息子が生き物にとにかく夢中で、○○が見たい!どこにいるの??と毎日聞く。馬場さん自身は都会っ子、文化的な生活一色だったが、息子につきあううちに、目覚めた。最初は冗談みたいな感覚で、田舎の物件を探していたが、だんだん、行けるんじゃないか!と思い始め、都心から1時間半の南房総に、東京ドームの約半分の土地を持つことに。

始めた当初は、週末はここでのんびりできる!と思っていたが、、、。草刈り機、トラクター運転、土いじりもしたことがなかったのに、野菜を育てる。やってみたら夢中になった。じゃがいもに母性を感じた。作るまでのストーリーがあるから、自分で作った採れたてを食べるのは格別で、食生活が豊かになった。

田舎暮らしは草刈りはじめ、いろいろとメンテナンスが必要。それをやりはじめると、めいっぱい時間を自分のために使える、メンテナンスがない都会の生活とはどういうことなのか、を考えさせられた。

生き物の命を食べる。近所にいる蟹を生きたまま茹でて、吹いている泡を食べた!飼って、食べること。子どもの泣き笑いを目の当たりにする。
キジを拾って放鳥するまで育てたり。そんな体験を重ねている。

なんでこんな暮らしを続けられているのかというと、美しいからかも。
アート、デザイン、的な美しさだけが美しさなのか、と懐疑的になっていたところに、この生活をやりはじめて、けっきょく美しいところにいたいんじゃん、これが大きなモチベーションになっていることに気付いた。


NPO法人の立ち上げ
田舎暮らしをしていて、地域の人にお世話になっていて、何もお返しできていない、なにかできないか、里山をみんなに開いてはどうか?と考え、NPO法人南房総リパブリックを立ち上げた。

南房総に「住む」~「出かける」の間のいろいろなグラデーションをデザインする。
・東京で知ってもらう「千足カフェ」…南房総の新鮮な野菜を使うカフェ。儲け重視ではなく、子どもがいて、外食しづらい人に利用してもらうことを目的とした。カフェをやりたい人の就労支援も兼ねた。
・わざわざ来てもらう「里山学校」…例えば、植物の名前を知り、認識することで愛が始まり、世界が広がる。
・居場所をつくってもらう「三芳つくるハウス」…坪単価1万円で作るビニールハウス。
・空き家のマッチング…南房総市は3割が空き家という状態だが、人は、ぼろぼろで入ると危ない、くらいにならないと手放す気にならない。いろいろな理由で貸し渋る。アンケートを取ると、空き家の管理は大変/大変ではない、の相反した意見が見える。その正直な気持ちに丁寧に寄り添って、心の扉を開いてもらうのが大事。
空き家を借りる方にしても、田園回帰といわれるが、上から言われても誰も行かない。主体として自分が欲しい暮らしをすることでしか、人の原動力にはならないと思う。ただ、楽しいことはする。クリエイティブな解決の仕方だと途端に乗ってくるのが、わずかに見える未来への光かなと思う。田園回帰は良いことかもしれないが、実現するための手段を伝えるのは、違うやり方を考えた方がいいのではないか。
・古民家エコリノベ…うちでもやれるかも、という方法と費用で改修し、住みやすくするエコリノベを建築家の協力のもと実施。床下と障子の断熱処理を行った。一緒に作って感動すると、部外者が当事者に変わる。20万ちょっと(=頑張ったら出せる範囲)でやれて、しかもちゃんと成果が出たので、ノウハウを公開した。

「素敵な場所」って
なぜ、あくまでここに照準を合わせるのか。
建築家、建築の社会的意義について疑問を持っていたとき、息子から「ママ、ホームレスの人におうち作ってあげたら?」と言われた。お金が出るところにしか作っていない、ということに気付いてショックを受けた。
田舎暮らしで、感度やモチベーションが高くなくても、不自由なことがあってもみんなで協力しあって暮らしている状況に触れた。ここは追い出されない場所なんだ、と安心感を覚えた。
「素敵なまちづくり」って、自分たちさえよければいい、にならないか?まちってそれをしてもいいのか?素敵じゃないものも一緒に抱えて行ける場所、が素敵な場所なのでは。努力したくないけど死にたくもない、という人も、しょうがないな、と一緒に引き上げて、一緒に生きていけて、お互い認め合って笑いあえることは、すごく健やかなこと。どこまで遠く、どこまで想像できるか、挑戦してみたい。

