お知らせ・レポート

2016年8月2日(火)

シェフチーム2班「ベトナムごはん コムコカ」お店でのワークショップ1回目を開催しました。
今回料理を教えてくれるのは、コムコカの古賀智晶さん。このチームでつくるのは「鶏肉のフォー」。フォーは、ベトナム料理に使われる、お米でつくられた麺です。

シェフが最初に、スパイスや食材について説明してくださいました。スープには、ブラックカルダモン、シナモン、八角、フェンネル、コリアンダーの種をスパイスに使います。鶏肉のスープを取るのに、なんと5時間も煮込むのだそうです。


まずは、トッピングに使うレモンを切る練習をします。「お店で出す時にかっこよく見えるように切ってね」と古賀さん。調理に慣れていない子もいて、おそるおそる包丁を入れます。ちょっと危なっかしいですが、古賀さんやお店の方が丁寧に教えてくれます。
タマネギ、生姜を焼き、鶏肉を茹でるスープづくりの一連の工程を見せてもらってから、次は鶏肉を切ってみます。続いて玉ネギのスライスにも挑戦。食材を切る時は、トン、トン、トンと同じリズムで刻むのがコツ。

 
フォーを茹で、盛り付けをします。青ネギ、もやし、玉ネギ、鶏肉、胡椒をのせて、スープをかけたら完成。そのほか、パクチーやレモン、ナンプラー、チリソースなどはお好みで。好きなものを入れて、好きな味にして食べるのがベトナム流。
「いただきます」に当たる言葉はベトナムにはなく、目上の人から食べ始めるのだそうです。また、ベトナムでは日本と違い、麺をズルズルと音を立てて食べるのはNG。
古賀さんは、ベトナムの歴史や文化についてもたくさん教えてくださいました。

フォーを初めて食べる子も多かったのですが、みんな気に入ったようです。子どもたちには普段なじみのない、ベトナムと日本の文化の違いについても学ぶ回になりました。


Photo:坂下丈太郎

当日の様子映像

制作:神戸芸術工科大学
撮影:三好天都 編集:岩崎和樹

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2016年8月1日(月)
ちびっこうべシェフチームのワークショップを開催しました。指導をしていただくのは、カセントの福本伸也シェフです。10月の本番で提供するメニューの材料や作り方について学びました。


エプロンを着て早速厨房に入ります。厨房は外からものぞけるように大きな窓があり、とても明るい空間でした。
はじめにガスパチョ(冷製スープ)を作ります。トマト、キュウリ、レタス、パプリカ、タマネギ、食パンを適当な大きさにカットします。そこへニンニク、塩、コショウ、リンゴ酢を入れてラップをして冷やします。こどもたちはメモを取りながら材料の確認や手順を覚えていきます。
冷やしている間に、タコスを作ります。材料はトウモロコシの粉です。鍋で黄色いトウモロコシの粉と水と混ぜ合わせ、その後冷ましてこねていきます。手で力を入れてこねて固まってきたら、秤を使って10gずつに分けていきます。みんな丁寧に作業をし、10gぴったりにできました。トウモロコシの生地を専用のプレス機でつぶし、厚さ1mmぐらいの円形のシートを作ります。専用の機械がなくてもできるように、綿棒を使ったり、フライパンの底でつぶしたり、様々な方法でトウモロコシのシートを作っていきました。


たくさん作ったトウモロコシのシートを180℃に熱した油で揚げていきます。生地の破片を鍋に落とし、泡を立てながら生地が上がってきたらちょうどいい温度です。高温の油ははねると危険なので、丁寧にゆっくりと先ほど作った生地を上げていきます。1、2分でポテトチップスのようにパリパリに揚がりました。揚げたトウモロコシの生地にパプリカの粉、カレー粉、塩、コショウ、チーズ、マヨネーズをかけて味付けをします。少しピリ辛に仕上がりました。
次は、冷蔵庫で冷やしていたガスパチョの材料をミキサーにかけていきます。3分ほどミキサーにかけると、カットした野菜はきれいなピンク色の液体になりました。早速味見をしてみると、こどもたちには少し酸味が強いという意見があり、次回は少し酸味をおさえた味に福本シェフに調整していただきます。


ガスパチョを器に注ぎ、先ほど作ったタコスをのせます。最後に葉っぱや花などをデコレーションし完成です。
ガスパチョとタコスにもっとこんな食材と合わせたら美味しいのではないか、より美味しく見える盛り付けはどんなデザインが良いのか、それらはこどもたちの次回までの宿題になります。

当日の様子映像

制作:神戸芸術工科大学
撮影・編集:西香渚子

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2016年8月1日(月)

ちびっこうべ2016 シェフチームワークショップ、今回は和食のお店「玄斎」にて、上野直哉さんにワークショップをしていただきました。

自己紹介の後、すぐに今日のワークが始まります。
子どもたちの前に、ジュースを注いだワイングラスと口の広いコップ、2種類のグラスが出されました。「どちらが甘く感じる?」と上野さん。実は中身は全く同じジュース。甘味は舌の奥の両側のふちで感じるので、中身は同じでも口の広いグラスの方が甘く感じるのだそうです。反対に、ワイングラスは香りをより感じます。


今日は道具について学ぶ回。道具や食器の大切さを知ってもらうため、そんな飲み比べから始まりました。まだまだ子供たちは緊張気味、言葉数も少なめです。
今回、このチームが作るのは「そぼろご飯」。日本の家庭でおなじみのメニューです。

料理は「作る人」「食べる人」に加えて、「道具」が大事、と上野さん。「厨房の中を散策して、これは何だ?という道具を見つけてください」
早速、厨房にある調理道具を物色する子どもたち。

上野さんがいろいろな調理器具について、一つ一つ説明してくださいます。
菜箸、魚の匂いがつきにくい真魚箸(まなばし)という金属の箸。
12年に一度しか使えない、干支の器。
柳刃包丁、出刃包丁、薄刃包丁。鱧を切るための鱧切り包丁。
実際に目の前でザッ、ザッと骨ごと鱧を切ってくださいました。「骨が多い鱧を食べるために昔の人が考えた知恵なんだよ」と上野さん。


もうすぐお昼の時間。今日はメニューのそぼろご飯を上野さんが作ってくださいます。
鍋に豚ミンチを入れ、みりん、醤油、砂糖、塩の調味料を入れてから熱します。
続いて炒り卵。お店にいい匂いが立ち込めます。
白いコーンを入れて炊いたご飯の上に、そぼろ、炒り卵を乗せ、紅葉の形の人参とさやいんげんを乗せたら完成です。


10月の本番では、そぼろご飯の上に炒り卵を型で抜き、黄色い形をつくります。どんな型で抜いたらいいか、次のお店でのワークショップまでにそれぞれ考えてくることが宿題。
「クローバーの形は?」「星の形なら卵の黄色に合う」「背景のそぼろが茶色いから、バランスを取るのが難しい」…とは子どもたちの意見。
他に「当たり」を作って中にうずら卵を入れたり、紅ショウガも乗せたらいいかも、というアイデアも出ました。

最初はおとなしかったけれど、終わるころにはすっかり元気いっぱいの子どもたち。次回、どんなアイデアが出てくるのか楽しみです。

Photo:坂下丈太郎
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当日の様子映像

制作:神戸芸術工科大学
撮影・編集:三好天都、岩崎和樹
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2016年8月1日(月)
ちびっこうべシェフワークショップを開催しました。新神戸にある「トースター」のchaさんと「パンデュース」の米山雅彦シェフにご指導いただきました。このチームのメニューはコッペパンサンドです。いろいろな具材を挟んだものを本番では提供します。今日はそのパンの部分について学びました。


パンはほとんどの場合塩が入っているのですが、今日は塩を入れていないパンも作って比べてみます。材料説明を聞いてから、ボウルに材料を順番に入れて混ぜていきます。混ざったら、テーブルに生地を出し、力いっぱいにこねていきます。手のひらの付け根を使って、テーブルにこすりつけるように行います。力作業で大変ですが、だんだんと生地が変化してきました。生地がまとまって来たら、テーブルにたたきつけていきます。パン!パン!パン!大きな音が厨房に響きます。


発酵がお終わったら、成型します。1個分の量に分け、手のひらに生地を置き、もう一方の手で生地を包むようにしながら丸めていきます。シェフは手をくるくる動かすだけできれいな球体になりますが、こどもたちはちょっと難しいようでした。しかし何個も丸めていくことで、コツをつかみだんだんときれいな球になりました。塩入りと塩なしが分かるように、ハサミ異なる切り込みを入れて、オーブンで焼いていきます。焼きあがったら、みんなで2種類のパンの食べ比べしました。塩のあるなしでパンの味が変わることにみんな驚いていました。やはり塩入りの方がおいしく感じるようです。少しの塩があるだけで、大きな変化が起こることも学びました。


次回はコッペパンサンドの中にはさむ具材づくりを学びます。ただ具材をはさむだけでなく、おいしく見えるように色合いなどのバランスも考えながら進めます。

Photo:坂下丈太郎

当日の様子映像

制作:神戸芸術工科大学
撮影・編集:三好天都、岩崎和樹

ちびっこうべ2016
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2016年7月31日(日)

ちびっこうべ2016 シェフチームワークショップ、今回は地下鉄県庁前駅から歩いて約5分の場所にある創作フレンチ「アノニム」に伺い、加古拓央シェフに指導していただきました。

この班でつくるメニューは「アシ パルマンチェ」。挽肉の上にマッシュポテトを乗せてオーブンで焼いたもので、フランスの家庭料理だそうです。
子どもたちはシェフを目の前に緊張気味。自己紹介が終わった後、早速調理開始です。


肉の見た目や味の違いを知るために、加古シェフが牛、豚、合挽の3種類の挽肉を準備してくださいました。衛生手袋を付けて、まずはしっかりとボウルで混ぜ、混ざったら、次はしっかりと練ります。「手早く、素早くね」とシェフがアドバイス。粘り気が出てきたら、肉と脂が混ざって、肉汁が溶け出している証拠。
しっかり練れたらタネを8等分して、両手の平でパチパチと叩くように、こちらも手早く形成します。「手の温度が移ってしまうから、できるだけ早くね」と、一つ一つ理由を説明しながら教えてくれます。

3種類の形成した肉を見せて、シェフが「何が違いますか?」と子どもたちに質問します。「色!」と男の子が元気に答えます。確かに、肉の種類によって色が全然違います。


シェフがハンバーグを焼いている間、シェフが好きな食べ物について質問。「チャーハン」「オムライス」「オムライス」「パスタ」。オムライスに2票。洋食が人気ですが、中には「タコ」と答える子も。
話をしている間に、厨房からいい匂いが立ち込めます。焼く時に気をつけることは、「できるだけいじらないこと」。あまり触るとぼろぼろしてしまうのだそう。串で穴を開けて、肉を押してみて、出てくる汁が透明になったらOK。お待ちかねの試食タイムです。「焼き上がりの色もよく見てね」とシェフ。



子どもたちは3種類全部を試食。まずは何も付けない状態で、次はソースを付けて、それぞれの肉の違いを味わいます。「どれが好きだった?」という質問には、答えが割れました。「いつも食べている感じに近いから」合挽、「柔らかいから」豚、「ジューシーだから」牛、と好みはさまざま。
豚は脂が多くて柔らかく、やさしい味になる。牛はしっかり味があり、肉本来の味がする。良さはそれぞれですが、今回のメニューには合挽肉を使います。

シェフが完成形の「アシ パルマンチェ」を見せ、「どんなソースが合うかな?」と子どもたちに相談します。「トマトソースでいいかな?他にどんなソースが合いそうか、考えてくれないかな?ソースじゃなくても、何か付け合わせてもいいもしれないね」
「ホワイトソース」「マカロニ」「パセリ」…子どもたちからすでにいくつかアイデアが出ましたが、次のワークショップまでの宿題になりました。

Photo:坂下丈太郎

当日の様子映像

制作:神戸芸術工科大学
撮影・編集:曽和具之
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デザイン・クリエイティブセンター神戸で、2016年8月から開催するイベントについてプレスリリースいたします。

プレスリリースはこちら(PDF)

2016年7月19日(火)

最終発表まで残すところあと1回となった第9回目は、次回いよいよ最終発表を迎えるにあたり、プレゼンで押さえてもらいたいポイントについて、神戸市企画調整局からと、講師の永田から説明しました。

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■プレゼンに向けて
・まちの資源の活用
まちの中にある資源の何に焦点をあてたのか、しっかりと説明をしてほしい。これまでまちに無かった新しいものを提案する場合にも、今ある資源を踏まえた上での提案であることを伝える。これまで重ねてきたリサーチの内容も共有してほしい。
・継続性
一度きりのイベントを企画するわけではないので、今回の提案がまちの中で継続し、つながっていくイメージを伝えてほしい。
・自分自身の関わり方
提案に対して、自分自身がどのような意識で関わっていくのかを明確にしてほしい。担い手として運営を考えているのか、アイデアを提案し、まちの中の人々を巻き込むイメージなのか、自分の立ち位置を考えた上での提案をしてほしい。
・伝え方
プレゼンは、聞き手の共感を呼ぶ方法で行うこと。提案にあった、ベストなプレゼン方法を選んでほしい。

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最終発表でのポイントについての説明のあとは、グループディスカッションを行いました。各班、自分たちの提案のポイントを再度整理し、伝え方について意見交換が行われました。

次週8/2(火)に、いよいよ最終発表を迎えます。聴講も受け付けておりますので、ご希望の方は下記までご連絡ください。
school@kiito.jp

+クリエイティブゼミ vol.19 まちづくり編「神戸まちラボ CASE02 つなぐデザイン ~市街地西部地区(兵庫区南部・長田区南部)の豊醸化をめざして~」
ゼミの開催概要はこちら

2016年7月27日(水)

「ちびっこうべ2016」シェフチームのワークショップが始まりました!
シェフチームでは、神戸のシェフに先生になってもらい、それぞれのお店で子どもたちに調理を指導していただきます。

初日の今回は、北野にあるお店、「ピッツェリア アズーリ」に伺いました。
子どもたちは今日が初対面の上、お店の方やスタッフやサポーターの大人たちに囲まれ、緊張している様子。自己紹介の後、今日つくるメニューについての簡単な説明が終わったら、さっそく実習が始まります。