都市を否定するわけではないけれど、全然違うタイプの人間が、どっちも大事、という状態。ひとつに絞りたくない、という気持ちになる。
まちづくり系の人と話していると、自己責任論の話になるが、どうしても責任がとれない人もいっぱいいる。包括できればいいと思う。良い部分をどうやったら都市の中に引き入れていけるかが、最大の課題だと思っている。

二地域居住は、いまの社会の状況からみると、すごくやりにくい生活の仕方で、ボーダーレスな暮らしをしたくても、どうしてもどちらかを選ばなければいけない。もう少し制度が追いついてくれたらいいと思う。


モデレーターの芹沢の発言からは、二地域居住というライフスタイルを通して育まれる精神の健やかさ、についてを抜粋します:
いま、安全、安心ばかり言っていて、切り捨てや隔離が進んでいるような気がする。二地域居住のように、二つの世界を行き来してみていると、精神をまともに留める、ものすごくいい生活をしているのではないか。
もう現実は、特に若い世代は「男たるもの一国一城の主」といった一つの成功モデルとは違うライフスタイルにシフトしている。馬場さんの例も、これだけが成功モデルとしてイメージを固定するのではない方がよくて、思いこんでしまうと重荷になる。馬場さんは、欲望のままにやっていて、本当に楽しんでおられて、聞いていてうれしかった。好きなことをやればいい、と、背中を押されたような気がした。

田舎万歳!でも、スーパーウーマンのスペシャルな生活術、でもなく、きちんと地に足着けて、世界を見つめ、楽しみながら未来を考え、活動しておられる馬場さんのお話は、自分の生活や考え方を足元から考え直してみる、良い契機となりました。


未来のかけらラボvol.8 トークセッション「二地域居住から見えてくるもの」
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デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)において、個人、企業・団体のオフィス・スタジオ・アトリエ等としてご利用いただけるクリエイティブラボスペースの使用者を募集いたします。

●募集する区画
4階「410」 30.42㎡ 60,800円
4階「420」 32.85㎡ 65,700円

公募要項の配布期間:2016年6月21日(火)~2016年6月28日(火)
応募受付:2016年6月29日(水)~2016年7月1日(金)

詳しくは、こちらをご確認ください。

2016年6月13日(火)

第4回目は、これまで進めてきたリサーチの内容をもとに、第6回の中間発表に向けて、具体的にテーマの設定を行いました。これまでのゼミで幅広く広げていったリサーチや気付き、仮説のアイデアを、収束に向かわせるべく、ディスカッションを進めました。
以下、ディスカッションの内容と、講師の永田による講評です。

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■A班
前回から進めてきた、まちの日常風景を写真で切り取り発信する地域情報誌のアイデアについて、引き続き話し合いを進めた。前回のゼミから、班のメンバー全員がそれぞれに町へ出向き、写真を撮り集め、それをもとにディスカッションを行った。撮影者は誰なのか、発信の方法は何が適しているか、使用するカメラは何なのかなど、具体的なプロセスについても詰めていった。

永田講評|面白い切り口なので、この地域の切り取り方、見つけ方が、結果として何につながるのかを考えてみて欲しい。

■B班
長田の地域を代表する資源「ものづくり」「産業」「銭湯」などについて、それぞれのリサーチ結果をもとに意見交換を行った。特に、ものづくりの分野では、長田は革製品の職人が多く、機材や素材も充実しているのにも関わらず、若手の職人が少なく後継者がいないという問題を抱えているということについて話し合い、職人を志望する若い世代が暮らしたくなる町の仕組みや、職人同士のつながり方について検討した。

永田講評|長田の町工場の詳細について、まとめた冊子などはあるのか、職人についてのリサーチをもっと深めて、具体的な内容を詰めていってみてほしい。

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■C班
長田の靴産業に関わる班のメンバーを中心に、靴産業から見た長田の町についてのリサーチを行った。また、これまでのゼミで出たアイデアを整理しながら、方向性について話し合った。

永田講評|さまざまなアイデアを出していたために、切り口がみつかっていないような印象を受ける。一度、すでに出てきている靴などを切り口にして話を進めてみてはどうか。

■D班
前回から引き続き、兵庫区エリアをDIYを楽しむための拠点として打ち出すというアイデアについて、話し合いを進めた。空き家を利用し、1FはDIYの拠点、2F以上からは居住スペースとして使い、暮らしと近く、気軽にいつでもDIYを楽しめる環境づくりを提案した。そのほか、良質な木材の確保、安定した収益をどのように生み出すかなど、具体的な運営についても検討した。

永田講評|町に、実際にこの企画を実践できるポテンシャルがあるか、調べてみてほしい。(提案にあう空き家があるのかなど)また、類似の取り組みがさまざまな地域で行われていると思うので、そういった事例のリサーチも進めてみてはどうか。

■E班
リサーチから、長田を中心とした対象エリアの女性は昔から手芸を好み、得意としてきた文化があるという発見があったので、女性の手芸をテーマとして進めていった。海岸線の駅ごとに手芸にまつわる様々なテーマを打ち出し、それぞれ特色付けることで、それにひもづいたプロモーションを行う案について検討した。

永田講評|長田の女性の手芸に、若いクリエイターのセンスを入れてみるなど、イベントの他にもアプローチ方法がたくさんありそうなので、検討してみてほしい。

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次回は、中間発表前の最後のディスカッションになります。班ごとに、対象エリアへのリサーチをさらに深め、アイデアの精度を上げていってもらえたらと思います。

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デザイン・クリエイティブセンター神戸で、2016年8月から開催するちびっこうべ2016についてプレスリリースいたします。

プレスリリースはこちら(PDF)

2016年6月13日(火)

第3回目の今回は、これまで進めてきたリサーチの内容をもとに、具体的なアイデアの提案について話し合いを進めました。各自がまとめたリサーチ結果や、兵庫区・長田区がそれぞれ発行しているマップなど、机の上が埋まるほどの資料を広げて、ディスカッションが行われました。
以下、ディスカッションの内容と、講師の永田による講評です。

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A班
対象地区で発行されているマップについてリサーチを行う中で、地図の内容が更新されていない、設置場所が少ないなどの課題が見え、情報発信手法の見直しの必要性が感じられた。
リサーチの中で、長田の町の日常を写した写真を掲載している、小さなフリーペーパーを見つけ、そこから着想を得て、個人の主観で切り取られた、日常風景のあるマップ制作のアイデアを考え、意見交換した。

永田講評|写真という媒体に着目したのが良い。ゼミの講師の藤氏がいう「地域での部活動」の考え方をふまえた「写真部」のような、興味や関心での横のつながりが感じられる提案になるといい。

B班
長田区南部、兵庫区南部のエリアのさまざまな資源(サブカルチャー、ものづくり、銭湯など)を生かし、地域をテーマパーク化するアイデアを検討した。長田ブランドの地ビール作りや、婚活イベントなど、資源を生かしながらも新しいイベント企画を提案していきたい。

永田講評|提案のベクトルが定まっていない印象を受けるので、集めたさまざまな資源を「つなげる」ことに一度注力してみてはどうか。対象地区のリサーチをさらに掘り下げながら、町の編集やプロモーションなど、情報発信の手法についてもリサーチを進めてみて欲しい。