この班で作るのは、「ピッツァ フリッタ」。一番有名なピザ・マルゲリータを油で揚げたもの。用意された生地を伸ばし、ソースや具材を乗せて餃子のような形に包む一連の作業を練習しました。


緊張した面持ちで、おそるおそる生地に触れる子どもたち。粉をよく付けて、生地を真中から押し伸ばしていきます。低学年の子にとっては、手が小さいので少し難しそう。丁寧に少しずつ指で伸ばしていく子、軽く叩いて広げる子、とつくり方にもすでに個性が見えます。


トマトソースを塗り、粉チーズ、モッツァレラチーズ、バジルを乗せたあと、オリーブオイルをたらします。「飛行機に乗ってきたチーズだよ」とシェフが説明。
具材を包んだ後、ふちを指で押さえて、手のひらの付根で強く押して生地を閉じます。ちゃんと閉じられていないと、揚げる時に中の汁が飛び出てしまいます。
男の子たちは揚げの工程にも果敢に挑戦していました。女の子にはちょっと怖かったようです。


最後に皆で試食をして終了。皆、今日の内容をしっかりノートにメモしていました。
ある男の子は、「家に帰ったらさっそく練習したい!」とやる気十分。10月の「子どものまち」での仕上がりが大いに期待できそうです。

Photo:坂下丈太郎

当日の様子映像

制作:神戸芸術工科大学
撮影・編集:三好天都
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ちびっこうべ2016
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デザイン・クリエイティブセンター神戸で、2016年8月に開催するイベントについてプレスリリースいたします。

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2016年5月13日(金)

キイトナイト11「ミラノサローネ2016報告会『若手デザイナーの作品にみるデザインの未来』」を開催しました。

今回お招きしたのは、デザイン・リサーチャーの久慈達也さんと、デザイナーの江口海里さんです。お2人の異なる視点から、今年4月に開催された国際家具見本市「ミラノサローネ2016」のフレッシュな報告をいただきました。

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報告会の趣旨

久慈|毎年4月の上旬にイタリア・ミラノで国際家具見本市が行われます。それを通称「ミラノサローネ」と呼びます。今年度は4月12~17日に開催されました。ミラノサローネはプロダクトの世界ではすごく重要なイベントで、世界最大の見本市です。ほかのデザインイベントとひとつもっとも違う点が、まち全体が盛り上がる、ということ。企業などは毎年このサローネで新作家具を発表します。なので、このイベントに行くとその後1年のトレンドを知ることができる。毎年ミラノサローネが終わると、インテリアの雑誌などの6月号や7月号にサローネの特集記事が組まれるのですが、実際に行っていろんなものを見てきたはずが、雑誌には誌面の関係もあるのでほんの一部しか載らない。こんなに載らないんだったら、どこかでちゃんと話をしなければいけないなと思って、報告会を行うことにしました。今日は実際の出展者である江口さんと、市内の展示を多数見て回ってきたわたしの2人の視点で話を進めます。


ミラノサローネの概要

久慈|ミラノサローネは、ローフィエラミラノと呼ばれる本会場で行われるイベントと、それ以外の市内で行われるフオーリサローネ(サローネの外の意)のふたつにおおきく分かれます。本会場では企業がブースを出していてしっかり作りこんだ展示が見れる。今年で55回目の開催で、来場者数が37万人、出展数も2400の規模。フオーリサローネでも800くらいの出展数があると言われてますが、ガイドに載っている出展数が400くらい。本会場はミラノ市街から1時間弱かかります。そこが起点になって、その周辺でフオーリサローネが開催されています。市の中心部ブレラ地区というところにひとつイベントがあって、その南にもあたらしくイベントが起こってきています。古くからミラノサローネに行かれていた方はトルトーナというところが有名。最近だとヴェントゥーラ~ランブラーテというところが、最近できてきたエリアです。

江口|フオーリサローネは本会場のフィエラ以外のエリアの展示の総称です。関西で言うと、インテックス大阪はちょっと遠いところに広い場所がありますよね。ここがローフィエラミラノのイメージ。ロー地区がそもそもミラノ市街から離れています。フィエラは広さが21万平方メートル。東京ビッグサイトの2.6倍の広さ。とにかく広大です。フィエラは移動がたいへんなのでバスが走っています。バスで移動して、自分たちが入りたいゲートから入る。そうしないととても歩いてられない。

久慈|端から端まで20分以上かかりますよね。

江口|僕がはじめて出展した2012年のときはバスの存在を知らなくて、当時いろんなものを買いに行くのにわざわざ歩いていました。来場者数は、東京デザインウィークは約12万人なので、その約3倍弱のひとが訪れる。本会場だけでこれだけ来ます。この広大な会場のなかのひとつのエリアで、若手デザイナーが出展するサローネサテリテが行われています。本会場ではあるので、たくさんジャーナリストのひと、出店しているブランドのディレクターのひとなどが来たり、そういう意味でもサテリテは人気スポットなのかなと出展サイドから見ると感じます。去年のデータですが、サテリテに37,855人来場。今年は体感値としては増えていると思います。サローネは火曜日から日曜日までの6日間あるのですが、以前は火曜日から金曜日までは一般の人が入れなかった。今年からは全日一般の人も入れるようになったので、学生や一般の方、デザイナーの方の来場が目立っていました。バイヤーやデザインディレクター、キュレーター、メーカーの人、工場の人、ジャーナリスト、一般の人、学生など、いろんな人が訪れます。ミラノだからなのか、一般の人がすごくデザインの話しかけてくる。サテリテは唯一全会場のなかで無料なんです。ぼくらが展示していて、散歩がてらにきた老夫婦のつっこんでくる内容が鋭くて、どんなにデザイン詳しいんだというようなつっこみがくる。

久慈|ぼくが大学でサテリテに出したときも、小学生みたいな子が来るんですよ。これはすごいなーって。ミラノではだれに聞いてもミラノサローネを知ってるんですよね。たとえば日本で一般のおじいさんおばあさんがデザインイベントを知っているかというとなかなか知られていない。でもミラノでは、ホームセンターの店員さん、そこらへんのおじいさんおばあさん、空港のスタッフであってもサローネを知っている。ぼくが行った病院の先生も知っていました。

江口|ぼくらがミラノに行くときアパートを借りたりするんですけど、サローネに出展していると言うとサテリテのことまで知っている。まち全体に浸透していますよね。

久慈|結構サテリテに出している人たちが後々商品開発する事例とかかなりありますよね。

江口|サテリテの展示を見たディレクターにヘッドハンティングされたり、そのまま一気に有名になったりする人もいます。今年のサテリテ出展者は112組。そのうち日本人は今年は非常に多くて14組。過去にも安積伸さんとか、nendoさんとか、小林幹也さんとか、サテリテで結果を出して有名になっています。

久慈|そういうサクセスストーリーはありますよね。



出展者から見たミラノサローネ

久慈|今日は、若手のデザイナーさんと、デザインスクールに焦点をしぼってお話します。場所は、本会場のなかのサローネサテリテというブース、それとヴェントゥーラ~ランブラーテというエリアです。このふたつに若手デザイナーが集中しています。江口さんは今年サローネサテリテに出展されていました。サテリテは3回までしか出せないんですね。