C班
兵庫区南部・長田区南部で多く発行されている町の案内マップが、あまり活用されていないという印象を受けた。広告の在り方を見直し、体験型マップという考え方について検討した。広いスペースがある御崎公園を使い、地域の特産品を販売するなども検討。

永田講評|
町を俯瞰して見過ぎているような印象を受けた。移住促進がテーマとなっているので、町との関わり方をもう少し探ってみてほしい。また、班のメンバーに長田の靴産業の関係者がいたので、まずはそういった町とのつながりをきっかけに、内情をリサーチすることが必要なのではないか。

D班
シャッター街のDIYによる活用の提案について検討した。リサーチの結果、対象地区には以外にも若者が多く、有効に活用してもらえるのではないかという可能性を感じている。

永田講評|
以前のキックオフ・トークセッションの「下町を住みたい町にするために」で、権利者不明の空き家が多いことが話題に上がっていたということもあるので、実際にこのアイデアに生かせる空き家はどれぐらいあるか、提案にリアリティを持たせていくためのリサーチを進めていってほしい。

E班
前回から、各自が抱いた町への興味を軸にリサーチを進め、その成果を共有した。さまざまな気づきが得られたが、リサーチ内容が多岐に渡り、整理ができなかったので、場所の設定などを考えながら、具体的なアイデアの提案を進めていきたい。

永田講評|
各自の興味でリサーチを進めているので、今は決定打が無く、方向性がつかめずにいるような印象だが、班で一番盛り上がった話題はなんだったか、そこには可能性があるはずなので、話し合った内容を振り返り、それを見出してほしい。手づくりアートやアニメの話題で盛り上がっていたように感じる。

次回も、グループでのディスカッションを行います。

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2016年6月4日(土)
2012年、2014年にデザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)で開催した、子どものまち「ちびっこうべ」。クリエイターからプロの技を学びながら夢のまちをつくっていくこのプログラムの第3回目を、今年の10月に開催します。
そして、ちびっこうべに向けて、ちびっこうべに関心のある方や子どもの夢のまちを一緒につくりたいという方のための学びの場「ちびっこうべレクチャー」を開催。ゲストには、「ドラマチック四街道プロジェクト」のみなさんをお招きしました。


千葉県四街道市で、「日常こそ、ドラマチック」を主題として、目を凝らし、耳を澄ませて、まちを見渡しながら、等身大のまちの様子を発信している「ドラマチック四街道プロジェクト」。このプロジェクトに関わるデザイナーの両見英世さん、写真家の加藤晋平さん、四街道市役所の齋藤久光さんのお三方をお招きし、それぞれ違った立場から、まちをどのように捉えて発信しているのかを伺いました。

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まず初めに、両見さんより四街道市の概要についてお話をいただきました。

▼千葉県四街道市について
千葉県四街道市は、千葉県の北部に位置する、人口約9万人のまち。昭和40年代ごろから首都圏のベッドタウンとして人口が増加し、自然と都市機能が調和したまちとして成長してきた。とはいえ、自然を生かしたレジャー施設や、大きな商店街などがあるというわけではなく、まちを歩いていても人が多いという印象はない。だが、現在も少しずつ人口は増え続けている。

この、目立った何かがあるわけではない、ごく普通の郊外のまちである四街道に、人が集まってくるのはなぜなのか?それを疑問に思ったところから、ドラマチック四街道のプロジェクトは始まったのだと言います。

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次に、四街道市役所の齋藤さまに、四街道市としての、いまのまちの考え方についてお話をいただきました。齋藤さんの所属する部署では、市民活動を推進する活動をしています。なんと所属している方は齋藤さん1人のみ。おかげで四街道市の人々のことは、大体把握しているのだといいます。

▼四街道市の考え方
1990年には、9.5人で1人の高齢者を支えていたが、2020年には高齢者を2人で1人支えなくてはならない時代がくる。四街道市ではそういったいまの状況をただ悲観するのではなく、「幸せの価値観をかえる」という考えのもと、さまざまな試みに取り組んでいる。四街道市に暮らす人々が、まちの中に自分の役割や居場所を実感できるような、地域との関係性を築いてもらうためのさまざまなプロジェクトを進めている。市民のまちへの愛着、まちへの自負の心を育んでもらいたいと考え活動を進めている。