江口|そうですね、あと35歳まで。

久慈|なので、若手のデザイナーさんはそこに出して、評価を受けるということがひとつの道になっている。江口さんからは、そこに3年出された出展者としての視点から、貴重なお話が聞けると思います。

江口|サローネサテリテはサテライト、本体にひっついた展示といったような意味合いです。今年で19年目。来年は20年目で盛大になるといううわさもあります。今日は雑誌に載っていないような話をしようということで、つっこんだ話をしようと思って、もしかしたらこのなかに今後サテリテに出てみたいという人がいるかもしれないので、段取りなどの話をしようと思います。まず、出店費用が2,500ユーロ、今のレートで32万円くらいですかね。プラス、VAT(付加価値税)という税金がかかるのですが、日本で納税している人は払わなくていい。たとえば学生の人が出す場合は、2,500ユーロ+21%払わなければいけない。それでもらえる面積は4mx4m。まあまあ高いけれど、ほかの国の展示会からすると実はサテリテは非常に安いです。日数が長くて、たとえばロンドンだと2mx3mをだいたい同額で4日間とかになるので、サテリテは結構お得なのかなと思います。ブースにはカーペットがあったり、梁がかかっていて照明をつけたりするんですけど、そこにだいたい500から1,000ユーロくらい使います。

久慈|必ず手を入れなきゃいけないのが照明ですよね。

江口|そうですね、最初に1灯だけついてるんですけど全然足りない。カーペットも変な色のものが最初についているのですが、みんな展示をよく見せたいので、改造するために指定の施工業者にオーダーして変えてもらいます。施工業者につけてもらった照明も、位置も高さもだいたい適当なので、現場でそれを2日間くらいで直していく作業があります。それに500から1,000ユーロくらいかかります。あとは航空券が往復で10万から15万くらい。あとは宿がネックです。期間中は宿泊費が高騰します。普通のホテルで普段の4倍くらいとってるようです。ぼくらは何年か前から、日本でも増えているAirBnBという民泊のサービスを使って、現地のアパートを大人数で借りています。それで1泊3,000円から5,000円くらいまでコストダウンできる。こういうテクニックみたいなものも最近徐々に開拓されてきたなという感じがあります。搬入と搬出とかをいれると結局1週間以上滞在することになるので、1泊1万円と1泊5,000円ではかなり差があります。

久慈|私が関わっているDesign Soilでもアパート借りをしてみんなで泊まって費用を抑えています。

江口|はじめに会場に到着すると、何もない自分のブースに看板だけついてる。それまでさんざん主催者とのやり取りでただお金を払うだけみたいなことだけでなんの実感もないんだけど、ここでやっと出展するんだなと実感します。

久慈|空のブースっていいですよね。

江口|サテリテは6月から8月くらいに申込があって、はじめてエントリーするときは審査があります。その審査が10月くらいにあって、そのあとはじめの振り込み。年明け前後に一般規約がきます。あなたのブースはここですよ、というお知らせです。電気や防火設備などの書類にサインして、2月くらいに振り込みが終わって、航空券や宿泊の手配も2月くらいにやって…と、出展しようとすると冬が忙しくなります。サテリテにはアワードがあって、そのコンペの申込もあったり、さきほどの施工業者とのやり取りが3月くらい。今年は4月の9~11日がだいたい搬入日。12~17日が展示。17日の終わった時間から搬出をしてよくて、だいたいの人は次の日から早く遊びたいのでその日のうちに搬出を終わらせます。たいへんな人は21日まで期間がある。ぼくらは今年は9日にイタリアに入って、19日に出た。だいたい10日間くらいミラノに滞在しました。

久慈|荷物は送りましたか?

江口|飛行機で自分で運びました。Design Soilさんも一緒ですよね。

久慈|今年はひとり自分の身長よりも高い箱を背負って行った人がいました。航空会社の選び方も重要なんですよ。サイズ制限なし、重量のみ、みたいな。

江口|ちゃんとした航空会社でないと、荷物を無くされるんですよね。それが怖いので、ぼくらは大手を選びます。あらかじめ航空会社に連絡しておくと、プライオリティバゲッジみたいになってそれなりに丁重に扱ってくれる。ただ、今回帰ってきたら照明器具が割れてて…もし荷物を全部郵送したら50万円くらいかかりますよね。なのでこの方法がベストなのかなと。

久慈|だから日本人の方の展示ってだいたい小さいんです。江口さんはそのなかでも大きい方でしたよね?

江口|たいへんでした。ぼくの展示の紹介をします。今年はマテリアルがサローネのテーマなのはわかっていたので、マテリアルからやろうかと思って、秋田杉の端材をブロック状にしてつくった板材を家具に転用しようとスツールや照明器具、テーブルにしたプロダクト。ほかには、突板を複雑な加工をせずにカットして天然染料で染めて、ペーパーハンギングにしたプロダクトを出展しました。

久慈|これは非常にきれいな色が出ていましたよね。

江口|さきほどジャーナリストの人が来るといいましたが、プレスキットみたいなものが必要になって、ジャーナル用の画像やテキストが入ったデータを用意して、今年は毎日アパートに帰ってはDVDを焼いていました。

久慈|Design Soilも同じですね。

江口|3年やるとブースの作り方もこなれてくるなと自分で思います。はじめて出展した2012年はスタッフもいなくて、なにもわからないまま、とりあえず出展してみました。変な色のカーペットのままだし、変な色の壁のままだし、照明は適当だし、ブースは手作りだしで、はじめは全然よくなかった。作品以前に見せ方なんじゃないかなと思って、いろんな展示会で見せ方の勉強をしました。去年は一番ジャーナリストの反応がよかったのですが、メーカーの反応が全然なくて、それは今年の方がよかったです。

久慈|むずかしいところですよね。どこを狙っていくのかによって、デザインの出し方を変えなきゃいけないというのはありますよね。

江口|出展してよかったなと思いますし、できることなら若い人は1回は出すといいのではと思います。2008年、28歳のときに出張で行ったとき、友人がサテリテに出していたので見に行くと、自分の同世代がみんな展示しているんですよ。俺、サラリーマンやってる場合じゃないなと思ったんですよね。ここに出て勝負しないとと思って、その年に会社を辞めて独立して、それから3年後にコンペで勝った賞金でぎりぎり行ける状態になったので、はじめて出展しました。

久慈|ぼくがはじめて会ったのはその2012年のときなんですね。ブースを訪ねた記憶があります。

江口|このときは場所も悪くて、すごい端だった。全然人も来ないし、なんでもう一度出したいなと思っていた。自分のなかでは、サテリテに経験値を高めてもらえたと思っています。もう出せないのがさみしいです。

久慈|来年20周年なので、今年はアワードに関してもひとつなくなったんですよね。

江口|通常は2種類アワードがあって、ドイツの「REPORT」誌が選出する「デザイン・レポート・アワード」とサテリテ主催の「サテリテ・アワード」がありました。今年はサテリテアワードだけになったんです。

久慈|サテリテで、結構友達ができますよね。そういうのが育まれる場所でもある。ぼくらが出したときに知り合ったノルウェーの人たちともまだ親交があります。

江口|毎日ずっと一緒にいるので、どこの国の人でも必然的に仲良くなるんです。

久慈|最初にサローネがほかのデザインフェアとおおきく違う点として、街全体が盛り上がると言いましたが、もうひとつこうした交流が生まれるような文化的な側面があるというのがすてきなところですよね。