こういった考えのもと、進めている具体的な事例を紹介していただきました。

四街道こども記者クラブ
千葉県四街道市内に在住、在学している小学生、中学生が中心となって、地域のメディアをつくる活動。四街道こども記者クラブは活動を通じて、自分たちの暮らす地域のこと、自分たちを取り巻く生活環境や社会状況のこと、今まで普通や常識といわれていたものを、改めて見つめ直したり、時には批判的に捉え直したりしながら、情報を発信していくことを目的として活動をしている。月に1度集まって取材に出かけ、手書きの記事をつくっている。
子どもの目線をどのように生かすか、どこまで大人の手を加えるかなど、子どもの主体性を奪わずに、プロジェクトのさらなるブラッシュアップを模索している。
当初は千葉大学の学生が読売新聞社と共に「記事の書き方講座」を無償ではじめたものだったが、社会人や主婦、クリエイターなど、関わる人の輪を広げている。

●コミュティレストラン事業
当初、「地産地消、居場所づくり、生きがいづくり」という3つの課題を設定し企画を進めていたが、行政だけでは3つもの部署にまたがってしまい、ものごとがなかなか動きださないと考え、市民に積極的に参画してもらうコミュニティレストランづくりを計画した。多くの市民の協力を得て、空き家を活用したコミュニティレストランをオープン。毎日は無理でも、週に1回ぐらいだったら料理をふるまっていいよ!という人々が集まり、結果的にほぼ毎日オープンし、人々が出入りする場となった。地域の高校生から、夏休みを利用してレストランをやりたいという声が出たりと、地域とのつながりの輪が広がってきている。

●寺子屋事業
公民館や、学校の空き教室などを利用し、子ども達の学習支援・体験学習の場となる「寺子屋」を運営している。千葉大学の1人の学生の社会教育実習の企画から始まり、現在は市内在住・在学の学生を中心として60名以上の高・大学生がボランティアに登録しており、若者の社会参画の場としての役割も担っている。地域・学生・行政など様々なコミュニティの結びつきを生かし、貴重な学びの場となることを目指し活動を続け、その規模はどんどん拡大している。

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▼ドラマチック四街道について
そして、両見さんより、今回のレクチャーのメインでもある「ドラマチック四街道」の取り組みについてお話をいただきました。はじめのお話に主あったように、平坦で起伏の無い時間が淡々と流れている四街道のまち。ですが、顕微鏡のぞくように毎日の日常を拡大してみると、実は小さな起伏がたくさんあるのでは?と考え、もう一度まちを見直したといいます。

きっかけは、四街道市から「まちを紹介するなにかをつくってほしい」と声をかけられたこと。何をつくろうかとまちを見渡した時、改めて「やっぱり、なんにもないなぁ」と感じたそう。ですが、まちをよく見ていると、森に絵本を持ち込んで読み聞かせをしている親子たちや、商店で集まり一日中喋り続けている高齢者たちの、穏やかな自然体の風景があり、その何気ない空気感がまちの魅力になるのではと考えついたのだそうです。
この風景と空気感を記録し発信するために、写真と動画というビジュアルでの見せ方にたどり着き、制作をすることにしました。
日常をそのまま切り取るためには、制作チームがまちの人々と近い距離で関わり、関係性を築く必要があったため、撮影を担当する加藤さんは、四街道でゆっくりと時間を過ごしながら、まちを自分たちのところに引き寄せていく作業からはじめたといいます。まちを歩きながらたてたコンセプトは、「四街道をひとりの人に見立てる」こと。時間とともに人(まち)の記憶となっていくものを細やかに記録し、将来に残していくイメージで写真を撮っていったといいます。