デザインスクールの動向

久慈|私の方からは、世界のデザインスクールに焦点をしぼってご紹介します。すでにお話しましたが、大学はサテリテとヴェントゥーラ~ランブラーテの2か所に集中しています。サテリテは今年は15校出していました。今年特徴的だったのが、中国・韓国のアジア勢と、イタリア・スペインなどのアルプス以南の学校が占めていたこと。今年はこの二極に固まっていたのが特徴です。日本からも毎年出していたのですが、今年は途切れていました。ということで、サテリテの大学ブースが少し心配な状況。サテリテに出展しなくなった大学がどこに行っているかというと、ヴェントゥーラ~ランブラーテというもうひとつのエリアに動いています。大学紹介みたいなもので終わっているところもありましたが、中韓の人たちはちゃんと作品を持ってきていました。中国の北京林業大学や、韓国のソウル大学などです。ここはテキスタイルとファニチャーのコースの人たちが出していました。ほかにスペインのバレンシア大学なども出展していました。厳しい言い方ですが、唯一プロジェクトベースの作品を出していてちゃんと見れるかなと思うのは、Burg Giebichenstein Kunsthochschule Halle(ブルク・ギービヒェンシュタイン芸術デザイン大学ハレ、以下Burgと表記します)の展示でした。こどもの知育家具のようなものの提案をしていて、紹介できる内容のものかなと思います。いま見てきたように、サテリテに出すことを大学としてそれほど重視していないというのが今の状況のようなので、逆に私はもしこれから大学さんが日本から出展するのであれば、サテリテでしっかりした展示をつくれば、世界に向けてすごくいい発信ができると思います。江口さんのお話にもありましたが、とにかくたくさん人が来る場所なので、ここでいい展示をするということが求められます。


デザイン・リサーチャーである久慈さんから、デザイナーである江口さんとは異なる視点として、6つのキーワード
material+/tactile/collaboration/self branding/time scape/new area/graphic/geometric
に即した、今年のミラノサローネのトレンド分析が語られました。


material+

久慈|江口さんからもお話がありましたが、今年のサテリテのテーマ自体がマテリアルにかかっていたんですね。「New Materials > New Design」、あたらしい素材から新しいデザインを、という感じ。なので、マテリアルの提案が非常に目立っていました。マテリアルが目立ち始めたのは、2,3年前からなんですね。Lex Pottが銅を腐食させて青銅化したようなプロダクトを出した時期が2年前。その流れが今ちょうどピークに達している感じがあります。ユトレヒト芸術学校では、植物染料を釉薬に使ってみようという、素材というより色の実験をしていたり、デザイン・アカデミー・アイントホーフェン(Design Academy Eindhoven)のプロジェクトは、松の木がEUで6億本くらい毎年伐採されていて、松の葉が2.2億kg出るので、その松の葉を利用してテキスタイルや工業素材ができないかという実験をしています。かなりリサーチベースなプロジェクトです。社会的課題に対して素材を通じて答えるというやり方ですね。これはすばらしい研究成果でした。ちゃんと見せ方もいいんですよ。しっかりとアウトプットとしてファニチャーになっているというあたりがアイントホーフェンの実力で、非常にレベルが高い。同様のアプローチで、松のチップから素材をつくるようなものがあったり。同じくアイントホーフェンで、乳製品の廃物利用として、ミルクを釉薬としてつかったプロダクトも展示されていました。どうやら耐久力があがって防水性があるということらしい。さまざまな乳製品をつかってスタディをしてみた結果みたいなものを並べている。こういうアプローチはすてきだなと思います。つぎは大学さんではないんですけども、LEXUS DESIGN AWARDという、日本のトヨタが母体のデザインアワードがミラノ市内で行われていて、ここにも素材に注目した展示がありました。大賞をとったのは、寒天から梱包材をつくろというプロジェクト。梱包材の提案とともに、それに石灰などを混ぜてきちんとした素材としても使えるようにしようというプロジェクトです。多摩美大出身の日本人3人組のプロジェクトで、そのうち2人はRCA(Royal College of Art)というロンドンの大学院で勉強しています。似たようなアプローチは他の大学でもあって、セントラルセントマーチンズ(Central Saint Martins college of Art and Design)というロンドンの大学から出展していたのは、ムール貝の貝殻を素材としてプロダクトをつくるようなプロジェクトでした。この大学にはマテリアルフューチャーズという大学院のコースがあって、もともとテキスタイルフューチャーズというコースだったのだけれど、ここ何年かで名前を変えたんです。テキスタイルのベースにも素材のアプローチが需要だということで名前が変わったのだと思います。Burgからも面白いプロジェクトがあって、これも素材がらみのアプローチなのですが、ジョイントパーツをつくるプロジェクトがよくあるじゃないですか、一見そうかなと思ったんですけど、これは生木にリキッドウッド、粉砕したバイオプラスティックをくっつけてしまって、木自体がジョイントできるようにつくるというプロジェクトでした。

江口|コンクリートみたいに固めるんですけど、そこがバイオプラスティックでできていて、ネジとか使わない、ということですよね。

久慈|射出成型でできる。バイオプラスティックなので100%分解可能です。環境に配慮した提案であると。

江口|ヨーロッパ全体がそういう流れになっていますよね。

久慈|ここまではプロダクトデザインっぽいのですが、ここからはとんでもないものがでてきます。セントラルセントマーチンズはファッションが有名な大学なんですが、このかばんとジャケットは、人間の皮膚を培養した人口皮革でできてます。キーワードを「material+」にしたのはこういうことです。通常想定している範囲を超えている。いまはデザインの大学でもバイオケミカルな分野に近接してきている。われわれが考えているデザインの状況が、ヨーロッパでは変わってきています。こうした流れは、コーエン・ヴァン・バーレンが5年前に発表した鳩の糞を石鹸にしようというプロジェクトがTDCの賞をとっていたりして、遺伝子のレベルにまでデザインが及んできているということは間違いないですね。また、今年印象的だったのが、マテリアル自体のサーベイとは別に、製品が完成するまでにつくったプロトタイプやスタディを全部見せますというプロジェクト展示です。実際にどれが作品かわからない展示で、マテリアル自体に魅入られているのではという展示も見られました。一種のフェティシズムを感じます。そうしたものをオープンソースのように提示することで、いろいろな人が新しいアイデアをくれる可能性がある。バイヤーやリサーチャーの関わりしろを増やせる方法ともとれる。生の素材を見るというのは限られた経験で、それが目の前にさらされることの良さを感じました。


tactile

久慈|「tactile」は触知という意味です。何かに触れた時の感覚のようなもの。素材と共通するキーワードです。今年のサテリテの入口の看板がまさに「tactile」でした。

江口|ベニヤを金具でとめていて、タイポグラフィにさわれるんです。

久慈|それで動かせるんですよね。いろんな素材を使っていて、「New Materials > New Design」という今年のコンセプトにあわせてデザインされています。素材そのものを開発するということがさきほどまでの流れだったのですが、ここからはその素材がどのような経験を与えてくれるか、というところに焦点をあてたデザインを紹介していきます。ヤギとかを連れてきちゃう大学があるんです。こうことのをやるのは、デザイン・アカデミー・アイントホーフェンですね。今年はまさにそのものずばりで、Touch Baseという名前で展覧会をうってきています。Ilse Crawfordのキュレーションです。人間の持てる触知のちから、感覚を揺さぶるようなちからに探求することがテーマ、ということで、実際に触れられる動物を持ってきたと。