そして、「ドラマチック四街道」から派生し、たくさんの新たな事業も生まれました。
みんなでカレンダープロジェクト
四街道に関わるすべての方の「四街道に対する想い」をスケッチブックに書いてもらい、ホームページに日めくりカレンダー形式で公開するものです。普段の暮らしの中で感じる「四街道への想い」と皆さんの「笑顔」に溢れたカレンダー。日々の出会いをコツコツと収集し、ゆるやかにまちとのつながりを作っている。

ドラマチック四街道リサーチプロジェクト
「ドラマチック四街道」の制作チームでは無い、一般の四街道市民がそれぞれに日常の中でドラマチックだなと感じているものを集めるワークショップを実施。人と活動、生業、
歴史のテーマで4人一組のチームに分かれてリサーチをし、ドラマチック四街道自体の活動のヒントとなる種を見付けることができた。

よつぼくん
四街道のいいところ(ツボ)を知っている「よつぼくん」というキャラクターをデザイン。やすらぎグリーン、フレキシブルグリーン、ほがらかイエロー、思いやりピンクという四つの意味を持つ色を使ってデザインされています。twitterやLINEスタンプなどを制作すると、四街道に住む若い世代との交流のきっかけとなった。


最後に、ドラマチック四街道のまとめのお話をいただきました。この活動で制作した映像や写真集は、今このまちで暮らしている人ではなく、少し先の未来にこのまちで暮らす人へつくったものだといいます。何の変哲もない日常は、これまでそのまちで暮らしてきた人々が積み重ねてきたものがあるからこそ生まれる環境。まちの人々がそれを自覚しているかはわからないが、少し先の未来にも、人々がこのまちを選び、暮らしつづけたいと考えてもらうための手がかりを残すために活動をしているとのことでした。

これから、KIITOが子どもたちと一緒に夢のまちをつくる「ちびっこうべ」に取り組むにあたり、まちに必要な、小さくても欠かすことができない「かけら」の見つけ方を、今回のレクチャーを通して学ぶことができました。

ちびっこうべ2016 特設サイトはこちら

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2015年10月に開催した「LIFE IS CREATIVE展 高齢社会における、人生のつくり方。」のドキュメンタリーブックを発行いたしました。
会期前~会期中に開催したトークやワークショップの様子の一部を編集してまとめています。

PDFデータはこちらよりご覧いただけます。
冊子現物をご希望される方は、1階事務所までお気軽にお問い合わせください。

2016年5月31日(火)

2015年1月末からスタートした+クリエイティブゼミvol.13 「食」編 「神戸発:自分で食べる”食”の勉強をしよう!」の第6回に開催した「手作り醤油ワークショップ」のフォローアップとして、各ゼミ生が1年かけて育てた醤油を持ち寄り、色や香り、味などを比べ評価する会を開催しました。

 
2015年4月に開催した第5回食ゼミでは、大徳醤油株式会社浄慶拓志さんにお越しいただき、醤油屋さんの現状や市販の醤油との違い、醤油がつくられる過程などを学び、実際に醤油づくりをしました。醤油は塩水と麹を混ぜ、気温の高い季節は毎日、涼しい時期には数日に1回程度混ぜながら、1年かけて育てます。そして1年が過ぎ、ゼミ生それぞれの醤油が完成したところで、各自醤油をしぼり、火入れをし、持ち寄りました。

 
持ち寄った醤油は、小さな容器に均等に入れ、一般的な醤油、大徳醤油さんの醤油も含めて12種類が並びました。評価シートを使い、色、香り、味を五段階で評価。塩味、酸味、苦味、甘味、旨味、それぞれの味覚を感じる度合いも五段階で記入してもらいました。醤油作者の名前は伏せて行いました。
12種類並んだ醤油は、すぐに色の違いが分かりました。薄いものから濃いもの、透明感のあるもの、濁りがあるものなどさまざまです。香りもフルーティなものや、ナッツのような香り、発酵臭の強いものなどがあり、同じ日、同じ材料で作った醤油ですが、大きな違いが見られました。好みもありますが、手作りの醤油は美味しかったようで、それぞれの違いを楽しむことができたようです。最後に評価シートの点数をもとに総合ベスト3を発表し、豆腐やキュウリなどに醤油をつけて食べました。