江口|アイントホーフェンの去年の展示はEAT SHIT、「糞くらえ」でしたね。

久慈|昨年、アイントホーフェンにFood Non Foodという新しい学科ができたんです。そのお披露目の展示が「糞くらえ」。伝説的な展覧会でした。昨年と比べると今年はおとなしかったですよ。割と触れるものが多くて、さきほどご紹介した松の葉からできたプロダクトなどですね。出ているのはだいたい卒業制作なんです。例えば、一見普通のテキスタイルが並んでいるだけのように見えますが、自然物がもたらしてくれる多様な触覚みたいなものを、インテリアの表面に与えていこうというプロジェクト。床や壁などの素材としてデコボコしたものを与えている。空間が均質化していくことに対するひとつの批評のような感じです。むかしのアイントホーフェンを彷彿とさせるような、人毛を使ったプロジェクトもあります。タイトルはHAIR MATTER(S)。髪にはクリティカルな側面があって、たとえばスキンヘッズとか人種とか、そういった批評的な素材としてトライしています。

江口|かたちや仕上げで相手に与える印象が変わるじゃないですか。これにはただならぬオーラがありますよね、繊維なのに。

久慈|アプローチとしておもしろかったです。次はおすすめです。今年RCAを卒業したMorten Grønningという方の作品なのですが、触知のなかでも技術的なアプローチでデザインされたハンディルーターです。手袋をはめて、そのまま彫刻を削れるプロダクトです。この作品のいいところは、テクノロジーを用いて手の感覚をもういちどものづくりの現場に入れるというアプローチ。こういうプロダクトは、造形の論理が変わるんです。手の感覚でしかつくれないものを、テクノロジーを用いてつくる。こうしたアプローチも、「tactile」をベースにしたものなのかなと思いました。つぎはBurgのプロジェクトで、3Dプリンティングをつかったプロジェクトなのですが、テキスタイルとしての柔軟性をもたせるというものです。ソリッドな3Dプリンターの使い方というのはもう終わっていて、それを超えてなにができるかということにトライアルされはじめている。これはちょっと柔らかいんです。ファイバーの部分とソリッドなパーツとの組み合わせによってフレキシビリティを与えています。

江口|3Dプリンティングは最近のテーマですよね。それをつかってなにをするか。

久慈|次はテクノロジーから離れて、触れるというより経験のデザインということで、チェコのトーマスバータ(Univerzita Tomáše Bati)という大学なのですが、食べさせあいっこのような展示でした。長い棒をつくって、どちらが先に食べるかみたいなことをやっている。何気ない日常に一石を投じるというか、当たり前にできることにすこし負荷をかけると普段の行為がどういうことなのかをもう一度再認識することになりますから、体験をもう一度掘り起こすという意味でよかったです。

江口|展示のクオリティがすごいですよね。

久慈|Design Soilと同じ会場だったのですが、この展示を見て、やばいと思いましたね。
つづいて、オランダのピートズワルト(Piet Zwart)という大学の展示も紹介します。OUT OF SIGHTというタイトルの展示です。目には見えていない部分に注目して、インターネット時代のインテリアのあり方を、床や壁や窓などのインテリアエレメントにそれぞれのチームがわかれて制作しています。またバイオ的なアプローチがされていて、床のチームは、普段はクリーンに見えている床にもそれぞれ個性があると言い、床の菌を採取してそれぞれ培養して、皿の上に培養したものを柄のように投影しています。なにに使えるかはわかりませんが、これは批評なんですよね。現在の情報管理社会、あるいは潔癖さみたいなものに対して、本当はこうじゃないのではと。いま流行っているスペキュラティヴデザインの流れに属するものだと思います。RCAがベースで行ってきたものなのですが、こうではない可能性みたいなものを未来に投影して、そこからもういちど自分たちの進むべき道を考えるというデザインのアプローチです。別のチームのプロジェクトでは、テキスタイルを織っているんですけど、柄はインターネットのハッシュタグをコーディングしてつくっています。


collaboration

つぎは、ものづくりのトレンドとは違いますが、大学の動向として、「collaboration」と「self branding」という対極的な活動があるので紹介します。スウェーデンのベックマンス・カレッジ・オブ・デザイン(beckmans designhögskola)がIKEA組んで、屋外屋内ともに使える家具の提案をしていました。製品化するのかと聞いたら、まだわからないと。IKAEから出ていてもおかしくないものもありました。HAY創業者のロルフ・ヘイとコラボしたルンド大学(Lund University)は、客員教授のステファン・ディーツの主導で、新しいオフィス家具の提案をしています。ローザンヌ美術大学(École Cantonale D'Art de Lausanne)、通称ECALでは、e15というドイツのブランドとコラボレーションしたプロジェクトを展示していました(こちらも)。大学院1年生の人たちがデザインに関わっています。e15のブランドアイコンにバッケンザーン・スツールというのがあって、今年そのスツールの20周年なんです。20周年を記念して、同じような材を使って学生がプロダクトをつくるというプロジェクトです。ビッグフットというテーブルの端材でできていて、バッケンザーンはドイツ語で臼歯という意味で歯のかたちをしたスツールです。4つのパーツを組み合わせて作っていて、端材からできているのでエコなスツールという早い時期の事例です。実は日本人の学生さんもECALにいて出していました。ECALは非常に造形力が高いのできれいでした。ひびが入る材である、というのが特徴です。ひびが個性になる。すぐに製品化できそうなものがありました。端材なのでそんなに大きな材がとれないので、組み合わせて構成しています。ECALは非常にブランディングがうまい大学で、今年は3箇所で展示をしていて、E15とのコラボのほかにもうひとつご紹介します。スイスのベンチャー企業Punkt.というブランドとECALの修士2年生が行ったコラボレーションの事例です(こちらも)。Punkt.はジャスパー・モリソンがデザインした携帯電話を発表したことで有名です。簡素な生活をささえる電子機器をつくるベンチャーで、すごくシンプル。電話機能しかありません。今回のコラボにもジャスパー・モリソンが手を貸しています。展示もすごいシンプルで、ミニマムベーシックをうたうPunkt.の理念にもよく合っています。巻き取り式の延長コードなど。Punkt.という会社が普段つくっているものと比べると、すごくコラボレーションのかたちとしては的を得ていて、企業がつくっている製品のラインナップに即した、雰囲気をきっちりと反映させた状態でプロジェクトが進んでいるということが非常にいいなと。すごく無理がない。すぐに製品化できそう。一番いいなと思ったのが、Nadine SchaubさんがデザインしたWP01という壁掛けのプリンター。Punkt.という会社にすごくよくあっています。モノクロしか出せないんですけども、機能をしぼることによって、プリンターの置き場所を変えてしまった。


self branding

以上がコラボレーションの事例です。うまくいっているところは、会社の質はそのままに可能性をすこし広げてくれるようなやり方でした。もうひとつ、別の流れとして「self branding」としました。自分たちで作品をつくって自分たちで売っていこうという流れです。まずはBrugのMade in Burgというコレクション。毎年サローネに出したものが何点かコレクションに入って、ウェブサイトから買えるんです。Burgという大学は近年すごく注目していまして、このコレクションがいつはじまったかはわからないんですが、そんなに昔ではないはずです。造形力があって、試みもおもしろい。実際にBurg大学に行ってみると、コンテナショップがありました。大学としてきちんと売り出していくという姿勢が伺えますよね。「self branding」としては神戸芸術工科大学のDesign Soilというデザインコレクティブは、販売はしないのですが、自分たちで製品をつくって製品化をめざすプロジェクトとしては近いのかなと思います。ぼくはこの展示をつくりにいったという関係でミラノに行きました。Design Soilは今年で6年目で、実際に製品化されているものもあります。同じようなことをやっているのが、ドイツのカールスルーエ造形大学(Staatliche Hochschule für Gestaltung Karlsruhe)が、kkaarrllsというデザインコレクティブをもっています。昨年展示がなくて心配していたのですが今年復活して、リミテッドエディションで家具を販売しています。2009年にスタートしていて7年目。Design Soilは2010年立ち上げで6年目なので、もしかしたらそうしたデザインの時期だったのかもしれない。kkaarrllsにはストイックなデザインがあるかと思いきや、これは名前がFat Cabinetというプロダクトです。インスピレーションのもとがフィンランドのアーティストで、セルフポートレートを撮っているおばさん。彼女の作品のなかに、胸とお腹でほうきを挟んでいる写真(右下の写真『Luuta』)があって、それにインスパイアされてつくったそうです。デザインするとき、なぜつくるか、どうやってつくるかという理由がはっきりしているのがkkaarrllsの特徴です。


time scape

今年は、時間をテーマにした作品が多い印象でした。ジュネーブ造形芸術大学(Haute École d'art et de design Genève)が出展していた時計で、スイスの鳩時計を現代的解釈でつくるというプロジェクト。一瞬しか時間を確認できない時計です。時計はふだん何気なく見るものだけれど、この時計で時間を知ろうと思ったらずっとそこにいて見ていなければいけない。見る見られる関係を再発見するという意味でおもしろかった。LEXUS DESIGN AWARDのなかにも、紫外線をつかって時間を表示させようという試みがありました。なぜこうなっているのかはわかりませんが、こうした流れも見られました。


new area

ミラノサローネは80年代くらいから拡張していて、そのなかに新たに加わりそうなエリアをご紹介しておきます。ひとつはイゾラ(Isola)地区といって、ミラノの少し北、ガリバリディ駅の裏手の方に新しいエリアができていました。毎年やってはいたのですが、今年はオランダ勢が集まり始めたんです。もともとDutch Invertualsというアイントホーフェン卒のひとたちが集まったグループ展があるのですが、今年その規模が大きくなっていて、この人達だけでなくてオランダの有名なメーカーや、アイントホーフェンにスタジオを構えているキキ・ファン・アイクなどのデザイナーが展示していたりして非常にクオリティが高かった。ガリバルディ駅から少しさがったところでは、VitraCasa Vitraという展示をしていて、今年よかった展示のひとつです。Hella Jongeriusのテキスタイルのアーカイヴがあって、彼女の色の使い方を直に見れるということはありがたかった。Vitraのネイルサロンがあって、家具の色を塗ってもらうというブースもありました。もうひとつのエリアが、ドゥオーモからすこし西にずれたあたりのCinque Vie。ガイドに載っていないんですが、昨年あたりから注目を集めています。さきほどのECALの展示は実はこのエリアです。このエリアの中核の展示を今年は売れっ子のRaw Edgeという二人組のデザイナーが担当していました。この展示構成では、斜めにセッティングした染料に木をつっこむだけで染色しています。あとあと考えると、これが今年のトレンドとして捉えられるのかなと思います。


graphic/geometric

グラフィックが今年のサローネで役目が大きかったと思います。日本で言えば、日本のグラフィックデザイナーのひとたちがミラノサローネに興味を持ち始めている。岐阜県が今年CASA GIFUこちらも)という展示をしていました。ここでもグラフィックデザイナーが活躍していて、KIITOとも関わりのあるSPREADの小林さんが会場設計に加わっていました。非常にグラフィックが効いていて、通常日本の企業や企業がミラノサローネに出す場合って、和のテイストを強めてしまって失敗することが多いんです。でも、もちろん展示のオーガナイズをatelier oïが行っているということがありますが、小林さんが入ったことでかなりしっかりとした展示に見える。岐阜県のプロダクトを25品、atelier oïがセレクトして持ってくるという、クォーテーションのついたプレゼンテーションをすると受け入れられますよね。つぎはnendoが関わったMarsottoという大理石の会社の展示です。これもかなりグラフィカルな展示です。Black & Whiteで、左右対称に会場をつくる。nendoはこういう展示がすごく上手ですよね。そんななかでも、ジオメトリックな、幾何図形みたいなものを背景などに取り入れようとしている流れが来ているなと感じました。カリモクの椅子の展示のうしろにも幾何図形がありました。


質疑

質問|すごくフレッシュな情報をお伝えいただいたのですが、ここ最近は素材からデザイナーの領域になっていて、それを拗らせてバイオまでいってしまうという部分に今っぽさみたいなことを感じました。その先に、環境への意識やもの自体の消費を減らそうという意識があるのでしょうか?

久慈|さきほどスペキュラティブと言いましたが、基本的に倫理的なものしか作れないんですよ。スペキュラティブなアプローチは、それをきっかけに社会的な疑問を投げかけるようなものをあえて出すことによって、その先に波紋を投げかけて軌道修正をかけようという動きなので、基本的にみんな社会課題や環境課題に対する倫理的なものですね。われわれが今後生き残っていくために何をしなければならないのか、ということをヨーロッパの学生たちもまじめに考えています。

質問|ファッションの世界であっても、労働環境を良くしようという動きがあったり、倫理がものをつくるひとにとってのテーマになりつつありますよね。

久慈|資本主義が基本的に収奪の構造になっているので、どうしても逃れられない部分もあるのですが、そのなかでもみんなで生き延びていくためには、という動きになっているのではないかなと思います。

江口|ぼくが思うのは、造形だけだとすでに手詰まり感があるんですよね。造形を変えてどうなるの?というところまで来ていて、徐々にデザインをする中心軸が、素材であったり、経験であったり、すこしずつプリミティブな方向に進んでいる気がします。そうした風上の領域をデザインして新しいものを確立させると、そこから風下が全部変わってしまうんです。そこで今久慈さんから倫理的なことについてのお話がありましたが、たとえばビジネス的な側面を見ても、風下を変えないと食べていけない人たちがいっぱいいたり、デザインシーンの経済を考えると、風上に変化を与えて違う方向に進もうとしないと成り立っていかないのかなと感じます。サローネの本会場はすごく華やかなんです。新作家具が並んでいて。それももしかしたら飽きてきちゃったんじゃないかなと思って、最近はいろいろな新しいマテリアルが出てきたり、アップサイクルをちゃんとやろうぜみたいに、すこしずつ中心軸を押し上げているというか、ものづくりの前段階に焦点があたっている感じがデザインをやっていて思います。研究者とくっついてやらないとデザインができなくなるんじゃないかなとすこし思っています。