5つの味覚を5段階評価した平均値のグラフ


同じ材料で、同じ期間育てた醤油ですが、育つ環境や混ぜ方など、さまざまな条件でこれほど大きな差が生まれることは驚きでした。1年という長い期間、たまに混ぜるのをさぼってしまった人もいたようですが、どれもおいしくできました。育てた醤油にはやはり愛着がわくようで、また今年も新たに作りたいという声もありました。

+クリエイティブゼミvol.13「食」編 開催概要はこちら

2016年6月5日(日)

2年に一度のKIITOイベント「CREATIVE WORKSHOP ちびっこうべ」が2016年も開催します!

今年のちびっこうべのキックオフとして、メインプログラムでもある、子どもたちがシェフ、建築家、デザイナーから技や知識を学びながら進める夢のお店づくり「ユメミセプログラム」の協力クリエイターやサポーターの方々が集合して、全体ミーティングを開催しました。

ユメミセプログラムは、シェフ、建築家、デザイナーそれぞれ1組ずつに子どもが5人ずつ参加して、3人のクリエイターと15人の子ども、そしてサポーターで食べ物のお店をつくりプログラムで、最終的に子どものまちオープンのときには、15のお店が並びます。
225人の子どもと45組のクリエイター、たくさんのサポーターが参加する、ちびっこうべのメインプログラムのひとつです。

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まずは、副センター長の永田から、今年で3回目となるちびっこうべが、どのような想いで始まったか、また、1回目、2回目を開催してどうだったか、ということについて話しました。

「子どもの創造教育+クリエイティブ」をテーマにスタートしたこのイベントが、前回は、97名のクリエイターや568名のサポーターという、たくさんの人に支えられながら開催し、ちびっこうべを機にその後の新たな活動が生まれたことなども紹介。

なかでも、ちびっこうべの1年目に参加した子どもが、今回はサポーターとして参加したことや、保護者の方たちがサポーターとして協力してくれていることなどを紹介し、継続することの意義やちびっこうべから生まれている神戸での新たな動きを再確認しました。

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次に、参加者全員の自己紹介をして、どのような想いで参加したかを共有しました。その後、今回のちびっこうべで使う名札「にがおえネームカード」づくりを行いました。
これは、顔の輪郭が描いてあるベースのシートを選び、福笑いの要領で顔のパーツを切り貼りしながら、自分の似顔絵をつくっていくプログラムです。

それぞれ、自分の似顔絵ができたところで、今年のちびっこうべの全体の流れとユメミセプログラムでの各職業のワークショップで行うプログラム案や大切にしたいことの説明を行いました。

前回のちびっこうべでは、1回目の課題として出てきた、仕事不足と子どものまちの通貨「キート」の使い道が少ないということに対して、2回目では、まちの仕事や仕組みを考える「まちづくりプログラム」を実践しました。そして、2回目の課題として出てきたユメミセプログラムの各職業の連携強化ということに対して、3回目では、シェフ、建築家、デザイナーチームが一堂に会する「全体ワークショップ」のプログラム改善と、建築家、デザイナーチームのワークショップを同日開催とし、より密に連携をとっていくことなどを説明しました。

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今年のちびっこうべの説明を行った後は、にがおえネームカードの仕上げを行い、最後に永田より今年のちびっこうべへの意気込みを語り、ミーティングは終了しました。

ミーティング終了後は、シェフチームとしてご協力いただくサ・マーシュの西川さんにご協力いただいたおいしいパンを囲んでの懇親会を行いました。「ちびっこうべ2016」を一緒につくっていく方々が、これからのちびっこうべについて語り合い、親睦を深めることのできたキックオフミーティングとなりました。

ちびっこうべ2016についてはこちら

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