久慈|そういう意味では私のような研究を中心とする人間と江口さんのようなデザイナーが近くなったり、あるいはグラフィックの人が関わったりして領域が拡張しているというのは、必然的に素地があるということでもありますよね。

質問|グラフィックの方が10年前くらい前に家具の世界に入ってこられたとき、原研哉さんが座椅子をデザインされたことにとてもびっくりしました。垣根がなくなりつつあるという印象はありますね。建築の方がグラフィックに関わったり。

江口|倫理観や哲学の投影だと思うんです。デザインとは何かという問いにまだ明確に答えられないのですが、最近気づいたことは、プロジェクトの制約に対して、自分が正しいと思うことが何なのかということをプロジェクションすると、見えてくる形とか線とか座椅子の選び方みたいなものがある。相手の制約じゃないんです。こっちの生き方とか考え方みたいなものをぶつけるような、そういうことなのかなと思っています。今日の話を聞いていても、人毛に対する飽くなき執念みたいなものも、きっと生き方だと思うんです。仕事じゃ絶対やらないと思うんですけど、自分の考え方を投影して表現して他のひとに共感してもらいたいということなのかなと。



ゲストが選ぶミラノサローネ2016ベスト3

久慈|学生の展示って、どうしても企業さんの展示と比べるとどうしても見劣りするんですよ。今日見せたのもいいなと思っているところだけをピックアップしているのですが、聞いてる方もしんどいだろうなと思って、ぼくたちが選ぶベスト3を準備してきました。

江口|ぼくは35歳なので、サテリテで一番年長者なんです。だからまわりは年下の人たちなんですが、年下でもすごい人いるな、このまますごい人になるだろうなと思う人をピックアップしてみました。ひとりめはROBERT FEHSEさん。ROBERTさんのこのホールディングチェアが、サテリテのなかでダントツでクオリティが高い。もう完成されているんですよ。ほかにもLEDライトとかも出していたんですけど、このチェアはなんでいまサテリテに出てるとと思うくらいずば抜けて完成していた。プロフェッショナルさを感じました。

久慈|開くと座面を脚の先端の接地面が受けるんですね。

江口|ものすごくきれいなんです。たぶん来年あたりにどこかから商品化されるんじゃないかなと思います。ドイツのデザイナーだと思います。
つぎはDAVID DERKSENさん。偶然久慈さんと同じ人を選びました。この人のセンスがものすごくよくて、ただパンチングの穴が開いている円錐を半分にカットしたようなかたちの照明です。このループのところにLEDが入っていて、とてもきれいです。LEDだからこそできる美しさを追求するとこうなりました、というようなプロフェッショナルさがいいなと。欲しいなと思ったくらいですね。

久慈|このひとはデザイン・アカデミー・アイントホーフェンの卒業生で、いまはロッテルダムでデザインをしています。

江口|あともうひとりは日本人を推したくて、森田洋生さん。武蔵野美術大学の助手の方。どれもクオリティが高くて、とくにparrotというLEDが先端についてマグネットで止まっている照明が、力が抜けた感じでいいなと。すごく謙虚な方なんです。この作品だけ目立っていて、ずっとお客さんもいて、確かにいいなと思って。なので勝手にプッシュしています。
今年は本会場も見れたので、本会場のベストも3つあげました。今年のダントツは、大城健作さんというデザイナーで、今はミラノで活動している方。このひとは、Lissoniというイタリアの事務所にずっといて、そのあと3年くらいBarberOsgerbyにいたひとです。沖縄出身なんですけど大阪育ちで、底抜けに明るいひとなんです。Hall20という本会場のなかでもっともいいメーカーが集まるブースのなかで、彼が4つか5つくらいちがうブランドから出展していて、どこをみても大城さんでした。そのなかでもこのHOLEというテーブルがすごかった。文字通り穴が開いているんですけど、プレスで何回か開けてこの穴にしているんです。ものすごくむずかしい技術をつかっていて、デザイナーがかなり製造工程の内側にまで入り込んで実現したということに、ベストオブベストをあげたいなと思います。
次はKonstantin GrcicがデザインしたMagisのテーブルです(公式ホームページには記載なし)。ベースの部分が鋳造でできているんです。ものすごく大きいテーブルなので、上に大きいガラスを乗せたら、下を太くしてボリュームを出さないとふらふらするんですけど、Grcicはそうせずに、この鋳造の脚ふたつと斜めのブレースと真ん中の木一本で安定させています。Grcicの構造フェチな部分がたまらなく出てるなと思って、これがナンバー2です。見れば見るほどやられた感があったプロジェクトです。

久慈|実は私も同じものを選んでます。これは見た瞬間に衝撃が走りまして、これは欲しいと思いましたね。なかなか見ていても欲しいと思うことはないのですが、これは手に入れたい。この木の使い方ですね。木と鋳物のバランス。これはやられましたね。今見ても惚れ惚れします。

江口|最後は、KartellAledinというLEDデスクライトです。デザインはAlberto and Francesco Meda。デスクライトの標準的なスタイルではあるのですが、マテリアルが変わるとこんなに違うのかと思うくらい、すごくキャッチーなものに生まれ変わったなと思いました。中に軸が一本通っていて、構造がすごくシンプル。あとは樹脂。こういう解釈っていままでなかったんです。これはワークスペースで使うのかベッドサイドで使うのかすらわからないくらいぼやけた商品というのが面白いなと思って、これがベスト3です。

Zaha Hadidによるスワロフスキーのコレクション

久慈|つづいて私の選ぶベスト3の残りをご紹介します。BB Barcelonaから出ていたCampana兄弟のデスクです。さきほどグラフィックのようなデザインが特徴と言いましたが、まさにそんなプロジェクトで、天井からの光を透過することで景色が生まれるアプローチがおもしろいなと思いました。もうひとつは、スワロフスキーから出いているZaha Hadidのコレクション。アングルを下に移動するとこんな感じ。建築になりますよね。zahaの建築のなかでも、こういう造形のものって見たことがなくて、残念ながら亡くなってしまいましたが、生きておられたらこういうアプローチの建築が見られたかもしれないなと。
私は展示をつくる人間なので、最後にすこしだけ展示の話をします。Ron AradMorosoの展示で、Ron Aradがデザインした有名なチェアがあるのですが、それを見せるだけだったら他の展示と一緒。ミラノの特徴はその奥があることです。2階の展示に上がるとプロトタイプなどが展示してあって、ちょっとした博物館のような趣なんですよ。こういったものが見られるのがミラノらしさ。もう一箇所、展示でよかったのが、私の選ぶベストオブエキシビション、エルメスの展示です。日干し煉瓦のようなもので会場をつくって、家具を配置しています。ちょっとななめに浮いていたりするんです。この空間のつくりかたは、もちろんエルメスさんなので革の材質が非常にいいんですが、正直ジェラシーを感じました。こういう空間を自分もつくりたいと思いました。見せ方が非常にうまいですね。

江口|非常にミステリアスな空間ですよね。

久慈|ここでしか味わえない体験みたいなものが存分に味わえました。メキシコの建築家・マウリシオ・ロチャが展示を設計しています。すごくよかったです。


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キイトナイト11「ミラノサローネ2016報告会『若手デザイナーの作品にみるデザインの未来』」
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